0票…  
「なんでよ〜!」  
「うーん、そこそこいけると思ったんだけどなぁ…」  
 3年D組藤宮円、1年A組桃瀬修。  
 学年も違えば、部活動などが一緒なわけでもなく、共通の友人がいるわけでもない。  
 そんな、まるで接点のない男女がこの薄暗い部屋に二人でじっと座っている理由は、  
この二文字に集約できた。  
 0票。  
 この度行われた『好きなキャラランキング』において、彼ら二人は出番のちゃんとある  
メインキャラであるにも関わらず、1票も獲得する事が出来なかったのだ。  
 
「なっとくできないわ!! やりなおしをよーきゅーする!」  
 隣でわめき散らす、年下にしか見えない先輩を横目に修はアンケート結果の紙を眺める。  
 ケ・セラ・セラが座右の銘、自他共に認めるお気楽人間(ちなみに常識人の範囲で)である  
修だが、さすがにこの結果にはショックを隠せない。  
 まあ、結果は結果として割り切るべきなのだが、現在の状況にはちょっと納得出来ずにいた。  
「扱いひどいですよね…。どこ…ここ?」  
 今、修と円がいるのは地下らしき、薄暗くて広いだけの空間だ。何故だか知らないが、共に  
0票の結果を残した二人はこの部屋に来ることになったらしい。  
 
「ムキー!!」  
 円は相変わらず奇声をあげ、怒りを露にしている。  
 年の功というのは当てにならないのか。それとも高校生程度の年齢では、個人差がそれを  
上回るのだろうか?   
(まあ……変な人の相手は、何だか慣れてきちゃったけどな……)  
 修は、ほとんど初対面である先輩のあまりに幼い言動に、軽く嘆息した。  
「はっ!?」  
 と、円はふいに声をあげたかと思うと、  
「いーこと考えたわっ!!」  
 ウニャ!という効果音と共に、腰に手を当てて得意げに叫んだ。  
(……ウニャ?)  
 まあそれはともかく、と修は多少の期待を持って円に問いかける。  
「え!?マジですか」  
「ふふふふ」  
 修の反応に対し、円はしたり顔で嬉しそうに腕を組む。そして高らかに宣言した。  
「ズバリ、読者サービスよ!!!」  
「人気投票終わった後なのに?」  
 修が即座にツッコミを入れる。  
「――――」  
「――――」  
 瞬間、二人の空気が止まるが、すぐに円が静寂を破った。  
「……いーのよ! また人気投票があるかもしれないじゃない! そーよ、次の投票のために、  
次の次の投票のために、って奴よ!」  
「…………」  
 ――多分、テレビか何かでやっていた言い回しなんだろうな。  
 全く何の根拠も無かったが、何故かそうわかる修だった。  
 
「で、読者サービスって……何するんですか?」  
 当然の問いを修は口にした。  
「え? …………え〜っ、とぉ」  
(考えてなかったのかよ)  
 仕方がないので助け船を出すことにする。  
「まあ読者サービスって言うと、よく見るのは水着だとか、そういう……」  
 いわゆるお色気系のシーンだろう。他には入浴シーンとか、着替えシーンとか。  
 しかし修といえど、さすがに女性の前でその手の話題を話すのは多少の抵抗を感じ、言葉を呑み込んだ。  
「うーん、そ−よね……水着ね…」  
 何やら真剣に思案し始めた円を見て、軌道修正しようと修が口を挟む。  
「いやでも藤宮先輩って、見た目そういうキャラじゃないし……」  
「……何よ、どーいう意味?」  
 見ると、円がこちらを睨んでいる。修は少しばかり焦った。  
「い、いや! 俺は先輩のこと良く知ってるわけでもないんですけど、一般的イメージでですね……」  
「何よー! 私に魅力が無いって言うわけー!?」  
「だから、人にはそれぞれ…」  
「何よこのヘラ夫! あんた何様!? 王様!?」  
「持ち味という奴が…」  
「ムキー! ムキー!」  
「ていうかへラ夫って…」  
「もーーーー! あーーーーー!」  
「…………」  
 もはや手がつけられない。どうなだめても落ち着きはしないだろう。  
 
