夕焼けの茜色がそっと世界を覆って、カラスの鳴き声が一面に響く。  
その黄金色の黄昏が、時間の流れの早さを酷く実感させる。  
三年間の汗の臭いが染み付いた部室。  
今日の練習で、狭くて汚いこの部屋とも、もうお別れだ。  
 
「それじゃあ、三年間お疲れ様でやんしたー」  
「うん、お疲れ様。矢部君」  
一年の時からずっと一緒だったチームメイト―――矢部君に別れの挨拶を言う。  
本当にお疲れ様だ。  
バタン、とドアの閉まる音がして矢部君が帰っていく。  
ああ、本当に終わりなんだな、と改めて実感する。  
「三年間……色々あったな」  
誰に言う訳でもなく、部室の中一人呟く。  
「……これで、終わりなんだね」  
キィ、とドアが開く音がして、後ろからそっと声を掛けられる。  
「あおいちゃん……」  
「なんかボク信じられないよ。この三年間夢だったみたいで」  
「そう、だね」  
……本当に夢みたいな三年間だった。  
 
俺達、恋恋高校野球部が創部三年目にして甲子園優勝を成し遂げたのが、つい3日前のことだ。  
あの時の事は決して忘れられないだろう。  
いや――決して、忘れない。  
 
 
九回、二死満塁で一打逆転のピンチ。  
ギンギンと照りつける太陽、突き刺さるような夏の熱気。  
額から汗が溢れ、ゆっくりと肌を下っていく。  
満員のアルプススタンドから沸き起こる嵐のような声援。  
その応援を聞くと、不思議と力が沸いて―――――冷静になれる。  
ゆっくりと深呼吸をして、俺は何時も通りあおいちゃんにサインを送る。  
それに頷くあおいちゃん。もう俺達の間に言葉は要らない――ただ、勝ちたい。  
ゆっくりと投球フォームに入って、女性特有のしなやかな身体から繰り出されるサブマリン。  
地面擦れ擦れの低姿勢からあおいちゃんが投げた―――  
 
―――マリンボール。  
 
時が止まったように、目の前がスローモーションで映る。  
消える歓声。頬を掠める温い風。眩しい光。響く心臓の音。  
白球がゆっくりと打者のバットの下をすり抜けていく。  
 
――試合、終了。  
俺達は高校球児の憬れ甲子園で見事優勝という栄光を手に入れた。  
嬉しくて、本当に涙が出そうだった―――っていうか出た。  
最後にボールをキャッチした瞬間――何も考えられずにただ、真っ直ぐマウンドに駆けていく。  
嬉しい。俺達はやったんだ、誰がなんと言おうと俺達はやったんだ。  
同じく目から涙が零れている、あおいちゃんをそっと抱え上げ勢い良く抱擁する。  
本当に嬉しかった、本当に、本当に。  
ガシリ、と強く抱き合う俺とあおいちゃん。  
他の仲間の歓喜の叫びや、スタンド一杯の大歓声も耳に入らない。  
本当にこの時だけは、世界は俺とあおいちゃんの―――二人っきりの気がした。  
 
「自分で言うのもなんだけど……ボク、甲子園優勝が出来るなんて夢のまた夢だと思ってたよ」  
「あ、実を言うと俺も」  
お互い笑いあう。  
名門校で目指すならともかく、ここは元女子高の野球部なんて無かった状態だった。  
それで、甲子園を目指すって方がどうかしている。  
でも……ここだからこそあおいちゃんに出逢えたんだ。  
「……ホントはさ、途中何度も辞めようと思ったんだ」  
あおいちゃんが一人呟く。  
「投げても投げても、抑える事が出来なかったし。正直辛い事ばっかりだった」  
「でも……ボクが落ち込んでると、皆一生懸命励ましてくれて、嬉しかった」  
「なにより……キミが――キミがいたから、ボクは頑張れた」  
あおいちゃんの、独白。  
皆の前では決して弱いところを見せようとしない、あおいちゃんの初めて……見せる弱さ。  
「勿論みんなが、矢部君が、はるかがボクを支えてくれた……でも――――」  
あおいちゃんがしっかりと俺を見据える。  
「キミが、キミが支えてくれたからボクはここまでこれた」  
「どんな時だってボクを気遣って……元気付けてくれたり、慰めてくれたり」  
「冗談を飛ばしたり、おどけてみせたり……でもなにより」  
窓から差し込む夕日があおいちゃんを照らす。  
それがとても――綺麗に見えた。  
「ボクのボールを何時も一生懸命受けてくれて……傍に居てくれて」  
「言葉にはしなかったけど―――すごく、嬉しかった。すごい頼もしかった」  
「キミがいたからボクも頑張れた。キミがいなかったらボクは何も出来なかった」  
「それは……多分――これからも、ずっと」  
言い終えて、頬を染め照れくさそうに視線を逸らすあおいちゃん。  
 
