「そもそも一条さんは……」
「はい?」
「あんまり笑顔とか見せてくださいませんよね」
「そうでしょうか?」
「私はこんなに笑いかけてるのに……意地悪 of the year です」
「笑いましょうか?」
「笑ってくれるんですか?!」
「あなたのお願いですから」
「嬉しいです! HAPPY OF THE YEAR です」
「……にっ」
「ひっ!」
「笑ってみました」
「……あ、ありがとうございました」
「みんなー、席につけー、授業はじめるぞー」
「あ、宮本先生」
「一条、クラス委員だろ。ちゃんと予鈴が鳴ったら席に……って六号はどうした?」
「たぶん、彼岸を見てしまったんです」
「……相変わらずわけわからんな、おまえは。ほら、六号、授業始めるからくるみみたいに
そんなところで黄昏れてないで、席に着けー」
「……せんせい」
「あっ?」
「……一条さんが……一条さんが……笑ってくれました」
「良かったじゃないか。なんでそんなに打ち拉がれてるんだ?」
「そのうち、宮本先生にもお見せします」
「そうか。楽しみにしてるぞ。それじゃあ、教科書の……」