日差しが強くなり始めた昼時前。  
MIT出身天才少女ーーベッキーは、混濁した思考で待機場所である研究室を、腹這いの姿勢で見回した。  
床に散乱する書類、倒れ落ちた人体模型、用を為さなくなったひしゃげたデスクーーそして、自分を押し倒し腰を振る機械を模した着ぐるみ。  
 
……どうして、こうなったのだろう?  
粘着質な水音と、自分と相手の息づかいが部屋中に響くなか、ベッキーは自問自答した。  
快感による嬌声を噛み殺しながら、数分前の記憶をたぐる。  
 
書類を作ると言う簡単なデスクワーク。  
ベッキーは授業の合間に研究室で自らに課せられた仕事をこなしていた。  
定時報告などという文字の羅列は、高学歴な彼女にとって詰まらないもの何ものでもない。  
 
一段落ついた所でペンを休め、書類の近くに置かれたカップを取った。  
中身はココア。彼女はコーヒーは飲めるが、好むほどでもない。以前、生徒の前で飲んでみせ、大失敗を侵し、それ以来コーヒーを口にしていない。  
「Vガンダムって肩が格好わるいんだよな……」  
温かい茶色の液体を喉に流しながら、ベッキーは毒づいた。  
 
頭の中には、昨日有料放送で流れたアニメが描かれる。  
思いを虚空に馳せるのも程々に、ベッキーはため息ひとつ、目前の書類を片付けようとした。  
 
大きな音共に、荒々しく開け放たれる引き戸。  
突然の何者かの襲来にベッキーは驚愕し、バネ仕掛けの如く後方を振り向く。  
欧米人特有のブルーの瞳に映るのは、メタリックなペイントを施された身体ーーロボットが仁王立ちする姿だった。  
「……なんだ芹沢か。脅かすなよなぁ」  
訪問者を一瞥、ベッキーは安堵し、身体もドアへと向けた。  
「で? 何か用か? 私は忙しいんだ、この前みたいな事ななら怒るからな」  
ベッキーは名を呼んだーー芹沢茜を邪険に扱う。  
彼女の経験で芹沢と関わり、良かった事など一度としてない。  
 
そのため、ベッキーはモノアイが赤く灯る頭部を、紛れこんだ野良猫を見るような目で見るのだ 。  
「……芹沢?」  
芹沢は答えずベッキーに詰め寄る。普段明る過ぎると言える性格の人間が黙る程、不気味なものは無い。  
「……ウラン」  
二人の距離が狭まった所で、ぼそりと芹沢は独白するように声を上げる。  
「は?」  
ベッキーが訝しげな顔をする間にも、芹沢はベッキーの小さな身体に足を進めた。  
「ウーラーン」  
地の底から発せられたような声が、鼓膜に響く。  
目前に留まった芹沢の腕が、ベッキーのこれもまた小さな肩に置かれる。  
「ど、どうしたんだ、芹沢……っ!」  
抗議の声は、組みしかれ、床に叩きつけられた為に阻まれた。  
「ウランの恨み!」  
芹沢の声と呼応し、U字型の腕に伏せあげたベッキーの胸部につかみかかる。  
 
その行為に、ベッキーは小さく悲鳴をあげ、痛みに顔をしかめる。  
「な!? 芹沢……ひぐっ」  
声は、白衣と下のワイシャツを一緒くたにはがされた為に、またも阻まれた。  
下着を残し、埃と共に中空を飛び散る衣服。衝撃で人体模型が重力に引かれ、床に叩きつけられ、砕ける。破片は散乱し、絡み合う2人の身体の周りにばらまかれた。  
 
「いい加減にしろ!」  
マウントポジションを取られ、身動き取れないベッキーは小さな身体を振り絞り暴れ回るが、功をなさない。大学を卒業し、教職についたとは言え、幼い身。自然成長に任せれば、芹沢の方が格段に慮力は上でおまけに着ぐるみの重量もベッキーの枷となる。  
股下に呻きながら、暴れる身体を一瞥しながら、芹沢は行為を再開する。  
衣服の下に収まっていたはずの幼い肢体は、空気に晒され、桜色の乳首も芹沢の目に映る。  
 
芹沢は無遠慮にその身体を触りだした。  
物を掴むに不適切な腕を巧みに操り、脇腹から胸にかけてこねくり回す。  
ベッキーは快感より痛みに身体をよじり、逃げだそうとするが叶わない。  
「痛っ……やめろぉ、先生なんだぞぉ」  
涙を瞳に溜め、抗議しても芹沢の行動を中止させる効力は発揮されなかった。  
その間にも、ぐいぐいと腕を使いベッキーを攻め立てる。  
平らな胸を引き掴み、揉みあげ、片方の腕で乳首を掴み回す。  
お世辞にも上手いとは言えないが、性の概念は知っていっても実質的なモノに対しては皆無なベッキーに対しては、艶やかに鼻を鳴らし始めるには十分だったようだ。  
「やめ……ほんとにっ…んく」  
両腕でも乳首を摘み、捻るように回し、ベッキーを喘がせる。  
「んああっ! 芹沢っ、やめ……やめてくれ」  
快感と言う名のボルテージがあがり、大きく声を上げだす。  
 
そんなベッキーに、芹沢は気を良くしたのか股間にも喜々として手を延ばす。  
グチャリとした音と感触。  
ベッキーは赤く染まる顔を今度はまだ知らぬ感覚に、顔を歪めた。  
胸同様、遠慮なしに芹沢は自らの先生の未開地を触る。  
U字型の腕が白い下着を押し込む度に、愛液があふれ、ベッキーが小動物のようにビクビクと震える。  
膣には入らない腕は、股間をなぶるに蠢き、拙いながら愛撫する。  
グチグチと、下着が鳴き。  
「んくぅ……んんっ」  
と、ベッキーが泣き。  
腕も液体に濡れ、床も同じく濡れそぼる。  
「やめてくれ……わたしが悪かったから……んぁ! んにゃあ!」  
諦めないが、先程よりは力が無いベッキーの声。  
研究室に響くのは、泣きよがる声のみ。  
 