――――――――。  
……あおいちゃんの告白。  
直接の『スキ』とは言わないけれど、あおいちゃんらしい告白。  
思わず、こっちも恥ずかしくなってしまう。  
多分、俺の顔も真っ赤になってるだろう。ああ、なんか凄く照れる。  
「俺も……いや、俺は――」  
心臓がバクバクいってよく考えられないけど、なんとか言葉が出てくれた。  
そんな俺を、不安そうに見上げるあおいちゃん。  
「俺は皆がいたから頑張れた。喜びや悲しみを共に分かち合える仲間が居たから」  
「そう、だよね。キミはキャプテ―――」  
「でもそれ以上に――自分のことは構わず皆を元気付けてくれた娘を支えてあげたいって思った」  
何か言いかけたあおいちゃんを遮って続ける。  
「俺はあおいちゃんがいたから……あおいちゃんを支えてあげたいって三年間ずっと思ってた」  
「だから、あおいちゃんにそう言われて……凄く、嬉しい」  
だから、言おう――俺の素直な気持ちを。  
「俺はキミが好きだ。あおいちゃんがいたから、今まで頑張ってこれた」  
「出来るなら……ずっと支えたい、キミのコトを」  
―――――言った。  
三年間貯め続けた胸の想いを。  
 
「「―――――――」」  
沈黙が部室を支配する。どちらもなんとなく、何も言えない。  
「……あ、その……うん、あ、あのさ」  
沈黙に耐えられずに口を開いた。言葉になってないのがなんとも情けない。  
「ボクで……ボクなんかが――ボクなんかで良いの?」  
それを遮って、あおいちゃんが真っ赤になりながら言う。  
それを見たらなんだか自然と――――心が落ち着いた。  
「あおいちゃんなんかじゃなくて、あおいちゃんが良い。あおいちゃん以外なら嫌だ」  
「ボク女の子らしくないし……可愛くないし」  
「そんなの関係無いし、あおいちゃんは十分可愛い」  
「筋肉だって一杯付いてるし、日にも焼けちゃってるし」  
「だから関係無いって、あおいちゃんはあおいちゃん。俺達を励ましてくれたあおいちゃん」  
「ボク……ボクっ!」  
弾ける様に――ガバッ、とあおいちゃんが勢い良く抱きついてくる。  
「ボク……ずっと、ずっとキミが好きだった、他の誰よりもキミが、キミのコトが」  
子供のように抱きついてくるあおいちゃんの髪をそっと撫でる。  
汗の臭いと女性特有のシャンプーの優しい匂いが風に舞って鼻を掠める。  
こうやって抱きついてくるあおいちゃんをとても―――愛しく、思う。  
「……あおいちゃん」  
腕の中にに収まっている愛しい娘をそっと、呼びかける。  
あおいちゃんが顔を真っ赤にしながら、目に少し涙を溜めて俺を見上げる。  
普段は勝気で男勝りなあおいちゃんが誰にも見せない、女の子の表情。  
それが今――自分にだけ向けられている。  
それを、我慢出来るだろうか。  
 
