賑やかな桃月学園も少し静かになる放課後。  
 職員室ではベッキー、五十嵐、早乙女の三人がそれぞれの仕事を片付けていた。  
 
「あら、宮本先生の背中にゴミがついてるわよ。取ってあげるわね」  
「わ!いいですよ自分で取りますから・・・」  
「遠慮なんかしなくても良いのよー」  
 
 一段落ついたのかそれとも最初からなにもしていなかったのか、五十嵐は手持ちぶさたのようだった。  
 親切心(暇だから)からベッキーの仕事を手伝って(邪魔して)早く帰らしてあげようとの心遣いで、先ほどからベッキーの隣に立っている。  
 そして、ベッキーの背中に着いているゴミを発見したというわけだ。  
 
「なんでそんなに嫌がるわけ?」  
「う・・・それは━━━い、今は忙しいですから後でお話します」  
「宮本先生、背中のゴミくらい取らせてあげましょうよー。じゃないといつまでたっても仕事が終わりませんよ?」  
 
 最もな意見を言う早乙女。確にベッキーのこの嫌がりようは異常だ。  
 
「まさか天才だから、【俺の背後に立つな】とかゴルゴサー・・・」  
「ウルサイ体育教師」  
 
 
 
「隙あり!!」  
「あひゃぁぁぁぁ〜〜!」  
 
 
 
 ベッキーが早乙女にきをとられている隙に五十嵐が神速の速さでベッキーの背中のゴミへと襲いかかる。  
 だが、狙いが外れて五十嵐の手はベッキーの背中を滑るようにして撫でてしまう。  
   
 
 
「・・・・・・」  
「・・・・・・」  
「・・・・・・あうあう〜」  
 
「び、びっくりさせないでくだいよ・・・いきなり変な声を出すから驚いたじゃないですか」  
「ウルサイッ!変な声って言うなー!」  
「そうか、宮本先生は背中が異常なまでに弱いみたいね♪」  
「・・・そうですよ。わ、悪いですか」  
「いやいや〜、可愛いわよ〜。誰にでも弱い場所があるものよ。例えば早乙女君なんかは」  
「ちょ、ちょっと!五十嵐先生?!」  
 
 さらりと自分の弱点を言われそうになる早乙女。  
 
「冗談よ。言わないわ。それにしても・・・えいっ」  
「ひゃあぁぁ!」  
「カーワーイーイー♪」  
 
 面白がって、ベッキーの背中をいじくりまわす五十嵐。抵抗するベッキー。呆れ顔の早乙女。  
 しばらくはまだ帰れそうにない雰囲気が漂っていた。  
 
 
 そんな職員室の風景を覗くアホ毛が一本。  
 
「うっふふー♪これは棚から牡丹と薔薇カナー」  
 
 
 

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