パラサイト・イヴ
「!」
無惨にひしゃげたドアをくぐり、血痕を辿って道なりに進み、角を曲がると、突如強風がアヤの前
髪をゆすった。
前方には、全米有数の大都市・ロサンゼルスの夜景が広がっている。
(この先はヘリポート…、落ちたら最後…ね。でも…ヤツはこの先に…!)
アヤは歩みを進めた。
外周をぐるっと回らなければ、ヘリポートへ登るリフトには辿りつけないようだった。不親切な造
りだと思ったが、よじ登るわけにも行かない。サブマシンガン・MP5A5のマガジンを確認し、ア
ヤは先へ進んだ。
「ウヒャヒャヒャヒャ…来たな…。」
それを見下ろす、仮面の巨人。その仮面の下では、卑猥な欲望が煮えたぎっていた……。
一歩一歩、慎重に、全面に全神経を集中させながら進むアヤ。細い一本道。ヤツに逃げ場は無い。
追いつめれば絶対有利である。しかし…
「…行き止まり?」
ヘリポートの外周を周り、リフト乗り場に辿りついたのだが、あるべきはずのリフトが無い。
「そんな!?横道なんてあるわけが……」
アヤは困惑する頭を整理しつつ来た道を駆け戻り始めた。巨人はそんなアヤを上から見下ろしなが
らにやり、と無気味に笑い、
アヤめがけて飛び降りた。
「うかつだったなぁ……ウヒャヒャヒャ!」
「上っ!?」
飛び降りつつ、グレネードの銃身をアヤに叩きつける巨人。
「あぐっ…!」
アヤは体をひねってかわすが、完全に不意をつかれ、右腕を折られてしまった。
「甘かったなァ…MISTのハンター」
「くっ……なんて奴」
「ウヒャヒャヒャヒャ…!
NMCとヤりあってるお前らが言っても、負け惜しみにしか聞こえんナ…!」
「……!」
確かにそうだった。相手を人間と思っていたため、NMCの動物的な動きを考えに入れていなかっ
たのだ。明らかに自分の油断が招いた結果だった。
「お前の腕力では、片手でマシンガンは使えまい……。さあ、どうする?」
「く……」
じりじりと間合いを詰める巨人。詰められまいと後退するアヤ。自分が追われる立場になってしまった。
(このまま退がっても、すぐに追いつめられてしまう…それなら…!)
アヤは賭けに出ることを選択した。
「ン、突っ込んでくるのか!?」
アヤは意を決し、一直線に巨人に向かって走り出した。
巨人は背中の刀を抜き、アヤを迎え撃つ。
走りながらアヤは左手でアサルトジャンパーのポケットをまさぐり、小さな箱を取り出した。
「これでも…くらえぇっ!」
その箱からは、まるでライオット弾のような爆音と、目の眩む閃光が発生した。『フレア』だ。
「ンオッ!?」
ひるんだ!アヤはそう確信し、相手の懐に飛びこみ、左手一本でマシンガンを構える。
これなら照準を気にする必要はない。
(もらった…っ!)
「甘いナ!」
(え…?)
巨人はひるんでなどいなかった。アヤの動きを完全に先読みしていた。
(しまっ…)
ドゴッ!
鈍重な痛みと音を腹部に感じ、アヤの視界は暗転した―――――。
ピチャ…ピチャ…
「う…ん…?」
アヤはナメクジが這いまわるようなおぞましい感覚を顔に感じ、目を覚ました。
「!!」
瞬間、全体が火傷痕のように醜く歪んだ顔が視界を覆った。
褐色の唇かどす黒い舌が出、アヤの顔を舐め回していたのだ。
「ひッ……!」
思わず小さく悲鳴を上げるアヤ。
「起きたか。思ったより早かったナ」
たどたどしく、聞きとりにくい声。
仮面は外しているが、間違いなくヤツだった。
「な、何をしてるのっ!」
同様を悟られぬよう、強気な姿勢を崩さないアヤ。
「ヒャヒャヒャ…決まっているだろう、
『おたのしみ』さ!」
巨人はそこまで話すと、再び舌を這わせ始めた。
「いいかげんに…!」
アヤは体を起こし、ジャンパーのアタッチメントにあるハンドガンを抜こうとした。
しかし、体が動かない!
意思に従わず、ただ細かく震える関節。
困惑するアヤに、巨人は言い放った。
「安心しろ。じきに動くようになるからな。
それより今はオレに体を預けろ。至極の悦びを教えてヤる!」
(そ…そんな…! こんなヤツに…!)
『絶望』の二文字がアヤを打ちのめした。
「さァ…続きだ。」
巨人はアヤの上体を起こすと、上着をするすると脱がせた。
ジャンパーの下は薄いTシャツが一枚。夏の終わりとはいえ、強風吹き荒れるビルの屋上では少々
頼りない。
「寒いか…。我慢しろ。
すぐに体が火照ってどうしようもなくなるからな…。」
巨人は、まるでゴリラのように巨大な右掌を、Tシャツの上から、アヤの左胸に押しつけた。
乱暴に揉み回し、その度に大きく変形するアヤの胸。
「痛っ、くぁ! あぐっ…!」
ただ痛いだけ。その他の感覚は湧かない。
「なかなか張リのある、いい胸をしているナ! 大きさも充分ある!」
卑猥なことばをあびせながら、服越しの粗野な攻撃は続く。
「うっ!うう…っ…うぁ…あぎぃ…!」
痛みの喘ぎ。
「あぐ、うぁあ……んぐっ!?」
痛みに耐え、中途半端に開いたアヤの唇を割って、巨人の舌が侵入し、口内を犯す。
舌を絡ませ、唾液を交換させられるアヤ。
「んんっ! ん… んむぅ〜!」
必死で拒絶するが、巨人の舌を撥ね退けるような力は今のアヤにはない。
「お、なかなかいい声を出すようになってきたじゃないか!