 
―――我慢出来る訳が無いじゃんか。  
「好きだよ……」  
力一杯抱き締めて、そっと唇を重ねる。その行動にあおいちゃんが目を丸くする。  
だけれど、すぐさま目を瞑って抱きついてそれに応えてくれる。  
甘くて、そっと重ねるだけの淡い口づけ。  
だけど俺達のファーストキス――少しだけ、汗のしょっぱい味のした優しい口づけ。  
「あ……」  
唇が離れた瞬間、あおいちゃんからそっと吐息のような声が漏れる。  
もう一度抱き締める、それこそ息が詰まるくらい一生懸命に。  
そして改めて唇を重ねる、もう息をするのももどかしい。  
汗で冷えてしまった体があおいちゃんに触れている部分だけヒドク灼い。  
胸の奥から込み上げて来る想いを我慢出来ない、今にも爆発してしまいそうだ。  
「……んっ、んんっ、はぁ。ふぅん、んあ」  
少し強引に唇を奪う、さっきとは違う――深く貪るようなキス。  
絡みつく舌が思考を正常にしてくれない、目の前のあおいちゃんがとても卑猥に見える。  
頭ん中がひどく灼い、興奮してよく考えられない。  
「……あっ、んん、ぁあっ」  
顔を真っ赤にしながらも一生懸命あおいちゃんが応えてくれる。  
その健気さが心の中を余計に興奮させて、更に深く互いを求める。  
そっと唇を離すと、間を短い光る糸が出来る。  
目をトロンとさせたあおいちゃんの重みが体に掛かる、その重さが今は凄く嬉しい。  
「……ふぁ、う、ん」  
 
すっかり脱力しているあおいちゃん―――ガマン、出来そうにない。  
唇の位置をそっと下へと移動させていく。頬、首筋、そして鎖骨へと唇を這わす。  
「……あっ!」  
電流が流れたようにビクっ、と震えるあおいちゃん。  
「はっ、んっ、んんっ」  
もう一度唇を寄せると、今度はあおいちゃんから積極的に深く絡みついてくる。  
抱き締めていた右手を少しずつ移動させて、そっと胸へと移す。  
あおいちゃんの体が跳ねたように震える。  
服の上からでも分かる確かな膨らみ、決して大きい訳ではないけど信じられないぐらい柔らかい。  
「んっ、はぁ、ダ、ダメ……」  
逃れるように唇を離し、息も絶え絶えにあおいちゃんが服の裾を掴む。  
「ボ、ボク……筋肉だらけで胸ちっちゃいから」  
「駄目。ちっちゃくても俺はあおいちゃんの胸が好きなの」  
「そ、そんなこといっても……あっ、はぁ」  
言葉を遮るために、強引に唇を重ねて舌を絡める。  
 
再度胸へと手を這わす、壊れ物を扱うかのように優しく撫でるように。  
どうやら、あおいちゃんは諦めてくれたらしい。  
視線を逸らしながらも、素直に愛撫を受け入れてくれている。  
「………………脱がす、よ?」  
「……うん」  
コクリ、と真っ赤になりながらあおいちゃんが頷く。  
汗と砂で汚れたユニフォームのボタンを外し、脱がしていく。  
アンダーシャツを捲り、肌を露出させると、スポーツブラが出現した。  
「……ゴメンね、可愛くなくて……」  
申し訳無さそうに、あおいちゃんは言う。  
「ううん……俺は、良いと思う」  
嘘じゃない。何て言うか……あおいちゃんらしくっていいと思う。  
それに、可愛い下着を着けていなくたって、あおいちゃんは十分に可愛いのだから。  
そのまま、ズボンとソックスも脱がしたところであおいちゃんが下着だけの姿になる。  
普段は意識していなかったけど……あおいちゃんの女性的な体のラインがはっきりと分かる。  
緊張と興奮から、喉がゴクリと鳴る。そういえば、さっきから喉がヒドク渇く。  
渇きを癒すかのように唇を重ね、唾液を交換する。  
 
