私には人には言えない秘密がある。クラスメートは勿論、家族にも。  
誰にも知られてはいけない秘密。それは―――。  
 
「ん、ちゅ、んぅ………」  
 
濃厚なキス。唇を合わせるだけではなく、舌も使ってお互いを繋ぐ。  
部屋にちゅ、ちゅ、と音が響き、その音を聞き自分達も更に高まっていく。  
この相手が南条とかなら別に他人に知られても大した問題ではない。  
問題なのは相手が―――。  
 
「んぁ……私、幸せだよ……」  
 
「つるぎ…」  
 
妹の友達の一条望であるという事だ。  
 
事の始まりは数時間前。  
妹の雅が友達を連れてきたところから始まる。  
 
午後11時。今日は午前授業。授業が終わり、犬神つるぎは早足で自宅に向かう。  
別に早く帰る意味は無い。ただ今日は学校に長く居たくないだけだ。  
 
「ただいま。雅はもう帰ってるみたいだな……と、友達が来ているのか」  
 
小さな靴が二つ。これだけでわかる。  
来ているのは多分雅の一番の友達――。  
 
「一条望、だな」  
 
そんな事を思いながら部屋へ。ちゃっちゃと着替えを済まして居間へと向かう。  
居間には案の定、一条望と雅が居た。二人で何か食べているようだ。  
 
「そういえば昼飯時だったな……」  
「あ!雅ちゃんのお兄ちゃん!こんにちは〜!」  
「あ……お兄ちゃん…おかえりなさい…」  
 
ぐぅ、とお腹が鳴る。  
 
「雅ちゃんのお兄ちゃん、お腹空いてるの?私が作ってきてあげるよ!」  
 
望が雅のお昼ご飯を作ってくれたらしく、台所で調理を始める。  
中々手馴れているようで、すぐにチャーハンが出来上がった。  
つるぎの前に出されたチャーハンからはいい匂いがしている。  
ぐぅ。再び腹が鳴った。  
 
「すまない、有難う一条さん。頂きます」  
「もー、いっつも言ってるけどのぞみでいいよ。どうぞ召し上がれ。雅ちゃんには…ジャーン!デザート!」  
「あ、ありがとう……美味しい……」  
 
つるぎは雅が美味しそうにデザートを食べてるのを横目で見ながらチャーハンを口に運んでいく。  
美味しい。普通に美味しい。  
すぐに完食してしまった。  
 
「ごちそうさま、一……望ちゃん。美味しかった」  
「お粗末さまでした!食器は水につけといてくれればいいよ」  
「ああ、わかった」  
 
食器を水につけ、二階へと上がる。  
雅はまだデザートを美味しそうに食べていた。  
 
 
部屋に戻ると急激な眠気がつるぎを襲った。  
どんな人でも眠気には勝てない。それはつるぎも例外ではなかった。  
 
「たまには昼寝もいいか……」  
 
目を閉じるとすぐに夢の中に入っていく。  
深い深い、眠りへ。  
 
目を覚ましたのは2時間後だった。しかし何かがおかしい。  
手が動かない…いや、違う。何かに縛り付けられて動かせないのだ。  
足も同じように縛られている。  
ベッドに縛られているらしく、動くとギシ、ギシ、という音がする。  
 
「誰がこんな事を…」  
 
そう言っていると、突如ドアが開いた。  
現れたのは…一条望。  
 
「望ちゃん、助けてくれないか?」  
「え?何で?」  
「何でって……頼む。このままじゃ動けない」  
「動けないでいいじゃん」  
「…?一体何を…?」  
「まだわかってないの?雅ちゃんのお兄ちゃんをこんな風にしたの、私だよ?」  
 
……?  
今の言葉が脳に届き理解するまで少し時間がかかった。  
信じられない言葉。  
 
「さっきのチャーハンにちょこっとだけ入れたんだ。睡眠薬」  
 
ぴと、と動けないつるぎに寄り添い、胸を押し付けてくる。  
一応胸はあるらしく、ふにっとした感触がした。  
はぁ、はぁ………。  
荒い息遣いが聞こえてくる。  
(興奮しているのか?望ちゃんが……)  
ちらり、と望の方を見ると息を乱している様子は無い。  
じゃあこの息遣いはどこから―――?  
 