もともと好きモノなんだろう?」
巨人の荒い鼻息
口を塞がれ鼻から出る声は、まるで感じて喘いでいるように聞こえた。
「ち…違ッ……、 んッ!」
再び塞がれる唇。
巨人はそれと同時に、アヤのシャツの下に手を滑りこませた。
「ん――っ!!」
人間のそれとは思えない、冷たく無機質な手がアヤ体を逆撫でしていき、シャツが捲り上げられていく。
胸を視姦され、固まるアヤ。
「3年前の英雄も、こうなっちゃあただの小娘だな。」
女としての恐怖に晒されるアヤを嘲笑いながら、巨人はアヤのジーパンにに手をかけた。
「いやッ、やめてッ!」
必死で懇願するアヤ。聞き入れられるはずはなかった。
バリ…バリバリバリバリ…!
「いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
倒れているため、脱げない部分を強引に引っ張った結果、Gパンとショーツ同時に、無惨に引き裂か
れた。
「あ…ぁ…」
最も恥ずかしい部分を曝け出す羞恥。もはや抵抗する気力は皆無だった。
「観念したようだナ…!では、女の悦びを教えてやる!」
巨人はアヤのクリトリスの包皮を剥き、舌で弾く。
「…ッ!!」
電流が走ったような衝撃がアヤを貫く。
その外見からは想像もつかないような、快感を引き出す巧妙な愛撫。
「あうッ!もう…それ以、上は……ッ!」
「素直になれヨ……!」
巨人は剥き出しになったクリトリスを指で押し潰した!
すでに舌は大陰唇をこじ開け、アヤの膣内に進入している。
N.Y.P.Dに入って以来仕事一筋で、7年間セックスから遠ざかっていたし、性欲も湧かなか
った。マンハッタン封鎖事件のあとは、私的な他人との関わりすらほとんどなかった。
封印された感覚が、無理矢理引き起こされていく。
「あっ…あぁ…ん…はぁ…っ!」
いつしかアヤの心の中に拒絶ではなく、感じたい、犯されたい、貫かれたいという背徳の感情が芽
生え始めた。喘ぐ声の質も、痛みから快感へと変わっていく。
「ヒャヒャヒャ…イイ感じになってきたじゃないか…。」
アヤの秘所は、巨人の唾液だけではなく、自身の愛液に溢れかえっていた。
「はぁ… はぁ… はぁ… はぁ…」
感度の高揚は、息遣いの荒さに如実に現れている。
「さて…本番だ!」
「えッ…!」
快楽の波に飲まれていて気がつかなかったが、巨人のアーマーの間から男根はすでに顔を出してい
た。その巨躯に見合って、平均よりもかなり大きい。
「コイツをぶちこんで、今まで虜にならなかったヤツはいないぞ…!」
「あ… あ…。」
拒絶 恐怖 そして期待。
全てが入り混じり、アヤの顔は引きつる。そして。
ズッ……! ズブッ…ズチャ…
「ああぁぁぁぁぁぁぁッ!」
卑猥な淫音をあげて、アヤの中に巨人の男根が入っていった。
「おいおい…随分とまたキツイナ…。」
「ああ…ぁ…ぅ…」
ズッ! ズチャ! ズチュッ!
巨人は、激しく腰を揺さぶった。
技巧な愛撫とは正反対の、体力と欲情をストレートにぶつけるそれは、まさに“まぐわい”と称す
るに相応しい。
「ああッ! あふぅん! んあぁッ! ああああッ!」
その動きに合わせ、喘ぐアヤ。彼女の声と表情にもう拒絶はない。
挿入の激しさのあまりコンクリートに背中が擦れ、血が滲み出ているが、全く気付いていない。
FBI・MISTの敏腕ハンターが、快楽に身を任せるだけの牝に成り下がっている姿。
いや、元々この姿が本当の彼女だったのかもしれない。
「ああッ!イイっ! おねがいっ! もっと… 激しく…!」
もはや自分で快楽を求める。
それに応える巨人。
「ひあっ! あくっ! んはぁぁ! いくッ! イっちゃうっ!」
「くっ…まだダ!俺がイくまでイくんじゃない!」
「うっふうぅっっっ! あぁぁぁぁっ! もうっっっっっっ!」
「くっ…締め付けが…」
「あうぅっ! イクっ! イク… ああぁぁっ! ア…
あはああぁぁぁぁっ……!」
「く…まだだと言っただろうガ…!」
『ピピピピピ…』
その時、巨人の無線機から呼び出し音が鳴った。
「なんダ!ナギダ! 今取りこみ中…」
「なんだじゃない!No.9、何をしている!
早くタワーから脱出しろ!2分前だ!」
「く…・・・もうそんな時間か、仕方がない…・・・」
No.9と呼ばれた巨人は、アヤの中から絶頂寸前にまで高まった肉棒を引き抜いた。
あと1分でも時間があったなら、イった直後のアヤでも容赦なくついていただろう。
「ちィっ…!」
No.9は舌打ちしつつ、隣のビルに飛び移った。
その後駆けつけたルパートによってアヤは発見・保護された。
二人はチョッパーにより救出され、MISTセンターに生還した……
本編に糸売?