「さぁ、キャットハンズ対カイザースの一戦、  
スコアは5回表、6−4でキャットハンズ2点リードの状況です」  
「はぁ…はぁ…」  
すでにマウンド上のみずきには疲れが見えていた。  
「キャットハンズ先発のルーキー、みずき選手ですが、  
すでにこの回、ホームラン2本を浴び4点を失っています。  
なおも1アウト満塁で迎えるバッターは4番、ドリトン選手!」  
みずきは、ゆっくりと深呼吸をして、気持ちを落ち着かせようとする。  
(大丈夫よ…ゾーンを一杯に使って惑わせれば…)  
初球を投げた。  
内角いっぱいのストレート。  
ボールは、音を立ててキャッチャーミットの中に吸い込まれた。  
「ストライィク!」  
ドリトンはバットを振っていなかった。  
 
「…この程度デスカ」  
「!」  
「所詮女ごときに野球なんて無理なんデスヨ」  
ドリトンはみずきに向かって英語で言い放った。  
タチバナ学園は進学校だ。みずきも英語は大体は理解できる。  
「…許さない」  
みずきも英語でドリトンに言い返す。  
しかし…  
アメリカから来た生粋のパワーヒッター、ドリトン。  
その巨体から発せられる威圧感は、必要以上にみずきの体力を奪い、  
プレッシャーを与えていた。  
「振れもしなかったくせに…有利なのはこっちよ…!」  
キャッチャーのサインに首を振る。ストレート勝負だ。  
外角スレスレに定めてボールを投げ込む。  
「フ…」  
ドリトンの顔が少しにやける。そして…  
カッキーン!!  
「これもいったぁ〜!」  
ボールはその勢いを保ったまま、またたびスタジアムの場外に消えていった。  
「ドリトン〜!第35号、逆転満塁ホームラン!!」  
ダイアモンドを一周して、ホームを踏むドリトン。  
マウンドに振り返り、ガッツポーズを見せ付ける。  
 
「そんな…」  
みずきは呆然とマウンドに崩れ落ちた。  
目の前には、キャッチャーが、マスクを外してこっちを睨んでいた。  
サインを無視したあげく、それが逆転弾になってしまったのだ。  
監督が出てきて、ピッチャー交代を告げる。  
「…わかりました」  
みずきはとぼとぼとベンチに戻る。  
ベンチでも、誰も慰めの言葉を掛けようとはしない。  
むしろ、首位カイザースに勝っていた試合を壊されたという非難の空気が漂っている。  
いつもはかばってくれるあおいも、今日は目を合わせようとはしない。  
空気に耐え切れなくなったみずきは、逃げるようにロッカールームへと下がっていった。  
「…いい気味でやんす」  
「矢、矢部君…」  
高野が矢部の発言を咎める。  
「これぐらいでいいんでやんす。プロはそんなに甘くないでやんすよ」  
「そうだそうだ。少しは思い知れってんだ」  
グラウンドでは、みずきに代わったピッチャーが好投し、カイザースに追加点を許さなかった。  
しかし、こちらも打線がつながらず、結局あのホームランが決勝点となり、  
キャットハンズはついに最下位転落となってしまったのである。  
 
 
「何で…何でよ!」  
独りのロッカールームにみずきの悔しそうな声が響く。  
シャワーを浴びてほどいた青い髪が揺れた。  
こんなハズじゃなかった。  
よりにもよってあんな安っぽい挑発に乗って打ち込まれてしまった。  
涙が出そうになる。  
「ここで試合終了〜!6−8、キャットハンズ4連敗で最下位転落!  
痛い敗戦、結局逆転されてから流れを引き戻せませんでした!」  
試合が終わった。  
今はチームメイトと顔を合わせたくない。  
みずきはまた逃げるように球場を去った。  
 
次の日…  
先日の試合で2軍行きを命じられたみずきは、  
2軍の練習場、にく球場で調整をしていた。  
シュッ…!  
誰かに声を掛けるのがためらわれたので、  
一人でネットに向かって投げ込みをしていた。  
調子はそんなに悪くないと思う。  
と、そこに…宮崎&矢部のコンビが通りがかった。  
そういえば彼らも一緒に2軍行きになったはずだ。  
「納得いかないでやんす!」  
矢部の怒鳴り声が聞こえる。  
「おいらは昨日、ホームラン2本も打ったでやんすよ?  
お立ち台確定だったでやんす!」  
「…」  
「なのにあいつに全部ブチ壊されたでやんす!しかもとばっちり喰って2軍行き…  
もうやってられないでやんすっ!」  
「おいおい、矢部君…聞こえるよ」  
宮崎がみずきの姿を認めて矢部に言う。  
「フン、構いやしないでやんす」  
「そりゃ、昨日のは頭にきたけどさ…」  
「!」  
 