ふいに、パタリと芹沢の愛撫が止む。  
 
ふいに、パタリと芹沢の愛撫が止む。  
ベッキーは荒い息を休む、虚空を向いた目線と、バラバラになった思考が回復する。  
「はぁ……はぁ……せ、芹沢?」  
困惑、そして怯え混じりの声を芹沢に掛ける、大の字になったベッキー。  
芹沢は答えず、その身体を抱き寄せ、今度は背中が天井に向くように叩きつけた。  
「お、おい!」  
ベッキーが首をこちらに向けるより早く、芹沢は下着を引き裂くように剥ぎ取った。  
ベッキーの悲鳴と同時に、芹沢は自分の股間に手を当て、何かを引き出す。  
着ぐるみの股間部分にはスリットのようなものが入り、内部から物体を取り出す構造となっていたようだ。  
「なんだよぉ……今度は何する気なんだょお」  
モノアイは答えない。  
ベッキーは視線を下げ、取り出した物にーー目を見張った。  
 
男性器。  
一瞬、思考が止まり失神するかとベッキーは思った。  
 
生物も勉強した彼女には、それがプラスチック製の紛いであっても理解する事が出来た。  
「やめろぉ!……ほ、ほんとに、やめてくれ!」  
ベッキーは泣き叫ぶ。自分の身体を襲った快感など忘れ、今そこにある恐怖にベッキーはおののいた。  
 
芹沢はモノアイを細め、構わずベッキーの膣へと自らの股間を突き出した。  
「っ! んんんんんっ!!」  
人生の中で経験した事の無い痛みに、ベッキーは叫ぶのも忘れた。  
歯を食いしばり、人体に入り込んだ異物に顔を歪める。  
愛液の上に流れ落ちる血液が、ベッキーの肉体経験の有無を知らしめる。  
「あぐっ」  
ベッキーは痛みに喘ぎ、腰を突き上げながら、逆に終始無言だった芹沢が切ない声をあげた。  
プラスチック製男性器は芹沢側の膣をあるのか、芹沢は身体を震わせ、挿入しきった後挙動を止めた。  
荒い息が四角い頭部から流れ出る。  
 
止まった腰は、腕によるベッキーの胸への愛撫を境に、再開された。  
「あぅぅ…!」  
ベッキーが鳴く上で、荒々しく腰を振る芹沢。  
血と男性器を伝う芹沢の愛液らしきものが、ベッキーの臀部と芹沢の股間部分を彩る。  
「はぁ…はぁ…あはぁ…んっ!」  
痛み続けるベッキーにお構いなく、芹沢は何度も何度も腰を打ちつけ、自分自身も責める。  
「あっあ! ちょっと普通に気持ち良い…」  
芹沢の言葉もベッキーには遠慮が無い。  
悦に入りながらも、胸への愛撫は忘れない。  
そのうち、一つの喘ぎ声にエコーが掛かり始めた。  
「うくっ……あん! あぁ!」  
ベッキーの顔が朱を取り戻し、芹沢と共にいやらしく喘ぐ。  
「うっ! …もう……駄目っぽい」  
粘着質な音が、研究室を暴れるなか、芹沢が訴えた。  
何が駄目なのか?  
ベッキーには考える思考が残されていない。  
「ああああっ! せ、芹沢! んぁ…芹沢ぁ!」  
 
ベッキーも切なそうに声を上げ、何かを耐えるように唇を噛み締める。  
「ぐぅ……も、もう出るよ。悪いのは、そ、そっち……ん! なんだからね」  
芹沢の腰の動きが早まる。  
「んぅ! でる……で、でるって何がだ!?」  
ベッキーは言い知れぬ不安を浴びせられる。  
それでも、いつの間にか腰は芹沢の動きに合わせるようになり、快感を引き出そうとする。  
「だ、だめ……あぅぅぅぅぅ!!」  
芹沢の身体が暴れ、ベッキーの子宮の奥まで疑似男性器を突き出す。  
芹沢は悲鳴を上げながら、ベッキーの身体にのし掛かり、ビクンビクンと打ち上げられた魚の様に躰を震わした。  
それと同時に、吹き上がる液体。  
芹沢の股間部分ーースリットからは愛液がはぜ割れるように放出され、膣奥の男性器から真っ白な正体不明の液体が飛び出した。  
ドクンドクンと音をたてるのを聞いた後に、芹沢は脱力する。  
「なっ!? んきゃああぁぁぁぁん!!」  
遅れて、ベッキーが絶頂に達し、弓なりに身体を上げ、視界と思考がブラックアウトし、パタリと脱力した。  
 
 
意識が戻る。  
ベッキーは、自分が床に寝ている事から理解する事が出来た。  
意識は断続的に明滅するが、今までの事を思い出す事はできた。  
「……私は芹沢に犯された、と」  
立ち上がり、研究室を見渡す。  
真下の床はぐちゃぐちゃになり、デスクと人体模型も見れたものじゃない。  
視線を下に。  
股下の太股には、乾いた血が。股間から、愛液と意味不明な液体が滴り落ちている状態だった。  
「最悪だ……」  
がっくりと頭を下げ、嘆息する。  
その後、ベッキーは重要な事に気がついた。  
 
 
「ウランってなんだ?」  
 
 

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