がっしゃーん!!  
 
「はうぅ〜」  
大きな音と共に倒れた宮田。  
彼女はかなりのドジであり、何も無いところで転倒することが日常茶飯事である。  
「あーっ!カメラがーっ!」  
晶と一緒に転倒し、破損してしまったカメラを見て絶叫する綿貫。  
彼女ら諜報部は現在撮影の最中であり、宮本研究室への突撃取材を慣行しようとしていた矢先の出来事であった。  
「宮田さん!大丈夫!?」  
宮田に駆け寄る来栖。  
「ご、ごめんなさーい・・・ううう」  
 
どしーん!  
 
半泣きで立ち上がろうとする宮田だが、またコケる。  
「宮田さん!あきらめちゃダメ!」  
来栖が傍で励ましている。  
その光景に綿貫は頭を抱えた。  
「毎度毎度あんたは・・・」  
「あ・・・あうぅ・・・」  
「しかも今度はカメラは壊すし・・・」  
しかし、今まで何度も転倒してて壊れてないほうが驚きではある。  
「さすがに今度という今度は堪忍袋の緒が切れたわよ・・・」  
「ご、ごめんなさいごめんなさいー!」  
綿貫が凄んだ声で言うと宮田は顔を真っ青にして謝りだした。  
「わ、綿貫さん!宮田さんだって一生懸命・・・」  
「あなたは黙ってて003」  
「ひうっ!」  
綿貫の視線で来栖も黙り込んでしまった。  
「お仕置きよ、002」  
そう言って綿貫が取り出したのは手のひらに収まるくらいの小さい太鼓と赤い太鼓バチ2本。  
「そ、それはなんですか・・・」  
「これ?これはね〜うふふ・・・あははは」  
「あは・・・あははは」  
綿貫の笑い声に宮田も顔を引き攣らせつつ笑いを浮かべた。  
「これであんたに清めの音を叩き込んでくれるわーーーーーーーっ!!」  
「ひいいいいいっ!!それ、ヒビキ違いですからー!」  
「やかましーわーーーーーっ!!」  
太鼓セット!!  
「いやーっ!・・・あ、あれ・・・?」  
しかし、宮田には何も起きていない。  
「え?え?何ですか〜?」  
太鼓がセットされたのは・・・  
「ウサギさん!?」  
そう、綿貫が太鼓を宮田にセットしようとした瞬間、綿貫と宮田の間を偶然メソウサが通りかかったのだ。  
「そりゃあーーーーーーっ!!」  
綿貫は頭に血が上ってるのか、セットした相手に気づいていない。  
「わーっ!やめてくださーい!」  
メソウサは懇願するが綿貫は聞いてはいない。  
ドン!ドン!ドンドンドンドンドンドン!  
太鼓が打ち鳴らされた。  
 
パーンッ!!  
 
「きゃああああああああっ!!ウサギさんがーっ!」  
砕け散ったメソウサを見て絶叫する宮田と来栖。  
「あ・・・あれ・・・?間違えた・・・?」  
綿貫が我に返った。  
「ひ・・・ひいいいいいいいいっ!」  
宮田と来栖は逃げ出した。  
どてっ  
しかし、例によって宮田はコケる。  
「は、はううう・・・待ってー」  
助けを呼ぶにも既に来栖は遠くまで逃げてしまっていた。  
「あうあうあう・・・」  
よろよろと立ち上がり再び走り出し、宮田も姿が見えなくなる。  
「もう・・・カメラ高いのよほんとにもう・・・」  
一人残された綿貫は壊れたカメラを拾い上げ、一人呟いていた。  
「でも・・・最近あの子がドジ踏んでるのを見てるとなんか・・・」  
ふと心にある感情が芽生える。  
しかし、今の綿貫にはその感情の正体までは掴めなかった。  
 
