「あう・・・、やめてみずき・・・」  
「あはは、センパイのおしり、すごーく締りが良いよぉ」  
 
 お風呂に響く2人の声が瑞々しく聞こえてくる。みずきちゃんが何か悪戯しているんだろう。あれだけ溺愛していた自分のセンパイと一緒にお風呂だ。  
 まあもっとも、今の精神状態のみずきちゃんでは、そこにいるあおいちゃんがそれこそ自分の玩具としてすら映っていることだろう。  
 
 あとで見に行ってやるか、とか思いながらテレビのリモコンを取った。チャンネルを回していくと近年治安の悪い日本の姿が、マスメディアによってその裸を曝け出されているのだ。  
 殺人、自殺、事故、賄賂とさまざまだ。これで日本は戦争放棄なんて掲げて自国は安全です、だなんてよく言えたもんだ。  
 
 ハッと目を引いたのは、『女児誘拐猥褻事件』というタイトルを右上に、専門家があれこれ言ってるニュース番組だ。そこでチャンネルを回していた親指が放れ、テーブルにリモコンを放り投げるように置いた。  
 
「はは・・・オレも同じようなことしてるんだよな」  
 
 そう、解かっている。自覚はしている。オレは犯罪者だ。やっぱり現実に返ってきてみるとこんなもんか、と、テーブルの上にある今朝の新聞に目をやる。新聞の一面に載るのはざっとこんな感じか?『プロ野球選手 パワフルズ 小波 強制強姦罪で逮捕』  
 
 結局オレはプロ野球選手という仮面を被った犯罪者に過ぎない。  
 
 
 全部が全部、みずきちゃんのこの言葉で始まった。  
 
『あたし知ってるんですよ、小波センパイが病院の先生に違法な手術受けてること』  
 
 不敵な笑みを浮かべるみずきちゃんに対し、図星を突かれ内心ビクビクしていたオレ。  
 ダイジョーブというドイツの博士に肉体改造手術を受けたことがある。その年はオレにとって成績がグンと上がった年で、チームメートの福家選手と対等に肩を並べられるほどのHRバッターとして、パワフルズの3番を任された。  
 
『何で他球団のみずきちゃんが知ってるんだい・・・?』  
『何ででしょうね〜、まあ、センパイのおかげであおいセンパイと仲直りできたわけですし、あたしはセンパイをマスコミに売っちゃうような真似はしませんよぉ』  
 
 そう淡々と妖艶をまとっている少女は言い放った。  
 
 この目は絶対に何か企んでる目に違いないな、と、もし口止め料払えとか、自分からは安打するなとか、飲める条件は飲む覚悟はできていた。マスコミに売られて解雇になるくらいならこちらの方が全然良いだろう。  
 が、みずきちゃんから出された口止めの条件はオレにとってとんでもないことだった。  
 
『あたしの『物』になってください』  
『は・・・?』  
『ふふ、解かりませんか?あたしの言うことなら何でも聞く奴隷になってください、って言ってるんです。ふふふ、光栄に思ってください、あたしの命令1つでセンパイはMになるんです。それって凄くゾクゾクしません?』  
 
 表情を変えず、先ほどと同じような淡々とした口調で、さも嬉しそうにそう言った。  
 オレは橘みずきという女の子を疑った。オレの知っている限り、みずきちゃんは人を贔屓したりするところはあっても、決して人道から外れたことはしない子だと思っていた。というオレも、今は非人道的なことしてるんだが・・・。  
 
 だが、どうしても『人の言いなりになる』ということに対して、オレのプライドがそれを許さない。プロ野球選手としての面子をぶち壊す、女の子の足元に這い蹲って性を強請ったりするのか?  
 
