『鳥が飛んでて雲があって・・・あと何か青いもんがその上にあって・・・』  
 
 
 休憩時間になるとダラダラ垂れてくる汗をタオルで拭う。ドカッとベンチに腰を下ろす。  
 加奈ちゃんが用意しておいてくれたドリンクを乱暴に掴みストローの付いたフタを取る。  
 味も気にせず中の液体を胃の中に流し込む。  
 
「ぷぁあっ!!」  
 
 とりあえず水分補給完了。  
 
「凄い飲みっぷりですね、コナミさん・・・っっ」  
「酸素! 酸素くれー!」  
「そこらへんに浮いてるでやんす」  
 
 ・・・とまあ、何かオレだけ異常に疲れている。  
 キャプテンってこともあるんだろうけど・・・、一番の理由はあおい監督の特別練習だろう。  
 女性の監督ということで、教えてもらえることには大変感謝しているのだけど・・・。  
 
「ふふっ 疲れた?」  
「つ、疲れたなんてもんじゃぁ・・・」  
「良い物あげるっ はい、これ」  
 
 泣きそうな俺に渡されたのは・・・、握力強化用スプリング・・・?  
 いやちょっと待ってくれ・・・  
 
「休憩中も休んじゃだめよ?」  
 
 そうにっこり笑顔で言うだけ言うと、グラウンドの方へトコトコと歩いていった。  
 顔だけは可愛い顔してるのに何て恐ろしい人間だ。疲れ果ててるオレを少しは気遣ってくれ・・・。  
 なんて思いつつスプリング両手ににぎにぎやってる自分が何とも情けなく思えた。  
 
「大変ですね・・・」  
「加奈ちゃぁ〜ん・・・」  
「おいー、マネージャーに手ぇだすなー」「そーだそーだー」「離れろーボケー」  
 
 うるせぇサブキャラドモが・・・!  
 とりあえずボケ言った奴に拳骨(※スプリング装備)を食らわせとく。  
 ・・・心配してくれるのは加奈ちゃんくらいだよ。チクショウ。薄情な奴等め。  
 
「コナミさん、あ、あの・・・上手く言えないけど・・・、頑張って下さいね・・・っ」  
「ん・・・死なない限りね・・・」  
 
 そう言って休憩時間終了。スプリングと汗の染みたタオルを加奈ちゃんに渡す。  
 グローブをひょいっと手に取ると、全員がグラウンドへ駆けていく。  
 俺はというと、笑って手招きしているあおい監督を見て気が抜けるのであった。  
 
 
   ・ ・ ・  
 
 
 今日も特別練習が終わると辺りは真っ暗だった。  
 あおい監督に言われ、最後まで残ってくれた加奈ちゃんを家まで送ってあげていたところだった。  
 
「まったく・・・加奈ちゃんだけだよ・・・、オレのこと気遣ってくれるの」  
「ぇ、そ、そんな・・・、少しでもコナミさんのお役に立てたらなって・・・」  
「ぅぅ・・・本当やさしいね・・・、涙出てくるよ。。。」  
「あわわっっ」  
 
 ちらっと横に目を配ると、おろおろしている加奈ちゃんがそこにいて・・・・・・ん・・・・・・?  
 何か分かんないけど彼女の腰に手を回し軽く抱きしめていた。  
 
「・・・ぁ、ぁの・・・」  
「・・・・・・ゎ、ご! ごめん!!」  
 
 な、な、ななな・・・・・・、何してんだよオレーっっ  
 ハッと気がつけば、オレは自分からたった一人の見方を失わせるようなことをしていた。  
 ササッと両手を自分の背中に回すと、「ごめんっ」と一言、もう一度謝った。  
 あぁー・・・顔が赤いのが分かる・・・、最悪・・・。  
 