「あれー?雅ちゃんのお兄ちゃん、興奮してるの?」  
 
――まさか。興奮しているなんて――。  
そこで自分の身体の異変に気付いた。  
下半身が痛い。この痛みはそう、テントを張った自分の『モノ』がズボンに押し付けられている事によるものだ。  
 
「望ちゃん、、何を…」  
「何をって、ひどーい!雅ちゃんのお兄ちゃんが勝手に興奮してるだけじゃーん」  
 
ズボンのチャックを下ろされ、勃起してカチカチになった肉棒が取り出される。  
 
「お、おい!」  
 
身体を揺らすたび、ギシギシという音が響く。  
そんな事は構わずに、望は肉棒を握り、ゆっくりとしごきだす。  
柔らかい手が肉棒を包み、思わず声が出てしまいそうになる。  
気持ちいい。他人にされるのがこんなにも気持ちいいものだとは知らなかった。  
思わず腰が浮いてしまう。このままではすぐにでも果ててしまいそうだ。  
 
「望、ちゃ……やめるんだ…」  
「何で?こんなに気持ちよさそうにしてるのに」  
 
ぎゅっと肉棒を強めに握られる。  
その強さのまま、しゅ、しゅとしごき続かれ……。  
びゅくっ!びゅくっ!  
白濁液が宙を舞い、望の手にかかる。  
 
「くっ…ぅ…望ちゃん…」  
「わ…凄い、沢山出た…」  
 
ぺろり、と手にかかった精液を舐める。  
 
「苦ぁ……でも…これが雅ちゃんのお兄ちゃんの味なんだ…もっと、飲みたいな」  
 
未だ硬くなっている肉棒を手で掴み、竿に舌を這わせる。  
舌が動くたびにつるぎの腰が跳ね、肉棒がビクンビクンと脈打つ。  
 
「ん、ちゅ…れろ……」  
 
裏筋、カリ、鈴口など色々な場所を舐めてみる。  
やはり敏感なのは鈴口なのか、そこを舐めたらつるぎから吐息が漏れた。  
 
「れろ…雅ちゃんのお兄ちゃん、気持ちいい?」  
 
答えは無い。だがつるぎからかすかに漏れる喘ぎ声が気持ちいいことを証明している。  
望は肉棒を咥え、頭を上下に振り始めた。  
カリ部が唇に引っかかり絶妙な刺激になる。  
つるぎはもう声を押し殺す事すら出来なくなっていた。  
 
「う…あ、ぁ……ぅあっ!」  
 
そのまま鈴口を舐めまわされる。  
この日二度目の射精は……。  
 
「んぶっ…んん〜〜〜!!」  
 
コク、コクという音をたて、望の喉の中に入っていった。  
 
「ぷはぁ……凄いドロドロしてて…これが濃いセーエキって言うのかな?」  
 
ぴとり、と再び寄り添ってくる望。  
軽く頬にキスをされ、耳元で囁く。  
 
「ねぇ、雅ちゃんのお兄ちゃん…私、雅ちゃんのお兄ちゃんの事が…好き。好きだから…好きすぎてこんな事しちゃったんだ。…私と付き合ってほしい…」  
 
その言葉で理性が吹っ飛んだ。  
いや、理性なんて最初から無かったのかもしれない。  
この状況を私は望んでいたのかもしれない。  
 
「私も……私もお前の事が好きだ、望」  
 
禁断の愛は、始まった。  
 
 
 
――――後日談――――  
 
 
 
「まぁ、あの時は媚薬も入れてたから欲望に負けて当然なんだけどね〜。プヒヒヒヒヒヒ!」  
 
つるぎと望はデートをしていた。  
クラスメートに見つからないように細心の注意を払いながら。  
 
「あの時は驚いたな……」  
「ねぇ、私と付き合って後悔してる?」  
「……そんなわけないだろう?後悔していたらとっくに別れている」  
「じゃ、キスして?」  
 
軽く触れるだけのキス。だが唇が離れてもお互いの温もりが残る。  
(これが愛の印、なのかな……)  
暖かい冬は始まったばかり。  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「の、望ちゃんとお兄ちゃんが……ケ、ケロ……」  
 

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