今夜は、珍しく静かな夜だ。  
いつもこうであればいいのに、と小さく溜息をついて水島は日誌にペンを走らせる。  
『パッパラ隊活動日誌』と銘打たれた分厚いこの日誌は、昼夜を問わない騒動と不真面目な隊員の為に  
大部分が空白のままになっていた。  
ランコに書かせればお絵かき帳になり、とびかげに書かせれば解読不能の文字が躍る始末。  
上部に提出する為の物ではなく、あくまでも隊の簡単な記録簿であったが、生真面目な水島は  
字を書ける体力と時間が残っている場合にのみ、少しずつその空白を埋めていた。  
 
―本日は何事もなく無事に終わり―  
ました。と書き終えようとした時、宿舎がみしりと不気味に揺れた。  
爆発音はない。耳をそばだててみると遠くの方で水の流れる様な音がする。  
こんな場合、次に起こる事と言えば。  
「水島クン、たすけてぇえっ!!」  
部屋に駆け込んできたのは、やっぱりランコだ。  
しかも、夜だというのにビキニ姿で、びしょ濡れ。  
全身からぽたぽたと水滴が落ちている。  
 
「何だ一体!!こんな時間にそんな格好でお前はッ」  
「悪いタコに追われているの!かわいそうな人魚を助けて!」  
「どこが人魚かっ?!」  
水島が喚いた次の瞬間、荒々しくドアが開いて茹で上がったタコの様にスキンヘッドから湯気をたてた  
パッパラ隊の隊長、白鳥沢が飛び込んできた。  
彼もランコと同じく全身がずぶ濡れで、何故か額に大きなタンコブが出来ている。  
ランコは咄嗟に水島の机に潜り込み、隠れてしまった。  
 
「水島アァッ!お前ランコととびかげを見なかったか?!」  
「ハ、あの、自分は」  
真実を告げようか迷ったが、後ろから太ももを抓るランコの仕返しが怖い。  
「見て、おりません。一体何が・・・?」  
「アイツら二人が、俺の部屋を水浸しにしやがったんだ!!  
部屋のドアを開けたら、波と一緒にサーフィンしながら出てきてなぁ!」  
 
「そのタンコブは・・・?」  
「とびかげのサーフボードだッ!人の頭を轢いて行きおって!!」  
「あ、とびかげ。」  
「ぬぅっ!!」  
水島が指差す先、とびかげがサーフボードに乗って廊下を回転しながら通過していく。  
「伝説のビッグウェーブでおさかなになったワタシー♪」  
「貴様ーーー待たんかーーーッ!!」  
とびかげを追いかけ、隊長は走って行ってしまった。  
 
部屋のドアが閉まると、ランコが机の下から這い出てきた。  
「守ってくれてありがとう、水島クン!」  
後ろから水島の首に両腕を回し、かじり付く。  
「うあっ馬鹿やめろ!」  
濡れた冷たい腕と、背中に当たる柔らかい胸の感触。  
一瞬緩みそうになる口元を引き締め、水島はランコを振り払った。  
「全くいつもいつもお前達は」  
「ねぇ、このビキニどう?」  
水島のお説教を完全に無視してランコが言う。  
 
「水島クンが喜ぶと思って選んだの。かわいいでしょ。」  
ランコがくるりと一回転してみせると、水しぶきが飛んだ。  
「回るな、水が飛ぶ!」  
「えー。」  
「えーじゃない!お前もう部屋に帰れ!」  
「部屋に戻ったら悪いタコに捕まっちゃうでしょ。  
 しばらくここにいるからね。」  
一度言い出したらきかないランコ。  
何か文句でもあるの?と胸を張って水島を見上げてくる。  
 