「オ、オレっっ そのっっ いや、あのねっ 別に変なこととかしようとしてたわけじゃなくて・・・! いや変なことしちゃったんだろうけど・・・! 何て言うかっっ あの  
 
っ 無意識のうちっていうかねっ その・・・! あの・・・! あのね、加奈ちゃん・・・っっ」  
「・・・ぷっ」  
「あの・・・っっ ・・・・・・へ・・・?」  
「ぁはっ あははははっっ」  
 
 突然笑い出した加奈ちゃんにオレはきょとんとする。  
 そのとき限りは抱きしめたときに爆笑のツボでも圧しちゃったと、本当に勘違いしていたり。  
 いつもなら人がいっぱいいるその通りは凄く静かで加奈ちゃんの声が遠くまで響いた。  
 
「ぁ、ぁの・・・、加奈さん・・・?」  
「あははははっっ あはっっ ぷっ くくくく・・・ お、おな、お腹イターいっっ」  
「あの・・・」  
「うふふっ はー、はー・・・、もー、コナミさんの所為ですよーっっ」  
 
 (´・ω・`)ショボーン・・・  
 
「ふふっ そんなにショゲなくても良いですよっ 私、ぜんっぜん怒ってません」  
 
 言いながらお腹を押さえて「ぷくくくくく・・・」と笑っている加奈ちゃんを見て、何故だか笑顔になった。  
 何はともあれ、怒られそうにないってことが分かってホッとする。  
 通りの街灯に照らされ、オレと加奈ちゃんはぼんやり黄色く見えるアスファルトの上を歩いてった。  
 
 結局オレはセクハラとかで訴えられずに済んだらしい。  
 
 
   ・ ・ ・  
 
 
 時間が気になりケータイの液晶をのぞくと午前零時を少し過ぎていた。  
 オレと加奈ちゃんは近くのパワフル中央公園にいた。  
 ベンチに座り、楽しそうに足をぶらぶらさせている加奈ちゃんを黙って見ていた。  
 
「・・・ねぇ、コナミさんは朝と夜、どっちが良いですか?」  
「え?」  
「朝と夜、どっちが良いですか??」  
 
 じぃっとオレの顔を覗き込まれたと思うと、そんな質問を投げかけられた。  
 ・・・昼は無いんだ?  
 
「んと・・・朝、かな?」  
「それは何故ですか?」  
「え・・・ん・・・、多分・・・空が見えるから・・・かなぁ・・・?」  
「え〜、夜だって空、見えますよ?」  
 
 何が言いたいんだろう・・・悪戯に笑う加奈ちゃんがなんだか小悪魔に見えた。  
 今にもフォークみたいな槍としっぽで突っついてきそうな・・・。  
 
 
 
「ふふっ 夜も大好きだけど、私も・・・、朝の方が好きです」  
「へぇ・・・どうして・・・?」  
「え〜、だってぇ〜・・・、空がのんびりしてるじゃないですか――・・・」  
 
 
 
 加奈ちゃんのとびっきりの笑顔を初めて見た気がする。  
 ・・・かと思うと「ふふっ」っと笑い、また悪戯な笑顔に戻っていた。  
 
「良いと思いません? 小鳥がちゅんちゅんって飛んでてー、白い雲がふわふわ〜って飛んでてー、その上のほ〜〜っに青い宇宙がずぅ〜〜っと広がってて!   
 
夜とは違ってのんびりしてるじゃないですかぁ〜」  
 
 子供みたいに無邪気なその女の子はそう言って、急にオレに抱きついた。  
 ・・・って・・・え?  
 