次の日。  
「・・・はあ」  
綿貫は朝からなんとなく気だるさを感じていた。  
体がなんとなく重いのだ。  
というか、いつもの2倍くらい重い。  
「・・・一条さん、降りて」  
「ばれてしまいましたね」  
・・・『頭の上に一条が載っていたため、体が2倍重かった。』に訂正します。  
「いつから載ってたの!?」  
「校門で擬態していたら綿貫さんが通りかかったので寄生してみました」  
「お前はいつかのマタンゴ星人か」  
一条の回答にすかさず突っ込みを入れる玲。  
「というかだ、頭に一条が載ってるのに今まで気づかなかったお前もどうかと思うぞ」  
「う・・・うるさいわね・・・」  
玲の更なる突込みに綿貫は顔をそらす。  
「ところで、メソウサ知らないか?昨日から姿が見えないんだが」  
(どきっ!)  
「し、知らないわよ。ええ、もうほんとに」  
まさか自分が清めてしまった事をばらすわけにも行かず、綿貫は知らん振りをした。  
「そうか・・・どこに行ったんだろうな。ベッキーも心配してるんだが」  
「お探しのうさぎさんはこちらですか?」  
一条が抱えているのはまぎれもないメソウサであった。  
「え!?」  
綿貫が驚愕の表情で固まっている。  
「なんだ、一条のところにいたのか」  
「はい、昨日校庭を歩いていたので替え玉とすり替えました」  
「・・・なんですり替える必要があるんだ」  
「妹の遊び相手にと思いまして」  
「ああ、なるほどな。だけどすり替えなくてもベッキーに一言断ればよかったと思うぞ」  
「大丈夫ですよ。放射能漏れはありませんので」  
「意味が分からん」  
(つまり、昨日私が清めたのは偽者だったのね・・・ああ、よかった・・・)  
綿貫がにこやかな表情に変わる。  
「ん?どうした、綿貫」  
「え?いやいやいやなんでもないわよちょっと考え事」  
(でも、その替え玉って・・・一体何だったのかしら?)  
ふと疑問が浮かび一条に質問してみることにした  
「ねえ、一条さん」  
「なんでしょうか」  
「その替え玉って一体なんなの?」  
「・・・知りたいですか?」  
突然一条の周りの空間が闇一色に染まり、一条の顔が下からアップライトで照らされる。  
「あ・・・いや、その・・・やっぱりいいわ」  
ただならぬ気配を感じ、綿貫は質問を取り下げた。  
「ま、聞かないほうが正解だろうな」  
「・・・残念です」  
 
ぴーんぽーんぱーんぽーん  
 
「ん、授業が始まるな。それじゃ、綿貫またな」  
玲が手を振る  
「それじゃあね」  
綿貫も手を振って答える。  
「・・・あれを清めるとは中々やりますね」  
すれ違いざまにそう呟いた一条に綿貫の顔が青くなる。  
(一体あれは何だったのよーーー!というか見てたのーー!?)  
一条に戦慄する綿貫。  
「そんな綿貫さんにこれを差し上げます」  
一条が綿貫に棒状の物体を差し出した。  
「・・・何これ?」  
「電気マッサージ器です。この先端の2つに分かれた振動部に肩を挟んで使用します」  
「なんで電気マッサージ器なのよ・・・」  
「このレバーを握ることでしっかりと掴むので中々離れないんですよ」  
「・・・聞けよ」  
「それでは、授業がありますのでこれで失礼します」  
「お〜い・・・」  
一条は教室へと戻っていった。  
「相変わらず一条さんは謎よね・・・というかこれどうしろと」  
綿貫は一人呟いていた。  
 
そして、放課後の諜報部部室。  
ういいいいいん  
「はぁぁ・・・きく〜」  
一条からもらった電気マッサージ器を早速使用してみた。  
「これすごく気持ちいいわ〜」  
最近とてもこっていた綿貫の肩にはすごく心地よい振動を与えてくれた。  
「それにしても2人とも遅いわね・・・居残りか何かかしら?」  
ひたすら待ちぼうけである。  
「やっぱり昨日のアレが効いたかしらね・・・はあ・・・」  
「お〜い、綿貫〜入るぞ〜?」  
「特に002・・・晶ちゃんはすごく怖がらせちゃったしね・・・」  
「お〜い」  
「あ〜・・・自己嫌悪しちゃうわ・・・」  
「わ・た・ぬ・き〜」  
「もしかして、そのまま来なくなっちゃうなんてこと無いわよね・・・まさかね」  
「ターゲット確認。目標、綿貫響。ピコ」  
「はあ・・・晶ちゃん・・・」  
「ロボットアーム射出!ピコ!」  
どかーん  
ロボ子から射出されたアームが綿貫の目の前で爆発した。  
いきなりの衝撃にびっくりして立ち上がる綿貫。  
「ぶあーっ!敵襲!?・・・何よ、芹沢じゃないの。いきなり現れないでよ」  
「さっきから呼びかけてただろうが。なんかブツブツ言ってたけど」  
怒鳴る綿貫に何食わぬ顔で返す芹沢。  
「別に、ただの独り言よ。それより何か用?」  
「ああ、来栖ちゃんから伝言預かってる。『今日は用事があるので諜報部はお休みします。ごめんなさい』だってさ」  
「・・・やっぱり逃げたか」  
綿貫はため息をついた  
「お前・・・何があったんだよ」  
「ん〜・・・ちょっとね」  
「喧嘩でもしたのか?」  
「喧嘩ってほどでもないけどね・・・でもね・・・はあ」  
綿貫は上の空という感じで返事する。  
「ま、いいや。伝言は確かに伝えたから。それじゃ」  
 