(何よっ…みんなして…)  
カッとなって投げたボールは、ネットをそれて、歩いている矢部たちへと飛んでいく。  
「あっ…!」  
「ん、何でやんすか?」  
「矢部君、危ない!」  
「うわぁぁっ!」  
ボールが、矢部の足にかすった。  
「くっ…誰でやんす!」  
矢部が飛んできた方向を睨みつける。  
「みずき!?何てことしてくれるでやんすか!」  
睨みながらこっちに向かってくる。  
「…すいません」  
うつむいたまま、か細い声で謝る。  
「聞こえないでやんす!大体何でやんすかその態度は!」  
「…」  
「大方、さっきの話聞いててはらいせにぶつけたんでやんす。  
許せないでやんす」  
「…わざとじゃありません」  
「誰が信じるかでやんす!この事は監督に報告させてもらうでやんす!」  
(…っ!)  
 
みずきの中で何かが弾けた。  
ドンッ!  
矢部の身体を突き飛ばす。  
「な…!」  
「うるさいわね!わざとじゃないって言ってるでしょう!?  
ちゃんと謝ったんだからいいじゃないっ!」  
そう言って走り去ろうとする。  
「ちょっと待つんだ!」  
宮崎がみずきの腕をつかむ。  
「いまの態度はひど過ぎるぞ!人をなめるのもいい加減にしろ!」  
「…」  
「さぁ、矢部君に謝るんだ!」  
「…すいませんでした」  
「すいませんですむ問題じゃ…うっ!」  
「矢部君!?よし、医務室に運ぼう。みずきちゃん、手伝って」  
「あ…はい」  
二人で支えながら矢部を医務室へと運ぶ。  
 
「加藤先生〜!いませんかぁ〜!」  
留守のようだ。横の張り紙を見ると、  
「外出中。5時頃には戻る予定です」  
と書いてある。  
「今出たばっかりか…仕方ない、ベッドを使わせてもらおう」  
矢部をベッドに寝せる。  
「さて…湿布薬でもないかな…」  
何気に医務室の中を見回してみるが、それらしきものはなにもない。  
戸棚を開けて調べようとすると、アナウンスが聞こえた。  
『宮崎選手、宮崎選手、至急監督室まで来てください、繰り返します…』  
「あっと…呼び出しか。俺は行かなきゃいけないから…」  
宮崎はみずきを見て言う。  
「みずきちゃん、ちょっと矢部君を頼むね。多分すぐ戻るから」  
「えっ!でも私、練習が…」  
「責任は取らなきゃ。元はと言えば君のせいじゃないのか?」  
「…わかりました」  
 
宮崎が出て行った後の医務室は静寂そのものだった。  
矢部はこっちを見ようともしないし、みずきもそんな矢部の様子を  
ちらちらと見つめるだけで何も言わない。  
 
…その静寂を破るかのように矢部が口を開いた。  
「何でプロになったんでやんす?」  
みずきが少しムッとした顔で答える。  
「女のくせにってことですか?」  
「そうでやんす。ハッキリ言って迷惑でやんす。  
たいした能力も無いくせに…『プロごっこ』はやめてほしいでやんす」  
「何ですって…!」  
みずきが椅子を蹴って立ち上がる。  
「自分だって、1軍に定着できずに行ったり来たりしてるくせに!  
ロクに活躍も出来ないで偉そうな事言わないでよ!」  
「なっ!」  
「…私、もう行きます。二度と話しかけないでください」  
そういい捨てて、みずきは医務室を去ろうとする。  
「待つでやんす!」  
矢部がみずきの肩をつかみ、ベッドに引き倒す。  
「きゃっ…!何すんのよっ!」  
「もう許さないでやんす!こうなったらプロの厳しさを身を持って味あわせてやるでやんすっ!」  
 
