『望ちゃんファイト』
とある休日の日中の犬神家。
今、雅ちゃんは下は靴下、上はボタンを外され胸が見える状態で後ろ手にハンカチで縛られて座っている。
残る二人が立って見下ろしている。望ちゃんはポラロイドカメラを持っている。
「望ちゃん…やめてっ」
涙目になった雅ちゃんが弱弱しく言う。
「だめだめー、ここでやめたら意味がないよー」
「…嫌がってるし、止めた方がいいんじゃない?」
「もう二人とも賛成したくせにー、決めた事はちゃんとしなきゃだめだよー」
「で、でも、ほんとうに写真にとったら…あうう…」
「ほら…もう無理じゃない…」
「これも計算なんだよねー雅ちゃん、プヒヒヒヒ」
「望ちゃん酷い〜」
「さすがに…」
「それじゃあ、くじを引きなおす?」
「いや、それも…」
「決定ー!」
「…ごめん雅ちゃん」
「……あうぅ」
パシャ
インスタントカメラのフラッシュが光った。
その一時間前
望ちゃんが一冊の本を持ってきた、それは過激な描写が売りの少女漫画雑誌。
三人で集まったその日、いつもと空気が一変した。
「さ、読もう」
「あう…見ていいのかな」
「…こういうのって過激らしいよね」
「でも、子供でも買える雑誌だし見ていいんだよ」
三人はドキドキしながら見だした。
「うわ…」
「ほうほう」
「…あぅ…」
望ちゃんがページをめくっていく。
右からベッキー、雅、望の順で座って見ている。
「…こんな事まで」
「すごいねー」
「あうあう…」
どんどん口数が少なくなっていく。
「……」
「ねえ、ここって男の人が乗っかってるけど」
「あぅぅ…」
「雅ちゃんは男の人の見た事あるよね?」
「…え……」
「お兄ちゃんいるじゃん」
「…あうぅ」
顔を真っ赤にして下を向く
「あ、思い出してるー、私と宮ちゃんは姉妹だからねー」
目を合わされて困りつつも苦笑するベッキー
「もしかして今でも一緒に入ってるとか、このー」
「ちがっ…今は入ってない……」
「望ちゃん…やりすぎ…」
「ねぇ…それよりも…」
話題を変えようと必死な雅ちゃん
「そうだね続きを見よう」
「あ…うん…」
続きのシーンは前の部分が回想扱いのオナニーシーンだった
「あ…」
「…ぁぅ」
「うーーん」
流石に同性の体なのでおおよその見当がつく。
無言のままページを捲っていくと話が終わった。
三人の顔は赤かった。
そして望ちゃんが
「ねえ、ほんとうに気持ちいいのかな?」
答えれない二人
「よし試してみようよ!」
「「えっ!」」
「雅ちゃんも将来、お兄ちゃんを誘惑できないと困るよー」
それって問題が無いか…
「あぅ…でも恥ずかしいし…」
「みすみす奪われてもいいの?」
「あうっ……それは…」
「だね、雅ちゃんは賛成!」
ベッキーの方を向く
「宮ちゃんもいいよね、雅ちゃんも賛成したんだし、高校教師が知らないと馬鹿にされるよ」
「ウッ」
漫画を読んでどきどきのイケナイ気分になっていた三人は流され、うやむやのうちにする流れになった。
「でも女の子しかいないよ?」
「だよねー、よしくじ引きで役を決めよう」
くじ引きを雅ちゃんが作る。
同時に選んで一度に引いた。
「雅ちゃんが女役」
「あうぅぅ…」
「じゃ、私たちが雅ちゃんを誘拐した犯人の役ね」
「えっ、何で!」
目を丸くする二人
「ほら、この漫画がそうなってるから」
さっき読んだのとは違う漫画のページだった。
「男の子がいないから。こっちの漫画だとね、誘拐した女の子に恥ずかしい事をさせて脅迫するんだ」
「あううっ!」
「えーーと…」
「大丈夫、最後には彼が助けに来て救出されるとこで終わってるから、ね」
何が大丈夫なんだか…
「よーし、じゃあこれをかけて宮ちゃんも」
サングラスを渡される。望ちゃんは既につけていた。
「……」
あっけにとられて雅ちゃんが取り残されて一人座って見上げている。
「雅ちゃん風にアレンジすると、最後にお兄ちゃんが助け出してくれるから、ね」
「それなら…」
だまされてるよ…たぶん
そして始まった。
「アイツには恨みがあるんだ、お嬢ちゃんに恥ずかしい思いをしてもらうぜ、わははは」
棒読みでベッキーがセリフを読む。
「雅ちゃん、家に返してほしければパンツを脱いでこっちによこせ」
「あう…出来ないよ望ちゃん」
「もう雅ちゃん、くじで決まったんだし、頑張ってよね」
「どうすんの?」
「それじゃあ、面倒だひん剥いちまえ!きゃーー」
望ちゃんが雅ちゃんに跳びかかっている
「宮ちゃん、雅ちゃんの体を抑えて」
「え、え…」
勢いに雅ちゃんを後ろから抱きしめる。って別に雅ちゃんも本気でまだ抵抗してないけど。
望ちゃんがスカートの中に手を入れてぐいっと脱がした。
「あう…」
「あ、雅ちゃんの見えた…」
この時点で雅ちゃんが恥ずかしくて目を閉じて暴れ出した。
「わっわっ」
「雅ちゃん…足をジタバタさせたら、スカートがめくれて余計に見えるよ」
望ちゃんが冷静に突っ込み、それに気づいて雅ちゃんの動きが止まる。
「大人しくしろー」
