前の大会・・・
監督・・・本気ですか?そういわんばかりにキャプテンはつぶやいた。
「外野手のパワプロをショートで使うのですか?」
あおい監督は簡潔にうなずいた。
一部の選手たちが、不満を漏らし始める。
「セカンドの初野がライトだし矢部がサードこんなので勝てるわけねーよ」
・・・結果は散々だった。ほとんどの選手がエラーを連発。守備の乱れから打撃さえも
不振になり終わってみればコールド負け。
・・・後日
いつもどおり着替える選手たち、しかし様子が違っていた。
「あれ、熊谷先輩着替えないでやんすか?それにそんな深刻な顔して。」と矢部が聞く。
重い口を開き熊谷がつぶやく。
「俺やめるんや野球部。」
ざわめきだす。部員たち。
「どうしてでやんす。あと半年で引退でやんすのに。」
「このままじゃ終わっちまう。そうだろ・・・練習は普通だしリードに関しても教えてくれる
時もあるさ。でもな試合になったらわいは・・・捕手じゃない。リードを生かすことも
出来ないのなら、いっそのこと辞めちまったほうが楽や。他の奴もそうだろ。
やりたくもないポジションやらされて楽しいか?俺たちは監督の駒にすぎないんだよ。」
その言葉を聞いて一部の人間が話し始めた。
「俺も辞めようかな。」
「おい、本気かよ?」
「だって、面白くないし・・・」
「俺も・・俺も辞めるわ・・・」
もう一度、その場がざわめきだす。
そしてもう一度、熊谷先輩が話し出す。
「パワプロ」
俺はとっさに呼ばれたので反応できなかった。
「お前プロにいきたいんやろ?ならこんな野球部辞めるべきだ。お粗末な守備とへたくそな
バッティング見せてスカウトが動くと思うか?逆にそんな選手切られるぞ。
おまえは2年からレギュラーはって実力あるんやから、社会人で結果残せばプロ入り
できるかもしれへん。だからへたくそなとこスカウトに見せて評価下げるくらいなら
やめちまえよ。」
そういって熊谷先輩含め数人が部室を出た。
・・・数日後
「おーい矢部君・・・」
矢部君はチームメイト数人と話していた。俺は矢部君とキャッチボールをするつもりだったが
あきらめることにした。
「おーい初野〜。キャッチボールしよう。」
「いいですよ〜。」
初野は笑顔で答える。さすが守備の名手だけあって送球のフォームも球筋も綺麗だった。
うまいと関心してしまう。
何回繰り返したか分からないが、守備で見本となる初野の捕球、送球を盗もうとしてたら
いつの間にか時間を忘れるほど集中していた。
「・・・休憩にしませんか?」と初野が言った。
「ああ」ここまでキャッチボールを長くやったのは久しぶりだった。
休憩に入ると同時に矢部君が話し掛けてくる。
「パワプロ君、監督に直接言いにいくでやんす。」
「なにをだい?」
「決まってるでやんす。試合のことと熊谷先輩たちに戻ってもらうでやんす。」
「ああ、俺たち決めたもんな。」チームメイトもつぶやく。
「パワプロ君も来るでやんす。」俺は半ば無理やり連れて行かれた。
・・・
部室に入ると監督がいた。
「なんで毎回適当なポジションで試合をやらせるのですか?」
もちろんそのことについて触れる。しかし返ってきた言葉は簡単なものだった。
「私の勝手でしょ。あなたたち選手は監督の私に従ってればいいのよ。」
冷たい言葉。そして冷たい目だった。選手時代とは違う凍った瞳、俺はその瞳が怖かった。
矢部君は歯を食いしばり、怒った様子で話し始めた。
「もういいでやんす。監督のやり方は十分分かったでやんす。
オイラの憧れた早川あおいはもういないでやんす。作戦実行するでやんす。」
そういうとチームメイトたちは、監督に襲い掛かる。
「ちょっ、なにするの。」
押さえつけるチームメイトたち。もちろん数人で押さえつけているため身動きが取れない。
「何するも何もないでやんす。あおい監督には監督を辞めてもらうでやんす。」
「どういうことよ。」