「放して!」  
「入団の時から気に入らなかったでやんす!どうせ、監督に体でも売って  
入れてもらったに決まってるでやんす!」  
「放してよ!人呼ぶわよ!」  
「無駄でやんす!ここはカウンセリング用に完全防音になってるでやんすよ?」  
「うっ…」  
「どんな風に監督に媚売ったか、おいらが確かめてやるでやんす!」  
そう言って矢部はみずきのユニホームをつかみ、左右に引き裂く。  
「いやぁぁぁっ!」  
ユニホームのボタンが弾け飛んだ。  
「先輩っ…こんな事して…どうなるかわかってるんですか?」  
「…」  
無言のままブラジャーも剥ぎ取り、みずきの小ぶりな胸が露わになる。  
「嫌ぁ!」  
「これが…これが18歳の生乳でやんすか…しかもおいら好みの貧乳でやんす…」  
いきり立った矢部がその小さな胸を鷲掴みに揉んだ。  
「ひ…いたぁっ!」  
「こうやって監督にも揉ませてたんでやんしょ?こんなことしたり…!」  
そう言ってみずきの乳首を吸い上げる。  
「ひぁぁぁっ!」  
自分は今、犯されている。しかも球場の医務室で。  
こういう行為は初めてではない。でも、その時は当然、お互いの同意があってのことだ。  
こんな一方的で、乱暴なものではなかった。  
「そんな事…ないですっ…っああっ!」  
「乳首が立ってきたでやんす。感じている証拠でやんすね」  
「ちが…うっ…感じてなんかぁ…」  
 
確かに最近は練習がきつくて一人遊びもご無沙汰だったが、  
こんな形で感じているなんて認めたくなかった。  
「そろそろ下の方にいくでやんす」  
矢部は、みずきのベルトを外すと、ユニホームと下着をするすると脱がし、  
みずきを全裸に剥いた。  
「はぁ…はぁ…」  
「ん?あんまり生えてないでやんす。剃ったでやんすか?」  
髪と同じ青い陰毛を弄びながら矢部は尋ねる。  
「そんなこと…してない…っ」  
「じゃあもともと生えてないでやんすか?なおさらおいら好みでやんす」  
「勝手に…好みにしないでくださいっ」  
「まだそんなこと言えるでやんすか?」  
矢部は指でみずきの秘所を弄る。  
「んふぁぁっ…やだぁ…」  
「びしょ濡れでやんす。まったくやらしいでやんす」  
「せ…先輩がそんなにいじるからぁ…」  
指を増やしてさらに刺激を与え続ける。  
「はひぃっ…やめてぇ…」  
 
「…そろそろいくでやんすよ」  
そう言って矢部はベルトを緩めて、それを取り出した。  
「そ…それだけは許してくださいっ!先輩っ!」  
「却下でやんす」  
目標を定め、一気に挿入する。  
「はあああああああっ!」  
「う〜ん…一気に全部入ってしまったでやんす」  
「ぬ、抜いてぇっ!きっつぅ…」  
「動くでやんすよ」  
「うあっ、ひぎぃっ!やめてっ…動かしちゃダメぇ!」  
矢部は構わず抽送を続ける。  
「ダメぇ、壊れちゃうっ…あああああっ!」  
「うっ!キタ━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!でやんす!」  
「…え!?…やめてっ!中はダメっ!」  
「し…仕方ないでやんすっ」  
慌てて引き抜かれた矢部のモノが、みずきの体に欲望をぶちまけた…。  
 
 
 
「も…申し訳ないでやんす!おいら…おいら…」  
「…」  
「きっと、おいらにはさっき変なモンスターが取り憑いていたでやんす!  
だからあんなひどい事を…」  
「…!」  
黙って弁解を聞いていたみずきが、いきなり手を伸ばした。  
「ひぃぃ!許してでやんすっ!」  
だが、その腕は、矢部ではなく、ベッドの上に散乱したみずきのユニホームをつかんでいた。  
「当然、ユニホームは弁償してくれますよね、先輩?…ああ、このお気に入りのブラも併せて」  
「へ?」  
「あと、そうですねぇ…グローブとかスパイクとかも買い換えたいかなぁ…」  
「…へ?」  
「買ってくれますよね?先輩」  
「あ…あの…でやんす」  
「あ、あと服とかも欲しいかな…上から下まできれいに揃えて…ね?」  
「お…おいらの安年俸じゃ…」  
「バラしてもいいんですか、このコト。野球人生どころか人生そのものが終わりますよ?」  
「あ…あの、みずき?」  
「私のコトは『さん』付けで呼んでくださいね。ホントは『様』が理想ですけど」  
「う…」  
「わかりましたか?せ・ん・ぱ・い?」  
「…わかりましたでやんす、みずき…さん」  
「フフフ…じゃあ宮崎さんが帰ってくるまでに医務室綺麗にしててくださいね。  
私は着替えてきますから」  
「…」  
「…宮崎君…女は強くて、偉大で、そして…恐ろしいでやんす…」  
 
 
 
そのころ、宮崎は…  
「自分は…やはり大きさより形が大事だと思います」  
「成る程、お前は巨乳より美乳を優先すると言うことか」  
「俺はやっぱり巨乳派っス!大きいことはいいことっス!」  
…首脳陣と、おっぱい談義に花を咲かせていたそうな。  
 
 
 

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