がしっ  
諜報部部室を去ろうとする芹沢の手がぐいっと引っ張られた。  
「ま・ち・な・さ・い」  
綿貫が恨めしそうな顔で芹沢の手をぐいぐい引っ張っていた。  
あまりの突飛な行動に芹沢は唖然とする。  
「な、何だよ?まだ何か用があるのか」  
「あんたね、目の前に悩み抱えてる美少女がいるってのに何事も無いかのように立ち去るわけ?」  
「何が言いたいんだよお前は」  
「つまり、今からあんたを諜報部員004に任命するわ!!」  
「何がどうなったらそうなるんだよ・・・大体私は演劇部だぞ?」  
「大丈夫、大丈夫。晶ちゃんや来栖さんだって他の部所属なんだし」  
「・・・つまり純粋な諜報部員ってお前だけなんだな」  
それは言ってはいけないことだった。  
「うるさーいっ!とにかく今から活動始めるから手伝いなさい!!」  
「断る!!」  
綿貫の言葉を拒否する芹沢。  
「なんで私がそんなことしなきゃならないんだよ」  
「あら、報酬なら出すわよ。ほら、これ」  
と、綿貫が取り出したのは一冊のアルバム。  
「なんだよそれは・・・」  
「まあまあ、中身見てよ」  
アルバムを開く2人。  
「・・・ぶっ!お前、これはっ!」  
「どう?気に入ってもらえた?」  
芹沢の反応に綿貫がにやりとする。  
アルバムの中身は来栖の帰宅風景から家での生活風景、更には入浴シーンにその他いろいろな写真が多数ファイルされていた。  
「ま、まさか・・・来栖ちゃんがあんなことやらこんなこととか・・・うわぁ・・・」  
アルバムに完全に見入っている芹沢。  
「はい、ただなのはここまでね〜」  
芹沢からアルバムを取り上げた。  
「あっ!いいとこだったのに!」  
「続きが見たいなら私に協力することね」  
「う・・・」  
綿貫の不敵な笑みにたじろぐ芹沢。  
(来栖ちゃんの写真は欲しいけど、こいつに協力するとロクなことなさそうだし・・・大体こいつこの写真どうやって手に入れたんだ・・・?)  
「なあ、お前この写真どこから・・・」  
「ん〜?003をいつか映研から引き抜く為に用意してあるカードの一つ・・・かな?」  
その言葉に芹沢がうなだれた。  
「お前・・・諜報するものが間違ってるぞ・・・」  
というかどう見てもストーカーです。本当にありがとうございました。  
 
「こんな犯罪に加担できるかっ!ばれたらやばいだろうがっ!」  
芹沢が大声で怒鳴りつけた。  
「・・・残念ね。それじゃ、実力行使と行きますか」  
言うや否や綿貫が芹沢に飛び掛った。  
「わあああああっ!何する気だお前ーっ!」  
「おとなしくしなさいっ!」  
無理矢理芹沢の衣服を脱がし始める。  
「離せっ!離せ変態っ!私にそのケはないっ!」  
「嘘つくなあああああっ!思いっきり003の写真にハアハアしてたじゃないのっ!」  
「う・・・それは・・・その」  
「隙ありっ!!」  
一瞬たじろいだ芹沢の衣服を完全に剥ぎ取ると、デジカメを取り出し、シャッターを連続で切った。  
ぱしゃっ!ぱしゃぱしゃっ!  
「や、やめろーっ!撮るなぁぁっ!!」  
うずくまり、撮影から逃れようとするが既に遅い。  
「ふふふふふ、この写真を現像されたくなければ、おとなしく私の言うことを聞くことね」  
「くううう・・・ひきょーだぞお前」  
「協力してくれるならこの写真が世に出ることもないし、このアルバムだってあんたのものなんだし、悪い話じゃないと思うんだけどなあ」  
綿貫がにやにやしながら囁く。  
「分かったよ。今回だけだからな」  
「OK、取引成立ね。それじゃ、支度出来次第出動よ」  
剥ぎ取った衣服を芹沢に返し、出動準備を開始する綿貫。  
 