ランコの水着姿は今までに何度も見てはいるが、海やプールでなく室内で、しかも  
自分の部屋の中で見るソレというのは、何だかこう、変な感じがする。  
濡れた金色の髪。  
見上げてくる大きな瞳。  
さっき背中に当たったふくらみは柔らかくて。  
掴んだ手首はとても細くて。  
普段冷静でストイックな性格ではあるが、水島とて男。  
日々押さえ付けている分その反動が大きい事を、彼自身まだ理解していなかった。  
目の前のランコを見ながら、水島は思う。  
 
『体は細いけど、胸は意外とあるんだよな・・・・  
 腰も細くて、思い切り抱き締めたら、折れちまいそうだ。』  
 
 
 って。  
   
 ちょっと待て。  
   
 『思い切り』  
   
 『抱き締めたら』?!  
 
 
 んな、何を、私は一体何を考えているんだッ!!!。  
 落ち着け。こんな不埒な事を考えるなんて修行が足りん!  
 だめだ、そうだ、数を数えて精神統一だ  
 12さん456789じゅうじゅういちじゅうにー!  
 
 
「おもしろいカオー・・・ふ、ふぁ、くしゃん!」  
一人百面相をはじめた水島を見て笑うランコだったが、流石にくしゃみが出た。  
夏とはいえ夜、冷房の効いた部屋で濡れた水着のままでいたのだから仕方がない。  
くしゃみで我に返った水島は、慌ててランコから目をそらした。  
「タオルと服貸してやるから着替えろ。そのままじゃ風邪ひくぞ。」  
「よく見た?これ水島クンの為のビキニだよ。」  
ランコは無邪気に、こんな嬉しい事を言う。  
「もう充分見た!」  
『これ以上見ていたら、こっちがおかしくなっちまうだろうが!!』  
後半のセリフは飲み込んで、クローゼットへどかどかと歩く水島。  
 
タオルとシャツを取り出し、ランコへ向き直ると。  
「!!!」  
水島の目に飛び込んできたのは、柔らかそうなまあるいヒップ。  
ランコが机に屈み込んで日誌を見ている為に、後ろの水島に向ってお尻を突き出す様な  
格好になっているのだ。  
『な、な、な、なんて格好でッ!こんな夜の男の部屋でビキニでお尻が白くてまるくて』  
思考は乱れ、タオルを掴んだ手が震える。  
そんな彼の葛藤などは全く知らず、ランコは楽しそうに日誌を見ている。  
「水島クンは真面目だねぇ〜。ふむふむ、○月○日は・・・」  
ページを捲る手に合わせて、双丘は微かに揺れていた。  
 
 
  触りたい。  
 
 
いびつに曲がった水島の手が、白いヒップに伸びる。  
 
  この手で触って。  
 
  押し倒して。  
 
  思い切り。   
 
  抱き締めて。  
 
 
あとほんの少しというところで、くわっと水島の目が開いた。  
「早く着替えろーーッ!」  
「きゃああ?!」  
がばっと頭からタオルでランコを包み、机から引き剥がす。  
「体拭け!服はベッドの上!私は絶対に見ないからとっとと着替えてじっとしてろ!」  
一気に捲し立て、乱暴に椅子に座る水島。  
ペンを手に取って日誌へ意識を集中させる。  
「見たかったら見てもいいよ?」  
「誰が見るか!さっさと着替えろッ」  
「はーいっくし!」  
ランコはまたくしゃみをして、鼻をぐずぐずいわせながら着替えを始めた。  
 
目の前の日誌は、最後の「ました。」四文字を書き込めば終わる。  
だが、その四文字が書けない。  
背中から感じるランコの気配。  
体全体でランコの動きを追っている自分がいる。  
意識すまいと押さえつけても、衣擦れの音ばかりを拾ってしまう自分の耳が憎い。  
 
「着替え、終わったよ。」  
「ああ。」  
「水島クンのシャツはおっきいね。ワンピースみたいになっちゃった。」  
「ああ。」  
「水島クン。」  
「ああ。」  
「どうしてこっち見ないのよぅ。」  
「ああ。」  
 
