「お願いだからさぁ、もう帰してくれよ〜」
「ダメだ、我々の存在がばれた以上お前を解放するわけにはいかん!」
「だ〜か〜ら〜、誰にも言わないってさっきから言ってるじゃんかよ〜」
「信じられるか!」
「ちぇ〜・・・」
みなさんこんにちは、桃月学園1年C組の橘玲です。
さて、私は今結構面白い状況下にいます。今私がいるのは奇妙な円盤型の飛行船の中・・・え?
それってUFOじゃないかって?・・・・コホン、UFOの中にいます。そして私の前にはなんだか
某ロボットアニメの雑魚機体に似た顔で目だけが汎用人型決戦兵器という面白い形をした自称宇宙人の
艦長とその手下らしき数名がいます。
え?危ない状況じゃないかって?そうでもありません。オカルト好きの私には結構面白い体験です。
これでまた見聞が広まるというものです。
あ、どうやら宇宙人たちが何か話してるみたいだ。聞いて見る事にしよう、
「艦長、なんでまた地球人を連れて来ちゃったんですか!?」
「いや・・・その・・・な?ちょ〜っとベホイミちゃんの様子でも見てこようかな〜って地球に下りたところを
見つかっちゃって・・・」
「艦長!どうしてそんな勝手な事するんですか!前も言ったでしょう?我々が近づけば地球に悪影響を及ぼすって!!」
「はい・・・聞きました・・・」
「まったく・・・、それにしてもこの地球人もまったく動揺しませんね、宇宙人につかまってるっていうのに。」
「確かに、前の双子の姉妹の姉のほうと同じ・・・いや、それ以上かもしれんな」
「ええ・・・」
どうやら私以外にもここに連れてこられた奴がいるらしい。しかし双子ってまさかあの柏木姉妹の事だろうか・・・?
まあいい、それよりも・・・
「なあ、わたしそろそろ学校なんだけど。もういい加減帰してくれよ。」
「だから、出来ないって言ってるでしょー!聞き分けの無い子はメーなのー!メー!!!」
なんだなんだ?急に艦長が変な事言い出したぞ!?
「艦長!落ち着いてください!・・・誰か鎮静剤を!」
あ、手下も慌ててる。
「う・・・私はいったい・・・」
「落ち着きましたか艦長?」
「ああ、すまない。」
ふぅ・・・やれやれだ。こいつら本当に宇宙人なのか!?姫子以上に馬鹿だぞ?特にこの艦長は・・・
しかし、いつまでもこの馬鹿に付き合ってられないな。さて、どうするか・・・
そうだ!そういえばさっきベホイミがどうのとか言ってたな、ベホイミってあのD組に来た自称癒し系魔法少女の事だろ?
よーし・・・
「なぁ、だったら私と取引しないか?」
「なに?」
「だからさ、艦長さんはベホイミのことが気になるんだろ?私はベホイミと同じ学校だし、今よりも詳細なな情報を
あんた達に提供できると思うけどな〜・・・」
「む・・・一理あるな・・・」
「だろ?だからさ、私を解放してくれればあんた達の望むとおりにベホイミの情報を提供してやるよ。どうだい?
悪い取引じゃないと思うけど?」
「しかし・・・本当にそんなことが出来るのか?」
よし乗ってきた!やっぱりこの艦長は馬鹿じゃないのか?
「もちろんよ。あたしを誰だと思ってんのよ!『魔女』とまで言われる橘玲よ!」
「むぅ・・・」
あ、相談してる。・・・しかしあの艦長自分の意見で決めれないのか?いつもあの手下に怒られてんじゃん・・・
あっ、また怒られてる・・・
「わかった、それでいこう。お前は解放する。」
「ふぅ、よかった。」
「ただし、約束は守ってもらうぞ!」
「はいよ、新聞部の名に賭けてどこよりも詳細な情報をお届けしますよ。」
「では、たのしみにしてるぞ。」
そう艦長がい言った次の瞬間、急に目の前が光ったかと思うと私はいつもの見慣れた通学路に立っていた。
「やれやれ・・・流石にこの辺は宇宙人らしいね。」
それにしても今日は本当に貴重な体験だった。宇宙人(想像よりも馬鹿だったけど)を見れたし、その上奴等と友好関係(?)
になる事も出来た・・・
時計を見るとHRが始まるまで後すこし、もう走っても間に合わないだろう。
「まったく、どうせなら学校の前に戻してくれよ。」
ここにはいない奴らに悪態をつく、そして軽く伸びをして歩きだす。
「さて、ベッキーになんて言い訳しようかな・・・『宇宙人に拉致されてましたー』なんていったらどんな顔するかな・・・」
天気はこれ以上ないほどの快晴、玲の心も晴れ渡り、足取りも軽く学校へと向かうのであった。
エピローグ
数日後、休み時間でにぎわう廊下を噂のベホイミが歩いている。
と、ベホイミは突然立ち止まり背後に目をやった・・・が、そこには話をしている男子生徒がいるだけだった。
「なんだか・・・最近今まで以上に視線を感じるッス。・・・ま、きっと疲れてるんスね。く〜、今日は速く寝る事にするッス!」
ベホイミちゃんは気づかない、自分が宇宙人以上に危険な人物にマークされている事に・・・
ベホイミちゃんは気づかない、自分の全てが調査されている事に・・・
何気ない日常の中で突然背後に視線を感じたら、あなたも『魔女』に監視されているかも知れませんよ・・・・・・
E N D