 
 ふざけろ。  
 
 ・・・ふざけろよ・・・、橘みずき。  
 
 
 怒りがこみ上げる。オレを奴隷にしたいならオレの奴隷になってみろ。オレの意思と自分の意思が交差する中で、もしそいつに打ち勝てたら奴隷にでも何でも、ブタ箱にでも何でも喜んで入ってやろうじゃないか。  
 
 
『逆にオレが人道から外れようが、知ったこっちゃない。  
              オフシーズンの暇つぶし程度にみずきちゃん、君をぶち壊してあげるよ。』  
 
 
 ――思えば、壊れたのはオレの方だったのかもしれない―――・・・。  
 
 
 みずきちゃんをレイプした時、あの精神状態になるまで、丸3日間監禁し強姦し続けたあと襲ってきたのは、どうしようもない罪悪感。  
 壊れたみずきちゃんを受け入れるのは2時間もかからなかったが、その罪悪感を振り払うのに1週間かかった。  
 
 彼女その者の人格が壊れていなかった事だけが幸いだった。自分はこの犯罪者によってレイプされたというのに、その犯罪者を『初体験の人』として認識し始めていることだった。  
 オレのどんなに激しい攻めにも、SMさながらの痛々しい強姦にもみずきちゃんは耐え、オレを満足させ、オレに好意を寄せていた。  
 きっと『奴隷になってくれ』っていうのも、もともとみずきちゃんが持つオレへの好意だろう。みずきちゃんなりに、オレを自分だけの物にしたかっただけなのかもしれない。いろいろ不器用な女の子だと言うことは前々から知っていたから。  
 
 そう、あの言葉はただの愛情表現に過ぎなかったということだ・・・。  
 気づいてやれれば、と何度も後悔したがもう遅い。みずきちゃんを嬲る日々に変わりはない。はずだった。  
 
 
 そんなオレに次の第二派が襲う。  
 
 
 あおいちゃんの存在だ。  
 
 昨年のオフシーズン中も、仲直りしてからはずっと一緒にいた彼女だからこそ、だろう。恐らくみずきちゃんが家に居ないことや、携帯が繋がらないことを不信に思ったに違いない。  
 旅行に行っているのだろうとでも思ってくれれば良かったのだが、あおいちゃんはそれを否定した。無理もないだろう。暇があればいつも隣にいた女の子が、自分に連絡も無しに旅行に行くなんて考えられなかったのだ。  
 
 それを知ったのが一昨日のこと。  
 どうやら、あおいちゃんはオレの不可解な行動を不審に思ったらしい。というのも、昨年のオフシーズンは小学校の旧グラウンドに出て毎日練習していたのが、今年のオフシーズンはそれが全くだ。  
 
 ただ1つの誤算がそれ。  
 
 
 昨日家に来たあおいちゃんと話していた。最初は他愛のない世間話だったのだが、徐々にそれがみずきちゃんのことに変わっていった。  
 そしてポツリと彼女の口を付いて出るこの問いかけがオレを再び狂わせる。  
 
 
『ねえ、みずきどこへやったの?』  
 
 
 確信していたんだろう。オレが彼女を家に泊めていること。オレがみずきちゃんをどうしたとかじゃなく、確信して敢えてどこへやったのかを聞いたのは、オレが否定でもすればこの部屋を片っ端から探し始めるつもりだったからだろう。  
 
 みずきちゃんの変わりようを見れば、オレが彼女をレイプしたことは見て解かること。例えみずきちゃんが『違いますよ』と証言しても、あおいちゃん間違いなく警察になり何なり、受話器を取るに違いない。  
 証拠不十分でオレを法的に裁けずとも、少なくともオレは球界全体から酷くバッシングを受ける。人気もガタ落ちだ。  
 
 あおいちゃんを陥れるしかなかった。オレに好意を持っているいないに関わらず・・・。  
 
 
『何のことだよ・・・』  
 
 オレはまるで知らない振りをして立ち上がり、キッチンに立ってコップにお茶を入れ、それを一飲みした。あおいちゃんから飛んでくる視線がオレの鼓動を早くする。考えろ、考えろよオレ、と、何度も繰り返す。  
 目に入ってきた物は整体クリニックの外科医の先生にもらった、生体実験用の新薬だ。  
 