(仕方ないな)  
 修は一呼吸置いてから、はっきりと言った。  
「だって先輩、どう見ても子供じゃないですか」  
「――なっ……」  
 ある種冷たいとも言える宣告に、円は一瞬絶句した。  
「下手すりゃ小学生ですよ。先輩、いくつですか?」  
「……18歳……」  
「正直信じられない程ですよ。それこそ飛び級でもしてる10歳なんじゃないかってくらい」  
「な、何よ……」  
「まあ身体の成長は仕方ないですけど、行動も幼すぎますよ。18歳でそれはありえないです」  
「…………うっ」  
「今までは周りが許容してくれてたのかもしれませんけど、これからは……」  
「うう〜〜〜!」  
「……えっ」  
 気付くと、円はうつむいて口を喰いしばり、目には涙すら浮かんできている。  
(……しまった、やり過ぎた!)  
 修自身、どうしてあそこまで言ってしまったのか分からない。普段の自分はこんなキツイ性格では  
なかった筈だ。実は自分はSだったのか。それとも円に、人のS心を刺激する何かがあるのか……  
(ともかくフォローしなきゃ。……でもどうフォローしよう……)  
 
 修が逡巡していると、  
「うあーーーんッ!!」  
 絶叫と共に、円が服を脱ぎ始めた。  
「あーもう…………って、ええ!?」  
 驚愕し、ともかく円を止めようとする修。  
「ちょっとっ……何やってんですか! 駄目ですよ……ちょ、はしたない!」  
「はなせーっ! もーっ!」  
「あ……ちょ! いて、いてて!」  
 修の腕の中で暴れまくる円だが、体格差もあり、なんとか未然に食い止める事が出来た。数発の  
エルボーを身体のあちこちに喰らったが。  
 10秒ほど経って、ようやく少しは円が落ち着いた。修はなだめるように語りかける。  
「さっきは言い過ぎましたよ。俺が悪かったです、ごめんなさい。でも、何で服を脱ぐわけですか?」  
「……子供じゃないわ」  
「え?」  
「もう十分、大人の女なんだから!」  
「いや、そうじゃなくて……藤宮先輩には藤宮先輩の魅力があるわけだし……。それにそれって脱ぐ理由  
になってないですよ」  
「だって……脱げば脱ぐほど、魅力があるんでしょ……人気が出るんでしょ……? 私だってちょっと服を  
脱げば、男の人を虜にできるんだから……!」  
「…………先輩」  
 円の頬には既に涙が伝っている。激情と興奮で訳が分からなくなっているようだ。  
「だから……ううー! だから……」  
「――――違います」  
 修は呼吸を落ち着かせ、円を包み込むように抱き、言葉を紡ぎ出した。  
 
「えっ……?」  
「藤宮先輩は魅力的です。……それはもう十分に。でも、それはいわゆる大人の女性とは違う魅力ですよ。  
だから、先輩は服を脱ぐ必要なんて無いんです。先輩みたいな女の子はそういう直接的なタイプじゃなくて、  
むしろ服によって魅力が引き出されるというか……。例えば、スカートから覗く太ももなんか、個人的に  
かなり好きだし……」  
「…………」  
(ふう、大人しくなったか……って、俺なに言ってんだ!?)  
 修は出来るだけ素直に率直に、円の良い所を語ろうとしただけだったのだが、つい口が滑ってかなりきわどい  
事まで言ってしまった気がする。というか最後あたりは、セクハラとか言われても仕方がないレベルだ。  
 修が、謝るべきか冗談だと誤魔化すべきか迷っていると、  
「…………ほんと?」  
「えっ」  
 円が修を真っ直ぐに見つめ、問いかけるように声を出した。  
「ほんと? 私のこと、好き?」  
「いや、そういう意味じゃ……(超小声)」  
 思わぬ方向に転がり出した展開に戸惑う修だが、無下に否定することもできない。  
「ねー、好きなの?」  
「あの、いや……」  
 しかし円の瞳はそれこそ吸い込まれそうで、しかも脱ぎかけの制服からはアンダーがちらちらと覗き、  
修の理性を確実に突き崩していく。理性が感情に、何とか抵抗している。  
 