(このやろー・・・このままで済むと思うなよ・・・なんとか奴に一泡吹かせられないかな・・・ん?)  
芹沢は机の上の棒状の物体に眼が行く。  
(さっきあいつがこれ使ってたな・・・よーし)  
綿貫は準備のため、戸棚のほうを向いている。芹沢には背中を向けた形だ。  
それを見てにやりとする芹沢。そして、その机の上のマッサージ器を手に取った。  
「なあ、綿貫」  
「何?」  
「これってマッサージ器だよな?」  
「そうよ。一条さんからもらったんだけど、結構効くのよね」  
芹沢の問いに綿貫は背中を向けたまま答えた。  
すぐ後ろまで芹沢が近寄ってるとも気づかずに。  
「じゃあさ、ここに当てたらどのくらい気持ちいいのかな?」  
「・・・は?」  
すぐ後ろの芹沢の声に驚き、すぐさま振り向く綿貫。  
「まあ、私が試してやるよ。ふふふふ」  
がしっ  
先端の二又に分かれた振動部が綿貫の股間部をパンツごとしっかり捉える。  
「な、何!?何をす・・・ひゃああああっ!」  
ぶうううううううんっ!  
スイッチが入り、振動開始。  
「ひああぁぁぁっ!だっやめーっ!」  
体に電気が走るような感覚に襲われ腰をくねらせ、背中は弓なりにしなる。  
すぐさまマッサージ器を引き離そうとする綿貫だが、二又の振動部はがっちりと食い込んでいるため外すことができない。  
「ほらほら、どうだ〜?気持ちいいか〜?」  
にやにやしながら綿貫の様子を眺める芹沢。  
「んふぅぅぅ・・・やめて、やめてっ!あんっ・・・あっあっあっ!」  
顔を紅潮させマッサージ器のもたらす快感から逃れようと腰を動かし、振動部を引き離そうとする。  
しかし、もがけばもがくほどマッサージ器は秘部に食い込み更に快感を与える。  
「は、は、はぁぁぁっ!もう・・・立ってられな・・・っ!ああああああっ」  
ついに快楽に耐え切れなくなり、腰を抜かし、その場にへたりこむ。  
ういんういんういんっ  
スイッチをつけたり切ったりして緩急つけた責めを行う。  
「はぁっ!?うあああっ!!ああんっ!!!」  
スイッチが入るたびに綿貫の体はしなり、腰をびくつかせて反応する。  
(うわー・・・すごい効果だなこりゃ・・・だんだんノッてきたぞ)  
 
芹沢の責めがエスカレートしてきた。  
むにむにっ・・・もみもみ  
「ひゃぁぁんっ!胸揉んじゃダメっ!うああぅ」  
「お前、おっぱいでかいよな〜指の間からこんなに肉がはみ出るぞ」  
ぎゅっぎゅぅぅ  
力いっぱい胸を握る芹沢。  
「いっ、痛いっ!やめっ・・・ああんっ」  
痛いのと快楽で意識が混濁しはじめる。  
「ひっひあっひいいっ・・・あんあっあんあんっあっあ・・・」  
目がとろんとなり、マッサージ器を引き離そうと抵抗していた手がだらりと下がる。  
「うあ・・・だめぇ・・・はっはっ・・・はああ・・・」  
制服の上からでも乳首が立っているのがはっきりと分かる。  
ぎゅっぎゅっ  
芹沢が服の上から乳首を摘みあげる。  
「ひゃあんっ!ひゃぅぅぅっ!だめぇっ!私それ弱いのっ!」  
「ふーん。お前の弱点はここかぁ〜ほらほら、どうだ〜?」  
「あうっあああっ!あっあくっぅぅ・・・うううう」  
綿貫の目から涙がこぼれ、口からは涎があふれ出る。  
「ここもびしょ濡れだな。そろそろイキたいか?」  
綿貫の顔が真っ赤になる。  
パンツには秘部から染み出した液体でできた染みがじわじわと広がっていっている。  
マッサージ器の食い込んでいる場所は既に液体があふれ、振動部を濡らし光を帯びていた。  
「はっはっはっはっ・・・はあんっ!あああぅぅぅぅぅっ」  
喘ぎ声を混じらせながら荒い呼吸を繰り返す。  
頭が快楽で埋め尽くされ、何も考えられなくなる。  
「い・・・イク・・・ああんっ!もうだめ・・・うああんっ!あんっ!イクぅぅっ!」  
体が小刻みに震え、反応が激しくなる。  
「あああああーっ!あああああああああああっ!イっクぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」  
がくがくっがくっ  
綿貫がぐったりと前に倒れこむ。  
「気持ちよかったみたいだな」  
「はあぁぁ・・・ああああ」  
芹沢の問いにも反応はなく、ただ肩で息をしている綿貫。  
「うひゃぁ・・・こいつすごい威力だな。これがあれば・・・」  
一条のマッサージ器の絶大な効果を目の当たりにして、芹沢がにやける。  
何かよからぬことを考えているようである。  
「まあ、それは後にして、とりあえず意識がお花畑にいってるこいつの帰還を待つか」  
 