『(はは・・・これだよ)』  
 
 新薬とは言っても、飲んですぐに効力が出るのではなく、カプセルにして胃に入ってからジワジワと眠気を催す睡眠薬。不眠症患者なんかに使う予定なんだろう。これしかなかった。無理に襲って逃げられたりでもしたら、オレの人生後先真っ暗。  
 即効性を持たせるためカプセルを空け、中の粉だけをお茶の中に混ぜた。  
 
『何してるの・・・?』  
『あ、ごめん、みずきちゃんのことだよね。オレホントに知らないんだよ』  
『ウソ、絶対小波くん知ってるでしょ。言って、みずきをどこへやったのか・・・!』  
 
 少しヒステリックな声を上げた彼女に内心ビビりながらも、どこか心の奥底はワクワクしていたに違いない。みずきちゃんに続いてあおいちゃんまでオレが嬲るわけだ。球界のアイドル2人を、だ・・・。  
 
『ちょ、ちょっと待ってよ・・・落ち着いてよ。はい、これ』  
『ねぇ・・・さっき何か入れた、でしょ?』  
『はぁ・・・そう思うなら飲まなきゃ良いよ。とにかく、オレはみずきちゃんは知らないよ』  
 
 飽く迄臨機応変に。動揺の汗1つ見せないオレと対角線上にいる、疑いの視線を飛ばし続けている自分とを比較したんだろう。  
 あおいちゃんがコップを手に取り、その中のお茶を一口だけ口に含んで毒見し、安全だと認識したのか分からないが、お茶を一気に飲み干した。  
 
 中に浮いていた氷がだらしなく寄り添いあっている。  
 オレは立ち上がってあおいちゃんに近づいた。  
 
『や、何・・・』  
『あおいちゃんもみずきちゃんと同じようにしてあげる』  
『な・・・!やっぱり小波くんみずきを!どこ!?みずきはここにいるんでしょ!?』  
 
 オレをシャットアウトするような瞳に、吊り上った眉毛。それらが一瞬揺らいだ。  
 
 あおいちゃんを強引に抱き寄せ、両手が使えないよう左腕でロックし、右手をあおいちゃんのトレーナーの中に潜り込ませた。  
 
『え、あ!いやぁ!!』  
 
 腕の中でバタバタと暴れるが相当強い力でロックしているため、得意のグーすら飛んでこない。  
 右手であおいちゃんの肌をまさぐっていく。思ったとおり、あおいちゃんはかなり極端な『貧乳』だ。ユニフォーム着ててもそれほど出ていない胸は、サラシでも巻いてあるものだとばかり思っていたのだが、私服の時までまな板というのは如何なものかと思っていた。  
 
 付ける必要性が全く解からないブラジャーなんて、生地の手触りといいまるで子供のものじゃないか。  
 
『胸小さいね』  
『やめてぇ!離してぇ・・・!』  
 
 ブラジャーの中に手を入れていく。円を描くように乳首を中指で擦りつけると、あおいちゃんが「は・・・ぁっ」と生暖かい吐息を吐いて涙目になっている。中指から伝わってくる感触は間違いなくコリコリと硬くなった乳首。  
 女の子の乳首は性的に興奮してるしてないに関わらず、外部からの刺激があると硬くなる。  
 
 胸の感度が高いのか、思うように力が入らないらしく、フルフルと身体が小刻みに震えている。  
 
 オレは丁度良い所にあった荷造り用のガムテープを素早く手に取り、あおいちゃんの両手をグルグル巻きにする。防音処理してあって特に意味は無いが、五月蝿くなりそうなので口にも1枚貼っておく。  
 
『んー!!』  
 
 首を振って嫌々をするが、そんなことはお構い無しにあおいちゃんをソファに突き飛ばす。両手が使えないため、かなり勢い余ってソファに尻餅でもつくように倒れこんだ。  
 オレはその上から覆い被さり、あおいちゃんのトレーナーとブラジャーをたくし上げて腕を背中に回し、軽く抱きしめあおいちゃんの乳首に吸い付いた。  
 