「こういうことでやんす。」
矢部君はそういうとカメラとロープを取り出す。
「みんなで恨みを晴らすでやんすよ。」
そういうとチームメイトが服を脱がし始めた。
「ちょっ、やめなさい。自分たちがなにやってるかわかってるの?」
監督の言葉もむなしく、素肌があらわになっていく。
毎日グラウンドに出てるとは思えないほど白くて綺麗な肌。
人並みに膨らんだ乳房、そして元プロ野球選手だけあって綺麗な曲線を描いてくびれた腰回り、
投手をしていただけあって大きくて引き締まったお尻、太ももから脚にかけてもスラーッと長くて適度に大きく
引き締まって綺麗だった。下着姿になったとき、机の脚に腕を縛られ身動きの取れない状態になった。
「もう抵抗はしないでやんすね〜。さっきまでの勢いはどうしたでやんすか?」
矢部君が不敵に微笑む。そして、チームメイトたちが下着を脱がしていく。たいした抵抗も出来ず、
監督のすべてがあらわになった。
「これで、監督交代でやんす。」
そういうと矢部君はカメラを取りだしシャッターを押した。
「この写真をばら撒かれたくなければ、監督を辞めるでやんす。さもなければ・・・」
しかし監督は辞めないし、ばら撒くなといってきた。その言葉を聞きそれならと言う顔で
「それならみんなに謝るでやんす。そして普通に野球やらせるでやんす。」
しかし監督はもういちど「いやよ」この一言だった。
この言葉についにチームメイトたちもキレた。
「いいかげんにしろよ。この自己中女、あんたはこの大学の野球部をつぶすために来たのかよ・・・
おい矢部、もうこいつは監督じゃないんだやっちまおうぜ。」
他の選手たちも同意していた。
矢部君はこっちを振り向きこういった
「パワプロ君、監督が憎いでやんすか?」
不意打ちに近い質問に自分はとっさに考えた。憎くないといえば嘘になる。
でもこんなことしても自分の心が晴れることがないことは分かっていた。
「憎くないよ。それに監督は変わるんだろ。ならもういいよ。」
とっさに矢部君はこういった。
「憎くないわけ無いでやんす。」
矢部君の大きな声に自分は驚いた。
「憎くないわけないでやんすよ。だってオイラは知ってるでやんすよ。
隠しても無駄でやんす。誰よりも前に部活に来て誰よりも遅く帰ってるの
オイラ・・・オイラ知ってるでやんす。家に帰ってからも神社で自主練習
してるでやんすよね。前に見たでやんす。」
矢部君はうつむき加減にしゃべった。
「オイラの親友のプロに対する本当の気持ちを踏みにじったでやんすよ。それでも
なんとも思わないでやんすか?」
監督は少しづつ、そして怒ったように話し出す。
「なんとも思わないわ。そんなのでプロになれるのならほとんどの大学生がプロになれるわよ
プロを甘く見過ぎよ。何も知らないくせに、偉そうに語って、ご苦労なことね。
そんなに練習して誰に褒めて貰いたいの?」
そして笑いながらこういった。
「バカみたい。そんなに夢語って楽しい?あなた達みたいな弱虫はプロなんか無理よ。」
ここまで言われるとさすがに怒りがこみ上げてきた。とっさにチームメイトたちが叫ぶ
「なんだと。」
すると、馬鹿にしたような、口調で話し始めた。
「だってそうじゃない。たかが女一人に、大人数で襲い掛かって、卑怯じゃない?
一人じゃ怖いから大人数で・・・今だってそうじゃない。」
監督は強気にそして、何か意味深に言葉を発していたが、
俺は誰かに褒められたいから野球をしてるんじゃない・・・
完全に馬鹿にした態度に俺は怒りが爆発した。
「パワプロ君・・・」
矢部君の言葉を無視し、監督の目の前に行きしゃがみ、視線を合わせた。
「言葉で言ってもダメなら、体で分かってもらうしかないですね。」
何でこんなことを言ったのか分からなかった。
俺は、目の前にした監督の体に理性が本能を抑えられなくなっていた。
心臓の鼓動が速くなり、罪悪感を感じつつも監督の体に手が伸びる。