―――それから少し経って  
「はあ・・・芹沢ぁぁ」  
綿貫の意識が現実に戻ってきた。  
その目は芹沢をにらみつけている。  
「お、お花畑から戻ってきたようだな」  
「よ・・・よくもやってくれたわねぇぇ」  
「私を脅そうとするからそういう目に会うんだよ」  
「というかなんで逃げなかったのよ?これをネタにでもすればさっきの写真なんてチャラにできるじゃない」  
「ああ、来栖ちゃんのアルバムは欲しいしね。それにいいもの手に入ったしなあ・・・ククク」  
芹沢がマッサージ器を取り出し不気味な笑いを浮かべる。  
(やばい・・・最悪のおもちゃが奴の手に渡っちゃったわ・・・)  
すぐ手の届くところにおいて置いた自分がバカだったと激しく後悔する綿貫であった。  
「ま、そういうわけでさっさと終わらせるぞ」  
「はいはい・・・」  
綿貫はなにもかもがどうでもよくなりかけていた。  
「ところで、何をすればいいんだ?」  
「ん〜?それはね・・・」  
綿貫が今回のターゲットとなる人物を話し始めた。  
「1−D宮田晶。そして、諜報部002でもある。彼女の現在の居場所を突き止めることと、動向調査よ」  
 
 
「1階廊下・・・ターゲット確認できず」  
「D組教室にもいないな」  
二人が宮田を探し始め、かれこれ1時間経過。  
いまだに発見できていない。  
「んー下駄箱に靴はあったから、まだ帰ってはいないと思うけど」  
「これだけ探しても見つからないってのは・・・」  
二人は壁によりかかりため息をつく。  
「と、なると可能性は2つ」  
「晶ちゃんがこっちの動きに気づいて逃げ回ってるか」  
「もしくは晶ちゃんの身に何かが起きた・・・か」  
「でも、後者はともかく前者は・・・」  
「ありえないよな・・・」  
「そうよね。あのドジっ娘がこっちの動きを察知した上で見つからないように逃げるなんてありえないわよね」  
「となると・・・」  
 
『いやーッ!やめてください!』  
『へへへ、おとなしくしな!』  
『ビリビリッ!ビリリーッ!』  
『やめてッ!やめてーッ!』  
 
二人は現在の宮田の状況を想像していた。  
そして、お互い向き合って  
「・・・お前、何想像した?」  
「・・・あんたこそどんな想像したのよ」  
「べ、別にたいしたもんじゃねーよ」  
「ふーん?顔が赤いけど、どーせやらしい想像でしょ?」  
「お前も妙に顔が赤いけどどんな変態な妄想したんだ?ん?」  
「う、うるっさいわね!さっき私を襲った変態に変態なんて言われたくないわよ!」  
「お前だって私をひん剥いて写真撮ったりしてるじゃねーか!」  
傍から見るととんでもない会話である。  
今、誰かが通りかかればこの二人は間違いなく変態のレッテルを貼られるであろう。  
「って、こんな言い争いしてる場合じゃねーなー」  
「そ、そうよね・・・早く晶ちゃんを見つけないと大変なことになるわよ」  
既に二人の頭の中では宮田は貞操の危機を迎えていることになっているようである。  
そこに通りかかった影が一つ。  
「ん?綿貫に芹沢とは珍しい取り合わせだな」  
「玲・・・」  
「ねえ、晶ちゃん見なかった?」  
「いや、見てないが・・・何かあったのか?」  
「もしかしたら、やばいことになってるかもしれないのよ」  
「さっきから探してるんだけど、どこにも見当たらないんだ。学校から帰った様子もないし」  
事情を聞いた玲はメガネをきゅぴーんと光らせた。  
「よし、それなら宮田の居場所を聞いてみようじゃないか」  
玲の言葉に二人は目を点にした。  
「聞くって・・・誰に?」  
「まあ、それは見てからのお楽しみだ。教室に入るぞ」  
そう言うと玲はC組の教室に入っていった。  
「なんなのよ、玲ったら」  
「でもあの自信たっぷりの表情・・・何かいい方法があるのかもな」  
綿貫と芹沢も後を追って教室に入った。  
 