 薬の服用からくる睡魔が襲う頃にはあおいちゃんはすでに全裸だった。傍には破かれたトレーナーと、ホック金具が変形してしまったブラジャー、あと下半身の履物がセットになって散らばっている。  
 『世の男性ファンのお宝だな、こりゃ・・・』とか思いつつ、あおいちゃんの首筋にキスしていく。  
 
 さすがにもう必要のない口のガムテープをベリッと剥がし、その唇にオレの唇を押し当てる。ガムテープの臭いが鼻についたが気にならず、あおいちゃんの唾液を絡め取るように、口内で舌を躍らせる。  
 あおいちゃんは抵抗したいに違いないが眠くて堪らないらしく、もうオレの行為を大人しく受け止め操られているマリオネットのようになっていた。  
 
 
『ふふ、おやすみ、あおいちゃん』  
 
 良い夢見なよ、と心の中であざ笑う。  
 あおいちゃんはそのまま、闇の中へと堕ちていった。  
 
 しばらくその身体で遊んでやったあと、オレは彼女を縛っていく。みずきちゃんの手を借りながら・・・。  
 
 
 オレはあおいちゃんの喘ぎ声が響く風呂場のドアを開ける。歯を食いしばってみずきちゃんの攻めに喘ぐあおいちゃんと、「ほら、見て見て、センパイ」とみずきちゃんがオレの方を向いて、楽しそうに笑顔であおいちゃんを弄っている。  
 
 解いた髪が塗れて肩にかかり、2人とも中々色っぽい。ただ、オレにはそんなことどうでも良く、嬲られるあおいちゃんを見て嘲笑った。  
 
「えらく気持ち良さそうだね」  
「んぅ・・・、そん、なわけ・・・ないじゃない・・・!」  
 
 壁に手を付き、跪いてお尻をみずきちゃんの方へ向ける体制をとっている。みずきちゃんの手はあおいちゃんの股間部に宛がられていた。その体制を見て一目で解かる。あおいちゃんが嬲られているのはヴァギナではなく肛門の方だ。  
 
 見ればみずきちゃんの人差し指が深々と付け根のところまで埋まっている。あおいちゃんが歯を食いしばっているのは処女喪失の痛みではなく、肛門挿入からくる苦痛。  
 
「小波く・・・!みずき・・・、を・・・っやめさ、せ・・・ひう!あ!ぐっ・・・!」  
 
 そのあおいちゃんの言葉を聞いていたみずきちゃんが、ジィッとあおいちゃんを睨んだのと同時に、みずきちゃんの人差し指が第一関節までズズッと引き抜かれたかと思うと、また勢い良く付け根まで挿入される。  
 
 涙をホロホロと流し始めたあおいちゃんに対し、みずきちゃんの人差し指の動きは止まらず、中でグリグリと掻き回したり、挿入、引抜を繰り返す。  
 
「良かったねあおいちゃん、お尻の穴の初体験の相手が大好きな後輩となんて」  
「センパイのここ、キュウキュウって締め付けてくるんですよぉ」  
 
 そう言ってみずきちゃんは根本から勢い良く引き抜いた。  
 
「ぁあ!!」  
 
 その瞬間あおいちゃんの身体が仰け反る。  
 
 肛門から太股へと粘液が伝い、アナルがヒクヒクとヒクついている。「ぅぅう・・・」と俯き涙を流し続けるあおいちゃんを尻目に、「あは、センパイのお汁汚ぁ〜い」とワザとあおいちゃんに恥辱を与えているみずきちゃん。  
 
「酷い・・・ぅ・・・っ、ヒック・・・っ、酷いよ・・・小波くん・・・」  
 
 酷いのはみずきちゃんじゃないの、と聞こうと思ったが口をつむいだ。折角だからオレも楽しませてもらおうかと、オレはファスナーを下ろしペニスを取り出した。  
 
 跪くあおいちゃんの上体を支え、ペニスをアナルに宛がった。  
 
「え・・・待って・・・、いや・・・!やめて!」  
「充分ほぐれただろ?」  
 
 暴れようとしているのだろうが、もはやオレが上体を支えなくてはならないほど脱力しているあおいちゃんにとって、首を振って嫌々をするのがやっとのこと。亀頭がアナルに触れると、みずきちゃんが「良いなぁー・・・」と指を咥えている。  
 