「……好き、なの?」  
「好きです」  
 即、敗北。  
(俺の意思とか理性、ちょっと弱すぎるかな……)  
「私も好きっ」  
「え……?」  
 ――何それ。どういう展開?  
「いや先輩、そんな簡単に……」  
「私は、私のことを好きな人が好き。私を好きな、あなたが好き」  
「――――ッ」  
 その、あまりに単純明快な論理に、心が――動いた。  
「んっ」  
 円が目をつむり、差し出すように口を突き出す。それが何を求める動作かは明らかだ。  
 そして、それを拒否する選択肢が修の頭に浮かぶ事はなかった。  
 
 修も瞳を閉じ、円の小さな唇に、そっと口付けた。  
 
 触れ合うだけの、キス。  
 唇と唇がくっ付いた状態で、しばらく停まっていた。  
 何秒が経っただろう。どちらともなく、自然に口を離す。  
「……えへへ」  
「藤宮、先輩……」  
 修の腕の中にいる年上の少女の姿は、その外見が幼いだけに、かえって妖艶で淫靡に見えた。  
 
「ちょっとー」  
「?」  
 気付くと、円が少しばかり不機嫌そうな声を出している。  
「こーいうときには、女の子の名前を呼ぶもんでしょ? もーっ」  
「あっ、ああ。えーと……円?」  
「年上を呼び捨てにしないのー!」  
「ごはッ!?」  
 無防備なみぞおちに、円の突きがえぐり込んだ。  
 理不尽。  
「…………でっ、では……円先輩、で」  
「よろしい! じゃ、もっかいして?」  
 もう一度、口付けを求める円。おねだりする子供のようなその姿はやっぱり可愛らしく、腹に走る痛みも  
どこかに飛んでいった。  
 再び口付ける。求められたからというのもあるが、修自身が円の唇を欲していた。  
「んん……」  
 満足そうな声を出す円。  
 
 ――もっと、もっと円が欲しい。舌を円の口内にねじ入れる。  
「……んうっ? ……ん、ん…」  
 戸惑ったように目を開ける円。しかし口を離したりはしない。  
「ん〜〜〜、ん…ちゅ、ちゅ……」  
(もしかして、ディープキスを知らなかったか、考えてなかったんじゃ……)  
 円の精神年齢からして、あり得る話だった。  
(まあ嫌がってる訳じゃないし、今までちょっと主導権握られ気味だったから、好都合かな)  
「あう、んむ、あ……ん、んん……うあうっ」  
「れる、ん…………ちゅ、ちゅっ」  
 とりあえず、好きなだけ円の口内を蹂躙することに決めた修だった。  
 
 
「んん…………ぷぁっ」  
 しばらく経って、ようやく円は修の責めから解放された。  
「もう……。こ、この、ケダモノっ」  
 円にしては、いまいちキレのない罵り方だった。  
「光栄ですね」  
 修は悪びれる様子もなく、ニヒヒ、と彼独特の得意げな笑顔を浮かべる。  
「……何よー、このヘラ夫」  
 邪気のないその笑顔を見ていると、心が暖かくなっていくのを円は感じていた。  
 
