スポーツ大会の終わって数時間後のこと。  
 後片付けが終わって、どっぷりと夕日が傾きかけていた。  
「ふふ〜ん♪ んにゃ〜♪ ん〜♪」  
 鼻歌なんぞを歌いながら自分以外いない教室に立っているのは、  
 C組でもっとも地味な女、桃瀬くるみだった。  
 夕日に体をオレンジ色に染め、とりあえず一つの机の周りを  
 あてもなくくるくると歩いている。  
 何やら楽しそうに顔を緩めていた。  
 するとその時、ガララ……と教室のドアが開かれ、そこに立っていたのは  
 決勝ゴールを決めたベッキーだった。  
「遅いぞベッキー。人を呼んどいて待たせるなんてマナー違反だよ?」  
 楽しくて仕方ない、といった顔で注意するくるみ。机に腰掛け、足を組む。  
「うるさい。こっちは後片付けやら新聞部インタビューやらで忙しかったん  
 だよ。誰かさんのせいでな。自業自得だ」  
 どこか機嫌の悪そうなベッキーだが、なぜか顔は夕日以外の色で染まってい  
る。  
 決勝ゴールで注目を浴びた興奮が未だに収まらないのだろう。  
「にゃはは、何のことだか」  
 とぼけるくるみは微笑んだ。  
 ベッキーはドアを閉め、くるみの前に仁王立ちする。腕を組むことで  
 怒っているんだぞ、とアピールしていた。  
「とぼけるな。私が気づかないとでも思ってたのか」  
 ベッキーの言っていることとは、スポーツ大会での優勝……、  
 いや優勝にまで進めたことを指している。  
 実際は優勝の興奮から気づかなかったが、後片付けなどで冷静さを  
 取り戻してみると、すぐに作られたゲーム展開だったと気づいた。  
 運と一条の実力、ベッキーのドタバタと思わせるような試合内容。  
 
 それに気づいていたのは双子の兄、修だけだったようだが、  
 考えてみると、力を適度に抜いてサポートに徹している姿が思い当たる。  
「え〜? 私には何のことだか?」  
 あくまでもシラを通そうとするくるみ。  
 ムキーっと歯をむき出してまでベッキーは怒る。  
「何だってあんなことしたんだよー! おかげで私は大変な目にあったんだぞ!」  
 まるで子供のような仕草。ま、子供ですけどね。  
「おかげって、良いことを意味してるんじゃないの?」  
 その子供に揚げ足を取ってみる。  
 案の定怒った。  
「ムキーッ! 揚げ足取んなっ」  
 組んでいた両手を握り上に突き上げる。  
「ふふっ」  
 そんな仕草にくるみは微笑んで、机から降りると優勝した時のように  
 ベッキーを抱き上げた。  
「うわー、下ろせ〜!」  
 くるみの腕の中で暴れるベッキー。  
 するとくるみはさっきまで自分の座っていた机の上に下ろした。  
 高さ的にはベッキーの方がやや下だが、目線の高さはほとんど一緒になった。  
「だって私ベッキーのこと好きだし」  
 目を真っ直ぐ見て微笑みながらの告白。  
 された方は目を点にし、口を三角にしていた。  
「……は?」  
 ようやく出せた言葉はたった一文字。  
 疑問符で言われたので、くるみはもう一度言う。  
 