絡みつく舌。漏れる吐息。上気した頬。潤んだ瞳。重ねた唇。  
どれもこれも、愛しくて、興奮する。  
愛しいこの娘の全てを―――見たいと思った。  
あおいちゃんを包んでいた最後の布を取り除く。  
そして、現れたのは――本当に綺麗な身体。  
陶磁器のような肌、汗ばんだ乳房、浮き出ている鎖骨。  
テレビや雑誌で見かける、どんな娘よりも、それはとても綺麗に思えた。  
露出された肌に指を這わせてなぞり、白い二つのふくらみに指を沈める。  
指を沈める度に、あおいちゃんの温度と鼓動を感じる。  
「んっ―――――はぁ……ふぅ……ぁ――」  
愛撫をする度に零れる熱い吐息。それは紛れも無く感じているという証。  
「……気持ち、いい?」  
首筋に顔を寄せ、至近距離からそっと尋ねる。  
「―――――――」  
あおいちゃんは答えない。けれども、吐息は止まない。  
突起の先端を指先でそっと摘む。  
その瞬間、あおいちゃんの身体が震えるように飛び跳ねた。  
「はぁ―――あっ、は、ぁ……んっ、ダメ、そん、なの」  
親指と人差し指で捏ね繰り回しながら、爪先でそっと弾く。  
「んんっ、ダメ―――おかし、く……なっちゃう」  
潤んだ瞳が一層、艶やかになって興奮を沸き立てる。  
俺まで―――オカシクなりそうだ。  
身体の中の熱さを吐き捨てるかのように、はぁ、とあおいちゃんは息を吐く。  
 
慣れない刺激と快楽、そして行為の為か俺もあおいちゃんも息が上がっている。  
途切れ途切れの呼吸を拾いながら、視線が交わり見つめあう。  
そっと、指先をあおいちゃん自身へと導く。  
そこはもう―――十分過ぎるくらい、湿って蜜で溢れていた。  
「―――!あっ、ダメ……恥ずか、しい―――――」  
「感じてくれてたんだ……」  
興奮と歓喜、両方が入り混じったような感情で胸が支配される。  
身体が更に熱く感じる、何もかも全て煩わしく感じる。  
火が点きそうな位にはぁはぁと、吐息が漏れて零れ出す。  
繋がりたい――――そう、思った。  
一つに、目の前に居る愛しい、この娘と一つになりたいと思った。  
「……あおいちゃん」  
上擦った声で呼びかける、もう息をしているのももどかしい。  
「俺……キミと、一つに……なりたい」  
少しだけ沈黙が流れる。灼い吐息だけが空間を舞う。  
交差する視線。それが全てを語っていた、もう言葉は必要ない。  
「………………うん」  
それでも、キチンと応えてくれたのは、とても嬉しかった。  
 
桃色に躍動する秘裂に目を運ぶ。  
可愛らしい、紅いつぼみ。  
とろり、と零れ落ちている透明の蜜。  
その蜜をそっと、舌先で掬って舐めてみる。  
「ぁ……!だ、だから……ダ、メだって…………」  
……甘い。  
今まで口にした、どんなものよりも甘い、その蜜。  
実際はそんなことはないのだろうけど、目の前で溢れ出している蜜は、砂糖菓子のように甘かった。  
「……力、抜いてね。後、痛かったら―――」  
「だい、じょうぶ……だよ」  
俺の言葉を遮るように、あおいちゃんは言って、微笑を浮かべる  
――ドクン。  
飛び跳ねるように、胸が高鳴る。  
何度も見続けていた、あおいちゃんの笑顔。  
その笑顔につられるように、俺も笑った。  
目の前にある幸せを、噛み締めるかのように。  
「ありがとう。……じゃあ、いくよ」  
脱ぎ捨てたユニフォームをベンチに敷いて、あおいちゃんをそっと、横たえる。  
緊張を捨てるように、一呼吸。  
あおいちゃんの両足を開かせて、ズボンのチャックを開ける。  
「あ……」  
驚いたような、あおいちゃんの声が耳を通り過ぎていく。  
……やっぱり、そういうリアクションなんだな。  
 
熱く凝固したペニスを握り、亀頭を秘裂へと密着させる。  
「ん――――」  
拒む動きは、全く無くて。  
愛液という滑油が挿入をあっさりと可能にしてくれた。  
「ぁ―――、ん…………」  
呆然とした目で、あおいちゃんは接合部分を眺める。  
肉を裂くように進む、亀頭。  
亀頭が少しずつ進み、なかに入った直後、あおいちゃんの体が飛び跳ねた。  
瞳に涙を溜めながらも、笑顔を崩そうとしないあおいちゃん。  
……でも、その笑顔には開通の痛みが隠れていなくて。  
快感―――という言葉は、無いんだろう。  
「ん……ぁ、んン、はぁ……あ―――!」  
痛みに耐えながら、安心させるように笑ってくれているあおいちゃん。  
でも、その笑顔にはやっぱり段々と無理が出てきて。  
少しずつ、崩れていく。  
 