心を落ち着かせようと懸命で生返事の水島に、むっとするランコ。  
彼の椅子を掴んで引っ張り、無理矢理に自分のほうへ向けた。  
「水島クンてば!」  
「うわっ!」  
振り向かされて、彼女の姿を見、また心が乱れる。  
水島のシャツは本当にぶかぶかで、改めてランコの小ささを確認させられた。  
裾からちらちらと見える太ももの白さが水島には眩しい。  
ランコは平気なのだ。  
水島がどんな思いで己の衝動を押さえているか、気付かない。  
そのシャツの下は、下着も着けていないというのに。  
 
少し、脅かしてやろうか。  
一方的に翻弄され続けるのはもうたくさんだ。  
どうせいいムードになったって、いつもの様にとびかげあたりに邪魔されるか  
ランコが笑い飛ばして終わるんだろう。  
そう考えた水島は、ゆっくりと椅子から立ち上がった。  
 
「お前、本当に今の状況を分かっているのか?」  
「へ?」  
ずい、と一歩ランコに近づく。  
雰囲気の変わった水島に、焦るランコ。  
「こんな時間に」  
壁の時計を指差す。短い針は11のところにあった。  
「男の部屋にビキニ姿で転がり込んできて」  
 
だんだんと水島の声が低く、凄みのあるものに変わっていく。  
「今はシャツ一枚、下着も無しで」  
「う・・・・」  
ランコは一歩ずつ追い詰められ、後ずさる足がベッドに当たる。  
「きゃあっ!」  
バランスを崩してベッドに座り込んだランコを、水島は思い切り押し倒した。  
目をぱちくりと見開いたランコに覆い被さり、止めの一言を吐く。  
「そこまでしておいて、そんなつもりありませんでした、は無しだぞ。」  
 
悲鳴でもあげるかと思っていたが、ランコは黙ったままだ。  
想像した反応との違いに、水島の鼓動が少し早まる。  
だが、ここで動揺がばれては脅かしにならないと、表情を変えずにランコを見つめる。  
しばらくの沈黙の後、ランコが口を開いた。  
 
「み・・・水島クンは、私でも欲情するの?」  
「はぁ?」  
質問の意味をすぐに理解できず、間抜けな声をあげる水島。  
ランコは口篭もりながら、また水島に問う。  
「だから、私を見て、そのう、ムラムラ、したりするの?」  
「はぁ?」  
何を言ってるんだコイツは。  
ランコを見て、ムラムラするかって。  
こうやって押し倒されていて、それでそんな事を言うのか?!  
だんだんと腹がたってくる。  
 
正直に言えばランコはきっと  
「水島クンのエッチー!」  
とか言って私を張り倒して笑うんだろう。  
きっと今度こそとびかげの邪魔も入るのだろうし、  
冗談で流されてしまうのなら、いっそぶちまけてしまおう。  
すーっと息を吸って、水島は自分の口のストッパーを外した。  
 
「私がどんなに苦労して、お前に襲い掛かるのを我慢していたと思ってるんだ?  
 ビキニ嬉しかったぞ。私の為にって、お前言ったよな?  
 触りたいと、抱き締めたいと思ったぞ。  
 思い切り抱き締めたら折れちまいそうだなって想像したぞ。悪いか?!  
 私だって男だ。好きな女のあんな姿見て、平気でいられるワケないだろ!」  
 
ぶちまけてから、はっとした。  
 
これは、ぶちまけすぎだ。  
 
それに、セリフを遮るだろうと思っていた、とびかげは来ない。  
ランコの笑い声も、しない。  
どうして今日はこんなにも、自分の予想は外れるんだろう。  
脅かしてやろうという最初の目的から、どんどん違う方向へ進んでいく。  
『好きな女の』と、自分で口にしてから気が付いた。  
 