「好きです・・・、付き合ってくださいっ」  
「ぇあ・・・か、加奈ちゃん・・・???」  
 
 女の子がオレの胸の中で告白・・・? ありえんありえんっっ  
 左頬をグイッと抓ってみる。  
 
「痛い・・・」  
「・・・? 痛かったですか? 怪我してたんなら言ってくださいよっっ」  
「違う違う、こっちの話・・・」  
「そうですか・・・、ん〜・・・答えてくれないんですか・・・?」  
 
 ジンジンする頬を我慢して、胸の中にいる加奈ちゃんを見てみた。大きな瞳と目が合う。  
 オレは加奈ちゃんを軽く抱き寄せ、その唇に自分の唇を重ねた。ほんの5・6秒のキス。  
 
「野球馬鹿だけど良い?」  
「もっとぉ・・・」  
 
 ・・・って聞けよ。  
 ったく・・・とろんとした瞳が可愛いぜチクショウ・・・っっ  
 
「・・・ん・・・・・・・・・・・・・・・」  
 
 唇を重ねると加奈ちゃんの方から舌を絡ませてきた。  
 ねちねちといやらしいそのキスは、オレが加奈ちゃんに夢中になるその前触れだった。  
 
 ゆっくりと唇を離し、右手で加奈ちゃんの身体に触れた。  
 
「ぁ・・・」  
 
 ふにっと手のひらに伝わるやわらかい感触は、まぎれもなく加奈ちゃんの乳房。  
 服の上から乳房の小さな突起を撫でると「ふぁ・・・」と嫌がる様子もなく可愛らしい声をあげている。  
 
「気持ち良い・・・?」  
「うん・・・コナミさん・・・、もっとして・・・」  
 
 左手で加奈ちゃんの背中を支えると、右手で加奈ちゃんの乳房をまさぐった。  
 加奈ちゃんの吐息がさっき自分で抓った頬を撫でる。  
 突起に指がこすれる度に漏れる可愛いあえぎ声と吐息がオレの脈を速くした。  
 
「んはぁ・・・っっ きもち・・・ぃい・・・」  
 
 加奈ちゃんがオレの首の後ろで腕を組む。  
 両手が自由になったオレは加奈ちゃんのスカートの中に手を潜り込ませていった。  
 
「ぁあっっ」  
 
 太ももを撫でながら乳房を揉んでいくと、感度が上がったのか声のトーンが高くなっている。  
 今度は上着の中に右手を潜り込ませた。少し汗ばんだ肌に手がこすれる。  
 下着の上から触る加奈ちゃんの乳房は、上着の上からとは比べ物にならないくらいやわらかかった。  
 
「ふぁぁぁっっ そんな・・・に・・・っっ」  
「加奈ちゃんの・・・、すっげぇやわらかい・・・」  
「んん・・・っっ 気持ち良いよぉ・・・、コナミさぁん・・・」  
 
 薄く涙を浮かべている加奈ちゃんを見ると無茶苦茶にして壊してやろうかと思った。  
 でもオレの理性が働くうちは少なくとも痛い思いだけはさせたくない。  
 出来るだけ精一杯優しく、を心がけた。  
 
「もっとぉ・・・、こっちも触ってぇ・・・」  
 
 何故この娘はこんなに甘えんぼなんだろう。駄々っ子言う子供のように俺の目に映る。  
 左胸をまさぐっていた右手を上着に潜り込ませたままモゾモゾと背中に回す。  
 ブラのホックを外し下着を下にずらすと左手で要望どおり右胸を直にまさぐった。  
 生の乳房が手に触れる瞬間の「きゃふ・・・っっ」という声がよく耳に残る。  
 
「加奈ちゃんってこんなエッチだったんだ?」  
「んんん・・・っっ はぁ・・・はぁ・・・、きもち・・・・・・っ もんっっ きゃ!」  
 
 硬くなった乳房の突起をクニクニと指でこねると加奈ちゃんの反応がガラリと変わる。  
 身体を反らしさっきよりも激しいあえぎ声を出すようになる。  
 内心通行人に見られたりしないかとか心配になりながらも愛撫し続ける。  
 
