「そ…それで、ね。犬神君、お金ないんだったら私がお弁当つくってあげても…」
「本当か?それはありがたいが…」
「…!」
つかつかつかつか。
「! い、一条さん?」
「一条?どうかしたか?」
べち。
「あいた!?…な、何をする!」
「…」
ぐいっ。
ずるずるずるずる。
「お、おお?い、一条、なんなんだ一体?」
「あ…い、犬神君!」
「… ……」
ずるずるずるずる。
「…こんなところまで連れてきて、何の用だ?」
「… キスしてください」
「な …っ」
「キスしてください」
「お、おい。学校じゃそういうことはしないってお前が…」
「キスしてください」
「いやだから…」
「… ……キス、してください」
「… …ああああ、もう!」
ちゅっ
「… これでいいか?」
「…はい。許してあげます」
「許す?」
「… …あなたのお弁当つくっていいのは、私だけです」
「… 驚いた」
「?」
「お前でもヤキモチ焼いたりするんだな」
「…あなたにだけですよ?」
「わかってる …もう一回してやろうか?」
「… はい」
ちゅっ
「… ぷあ。… …犬神さん」
「ん?」
「… …もしよければ、一生あなたのお弁当、つくらせてもらえませんか?」