「・・・何これ?」  
C組の教室は、カーテンで光を遮られ、薄暗くされていた。  
机を4つくっつけて、その上にひらがなと英数字、アルファベットの羅列された紙が敷いてある。  
「一条、準備はいいか?」  
「ばっちりです」  
机の前では一条が一人たたずんでいた。  
「一条さん?」  
「今回は生贄となっていただけるそうで」  
「い、生贄!?」  
二人が慌てふためく  
「一条、今回の儀式は生贄は使わないぞ」  
「・・・そうですか」  
玲の言葉に一条が残念そうに呟いた。  
(この二人、普段一体何をやってるのよ・・・)  
綿貫があきれたような表情で玲と一条を見つめていた。  
「とりあえず、座ってくれ」  
玲が紙の敷かれた机に座るように指示する。  
「で、一体何するんだよ」  
芹沢の問いに玲は答えない。  
変わりにポケットから10円玉を取り出し、紙の上に置いた。  
「まさかこれって・・・」  
綿貫の言葉に玲がにやりとする。  
「そ、こっくりさんだよ」  
「・・・」  
完全に呆れた表情の綿貫と芹沢。  
「大丈夫です。玲さんのこっくりさんは必ず取り憑かれますから」  
「それじゃだめじゃん!」  
一条の言葉にすかさず突っ込みを入れる綿貫。  
「いいから、だまされたと思ってやってみろ。すぐに宮田の居場所が分かる。ちなみに取り憑かれることはないから安心しろ」  
(まあ、どうせ何も起きないだろうし、適当にやってさっさと捜索再開するか)  
(もう・・・早く晶ちゃん見つけないといけないってのに・・・)  
それぞれの思いを胸に芹沢と綿貫は10円玉の上に指をのせた。  
 
「じゃあ、やるぞ。『こっくりさんこっくりさん、どうぞおいでください。おいでくださいましたらはいへお進みください』」  
つつつ・・・  
10円玉がはいと書かれた場所へ移動する。  
「お、おおお・・・」  
「動いた・・・」  
二人が驚愕する。  
「ふふふ・・・どうだ?じゃ、質問するぞ『宮田晶の居場所を教えてください』」  
再び10円玉が動き出す。  
 
「う」  
「さ」  
「ぎ」  
「ご」  
「ん」  
 
「桃月学園の古い伝説に存在している怪獣『ウサギゴン』ですね」  
一同の頭に怪獣ウサギゴンのイメージが浮かぶ。  
「わけわからんぞ、一条。というか最後お前、強引に『ん』に持っていっただろ」  
「ばれてしまいましたか」  
「あれだけ力入れてれば誰でもわかるっつの」  
「まったく・・・」  
気を取り直してもう一度  
 
「う」  
「さ」  
「ぎ」  
「ご」  
「や」  
 
「うさぎごや・・・か」  
「本当なんでしょうね?」  
綿貫が怪訝な表情で問う。  
「ま、行ってみれば分かるだろ」  
玲はあっけらかんとした表情でそう答えた。  
「よし、早速!」  
「まて、こっくりさんを戻さないと取り憑かれるぞ」  
駆け出そうとする芹沢を玲が止める。  
「早くしろよ・・・」  
「そう慌てるなっての。『こっくりさん、こっくりさん、どうぞお戻りください』」  
玲が戻るようにこっくりさんにお願いした。  
10円玉が動く。  
 
「いいえ」  
 
「・・・も、もう一回行くぞ」  
もう一度戻そうとする  
 
「いいえ」  
 
「戻って・・・くれないみたいですね」  
「どーすんだよ・・・これ」  
 

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