 私は、ランコが、好きなんだ。  
 
心をぶちまけ、自分の気持ちにやっと気が付いて呆然とする。  
ランコも水島の勢いに圧倒されてぽかんと口を開けていたが、  
彼の言葉を理解した途端、みるみるうちに頬から耳までを朱に染めた。  
見開いた瞳がふいに揺れて、涙が溢れてくる。  
ぽろぽろと泣きながら、ランコは笑っていた。  
 
こんな顔のランコは今まで見たことが無かった。  
目が外せない。  
「なん、で、泣くんだ?」  
カラカラになった喉から、必死で言葉をしぼり出す。  
水島の問いにランコは小さく、しかしはっきりとこう答えた。  
 
「うれしい・・・うれしいの。水島クン、だいすき・・・・。」  
 
それは、もう何度も彼女からもらった言葉だった。  
人目をはばからず、ランコはいつだって水島にこう言うのだ。  
「水島クン、大好き!」と。  
初めのうちこそ水島はその言葉に驚き、戸惑っていたものの  
今ではそう言われるのが当たり前のようになってしまっていてた。  
水島はランコが躊躇いも無く簡単に「大好き」と言うのが理解できず  
犬や猫、ぬいぐるみに言うような、「かわいい」というからかい半分なのだと  
自分に言い聞かせていたから。  
 
けれど今、化粧気のないやわらかそうな唇から零れたその言葉はあまりにも甘く、  
水島を押さえていた一本の糸をぷつりと溶かしてしまった。  
 
胸の奥からせり上がる衝動にまかせて、ランコの唇を奪う。  
「んぅ?!」  
驚いたランコが、水島の胸をぽこぽこ叩いた。  
一度唇を離し、片手でランコの両手首を捕まえる水島。  
「みず・・・・んんっ」  
そのままぐいっと手首をランコの頭の上へ持っていき、押さえつけてまた唇を塞いだ。  
最初のキスは触れるだけだったが、二度目は違う。  
舌を歯列から滑り込ませ、ランコの上あごをくすぐってみた。  
びくんとランコが体を弾ませる。  
逃げようとする小さな舌を絡めとリ、吸い付き、押し戻してはまた絡めあわせて。  
一つ一つ、自分の舌が動くとランコの体が震えるのが可愛くて、水島は夢中で彼女の口内を貪った。  
 
『水島クン・・・・!』  
ランコは激しすぎるキスに、どうやって息をすればいいのかも分からない。  
捕まれた手首は全く動かせず、重なった水島の身体が熱い。  
最初の驚きは、水島の舌がうねる毎に不思議な感触に―快感に変わっていく。  
息苦しさとキスの恍惚感にランコが気を失いそうになった頃、ようやく水島は唇を離す。  
混ざり合った唾液が、ランコの細い顎から首筋へと小さく流れていた。  
 
ひゅう、とランコが息を吸込むと柔らかいふくらみが隆起する。  
口に残った唾液をごくりと飲み込んで、水島は蕩けたランコの瞳が光を取り戻すのを待った。  
みっともない程に乱れた呼吸と、どくんどくんと響く自分の心臓の音がやたら耳につく。  
抵抗をとっくに止めていた両手首の拘束を解き、ランコの頬へその手を添えた。  
水島の手のひらに気付いて、ランコは頬を摺り寄せてくる。  
 
「ランコ。」  
「・・・ん・・・?」  
「嫌だって言っても、もう止まらないからな。」  
ランコの頬にあった手は首筋をくすぐって既に胸へと辿り着いていた。  
やわやわと胸を揉む水島の大きな手がくすぐったい。  
「うん。ええと、やさしくして・・・ね?」  
「善処する。」  
 
ついばむようなキスをしながら胸のやわらかさを楽しんでいたが、  
やはり布越しの感触では物足りず、水島はシャツのボタンを外し始めた。  
それに気付いたランコは水島の手を掴んで抗議の声をあげる。  
「水島クンも、脱ぐの!」  
「あ?」  
間抜けな声に、ランコは下から手を伸ばして水島のTシャツを捲り上げた。  
「私はこれ一枚なんだから、もう、水島クンも脱ぐの!」  
「そうか。じゃあ」  
 