「だからぁ、私はベッキーのことがぁ、好きなの」  
 ゆっくりと聞き取りやすいようにすると、一拍の間をおいてからベッキーは  
首からものすごい速さで顔まで真っ赤にした。  
「あう、あうあう……」  
 天才でも対処しきれないことがあるようだ。  
 口をパクパク、言いたいことも言えずに恥ずかしそうにしている。  
 後ずさろうにも机に座らせられているし、前にはくるみが立っているので、  
 逃げようにも逃げれない。  
 もっとも体力に自信がないのですぐにつかまるだろうけど。  
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃない。良い子良い子したげよっか?」  
 そう言ってくるみは本当にした。  
 何の関係もないのに、突っ込めないベッキー。  
「わ、私たちは女同士なんだぞ?」  
 さすが天才! 違う意味で冷静だった。  
「そんなこと関係ないよ。日本よりアメリカの方がそういうことにはもっと  
 オープンだったでしょ?」  
 そういう変な所だけはちゃっかりしている。  
 それを言われると確かにそうなわけで、ベッキーはどう反論していいものやら、  
 口をパクパク。  
「ア、アメリカはアメリカで、日本は日本なわけで……」  
「はいはい」  
 くるみは全く耳を貸さず、やれやれと肩をすくめた。  
「ま、ここはベッキーのためにアメリカ流に則って」  
 愛おし気に両手を伸ばし、ベッキーの頬に触れる。  
「んあ」  
 
 妙な感触がこそばゆくてベッキーは思わず声を出してしまう。  
 くるみは両手でベッキーの顔を固定すると、徐々に顔を近づけていった。  
 ベッキーは引こうとするが、ロックされているためにどうしても引けない。  
「く、くるみっ」  
 近づいてくる顔。左右に顔を動かそうにも動かせない。  
 目の前まで迫ったくるみの顔。目がゆっくりと閉じられ、ベッキーの唇には  
 柔らかな感触がした。  
「んっ……」  
 どの辺がアメリカ流なのかはさておいて、くるみの舌が  
 ベッキーの閉ざしていた唇を割って入り、口内に侵入してきた。  
「んーー!! んんっ、んく、んっんっ、ごくっ」  
 抵抗以前に舌が口の中で暴れられ、思ったように声が出せない。  
 なおもくるみの舌は縦横無尽に動き回る。  
 舌先を何度も絡め、下の表や裏は丹念に舐められた。口壁は隅から隅まで  
 舐め取られ、代わりにくるみの唾液が舌に載って送られてくる。  
 何かを飲み込む時には鼻を摘むと良い、と聞いたことはあったが、どうやら  
 口を塞がれても飲み込めるらしい。  
 くるみの唾液はほんのり甘く、送られてくる度にベッキーは飲み込んだ。  
 どうやらくるみもベッキーの唾液を飲んでいるらしく、何度か喉が動いた。  
「ん、ん、……んふぁ〜」  
 くるみはたっぷり堪能したらしく、光悦の表情をさせ、その口から糸を引か  
せている。  
 トロンと気の抜けた目で、口が離れたのにもかかわらずベッキーは半分口を  
開いていた。  
「さすがベッキー。ディープキスもお手の物だね」  
 楽しくって仕方がなさそうなくるみは、浮かれた調子だった。  
「さ、ベッキー。続きも、ね?」  
 
 操り人形のように力の抜けた体はすんなりと言うことを聞き、  
 くるみの手で机に寝かせられるのに従った。  
 今日は普通のチェック柄のスカートで、くるみはその中に手を突っ込んだ。  
「ん? おやおや? いったいぜんたいこれはどうしたのかな?」  
 中で何かに気づいたのか、くるみの手が戻ってくる。  
 その手にはなぜかベッキーが穿いていたであろうパンツの端が摘まれていて、  
 もっと手を下げると完全にパンツが足首の辺りにまできた。  
 その布の中心。薄っすらと色が変色している。  
「んふふふ。ベッキーこの染みはいったい何かなぁ〜?」  
 縦一本に濡れ、そこから広がるようにして染みは出来ていた。  
「え、あの、それは……」  
 言い訳が出来ない。突然突きつけられた現実に頭が回らない。  
 恥ずかしさが身体を強張らせる。  
「いいからいいから。あーもうやっぱり可愛いなあベッキーは」  
 バイト先のヘンタイ店長のせい(おかげ?)で『萌え』という分野に  
 興味を持ち始めたくるみ。  
 右手をスカートの中に残し、体をベッキーの横へ移動させる。  
 チュク、クチ、ジュプ、グチュ。  
 くるみの指がベッキーの中で踊る度に液と空気の交じり合う音がする。  
「うはっ、んふぅ、あはぁ、あうん、あっ、くひゅ、んんっ!」  
 指の動きよりも喘ぎ声が多い。  
 というのもくるみがベッキーの服を脱がし、平らな素肌にあるつんと  
 尖ったピンクの先端を吸いついていたからだった。  
 引っ張るように上へ上へ吸い、引っ張られる快感にベッキーの身体は  
 刺激が走る。  
 舌先で転がすと、ますます硬くなっていく。  
 