 
「それじゃー、ちょっと失礼して、っと……」  
 緊張感の無い感じでそう前置いてから、修は円の服の中に手を伸ばした。  
「ちょ、ちょっと……」  
 円も嫌な訳ではないのだが、反射的に抗議めいた事を言いそうになる。しかしその口を修の唇がまた塞いだ。  
「んん〜〜〜〜っ!」  
 再び口内に舌を侵入させる。円の意識を口に集中させ、その隙に身体を愛撫しようという目論見だ。  
「んちゅ……れる、れう………」  
 まずは半脱ぎの制服を取り払う。さっきは服を着てるほうが云々と言ったが、現実的には脱がせたほうがいい  
だろう。汚れる心配もあるし、愛撫もしにくい。続いてアンダーも手際良く脱がせる。  
「あう、ちょっ…………んぷ、んん、ん……」  
 下からはほぼ平らな胸と、あまり必要性を感じないブラジャーが現れた。持ち前の器用さを存分に発揮し、  
ブラのホックを素早く外す。間もなく身体相応の乳房が露になった。  
「はあ……ん……んむ、れう、えうう……」  
 小さな乳首は綺麗なピンク色だ。改めて見てみると完全に板胸というわけでもなく、ちょっと膨らみかけと  
いった感じだ。18歳にして膨らみかけというのも、ちょっと変ではあるが。  
(さて、と)  
 修は心底楽しそうに手をわきわきと動かし、円への愛撫を開始した。  
 感度も身体と同じで未成熟なのかどうかは分からなかったが、念のため修は円の身体を丁寧に、優しく丹念に  
愛撫していく。  
「ふぁ、んん、うあ……あ……!」  
 心配は無用だったようで、円の身体は修の愛撫に敏感に反応している。修の指が円の乳房や乳首を刺激するたび、  
小さな口から嬌声が漏れた。  
 
「んう……あ……。もう、べたべた……」  
「……あ」  
 気付くと、長く続くキスのせいで二人の口周りは互いの唾液まみれになっていた。  
 一旦、ティッシュか何かで拭こうかと修が考えたその時、  
 
 ぺろんっ  
 
 円の舌が、修の頬についた唾液をぺろりと舐め取った。  
「へへん」  
「ッ――――!」  
 修の顔に、さっと赤みが増した。  
 唾液の交換なんて、今までずっとやっているのに。なぜこんなに照れているのか、修自身にも分からなかった。  
 お返しとばかり、誤魔化すように円の頬の唾液を舐め取る。  
「んふ…………うにゃ」  
 円は心地よさそうに目を細め、じっと頬を舐められ続けている。  
(やばいなぁ……本気で可愛いぞ)  
 赤くなっているだろう顔を誤魔化すためもあり、修は顔を円の胸に持っていった。  
 小さな乳首を口に含み、舌で刺激する。  
「あ、はぁ、んあ…………!」  
 円の嬌声を聞きながらスカートの中へと手を伸ばすと、既にショーツは十分に湿っていた。  
 
「……もっと早く脱がせた方が、良かったかな?」  
「んんっ」  
 後で穿く時に困るだろうなとか、いやに落ち着いた事を考えながら、ショーツを脱がせる。円が意図を察して腰を  
浮かせてくれたので、スムーズにショーツを脱がせる事が出来た。  
「…………綺麗だな」  
 さっき自ら白状してしまった事だが、円の柔らかそうな太もものラインはとても美しいと修は思う。  
「ありがと」  
 円は、素直にその賛辞を受け取った。  
 円の秘部に手を持っていく。  
「ふぁ……んんん、あん……っ」  
 小さな秘裂は十分な湿り気を帯び、修が見る限り、準備が出来ているように見えた。頃合いかと、自分のズボンに手  
を掛けながら修は問いかける。  
「ああ、時に先輩。もう経験あります? それとも初めて?」  
「…………」  
「先輩? だから、SEXの経験……」  
「――もうちょっと言い方無いのかーっ!」  
「……痛てっ!」  
 修の脳天にチョップがめり込む。  
 修にはかわせない攻撃ではなかったのだが、ここは甘んじて受ける事にした。  
「もー、雰囲気無いなー! このヘラ夫! ……初めてだわよ!」  
「すいません、つい……」  
 そうだ、あまりマジになるのは自分に似合わない。この位のダレ方が、桃瀬修のスタンスだろう。  
 