起き上がってシャツを脱ぎ捨て、躊躇い無く下着ごとズボンも脱ぐ水島。  
上半身の裸は見慣れていたが、流石に下半身を直視出来ずにランコはそっぽを向いてしまう。  
「何だよ、いつも人を脱がそうとするくせに。」  
ランコに再び覆い被さって、顔を自分に向けさせる。  
「そ、それと今とは違うもの。水島クンのバカぁ。」  
消え入りそうな声で言うランコが可愛くて、額にキスを落としながら囁く。  
「ランコの番だぞ。」  
 
シャツのボタンを全部外し、隠れた肌を露わにさせる。  
大きさがあるのに仰向けになってもあまり形の崩れない胸の、つんと上を向いた小さな頂は淡いピンク色。  
秘所を覆う茂みは、色のせいもあってか触れてみなければ分からない程に薄かった。  
「そんな、見ちゃやだぁ。」  
恥ずかしそうに身体をひねって水島の視線から逃れようとするランコだが、水島はそれを許さない。  
「ランコの全部は、私が見るんだ。」  
そう言って、目と唇でランコの身体を確かめるようになぞっていく。  
額から頬、首筋から胸へ。  
小さな乳首を口に含むと、くふ・・・とランコが鼻を鳴らした。  
   
頼りない小さな乳首は、舌と指先で擦られてだんだんと硬く自己主張を始める。  
「・・・は、ぁあっ・・・」  
自分の手でいくらでも形を変える胸の柔らかさと滑らかな肌は、触っているだけでも気持ちがいい。  
ちゅ、ちゅっ・・・と鎖骨や胸の谷間に所有者の紅い痕を残していく。  
『キスマークって、こうやってつけるんだぁ・・・』  
吸い付かれ、ちりっとした痛みの後に残る水島の唇の痕を見て、ランコは知らずに微笑んでいた。  
 
普段どんなに怒鳴っても、わめいても言う事を聞かない破天荒なランコが、  
自分の指先一つで身をよじり、耳元で囁くだけで甘い溜息を吐く。  
涙目で眉をしかめるその顔、鼻にかかった艶やかな声。  
他の隊員も隊長も、とびかげだってこんなランコは見たことが無いんだろう。  
服や水着に隠された場所も、自分だけが見れるんだ。  
そう思うと、たまらない満足感が背中をむず痒くする。  
 
隠された最後の場所―ランコの秘裂が、今は水島の目の前にあった。  
ランコは、震えながら水島の視線に耐えている。  
指で広げてみると、小さな肉芽とピンク色の綺麗な襞が透明な粘液に濡れて光っていた。  
誘うようにひくつくそこは艶かしく、思うよりも先に身体が動いてしまう。  
舌を伸ばして下から上に舐め上げると、ランコの腰が跳ね上がった。  
「やああん!あっ、あ、ん、ダメぇ・・・!!」  
暴れる腰を捕まえて、顔を押し付けるようにして全体を舐る。  
肉の芽を舌先で突つくと、ランコが声にならない悲鳴を上げて両足を引きつらせた。  
 
「んあぁ、は、あふっ・・・あぁあ!」  
引き離したいのか、そうでないのか、ランコの手が水島の髪をくしゃくしゃとかき回す。  
舌を突き出してちゅぷりと挿してみると、一瞬引き込まれるような感じがして中からとろりと愛液が溢れてきた。  
何度か舌を出し入れして、溢れてくるランコを味わう水島。  
後頭部を痺れさせる蜜を飲み込み、舌から指へと攻めを代えてゆっくりとランコの中へ埋めていく。  
 
