ある朝。カイザースの練習場。今日も何事もなく一日が始まろうとしていた。
「行ってらっしゃいませ、守様、進様」
運転手に送り出され、守と進はロッカールームへと向かった。
「……」
その道すがら、守は自分の後ろを歩く進の様子がいつもと違う事に気付いた。
嫌に沈んだ雰囲気。
守は振り返り進を見遣る。
「どうした?進」
「…」
「おい、進、どうした?体調でも悪いのか」
「え!あ、何でもないよ」
二度目の呼びかけで我に帰った進は、慌てて取り繕った笑顔を浮かべて答える。
「…本当か?」
「うん、平気です…兄さん」
「そうか。ならいいが」
怪訝な顔をしつつも、守は踵を返して歩を進めた。進も、それにつかず離れず付いていく。
兄の背中に、視線を張り付かせて…。
(……兄さん…)
ロッカールームに着き、守はユニフォームに着替える為、自分のロッカーの前に陣取る。
と、傍らには進が俯きながら立っている。
「進、お前のロッカーは向こうだろう」
「あ、そ、そうだね…ごめんなさい、兄さん」
何度も通い慣れた練習場のロッカールームだ。今更ロッカーを間違えるなんて事はない筈なのだが…。
さすがに様子がおかしいと感じた守は、進に問い詰める。
「進、お前やっぱり変だぞ?何かあったんじゃないのか?」
「に、兄さん…」
しかし、進は逃げるように後ずさりで守から離れる。
「ほ、本当に、何でもない!大丈夫だから……あッ!」
「進!」
その拍子に進はベンチの足に足を引っかけて尻餅をついてしまった。守は進に駆け寄ろうとするが、
「やだ…きちゃ駄目兄さんッ!」
進は何故かそれを強く拒絶する。
今まで進にそんな風に言われたことがなかった守は、困惑する。
「な、何言ってるんだ?ただ、俺はお前が…」
「大丈夫だからっ……ぅあっ」
進はベンチに手をかけ、立ち上がろうとするが、体勢を崩して床に倒れこむ。
「進ッ!?」
守はもう我慢できずに進を抱き起こそうと駆け寄り、進の傍らにしゃがむ。
「に、兄さん……駄目…」
進の顔は紅潮し、涙目になっている。
「何が大丈夫だ!全然大丈夫じゃないじゃないか!」
守が進を抱き起こすと、進は小さな呻きを漏らす。しきりに股間を気にし、そこを隠そうと手で覆っている。
「進…?」
守は進の行動を不審に思い、その手をどけようとする。しかし進は必死に抵抗をする。
「兄さん…大丈夫だから…兄さん…ッ」
「馬鹿!倒れる位になって、何が大丈夫なんだ!」
ぐっ!
「あ!」
進の手が強引に除けられる。
……と。
「…す、進…?」
「いやぁ…」
進は半泣きで守を見た。
進の股間はズボンの上からでも判る位怒張していた。
(一体…進は俺の横でいかがわしいことに悶えていたとでもいうのか…?)
その現象に守はもうどうしていいかわからない。
しかし、手が半ば勝手にズボンのジッパー、ホックを外していく。
「あ、あ…」
進はもう抵抗をやめ、守のなすがままに下半身を露わにされた。
「兄さ……」
進の下半身は熱を帯び、はちきれんばかりに猛っていた。
先走りで先を濡らし震え立つ、小振りだか存在感のある肉棒、その根本に実る双球。
見慣れていた筈のものが、今は恐ろしく官能的だ。
「そんなに…み…みないで…」
嫌に艶っぽい進の声。守は生唾を飲み込む。
と、何やら奇妙な音が聞こえるのに気付いた。モーター音だ。
守は進の肛門を探る。
「な…!お前、コレは…」
そこには極太のバイブが突き刺さり、進の腹中をかき乱していた。
「へ…変…でしょ…?僕…僕……」
進は息も絶え絶えに話す。
「僕……すきっ…兄さんが…ぁっ…兄さんのことを考えると…凄く変な気持ちに…なって、もう、こうしないと…あっ…自分を抑えられない……あぁッ…」
「な…何を言って…」
突然の進の告白に、守はただ狼狽えるしかなかった。
実の弟が、自分が好きで、しかも自分をオカズにオナニーしていたなんて…!