「そんじゃ行きますか、っと」  
「わっ……」  
 円の身体を横に転がし、取り出した修自身を秘裂に当てる。今まで気付かなかったが、修の先端も既にカウパーで  
濡れそぼっていた。  
 二つが合わさり、ちゅく、ちゅ、と音を立てる。  
「……いいですね?」  
「…………うん」  
 円が首肯するのを見て、修はゆっくりと腰を押し出した。  
「……ん!! ああ……うああ…………ッ!!」  
 腰が進むにつれて、円の口から声が漏れる。明らかに、苦痛の為の。  
「大丈夫、ですか……?」  
 修は一旦動きを止め、円の髪を撫ぜたり涙をぬぐったりする。円の痛みを紛らわす為だ。  
 円の秘部はあまりに小さくて、修からするとその強烈な締め付けは快感というか、むしろ痛いほどだ。修としては  
自分のモノはまあ普通の大きさだと思っていたが(他人のペニスなど見ないのでわからないが)、いかんせん円の身体  
が小さすぎる。  
 しかしここまで来てやめるわけにもいかない。修は円を抱きしめるようにし、落ち着くのを待っていると。  
 
「一気にやれぇ……」  
「え?」  
「我慢するから、一気にやれって言ってんのぉ……。ちょっとなら、我慢できるわよぉ……」  
 涙目で言葉をしぼり出す円。  
 修は、目の前の女性にどうしようもない愛しさを感じながら。  
「わかり、ました……ッ!」  
 一息に、円の身体を貫いた。  
「ひうっ!! うああんあ……うあ……ああ…………ッ!!」  
 円の悲鳴と共に、二人の身体は重なった。  
 円は身体の中もやっぱり小さくて、奥まで行っても修のモノは収まりきらない。先端はぎゅうぎゅうと締め付けられ、  
痛みとも快感ともつかぬ感覚が襲ってくる。  
「大丈夫、大丈夫だって……」  
 繋がったまま修は円の頭を抱き、あやすように呟く。円は修の胸に顔をうずめ、荒い息で呼吸をしていた。  
 
 ……どれだけの時間が経っただろうか。  
 円が顔を上げ、修を見上げた。  
「……いーわよ。続けて……」  
「もういいんですか?」  
「だいじょぶよ、そんなに痛くなくなってきたし……。私だって、子供なワケじゃないんだから……」  
 円は多少の意地を張っているところもあるだろうが、痛みが和らいできているのは本当だろう。  
 それにこういう時、修は遠慮をする人間ではない。  
「そんじゃあ、遠慮しませんよ……ッ!」  
 円の身体を支え、大きく動き出した。  
 
「ふぁ、んあっ、ん、ん、ん、んん…………っ!」  
「うっ、うう……っ」  
 イソギンチャクか何かを思わせる動きで、円の中は修へと快感を送ってくる。あまり長い時間は持たないであろう  
事を修は悟った。  
「よ、っと……」  
「え? ええ? ちょっと……」  
 円の軽い身体を持ち上げ、繋がったまま座位に移行。  
「うん。この方が、円先輩の姿がよく見えるよ」  
 修一流の人懐っこい笑顔で告げる。  
「な…………あ、あんたねえ……っ」  
 速攻で照れた。  
 赤くなった顔はますます子供みたいだ、と修は失礼な事を考えた。  
「じゃ、続けますよっと……!」  
「えっ、ふあ…………んあ、ん……ああ……!」  
 自然と、ストロークがどんどん早くなる。自分が円の身体に溺れている事を認識して、修は心の中で苦笑した。  
 
