あの後急いで駆けつけたアヤだったが、  
目の前に横たわる現実を、いまだ把握できずにいた。  
そこではよく見慣れた女性二人が裸体でベッドに横たわり、  
一人は妖艶な笑みを浮かべ、もう一人は縛られたまま  
恍惚とした表情でこちらを見ているという  
まったく見慣れぬ光景が広がっていた。  
「あ、アヤぁ♪ おかえりなさぁい」  
「ちょ、イヴ! なにしてるのっ!」  
「ジョディがねぇ、いっぱいご褒美くれるのぉ……。  
          ねぇ…?アヤのも欲しいよぉ……。」  
イヴはとうに恥じらいを捨て去り、  
本性とも言える淫らな体質を露わにして  
ねだるように腰をくねらせながら言った。  
「もう……。さっきからこうやっておねだりするから  
       本当に大変だったんですよ? せんぱい」  
そう言うと彼女は見覚えのあるボトルを手に取り、  
中に詰まった液体をぬるぬるとイヴに塗りたくっていった。  
それは不認可の薬品を調合して、  
特別に催淫効果を高めたローションだった。  
裏も表もマーケットに精通するジョディが  
ツテを使って秘密裏に入手したものだ。  
前にジョディと二人で使って以来、  
その高い効果にやめられなくなってしまった程だ。  
アヤの体はもう、法を犯してまで快楽を求めるようになっている。  
 
すでにイヴはうなじから乳房、腹部を経由して股間まで  
全身を隅々と塗りこまれて、その悪魔的な効果に  
焦点すら合わせられぬ有様だった。  
「……あ…あふぅッ…! ……なにこれぇ………  
       体中がうずいてくるよぉっ…………!」  
「フフフ……。イヴちゃんをこんな体にしちゃったのは  
  せんぱいのせいでもあるんですから、ちゃんと責任取ってくださいよ?」  
そう言ってジョディは黒光りするペニスバンドを  
取り出し、手馴れた手つきで装着していった。  
それはショーツの中で曲がるように双頭になっており、  
行為の激しさが増すほど使用者にも快楽が  
はねかえってくるという珍しい代物だ。  
「……んっ!」  
バンドを深くはめるとジョディから艶っぽい吐息がもれる。  
「あっ、すごぉい!イヴのと同じのが付いてるよぉ♪」  
ジョディがその腰の物をぴたぴたと頬に打ち付けてやると  
イヴが嬉しそうな声をあげて満面の笑みを浮かべた。  
快楽に貪欲な二人の行為は今まで様々な道具も使ってきたが、  
あれを見るのはアヤも初めてだった。  
自然とそれに注意を注いでしまう。  
「あ、これですかぁ?……もう、高価かったんですからね?」  
と、ジョディは悪びれもせずにっこりと笑った。  
そんな彼女達の様子に、今まで燻っていた邪気も  
みるみるうちに削がれてしまった。  
ずっと緊張していたせいか、いちど安堵すると心地よい安心が  
自分の中に広がってゆくのを止めることは出来なかった。  
そして次に心を支配してゆくのは、  
胸を焦がす熱い情欲……。  
アヤは二人に微笑みかえすと、  
焦る気持ちを抑えてベッドにむかった。  
 
アヤはじれったく服を脱ぎ去ると、  
ジョディの元に駆け寄ってキスをねだる。  
イヴとの行為ではまだ期待できない、  
自分の身体を隅々まで知ってくれてる者にこそ成せる究極の愛撫だった。  
時間をかけてたっぷり唾液を交換し合い、  
アヤの整った歯列をいとおしそうに舐め上げてゆく。  
たまに呼吸するたび、クチュッ、と淫らな音が、  
熱い吐息と共にアヤの可愛らしい唇から漏れた。  
百年の恋人達のような甘く濃密なキスに、  
イヴの羨望の視線が突き刺さった。  
(……ごめんねイヴちゃん……私こそもうせんぱい無しじゃ生きられないの)  
愛する人とそっくりな少女に負い目を感じながらも、  
ジョディは更に愛をねだった。  
「…ねぇ、せんぱい? ……いつもイヴちゃんにしてるみたいに、して……」  
そう言って膝をついて自らの腰にあるものを  
恋人の顔に突き出した。  
アヤは少し戸惑いながらも、可愛らしく正座をして  
偽物のペニスに舌をのばした。  
 
―――ちゅぷっ……  
最初は焦らすように優しく亀頭を包み込む。  
そして少しづつ吸い上げながらゆっくりと咽喉奥へ導いていった。  
うっとりと目を閉じたまま、その感触を味わうかのように  
ねっとりと舌を這わせてゆく。  
やがてアヤは右手を添えて、首を振りながら段々と  
ストロークを早めていった。  
 
  じゅぽッ!  じゅぼっ! ぐちゅッ!  
 
