『ぐるぐる』
来栖柚子は動揺していた。
それは以前にロボ子の頭の被り物を外すと芹沢だったという夢を見た時のレベルである。
いや、実際に直面した状況なので夢以上だった。
それはこんな事から始まった。
C組のメンツに芹沢が乱入する計画、それに面白いからと誘われたのであった。
「ねえ、来栖ちゃん、私と一心同体になってみない?」
最初の誘い文句はそんな感じだった。
「私は芹来男爵!!この学園は私がいただく!!」
半分だけ来栖の恰好をした芹沢が一人登場する
(せっくる男爵だなんて……)
「あのー芹沢さん、それだと私…が何か 意味が…」
柱の影から来栖が申し訳無さそうに声を芹沢にかける。
「あ…うん そういえば そうか…」
芹沢が柱の影まで戻って考えるこむ。ほんの数秒後には何かを思いついたようだ。
(さすが芹沢さんヒラメキが違う)
感心する来栖に告げられた言葉はよくわからないものだった。
「来栖ちゃん、ちょっと馬の部分やって、まずは手をついて四つん這いになって」
芹沢は半分だけの来栖の恰好をやめていき、どこからか取り出した角を頭につけた。
「……はい……なりましたよ」
意味がわからないまでも来栖は四つん這いになる。
目の前で芹沢が半分だけ見えるように作り変えたスパッツを脱ぎ出した。
「せ、芹沢さんッ……ま、まずいですよ……そんな……」
(「一人で二人演じてるのがよくないんだよね体ごと繋がって一心胴体になろう」とか言われたら、私、私どうしたら…)
来栖の乙女脳と乙女回路がぐるぐるしだす。
「ん、どうかしたの」
妄想に入った来栖を不思議がりつつも、芹沢は素早く来栖の首の上にまたがる。
「な゛……ばわわ…あわ」
(ちゃ、着衣のままでー?!)
「それで移動したりするからさー、離れないように私の膝上くらいを持っててよ」
「……は…い…」
大人しく従う来栖。
(これって騎乗位……)
それはちょっと違う。
「んじゃ、これでいい?」
首の横に素肌の太股を感じて来栖は言葉が出ないまま、今の状態に興奮して顔は赤くなっていく。
返事がないので無言のまま来栖の返事をまつ芹沢。
そんな中、姿勢が辛いので来栖は背をぐっと伸ばそうとした。
その時頭が上がり首から後頭部に温かい感触が…
「あ゛」
芹沢にパンツ一枚ごしにくっついてしまった。
(い、今の私は…なんて状態……ああ、このまま首をくっつけたままでいいのでしょうか)
(首に汗かいてきたらバレちゃいます。そしたら私……ああ、でもこのまましてみたいかも…)
来栖は思い込みが激しい。
一度火がついた回路はぐるぐるを増していく。
無意識にでもよりくっつけようとしてしまう。
「移動する練習するかね、はい、1、2 1、2 」
歩き出した芹沢から離れないように来栖は頑張る。
そんな中で少し違和感があった。……期待した柔らかいものではない硬さを間に感じるのだ。
(こ、これは……まさか……そんな……はなわわわーー!!)
(アレですかー?アレですねー?!そんな……芹沢さんが男だったなんて……)
(やっぱり二人は結ばれない運命にあるんですね…芹沢さんが男の人だったなんて、あ、それで男爵なんですね)
そっちの方が結ばれるんじゃないのか?
「来栖ちゃん大丈夫?」
(では、今、私の首にくっついてるのは、芹沢さんのアレなんですねー……とっても硬い……)
そんな事を考えている最中に声をかけられて驚いて言葉にしてしまう
「はい、硬いです!」
「え…まだ慣れてないって事かな…」
「はい…まだ…(芹沢さんのモノに)……慣れれません」
途中は小さくなって芹沢には聞こえなかった。
「時間はあるし、もう少し練習してそれからだなー」
(ええ、慣れなきゃいけないんですかー?慣れたら私はそれからって…なにをされるのでしょう…)
(ダメ、ダメです、芹沢さんッ……この事実でもビックリなのにそんなとこまで…)
あまりの事に来栖から鼻血が垂れ出す。
「……は…い…」
(ああ、同意しちゃった。なっちゃうんですね、なっちゃうんですかー、私たち……でも男の人との行為だなんて…)
(私、ずっと芹沢さんは女の人だと思ってたのに……なのに……)
来栖の脳内ではロボ子の頭をはずしてこちらを見る芹沢が「あれ、言ってなかったけ 私が男だったって」
と言う姿がリピ−トしていた。
(あれ……でも確か……以前くっついた時にたしか胸には柔らかい感触があったはず…)
普通ならここで女の子ないしは胸はニセモノと思い直すはずなのだが来栖は
(……つまり、胸もあって……アレもある…………)
「ふたなりー!」
急に声が股の間から上がったのでビックリする芹沢。
「え、……ふたりだよ…そう協力して行うのだから…く、来栖ちゃんッ」
来栖は自分の想像に興奮して芹沢の股間に当たったまま首をぐりぐり回している。
(協力して……やっぱり……するの決定ですねーー!私ッたら私ッたらーー!)
来栖の動きが敏感なところに当たって歩む練習の動きが止まる。
芹沢も顔が赤くなる。その下では鼻血顔の来栖が壊れた人形のように首を振っていた。
「来栖ちゃん…落ち着いて…首を…ふらないで…」
来栖を制するように来栖の頭に手を置いて動きを抑える芹沢。体は小刻みに震えている。
(こんなに硬いので……ああ……すでに硬いってことは芹沢さんはじめからそのつもりで?)
(お父さんお母さんごめんなさい、柚子はまた一歩階段を上ります)
来栖の首の動きが弱まる。
頭の上では、芹沢の荒くなった息が聞こえてくる。
(こんなに押さえつけて…私を押さえ込もうとするんですね芹沢さん)
(芹沢さんって男らしい激しい人なんですねー)
「来栖…ちゃん…落ち着いて…先に進めない」
無論、歩く練習の意味で先に進めないのだが…
(あれ……なんだか少し湿ってる……芹沢さん溢れて濡れ出すくらい…もう…もう期待に興奮ですか?)
(私このまま…四つん這いの体勢で…しちゃうんですね…一心同体になるって…こういう事だったんだあ)
[この後色々とありますが、もちろん私達の出番は少ないのです。]