「あやや。もうベッキーったら。私の指がふやけそうなんだけど」  
 一旦抜いて、ベッキーの顔の近くに指を持ってくる。  
 人差し指を中指の二本をまるまる呑み込んでいて、根元まで  
 テラテラと愛液で濡れて、くっついていた指を離してみると、  
 見事なまでに糸を引いていた。  
「ほら、ベッキー自分のだよ。舐めて」  
「んっ」  
 差し出された二本の指に舌を伸ばす。  
 最初は舌先でチロチロと舐めていたが、やがて全体をしゃぶるように  
 口を出してきた。  
 欲するがままに指を口の中へ入れてあげる。  
「ん、ちゅっ、くちゅ、はむ、んはぁ、んん、んむ、ちゅうぅ」  
「ありがとベッキー。どう? 自分のは美味しかった?」  
 唾液の糸引く指を抜き取り、それを舐めるくるみ。  
 間接キスだった。  
「ふぅ、ふぅ、はぁ、はぁ……」  
 吐息にすら甘い艶が混ざっている。  
 くるみは足元に回ると、スカートの中に顔を突っ込んだ。  
「お礼に私がこっちを綺麗にしてあげるね」  
 舌を濡れた筋にあてがい、上下に何度も動かす。  
「ああんっ! ダメッ、あっ、良いっ、ふわっ、んん!」  
 ビクビクと背を仰け反らせて甘い刺激に身を委ねる。  
 綺麗にしてあげると言うものの、愛液は唾液と混ざり、  
 ベッキーのスカートのお尻の部分に大きな染みを作っていった。  
 くるみの舌は焦らすように縦筋の周りをなぞり、頃合いをみてから  
 舌をベッキーのひだとひだの間に滑り込ませていく。  
「うああっ! 入ってっ! く、くるみっ、舌がっ、あふ、うはぁ!」  
 
 軟体物がベッキーの中で暴れまわり、淫靡な音を立てる。  
 じゅるるっ、ぐちゅ、じゅぅ、ちゅ、ちゅううぅ!  
「んく、ちゅ、美味し。はむ、るる、んちぅ」  
「んあ! ダメェ〜、あっ、イクッ、ああぁ! イッちゃうっ!」  
 勢いよく噴出される愛液が、逃げ場の無いスカートの中でくるみの顔に  
 噴きかかる。  
 その後何度か小さく噴出し、ようやく止まった。  
 ベッキーの身体は小刻みに痙攣し、力はごっそりと抜けている。  
「ああもうやっぱりベッキーは可愛いなぁ」  
 顔をスカートから出し、口の周りをペロリと舐めた。  
 そしてベッキーの惚けた顔にキスをする。  
「んはぁ、っはぁ、はぁ……」  
 肩で息をしているが、別に苦しそうというわけでなかった。  
「ごめんね。スカート濡らしちゃった。ま、大半は私のせいじゃないんだけどね。  
 今日の所は私のスパッツ貸したげるからそれで我慢してね」  
 言うとくるみは自分のカバンから黒いスパッツを取り出し、  
 スカートを脱がせると、穿かせてあげる。  
 バイトの経験が役立ったのか、後始末だけはあっという間に終わらせた。  
「さあベッキー送ってってあげる」  
 くるみはベッキーを背負うと教室をあとにした。  
 
 
 その帰り道。  
「うぅ〜、また辱められた……」  
「また? 何のことだか分かんないけど、ベッキーはそういう星の下に  
 産まれたんだよきっと。  
 可愛いかんねベッキーは」  
 夕日に染まる道を二人で仲良く帰ったとさ。  
 

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