たっぷりと愛のこもったフェラチオに、  
ジョディは本当にペニスを吸い上げられているような感覚をおぼえた。  
「―――ンンッ! あぁ……せんぱい…イイッ!!」  
アヤの精一杯の奉仕に堪らず声を出してしまう。  
すこし意外に思ったが、上目遣いに見上げたジョディの顔は  
本物の快楽に身悶えていた。  
その反応に嬉しくなったアヤは、  
一度ペニスを離すと、口に溜まった唾液を乳房に塗りつけ、  
包み込むように剛直を挟んでいった。  
 
「……!? あぁ……せんぱい嬉しいっ! ……あぁんッ!!」  
柔らかく包んでしごくように上下させてゆくと、  
堪らずジョディも腰の動きを合わせてくる。  
サイズの大きいディルドーはアヤの胸に収まりきらず、  
顎の下まで届いていた。  
アヤは舌を伸ばして、その尿道にチロチロと責めを加えた。  
「あぁッ!! せんぱいっ……も、もうわたし………  
         そんなにしたらっ……ああぁぁぁ―――ッ!!!」  
ついにジョディは既視感だけで絶頂に達してしまった。  
股間からは激しく性潮が飛び散り、見る間にシーツを濡らしてゆく。  
膣内の収縮を伝えてビクビクと震えるディルドーを見ると、  
ジョディは射精感すら覚えた気がした。  
快楽と幸福感に包まれて、ジョディはアヤを胸に抱き寄せた。  
アヤも嬉しくて何度も乳房にキスを続ける。  
「……うぅっ……あぁ………」  
だが愛し合うのに没頭しすぎて、二人はもう一人の事を忘れていた。  
慌てて見やるとイヴは力なく笑っていた。  
半開きの口からは涎が流れ出し、  
愛液とローションで溢れた下半身は不気味な程に痙攣している。  
「えへへ……イヴ、アヤの中に入るぅ………」  
あれだけ焦らされ上に薬の効果が強すぎたのだ。  
気が狂ってしまうのも無理はなかった。  
イヴは既に現実のはざまで、必死に性を貪っているようだった。  
 
彼女を救う方法は一つ、欲望を全て解き放ってやる事だった。  
ジョディはアヤの意を確認するとその身を抱き起こした。  
潤いに不安を感じたアヤは少し迷ったがボトルを手に取り、  
ローションを自らの秘部に塗りつける。  
途端に身体の奥から火照りが広がった。  
ジョディは後ろから膝を抱えて股を開くようにアヤを持ち上げ、  
イヴの腰の上にあてがってやる。  
アヤは激しくのたうちまわるイヴのペニスに手を添え、  
ゆっくりと身を沈めていった。  
「あはは♪ アヤのおまんこだぁ!」  
限界に身悶え、いつもより一回り大きく肥大した  
イヴのペニスがアヤの膣内の押し広げてゆく。  
「――んっ! ……ふぅッ!!」  
あまりの大きさにアヤはきつく秘肉を締め上げてしまう。  
「アンッ、……大好きなアヤのおまんこ。すごく気持ちいいよぉっ!  
         チンポがすごくいいのぉ………ああぁぁぁッン―――ッ!!!  
アヤが少し腰を動かした瞬間、イヴはいきなり爆発的な射精をはじめた。  
―――ドクッ! ドクッ! ズビュッ!!  
「あッ………だっ、ダメッ………! いきなり中でッ………」  
だがイヴはなおも射精を続けながら、下から激しく腰を打ちつける。  
「あはは♪ アヤぁ……ザーメン止まんないよぉッ!」  
驚くほど長い射精に、アヤは子宮内に  
次々とイヴの白濁液が溜まっていくのを感じた。  
しかし、快楽の塊となったアヤの身体はそれにすら悦びを感じ始めていた。  
「あぁぁッン! イヴっ! もッ……もっと出してぇッ!   
         もっと中出ししてぇ―――ッ!!!」  
妊娠の危険を孕んだ禁断の快楽に、  
アヤは窒息する程の絶頂を感じた。  
 