指2本がキツいこの入口を、少しでも解してやれれば挿入の痛みは軽くなるのだろうか。  
探るように指を蠢かせ続ける。  
と、丁度中指をちょっと曲げたあたりに、水島は不思議なざらつきを見つけた。  
そこは他の場所より少し盛り上がっていて、きゅっと押してみるとランコが高い声を上げて締め付けてくる。  
『これって・・・・もしかして。』  
宮本がよく読んでいる雑誌の1ページに、こんなモノが書いてあったっけ。  
『ナントカ天井って、ヤツ・・・?』  
その単語を思い出し、痛いほど脹れたペニスにまた血が送られた。  
クリトリスへの攻めも再開し、今度は親指で左右にこね回してやる。  
 
「きゃう!っふ、みずし・・・もうぁ、あ、あ、あ、あ!」  
途切れる声と指への締め付けに、ランコの一度目の絶頂を知る。  
細かく前後に動かしながら中指でそのざらつきを押し、親指でクリトリスをこね潰すと、ランコの身体が弓なりに反り返った。  
「あ、ああ、あーっ!」  
きゅぅぅっ・・・と痙攣する肉壁から指を引き抜いて、震える足の間に身体を滑り込ませる。  
吐き出されてくる蜜で濡らすように、水島はランコの秘裂を何度もペニスで擦りあげた。  
 
「ん・・・あぅ・・・」  
秘裂を水島のペニスに擦られて、絶頂後の気だるい背中に痺れるような快感が走る。  
この熱い塊がこれから自分の中に入ってくる。  
そう思うと、お腹の奥がじんと疼くのが分かった。  
怖い。怖いけれど、うれしい。  
水島が自分を求めて身体を熱くしているのが、何よりも嬉しかった。  
 
「ランコ、力、抜け。」  
低い声で囁き、水島がぐっと身体を進めた。  
先端部分は少し入ったが、すぐそれ以上の浸入を拒む箇所に突き当たる。  
「い・・・・!!」  
ランコが悲痛な声をあげて、身体を強ばらせた。  
身体の表面を傷付けられるのとは違う、初めて感じる肉の痛み。  
でも、「痛い」とは絶対に言わないって決めたから。  
「ふぇ・・う、んぅっ・・・!」  
鼻をすすり上げながら涙を零し、ランコは歯を食いしばって痛みに耐えた。  
 
その痛みに耐える泣き顔までが、水島の欲を刺激する。  
何もかも構わずに、このまま滅茶苦茶にしてしまいたくなる。  
水島を繋ぎ止めているのは、背中に食い込むランコの爪先が示す小さな痛みだった。  
自分を受け入れる為に、ランコはもっともっと辛い痛みに耐えているのだ。  
「ランコ、好きだ・・・・大好きだ。」  
零れる涙を唇で拭い、何度も何度もそう繰り返す。  
口を開くともっと泣いてしまいそうで、ランコは頷きで水島に応える。  
 
ずずっ・・・と鈍い振動の後、水島のペニスが障壁を超えてランコの中へ入っていった。  
「ひぁ、ああ、裂け、ちゃ・・・う・・・!!」  
「うあ・・・・・」  
ランコは痛みを、水島は快感を声にする。  
狭く、きつい締め付けに果てそうになるのを堪え、水島はランコが落ち着くのを待った。  
 
水島を受け入れて、これ以上ないところで繋がりあえた。  
引きつるような痛みはまだあったけれど、ランコにはそれすらも喜びに変わっていく。  
「大丈夫か、ランコ?」  
気遣う水島の辛そうな顔が愛しい。  
「だいじょぶ・・・・もう、ん、動いて、いいよ。」  
許しを得て、水島はゆっくりと律動を開始する。  
その動きはランコの喘ぎが甘く蕩けるようになるのと共に、熱を帯びて激しくなっていった。  
 