ずぶずぶと挿さっていくモノを、あおいちゃんは受け入れていく。  
痛いと、主張する事もなく。  
文句を言う訳でもなく。  
ただ、ずっと耐えてくれている、あおいちゃん。  
そんな痛々しい表情を至近距離で見ているっていうのに―――  
俺は、その動きを――やめることが出来ないでいた。  
あおいちゃんのなかの心地良さに酔いしれ、脳髄が蕩けそうだった。  
「はっ―――はっ――――はぁ、ッ―――!!」  
呼吸がどんどん荒くなる。  
それは、目の前のあおいちゃんだって同じコトで。  
その事実を確認すると、一際呼吸が荒くなる。  
灼い吐息が喉が湧き上がってくる。  
頭の中はどんどん白くなっていってて。  
快楽で、快感が爆発して――何もかもブチ撒けそうだった。  
 
「はぁ……あおいちゃん、ゴメン―――!!」  
「ぁ……え?な――――!!!」  
一言謝ってから俺は、男根を強引に衝き入れた。  
「あ――は、ああ――――!」  
さっきよりも、一層締め上げるあおいちゃんの、なか。  
亀頭は全て挿さって、男根も半分ぐらいまで進んでいる。  
「……ゴメン、痛い……よね?」  
「は……そ、そんな、コトない――よ」  
あおいちゃんは小さく首を振って、少しだけ笑う。  
その笑顔を見ると、快楽に走った自分が申し訳なくて目線を下げる。  
そして―――気付いた。  
赤い。  
俺の竿は、あおいちゃんから流れている血で染まっていた。  
俺は何時の間にか、あおいちゃんの処女膜を破っていた。  
 
そんなコトにも気付かないほど、快楽に走っていた自分。  
痛みが確実にあったはずなのに、一言も文句を言わなかったあおいちゃん。  
自分の不甲斐無さに、思わず――泣きそうになった。  
「……ホント、ゴメン。俺……自分のコトばっかで……」  
「……ん、良い、よ……キミが……気持、ち良かったなら」  
呼吸のリズムを整えながら、答えるあおいちゃん。  
「……ゴメン」  
そう思っているのに、腰の動きは止められない。  
ゆっくりと、腰を動かす。  
入ったモノを、僅かに引いて、更に挿れる。  
「はっ―――はぁ、はぁ……はぁ―――」  
どんどん締まってくる、あおいちゃんの、なか。  
快楽に酔うように、その動きを繰り返す。  
繰り返す度に、高い声が部屋に響く。  
 
「はぁ―――、ん、あ、は―――!」  
痛みに耐える声が。  
「はぁ、ん、あ、あ――――」  
衝き入れる度に、あがるその声さえ。  
愛しくて。  
どうしようもなくって。  
痛みを無くしてあげたいのに、体は止まってくれない。  
――あまりにも、あおいちゃんが愛しすぎて。  
 
ずず、ずちゃり。  
厭らしい音と共に、あおいちゃんの体に埋没する。  
その動作の度に、何処かへ逝きそうな脳内。  
蕩けて、零れ落ちそうな脳髄。  
頭の中は、どんどん白いカーテンが覆っていく。  
もう、限界が近い。  
これ以上、快楽に酔う事は出来なさそう、だ。  
「あおいちゃん。…………行く、よ?」  
呼吸を整えて、大きく息を吐く。  
「はぁ―――あ、はぁ―――う……うん」  
途切れ途切れの呼吸の中、なんとかといった感じで返事をするあおいちゃん。  
あおいちゃんの表情は、最初の頃とはやっぱり、違っていて。  
痛みに耐える姿が、多かった。  
だから――――俺は。  
彼女がそうしてくれたように。  
俺は―――精一杯微笑む。  
「はぁ……ぁ――――うん、いいよ……キテ」  
それに、あおいちゃんは涙を溜めながら、とびっきりの笑顔で応えてくれた。  
 