「あっ…………ちょ、桃瀬、へん……! わた、しっ、何だか、変っ…………!」  
 円の瞳には快感が色濃く表れてきて、表情は陶然としている。初めてであるにも関わらず、かなり感じていてくれて  
いるようで、修は嬉しく思った。  
 しかし修としても限界が近い。口に指先に腰、全てを駆使して円を快感へ導く。  
「ぐっ、うう……! どうですか、気持ちいいですか……!」  
「うっ……うん! きもちっ、いいっ…………! ももせぇ……わたし、きもちいいっ、よぉ……っ!」  
 限界が見えてきた。ラストスパートとばかり、思い切り円の身体を突く。  
「ちょぉ……なに、これぇっ……! な……何かっ、なにか来るよぉ…………っ!」  
「イってください! 俺も……イキそうです!」  
「イッ……いく、わたし、イクよぉ…………っ!」  
 二人とも頭は真っ白で、獣のように貪欲に、互いを求めてひたすら腰を動かす。  
 修は目の前の少女が、何よりも愛しい存在になっているのを自覚した。  
(こーいう愛とか恋も、アリだよな……)  
 愛らしい円の姿を見ながら、修は限界を迎えた。  
「で……出るッ! まど、かァ……ッ!」  
「うあ!? う、ああ、う、うにゃあああああああああああああっ!?」  
 修の放出を受けて、円もまた絶頂に登りつめていった……。  
 
 
 
「少しは手加減しなさいよー! ……初めてだったんだから」  
「だってしょうがないじゃないですか、円先輩が可愛いんだから」  
 修が事も無げにそう返すと、円は困ったように目を逸らす。照れているのだろう。  
 ことが終わって後始末をし、服も着直したわけだが、あまりに疲れたのか円は床に寝そべっている。  
 円を見ていると、どうも意地悪をしたくなる修だった。いじりがいがあると言うか……。  
「可愛かったですよ」  
「…………」  
「可愛かったですよ」  
「くりかえすなーっ!」  
 既に嫌がらせの域だった。  
「…………」  
「あれ、怒りました?」  
 円は顔をそむけ、真剣な口調で言った。  
「責任、とってよ」  
「えー」  
「あんたねー!」  
「冗談ですよ。…………俺で良ければ、喜んで」  
「うっ……」  
 自分で要求しておいて、答えを貰うとたじろいでいた。  
「ま、まあ…………わかってるなら、いーのよ……」  
 
 寝転んで顔を背けたままだった円だが、ふと、何かに気付いた。  
「!」  
 壁に耳を当てる。  
「どうしました?」  
「ちょ……ちょっと!! 隣で上位陣がパーティしてる!!」  
「ええ!? パーティ!?」  
 修も壁に耳を当てる。確かに隣の部屋からパーティらしき音が聞こえてきた。  
「なによー! 私達はこんな暗いとこなのになんでよ!! なんでなの!!」  
「いや…………。そういう問題でなくて……」  
 この音の聞こえ具合からいって、先ほどの痴態は確実に隣りの部屋まで聞こえていたと見るべきだろう。  
 ……という事は、さっきのアレとかソレとかも丸聞こえで……  
「やっべぇぇ……」  
(1位の宮本先生は教師だし……いや、先生の性格からいって学校に報告はされないだろうけど……。っていうか  
5位に玲がいる……。あああ絶望的だ、明日には学校中に知れ渡りかねん……。そうだ、上位って何位までなんだ?  
3位とか5位までであってくれ……。10位までとかだったら、9位にくるみがいるじゃないか……。さすがに気まず  
過ぎるぞ…………)  
 あらゆる思考が修の脳内を駆け巡る。  
 そして指し示す解答は、「エライ事になる」であった。  
「あーもう! 今さらながら腹立つー!!」  
「だからそれどころじゃないって……」  
 この事態を把握せずに騒ぎ続ける円を見て、これからの学校生活への不安を隠せない修だった。  
 
end.  
 

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