<分岐1>
「やあ、綿貫さん居るかな」
朗らかな顔で入ってくる●。その後ろには・・・
「●●くん」「○○くん」
それぞれがクラスメートの名前を呼ぶ。
「部長なら・・・・帰ってこないんですけど」
「そうか、それでその部長さんから何か預かったりしてないかな?」
「どこに行ったか心当たりはないか?」
それぞれが質問を発してくる。真剣な眼差し、それとも緊張しているからなのか。
「あ、あの・・・」
「ほんとにわからないんですー」
「そうか」
言葉とは裏腹に納得していない。
「宮田・・・嘘をついているだろ」
すっと間合いをつめ寄る。
「はわわわわ・・・・」
その慌て様ではバレバレな反応を宮田は見せた。
「これは、よくないな・・・」
唯一の入り口を背にした●が笑みを残したまま鍵をかける。
「はうーー」
泣きべそをかきそうな顔で宮田が困っている。
その時、来栖は危険を感じつつ、さっきのテープの内容を思い出して、それを隠そうと動いた。
動いたのだが、
「あ・・・」
持ち前のドジで、間違えて再生する。
画面には綿貫のさっきの姿が映った。
目で会話する二人
「知ってしまったようだな」
「綿貫も余計な事をしなければ巻き込む必要もなかったのに余計な事を」
「秘密は秘密じゃなきゃいけないんだ・・・」
やれやれという表情に変る二人。
さすがに宮田と来栖はとても自分達が窮地に陥ったことを自覚した。
「それで・・・綿貫さんを・・・・どうしたんですか・・?」
恐々とそれでも声をひねり出す。
「そんな事はしならくてもいい事だ」
「美味しくいただいて、もう虜になってるよ」
「知られたくはなかったんだが・・・止む終えまい」
「そんな・・・・」
「知られた以上は・・な」
「ああ・・・言えない体になってもらうしかないな」
腰が抜けたのか尻をついたまま後ずさり、二人は並ぶように壁際に背中がくっつく。
「はわわわわ・・・」
「あーーうーーー」
追い詰めるように二人が近づいていく。
もう逃げ場はなかった。
「いやーー、こないで下さい」
「見逃してーーーー」
スカートの中が見えるのもお構い無しに手足をばたつかせる二人
「ここじゃマズイな」
「ああ、色々飛び散るしな」
「移動するか」
容易に二人を取り押さえる。
只でさえ男に対して女の子の力。
ましてや怯えて力も出ない状況では容易かった。
猿轡と後ろ手に縛られ自由を奪われる。
「綿貫さんは生きてるから安心していい、どうなったか知りたいでしょ」
「大人しくついて来てくれればいい、そうしたら今まで知らなかった天国を味わえるから」
有無を言わせないものを感じ取り
「ふー・・んー・・」
猿轡のまま各々頷く
「よし、どこでする?」
「綿貫と同じく、あの屋上でどうかな、今日も天気がいいし」
「そろそろ約束の時間だしな」
人に見つからないように気をつけて移動した。
いつも隠れてあっていたので、そういう方法には熟知していた。
<分岐終了>