力を込める。  
さっきまでの動作より、ずっと――ずっと強く。  
「ん―――――――――――!!!」  
ビクッ、と大きく反り返る背中。  
あおいちゃんの控えめな胸が揺れて、汗が空を舞う。  
「んっ――はぁ、あ―――!」  
引いて、また挿れる。  
「っ―――!あ、はぁ、ああ、んっ―――」  
揺れる体。零れ落ちる涙。結ばれた唇。閉ざされた瞼。  
腰の動きは止められない。止める事なんて考えられない。  
「あっ、はぁ――――んんっ!!!」  
あおいちゃんの口から苦痛を訴える声が――聞こえた、気がシタ。  
幻聴かもしれない。  
分からない。もう頭の中には何も浮かばない。  
心臓が、身体が、何もかもが爆発してしまいそうだった。  
 
「あ―――はぁ、あ、あ…………!」  
下の方から、何かが溢れて、沸きあがってくる。  
熱い。  
熱い。とにかく、熱い。  
「くぅ―――あおい、ちゃん―――!」  
「はぁ、ああ、はっ―――あ、あ、あ――!!」  
がくがく、と揺れるあおいちゃんの体。  
震えるように、大きく揺れるあおいちゃんの、腰。  
その動きが、俺に限界を知らせる。  
「くっ――――!!!」  
強く、あおいちゃんの奥へ叩きつける。  
「あっ――――あ、あ、ああああぁ―――――!!!」  
「――――!!」  
沸き上がる熱い、モノ。  
白い靄が、頭の中を完全に支配する。  
「く―――――!!!」  
こみあげてくるモノを俺は抑える事が出来ずに。  
そのまま熱いモノを、あおいちゃんのなかに吐き出した。  
 
「…………はぁ、はぁ――ふぅ……」  
疲れた。  
シてる最中は、何も考えられなかったけれど、今はただ、しんどい。  
……気持ち良過ぎた分、疲労感が尋常じゃない。  
「あおいちゃん……大丈夫?」  
「……ん。多分、だいじょう、ぶ」  
何処か焦点の合ってない目であおいちゃんは言う。  
ぐったりとしていて、あまりマトモな状態じゃ無さそうだ。  
「……ゴメン」  
「……どう、したの?」  
「その、あおいちゃんのコト考えないで……自分勝手にしちゃったな、って」  
「……ん、そう――だね。……痛かった」  
「ゴ、ゴメン。その、マジでゴメン」  
「……ふふっ」  
焦りまくる俺を尻目に、あおいちゃんはそっと笑い出す。  
「あはは、あはははは」  
と言うか、爆笑。  
「………………む」  
困った。一緒に笑うべきか、やっぱり謝っておくべきか。  
 
「痛かったっていうのはホントだけど……それ以上に、嬉しかった、かな?」  
「ボクのコト、ちゃんと気遣ってくれてたし。……そりゃあ、最後は、自分勝手だったけど」  
「ゴメン」  
「だから良いってば」  
そう言って、あおいちゃんは笑う。  
涙の跡が、申し訳ない気持ちになる。  
でも、そう言ってくれると、凄く助かる。  
「――――あ」  
安心したせいか、がくんと力が抜けて、あおいちゃんに覆い被さる形となった。  
「わ―――。お、重いよ」  
さすがに高校球児の身体は女の子には重いか。  
「俺もしんどいから……よっ、と。これでどう?」  
そう言って、あおいちゃんと体の位置を逆にする。  
「………………少し、恥ずかしい」  
「……何を今更――痛ッ!」  
あおいちゃんから、拳骨を受ける。何気に結構痛い。  
 
「―――――――ふぅ」  
沈黙。その静けさは、辛いモノではなく何処か心地良い。  
穏やかな時間が、そっと流れる。  
ずっと、求めていた――この時間。  
「………………ねぇ」  
「……ん?」  
唐突にあおいちゃんが口を開く。  
「――ボク、キミのコト―――――大好きだよ―――」  
 
 
この三年間は、果たして長かったのか短かったのか。  
期待を胸に、心を踊るらせていた春。  
汗水流して、グラウンドにいた夏。  
悔しさをバネに、練習に費やした秋。  
寒さに耐えて、皆で励ましあった冬。  
 
野球と共に過ごした日々は、一先ず幕を降ろす。  
―――これから始まるのは、彼女との日々。  
 
俺達の季節は、これから始まる―――――――――  
 

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