 みずきちゃんは前の穴で何回もやったじゃないか・・・。  
 
 グッと力を込める。亀頭の先っぽがアナルに埋まったところで、あおいちゃんが青ざめて訴えかけてきた。  
 
「や、やめてぇ!小波くん!他の事なら何でも言うこと聞くから・・・!!それだけはお願い!」  
 
 それを聞いてニイッと笑う。何でも言うことを聞く、それは即ち、オレのマリオネットになることを了承したことに等しい。  
 
「何でも言うこと聞いてくれるんだね?」  
「聞く!聞きます、聞きますから・・・!お願い・・・小波くん・・・、それだけは・・・」  
 
 どうやらアナルに挿入されるのが怖いのか、オレが亀頭の先を抜くとあおいちゃんが安堵の溜息をつき、そしてまた脱力した。  
 
 あおいちゃんを抱きかかえ正面を向かせて床に寝かせた。  
 
「何を・・・するの・・・?」  
「別にオレは何も。するのはあおいちゃん。オレの前でオナニーして見せてよ」  
 
 えっ、とオレを見上げる。「ここでするの・・・?」という問いかけに、オレは冷ややかに「嫌ならお尻の穴こっち向けなよ」と言い放つが、ブンブンと首を横に振った。そりゃあ、アナル挿入よりオナニーの方が楽だよな。  
 
 ただ、あおいちゃんが気にしているのは、みずきちゃんが見ている前で自慰なんて、恥ずかしくてできないということ。  
 
 何を今更、と思いつつも、オレは「早くしないと無理矢理アナルセックスだよ」と言うと、顔を赤らめ、たじたじ自分の股間に手を触れた。  
 
「はぁ・・・っっ」  
 
 触れた瞬間、あおいちゃんの身体が仰け反り、ビクビクと軽く痙攣した。一瞬どうしたのかと思ったが、どうやら指が突起に触れただけで軽く達してしまったらしい。  
 
 綺麗な穢れの無いピンク色をしたヴァギナを見れば、男の経験が無いことは大体察しがついたが、少なくとも自慰くらいは何度もしているものだと思っていた。この反応を見る限り、自慰経験はあってもその数はたかがしれている。  
 
「あ・・・んぅ・・・」  
「気持ち良いかい?」  
 
 そんなわけ・・・、と小さく呟くその声も風呂場ではよく響く。  
 
 慣れない手付きで股間の突起を指で擦るのだが、少ない自慰経験ではそれほど快感が伝わってこないらしい。というか、快感を自分に与える術を殆ど知らないのだから、当然と言えば当然だろう。  
 
「あおいちゃん、セックスの経験は?」  
「・・・は・・・ぁ・・・、な、ぃ・・・に、決まってるじゃなぃ・・・っ」  
「今までオナニーした回数は?」  
「し・・・知らないよ・・・!ぁ・・・、んっ、ん・・・っ」  
 
 オレの卑猥な質問に赤面しながらも健気に答える姿が可愛いじゃないか、とさえ思う。  
 
 その返答から男性経験はないし、『知らない』という言葉から想像すると、あおいちゃんの場合、『自慰しすぎて覚えていない』というよりもむしろ、数が少ないからこそその時の状況をより鮮明に『記憶している』ようにさえ見える。  
 
 つまり何回したか覚えていることに対して、あおいちゃんなりに恥ずかしかったんだろう。  
 
 26にもなって男の経験が無いことも問題だが、その歳で自慰経験が殆ど無い事こそ本当の問題だとは思う。みずきちゃんも確かに処女ではあったけれども、女の子として自分を慰める方法をちゃんと知っている。  
 