にわかには信じがたい事実に、守は放心していた。
(な…何なんだ…一体……進は…俺は)
その守の傍らに進はすり寄り、呟いた。
「お願いです……兄さん……一度きりでいいからっ……兄さんのを…下さいっ」
「……」
その言葉に、守は何かを吹っ切ったように、自分の下半身のジッパーを下ろし、進の頭を掴み上げて自らの陰茎をその口に押し当てた。
「んン…兄さぁんっ」
進は迷うことなくそれを口に含み、舌と口唇で愛撫する。
「くっ…」
みるみる間に守の陰茎は見事にそそりたつ。
「ああ…兄さん…大きいっ」
一層丁寧に肉棒をなめ上げる進。
「進っ!」
守はその頭を押さえつけ強制的にリズムを刻ませる。
「んっ、んぶっ、ん!」
進はむせかえりそうになりながらも、守への奉仕を続ける。
(ああ…兄さんのチンポ…僕しゃぶってるんだ…)
恍惚の表情の進。守の陰茎は硬度を増していく。
「くうっ…」
短い呻きを漏らした守は、自分の下半身から進を放す。
「に、兄さん……あ!」
すると、守は進を押さえつけ、その肛門の器具を引き抜く。
「ああぁ!」
ずるり、と異物が抜け出る感覚に身震いする進。
刹那、今度は入り口に熱い気配を感じた。守の肉棒である。
「兄さ…んっ」
進が夢にまでみた、守の性の塊…。
それが自分の内部に入ろうとしている…。
「兄さんっ…早く入れてぇ!」
堪らずに懇願する。と、守は腰を進へと進めた。
ぐっ……ぐぐ……
「あ!あはぁぁぁ!」
腹に熱い塊が侵入する感覚。進は歓喜の叫びを上げて守を迎える。
「ぅうっ…」
一方守は、女の秘穴とは違ったその快感に身震いしていた。
滑らかな腸壁が守を包み、締まりの良い入り口が根元を掴む。
ゆっくりと腰を動かす。
「うぁあ!ひぃ…」
進は抜き差しする度に身悶え、声を上げる。その肛門は見事なまでに開発された女穴になっていた。
(進…こんなに……くそっ!)
守は動きを速めて進を責め立てる。
「うあぁ!兄さん、兄さぁぁんっ!」
進の肛門がひくつき、守の肉棒を巧みに刺激する。
守は限界を察知しながらも、動きを止めない。
激しく突かれる進も、もはや限界だった。
肉棒がビクビクと跳ね上がり、それを告げる。
「はぁっ!はぁっ!あ、あ、ああ!兄さんっ!僕ッ!あ!出るっ!出るぅぅぅ!」
どくんっ!脈打った進の肉棒から勢いよく白濁の迸りが飛び出した。
「くうぅっ!」
守も進の中から自らを引き抜き、進の顔に達した証を大量にぶちまけた。
「んっ…んはぁ…ぁ……」
顔にべっとりと付着した守の精液を、進は愛おしく嘗めとる。
「い…イッてくれた…嬉しい…兄さん…」
進は守に手を伸ばそうとするが、守はそれを避けるように立ち上がり、バッグからバスタオルを取り出し進に渡した。
「シャワーを浴びてこい」
「兄さ…」
「俺は先に練習に行く。…早くしないと皆が来るぞ」
「……分かりました…兄さん…」
進はバスタオルを抱えてシャワー室へ向かった。
しばらくして、シャワー室から聞こえた嗚咽を、守は聞こえないふりをしてグラウンドに向かったのだった。