スカートも一気に脱がしてしまった。
呆然とするベッキー。
膝をぴたっとくっつけて動きが止まってしまった雅。
「えーと、この後ね。生きて帰りたかったら恥ずかしい行為をするんだって脅されるんだよ」
「恥ずかしい行為って何?」
「さあ…」
望もベッキーもよく判っていない
「うーん、宮ちゃんもこっち来て漫画みて考えてっ」
「抑える役は?」
「そっかー、あ、変りに手を縛ればいいんだよ」
下半身靴下だけの姿で後ろ手にハンカチで縛られた雅ちゃんを前に、二人で漫画を見ながら検討する。
「またのとこに手をあててるよ」
「くちゅくちゅって擬音は何?」
「さあ?」
考えること数分、その間は雅ちゃんは時々「あう」とか「まだー」とか呟いていた。
「えーとね、手をまたのところにあててね、さするみたい」
望ちゃんがスカートの上から自分のまたに手をあてて手を数回動かす。
「あの私…手を縛られてる」
「あっ……」
「じゃあ、代わりに宮ちゃんが雅ちゃんの触って」
「ええっ?」
「じゃあ、私が触る役しよっか」
そこで雅ちゃんが口を挟む
「触られるのは恥ずかしいよお…」
「ダメじゃん」
結局、もう一度くじ引きをする事になった。
「いい、今度は決まったら変更なしだからね、恥ずかしくても決行!」
結果
「雅ちゃんが女役ね」
くじは無情だった。
雅ちゃんだけの恥ずかしさを解消するために後の二人も脱ぐ事になった。
「はい、サングラス」
「やっぱりつけるんだ」
「私たちだけ裸なのも変だよねー」
雅ちゃんも上の服のボタンを外されて胸を露にされる。
「あうう…」
そして冒頭の状態に
「お前の彼に預かった証拠として写真を撮る!」
「望ちゃん…そんなものまで持ってきてたんだ…サングラスといい、準備いいね」
「まかせて!」
舌をぺろっと出して親指をぐっと立てる。
「あうぅ……望…ちゃん…」
写真を取られた雅ちゃんがわなわなと口を震わせて涙を蓄えている。
「ほらー、雅ちゃんの写真浮かびあがってきたよ」
望ちゃんが雅ちゃんに写真を見せる。
「あ…う……」
怯えた顔の雅ちゃんが体を震わせている。
「ついでだし宮ちゃんも取ってあげるね」
「えーー!」
パシャ
前に手を伸ばして静止しようとした姿で撮られた
「はい、今度は宮ちゃんが私をとってね」
カメラを渡して望ちゃんはバニーガールのポーズをとる。
パシャ
「記念撮影も終わったし続きしよう」
望ちゃんが雅ちゃんに振り向く。
「宮ちゃん、縛ってるの解いてあげて」
「この写真をばらまかれたくなかったら、自分で出来るよねー」
「あうっ」
写真を突きつけられ覚悟した雅ちゃんは、頷くように力が抜けたように首が下を向く。
そして雅ちゃんの震える手がゆっくりとアソコに近づいていく。
手をあてた雅ちゃんの顔が上を向いて望ちゃんと視線が合う。
さっきよりも涙で目が潤んでいる。
「うん、それで手を動かしてみてよ」
「……あぅぅ…」
ゆっくりと手が動き出したその瞬間。
コンコン
ノックの音に体がビクッとする。
「雅、皆が来ているのか?」
皆の視線が扉に集中する。
「雅ちゃんの彼が助けにきたけど、早いよー、出番はまだなんだから」
「ダメーーー!!」
雅ちゃんの声とは思えないくらいの大きな声にびっくりするベッキー
「どうした雅!」
いつもとは違う妹の声に慌てる犬神の声がして、
ガチャとドアノブの回る音、扉が開きだす。
「ケローー!!」
雅ちゃんがカエルのようにジャンプして、あっと言う間に扉の前に
犬神の顔が中からも確認できるかどうかの瞬間
雅ちゃんの大技が炸裂した!
「「あ!」」
「ケロォォ!!ケロ!見ちゃダメケロ!!」
数度にわたって犬神へ攻撃が
既に気を失っている
「雅ちゃん壊れたね」
「…うん」
「ヤバイね」
「うん…」
裸の二人に逃げ場は無かった。後3h
「じゃね、宮ちゃんガンバ」
そう言い残して死んだフリする望。
雅ちゃんと目が合うベッキー
「いいかげんにするケロ!楽しい?ねえ楽しい?」
「宮本さんもするケロ、早くするケロ!見せるケロ!」
言う事を聞くしかないベッキー、極限状態では触っても気持ちいいはずもなく、
そのおかげか長時間持つ、後2h
「次は望ちゃんケロ!死んだフリは判ってるケロー!」
「あ、バレてた、疲れたー。オーケイオーケイ」
「望ちゃんのばかぁ」
色々命令されて疲れきって代わりに倒れたベッキーが呟く。
「もう…だめ雅ちゃん…」
望みも倒れる。あと1h
「うーーん」
犬神のうなり声が聞こえる。
「見るなケロ!」
犬神の声が途絶えた。
「二人とも先に楽しんでずるいケロ!私だけ除者だケロ!」
「ちゃんと見るケロ!手伝うケロー!」
無理矢理起こされる二人
そして最後の一時間が過ぎた。
帰るころ、
雅ちゃんは暴走した事に反省して恐縮しまくり、
望ちゃんは
「面白かったねー、今度は雅ちゃんのお兄ちゃんが来ない場所でしようね」
反省の色もなく、
ベッキーは心身ともに疲れて肩を落とした。
犬神はたんこぶを作ってまだ倒れていた。
Fin