―――ハァッ ハァッ ハァッ  
ゆうに一分間は射精が続いただろうか、  
アヤは息も絶え絶えに身体を震わせていた。  
すでに汗にまみれたアヤの下腹部は  
子宮内に溜まったイヴの精液でぽっこりと膨らんでいる。  
しかし恐ろしいことに、膣内に収まったイヴのペニスは、  
いまだ剛直を誇ったままだった。  
「ねぇ…アヤぁ……。もっとしてよぉ………」  
「そおですよぉ。ちゃんとわたしにもしてくださいよぉ……」  
そう言ってジョディが後ろから両手で乳房に手を回し、  
コリコリとこね回した。  
「アッ……んっ! ……ダメぇ……これ以上したら…壊れちゃう………」  
「フフフ、まだおクスリが足りないみたいですねぇ……」  
ジョディはディルドーにたっぷりとローションを塗りたくると  
苦しそうにヒクヒクとわななく菊門にあてがった。  
「ジョディがたっぷり注射してあげますねぇ♪」  
「い、いやぁっ! そっちはまだ初めてだからッ………ンン―――ッ!!!  
必死の懇願もむなしく、ズブリとジョディが腸内に侵入してくる。  
「……やっ……あはぁッ………太…いッ!」  
アヤは特大のサイズをぶち込まれたにも関わらず、  
苦痛が広がるよりも早く秘薬によって腸内を甘く溶かされていった。  
腸と膣を隔てて、イヴとジョディがこすれあう。  
「あんッ♪ すごい…、ジョディが侵入ってくるのわかるよぉッ!」  
イヴは嬉しそうに声を上げ、再び抽出を開始した。  
 
ジョディとイヴはアヤの体内で出会うたび、幾度となく果てていった。  
快楽の名のもとに求め合う三人は、次第に連携を深め、  
より絶頂へ登り詰めようと激しく交尾を続けた。  
―――ドクッ! びゅぷッ!  
「あぁンッ! イヴのチンポっ……またイッちゃったよぉッ!!」  
「すご…いッ……! …あぅッ……もう入らなッ…ンンッ!!」  
「せんぱい……ふぁッ…わたしも…もうッ………」  
あまりの激しさに三人とも意識が薄らいでゆく。  
いまだ互いを現実に繋ぎ止めている糸は、快楽の二文字だった。  
肉体を超えた精神は、夢見心地で溶け合いながら  
細胞の隅まで快楽を刻み込んで弾け飛んだ!  
 
 
 
              ―――――――――ッッッ!!!  
 
 
 
  ……コツ……コツ……コツ……コツ……  
 
規則正しく刻まれる時の音が、  
少しづつジョディの耳に馴染んでくる。  
時計を見るとだいぶ短針が進んでいた。  
あの後同時に絶頂した三人はそのまま意識を失ったようだ。  
ふと横をみると姉妹はまだ夢の中にいるように深い吐息をついている。  
互いに寄り添って寝息を立てているのを見ると、  
微笑ましいのと同時にチクリとした感情が胸に広がった。  
「……せんぱい………。」  
もしかして自分はいままで快楽で彼女を縛っていたのではないか。  
無意識にもそれを自覚していたから、イヴを嫉妬したのでは……。  
私は、ただ愛されたかった。ただ、愛したかった。  
あふれだす感情に頬を冷たい涙が伝う。  
様々な想いがジョディの中に駆け巡った。  
傷ついた事、誰かを愛した事、裏切られた事、  
誰かに愛された事、誰も愛せなくなった事、  
アヤに…出会った時の事………。  
 
『あなたは笑顔が一番似合うんだから……』  
 
ふいに心の奥から温かさが広がっていった。  
今度は熱い涙が止まらなかった。  
―――私は、この人を愛している!  
今まで届かなかった想いでも、たとえこれから始まるのだとしても。  
今度こそ精一杯、人を愛そうと誓った。  
ジョディはイヴに寄り添うと、  
この小さな強敵にささやいた。  
「わたし……、ぜったい負けませんから」  
そして涙を拭って、とびっきりの笑顔で微笑むのだった。  
まだ暑さを残した夏の終わり、乙女の恋は走りだしてゆく……。  
                            ――――終  
 
 
 

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