「オレがもっとちゃんとしたオナニー教えてあげる」  
 
 そう言ってあおいちゃんを抱きかかえて浴槽にしてあるフタの上に腰を下ろし、あおいちゃんを股の間に座らせる。抵抗する様子も無い。  
 
 みずきちゃんが指を咥えて羨ましそうにしているのを尻目に、あおいちゃんの股間に手を潜り込ませていく。「ぁは・・・っ」と、オレの手が突起に触れた瞬間、軽く身体が仰け反った。  
 
「感じた?」  
「そ!そんなわけ・・・!!」  
 
 ないじゃない、と言うより先にオレの指があおいちゃんのヴァギナに侵入していく。  
 
「あぅ・・・!」  
 
 処女膜を傷つけないよう第一関節ほどしか挿入していない。中指と薬指をねっとりした愛液が飲み込んでいく。空いたもう一方の手でその上部にある突起を指で擦る。すると、僅かではあるがあおいちゃんが可愛く喘ぎだした。  
 
「ぁ・・・ん・・・」  
「ふふふ、気持ち良い?」  
 
 そう耳元で囁くと、殺していた声を出してしまいそうなのか、何も言わずただ頭をふるふると振るだけだった。  
 
 それがあおいちゃんらしい。強がっているからこそもっともっと虐めて、その『どこまでその強がりが...』なんて言ってみたい。まあそれもあおいちゃんの我慢に寄るんだけど。  
 
「あ・・・ぁ・・・、ぁっ・・・だ、め・・・」  
「ほら、あおいちゃんのココ、エッチなお汁で濡れてるよ」  
「やぁ・・・ちが、う・・・、そん、な、の・・・違う・・・っ、お風呂の・・・お湯・・・、ひぃ!!」  
 
 通るはずのない言い訳も言わせず指で擦っていた突起を、今度は人差し指と親指で軽くこねあげると、あおいちゃんの後頭部が大きくオレに向かって後ろに大きく反れた。  
 
 イった訳ではなく感じたのだ。今あおいちゃんは間違いなく、快感をその身に味わったのだ。  
 
 オレはその僅かな反応を見逃さない。同じように突起を指でつまんでクニクニとこねてみたり、人差し指で突起を擦ったりすると、やはりあおいちゃんは今まで以上にトーンの高い声で喘いでいる。  
 
「あ・・・!んっ、だ、だめぇ・・・!」  
「ふふ、さっきより随分濡れてきた・・・、感じてるんだね・・・、可愛いよ」  
「やぁ・・・!だめ・・・、こんなの・・・ボクじゃない・・・!」  
 
 やっと認めだした。あおいちゃん自信は認めたくはないのだろうが、『ボクじゃない』と言ってしまえば、もうそれは必然的に感じていることを認めた証になる。  
 
 あおいちゃんの生暖かい吐息が冷たい外気にふれて白く変わっていく。  
 
 第一関節まで入れている指を軽く円を描きながら挿入と引抜を繰り返しつつ、突起をこねられたり擦られたり。どんな女の子だってこの2つを同時に、断続的に弄ばれれば、その身に与えられる快感に嫌でも認めざるを得なくなるだろう。  
 
「このままイかせてあげるから、素直にその快感を受け入れるんだよ・・・?」  
 
「こな、み、くん・・・お願い・・・っ、やめてぇ・・・!変に・・・ぁ、は・・・っなっちゃうよぉ・・・っ」  
 
 抵抗する余力も残っていないあおいちゃんなら、絶頂を味わうことで多少は精神状態を狂わすことができるかもしれない。『もうどうでも良い』思考をあおいちゃんが抱くことで、オレの行為を大人しく受け入れるようにくらいはなるだろうと思う。  
 
「変になって良いよ、みずきちゃんもイクときは今のあおいちゃんと同じだったんだから」  
「・・・んぅ・・・っ、ほ、ほんとぅ・・・?」  
「うん、気持ち良いときは変になって良んだよ、自分に素直になって良いの」  
 