「あ・・・っ ん・・・っ だ・・・め・・・っっ あっ あっ い・・・っ んん・・・っっっ」  
 
 胸だけでイってしまいそうな加奈ちゃんを見て俺の悪戯な悪魔がささやく。  
 『ヤっちまえよ・・・じれってーなー・・・』  
 
「ふ・・・あ、あぁ・・・っっ ん・・・っ あ、ぃ・・・んん・・・っっ あ・・・っ あっ んっ」  
 
 かと思えば今度は泣きそうな加奈ちゃんを見て俺の善意な天使が悪魔に拳骨をいれる。  
 『ってーなー・・・何すんだよー・・・!』  
 『精一杯優しくするんじゃなかったのーっ』  
 
 うるせぇ・・・好きにさせろよ・・・っっ 加奈ちゃんはオレんだよ・・・??  
 
 オレは加奈ちゃんを強引に180度動かして体位を後ろからに変更する。  
 両胸が触り放題になると、さっきから腰に乗っかっている外したブラジャーを横に退ける。  
 2つのやわらかな膨らみの突起を指でクニクニやりながらまるく円を描くように揉みくちゃにする。  
 
「あ・・・! ふ、あ・・・っ! んっんっ んぁ! だ・・・! め・・・! あっああっっ い・・・っっ!」  
 
 胸の感度が異常に高いらしい。『だめ』っていうのはイきそうだからなんだろうか・・・?  
 
「ふ・・・っ! ふぁ・・・! ぁあっっ だめっっ だめだめだめぇっっ んんん・・・!!」  
 
 また『だめだめ』言っている。イクのがダメなんだろうか・・・?  
 真面目に考えるとあとで怒られるのも嫌なのでとりあえずパッと手を離した。  
 
 
「・・・ふっ・・・ふぇ・・・?」  
 
 上着から手を抜いて服のよれた部分をパパッと直す。腕を腰に巻いて首筋にキスしてみる。  
 なぜか不服そうに「ぷぅーっ」っと膨れている。  
 
「何でやめるんですかぁー!」  
「え・・・?」  
 
 うん、真面目に考えて怒られてるな、こりゃ。  
 
「気持ち良かったのに・・・も・・・、もう少しで・・・その・・・(ゴニョゴニョ」  
「だって加奈ちゃん『だめだめ』っていっぱい言うから・・・」  
「あれは『良い』って意味なんですーっ!」  
 
 そうなの?  
 
「もー・・・っっ せっかく初めてだったのにぃ・・・」  
 
 自分の手をゴニョゴニョやってる加奈ちゃんがもの凄く可愛かったけど・・・そんな状況じゃないな・・・。  
 って言うか初めてだったのか・・・。ちと嬉しい・・・かのぅ・・・?  
 
「多分・・・この時間でもラブホやってるよ。ベッドの上でまた続きしたい・・・」  
「・・・・・・反省してます?」  
「してる」  
「じゃあ『ポチョムキン』って言ってキスしてください」  
 
 ・・・・・・。  
 
「ポチョムキン・・・」  
 
 
   ・ ・ ・  
 
 
 街はこの時間でも多少の賑わいがあった。HOTEL『MADEMOISELLE』・・・。  
 まったく・・・マドモアゼルはフランス語だ。  
 
 クイックイッとオレの服の袖を加奈ちゃんが引っ張った。  
 
「あ、あの・・・」  
「ん・・・? あ、加奈ちゃん、ここで良い?」  
 
 振り向いてみるとなんだか泣きそうな顔でオレを見上げている。怖くなったんだろうか・・・?  
 オレは「大丈夫・・・」と一言言って加奈ちゃんの手を繋いだ。うん、我ながらかっこいいぞ。  
 
「あの・・・そうじゃなくて・・・」  
「・・・何?」  
 
 
 ・・・・・・?  
 
 
「ブラ・・・公園に忘れてきました・・・」  
 
 
   ・ ・ ・  
 
 
 結局その日はパワフル中央公園に戻ってブラジャー捕獲。ホテル、というか初体験はまだまだ先のことになりそうです。  
 
 
 Fin  
 

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