「あぅ、あ、みず、ま・・・くっ」  
突き上げられるリズムで、ランコは途切れ途切れに訴える。  
「ぎゅってして、ふ、あああっ  
 折れちゃうくら、い、ぎゅって、あふ、ああっ!!」  
「ランコ・・・・!」  
細い腰に腕を回して強く強く抱き締める。  
熱く絡み付いてくる襞もいいが、ざらついた盛り上がりにペニスのくびれが引っかかるのがたまらない。  
奥と入口、緩急をつけて擦るとランコの背中が仰け反る。  
 
髪の金、瞳の碧、肌の白、散りばめられた紅の痕。  
目でランコを彩る色を追いかけ、舌を絡ませて唾液を味わい、耳をくすぐる鳴き声と甘い匂いに頭が痺れる。  
熱い秘裂へ激しい肉の高ぶりを突き立てながら、水島は五感の全てでランコを感じていた。  
 
 好きだ  
  大切だ  
  愛しい  
  可愛い  
でも  
  壊したい  
  ぼろぼろに  
  滅茶苦茶に  
  壊してしまいたい  
 
相反する言葉が断片的に浮かび、自分にもこんな気持ちがあったのかと心の隅で少し驚く。  
 
締め付けるだけだった内部の襞が、徐々に奥へ奥へと何かを飲み込もうとする動きに変わり始めた。  
もう、これ以上もたない。  
そう悟った水島は、擦り上げる速度を速めて絶頂へとランコを追い上げる。  
「あっ、あ、あ、あああぁーっ!!」  
最奥を強く穿たれたランコが、最後の悲鳴をあげた直後、  
水島を包んでいた肉壁が強烈な収縮をして、まるで絞りあげる様に蠢いた。  
「・・・・っ!・・・」  
その動きに合わせ、水島はランコの中へ我慢し続けた衝動を解放した。  
びゅるっ、びゅくんっ・・・・と脈動は続き、白濁が広がっていくのが分かる。  
このまま身体も心も溶けて混ざり合ってしまいたいと、白く焼け付いた頭で水島は思った。  
 
 
「何だ水島、この暑いのにそんな格好で。」  
背後から聞こえた白鳥沢の声に、ぎくっとする。  
ぎこちなく振り向く水島。  
確かにハイネックの黒い長袖シャツ姿は、この炎天下には相応しくない。  
「いえ・・・ちょっと、あの」  
「顔が赤いな。さては冷房をきつくして寝て、風邪をひいたか?」  
「はぁ、あの、そ、そうなんです・・・。」  
「夏風邪は馬鹿がひくと言うぞ。まぁ、その感じなら訓練は出来るな。」  
 
白鳥沢の言葉に、宮本を筆頭に男子隊員が囃し立てる。  
「馬鹿しかひかない夏の風邪〜!」  
「やーいやーい、バカ水島〜!」  
いつもならば一発ずつ殴って黙らせる水島だが、今日は何故かにやりと笑うだけだった。  
「何だ、気持ち悪りぃ。」  
「風邪菌が脳みそにでもイったんじゃねぇの?」  
様子の違う水島に、男子隊員達はみな首をかしげた。  
 
 
真夏の訓練は、想像以上に苦しいものだ。  
照りつける太陽は熱く、どんどん体力を消耗させていく。  
脱落していく隊員もいる中、滝のように汗を流して長袖シャツの水島が走る。  
 
どんなに苦しくても、そのシャツを脱げる訳が無い。  
首から胸、腕の内側など至る所がランコがつけたキスマークだらけなのだから。  
目が覚めてその状態に唖然とした水島だったが、  
「水島クンはもてるから、この位つけとかないと安心できないもん!」  
と胸を張って言うランコにおしおきとしてもう一戦挑んでしまったので、  
暑さよりも腰の痛みの方が、今の水島にとっては、辛い。  
 
ランコはまだ水島のベッドで眠りこけていて、  
机の上の日誌には、大きなハートマークが書かれていた。  
 
 
 おわり  
 
 
 

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