 あおいちゃんに安心感を与えるよう、優しい口調で言う。自分1人がこんな目にあっている、と考えれば、経験の少ないあおいちゃんには苦痛だったかもしれない。  
 
 が、みずきちゃんという自分と同じ境遇に立たされた人物もまた、自分と同じことを考えていたんだと知ってしまえば、それはとてつもない安堵感をその人物に与える。  
 
 そして人間ってのは本当にどうしようも無い時、必ず自分にとって楽な道を選択するらしい。追い詰められた今のあおいちゃんにとっての『楽な道』とは、みずきちゃんと同じになること。自分もみずきちゃんと同じだと認識すること他ならない。  
 
 仲間がいれば安心、そういう意味。  
 
「みずきも・・・、あ、ん・・・、ボクと・・・、同じだったの・・・?変になって良いの・・・?」  
「そうだよ、あおいちゃんもみずきちゃんと同じさ」  
「・・・・・、こな・・・み、くん・・・お願い・・・」  
 
 ほんと、今日は『お願い』って言葉をよく聞くなぁ、と思いつつ、「なぁに?」と、今度は『あおいちゃんのお望みを叶えてやっても良いよ』と言うような口調でたずねた。  
 
「イきたいの・・・もっとしてほしいの・・・」  
「オレで良いの?」  
「良いの・・・っ、小波くんが良いの・・・っっ、もっと・・・、して、ほしい・・・」  
 
 
 堕ちた。  
 
 
 今間違いなくあおいちゃんは堕ちた。オレの口から笑みがこぼれる。可愛すぎだよあおいちゃん。みずきちゃんの時のように精神状態を不安定にさせることなく、あおいちゃんの方からして欲しいと求めてきた。  
 
 それはもう自らオレの物になると言ったに等しい。  
 
「それじゃあ・・・もう遠慮はしないよ・・・!」  
 
 挿入と引抜を繰り返し、突起を擦りつけていた両手の指の速度を上げる。もうすでに途中まで込み上げている絶頂感を、無理矢理引っ張り出す・・・!  
 
 あおいちゃんの喘ぎ声がさっきとは比にならない。普段彼女が見せない『女の子』が曝け出される。そこから出てくる愛液にオレの指がふやけてくる。  
 
「あ!あっ、ああっ!こ、こなみくっ・・・!!」  
 
 あおいちゃんはもうその身に与えられる快感を全て受け入れてしまう。快感が全身を駆け巡る度、あおいちゃんはその快感を素直に『快楽』として認識する。  
 
「もっとぉ!ほしいの・・・!!激しくしてほしいのぉ・・・!!」  
 
 二の腕が痛くなるくらいヴァギナへの挿入と引抜の速度を速め、突起に関してはこね上げるだけではもう間に合わず、指に力を込めてグニグニと握りつぶし、少し痛みすら感じさせるくらいに激しく愛撫を繰り返した。  
 
「も、もう・・・!もう・・・!!だ、めぇ・・・っっ、くる・・・!何かくるぅ!!」  
 
 風呂場にあおいちゃんの声が響き渡る。  
 
「イっちまえ・・・!」  
 
 言って突起を捻り引っ張りあげてやった。  
 
「んぁああっっ!!」  
 
 大きく身体が仰け反った後、力の抜けた身体がオレに抱き寄せられる。オレの腕の中でぐったりと項垂れ、荒く色っぽい息遣いで肩が上下に動いている。  
 
 これでもう、あおいちゃんもオレの物・・・。  
 
 腕の中で僅かにあおいちゃんが「こなみくん・・・」と呟いた。そして気絶する刹那に口から漏れるように出た、あおいちゃんの声。  
 
 
 ――だ、ぃ・・・、す・・・、き・・・・・・  
 
 
 荒い呼吸に消えていったその声は、みずきちゃんも、もちろんオレも気づくことはなかった。ただ、気絶したその表情はどこか、幸せそうな笑みを浮かべているような気もした。  
 
 
 続く(かどうか微妙)  

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