『長すぎるオフシーズンの退屈しのぎ』
「こんなこと、して・・・ただで、済むとで、も・・・っ!」
「おいおい、そんな格好で言われても迫力ないぜ、あおいちゃん」
1人座るのがやっとの、どこにでも売ってそうな安物のソファーに座らせたあおいちゃんの身体の自由を奪っていた。
夜這いという訳ではないが、寝込みに縛り付けたので同じようなものかもしれない。
スヤスヤ寝息を立てる彼女の服を剥ぎ、手を後方で縛りつけ固定し足はM字開脚。引っ掛けるところの無い胸、ついでに腹から腰にかけての上体をソファに縛りつけた。
目を覚ませばあおいちゃんはオレの性欲の為の見せ物というわけだ。不敵な面構えは彼女のもともと持っている男嫌いの性格の所為だろう。
「この縄をほどいて!」
「バカだね。はいそーですねと解放するくらいなら縛ったりしないよ」
オレを捉える目が憎悪に変わっている。
くくく、そうだ、その目だよあおいちゃん。その目にオレは惚れたんだ。男を毛嫌いするその目に。
もっと睨め。オレに憎悪を抱け。
一歩彼女に踏み寄る。バタバタとソファの上で暴れているが、まともに抵抗しているように見えるのは頭だけだ。
「いや!近寄らないで!誰か!助けてぇ!!」
オレには五月蝿いがここは防音処理が施されている住宅マンションだ。隣部屋の順人には蚊の鳴くような声にしか耳に入ってこない。
憎悪をまとった蛇のような眼つきでオレを威嚇する。
もう一歩踏み寄ると、その緑がかった長い黒髪を揺らし、イヤイヤをする。
オレは彼女の下腹部に手のひらを沿え、グッと押さえつけ圧迫感を与える。「グゥッ・・・!」と声を上げ、眼つきが少し穏やかになる。オレが押さえつけたのは丁度膀胱のある辺り。
「なんだったらここで漏らしても良いよ」
「な・・・!」
あおいちゃんが感じているのはまぎれもない、尿意だ。朝起きるとトイレが近くなるのと似たようなものだ。
ググッとさらに腕に力を込める。「あぐっ!」と強張った表情。頬が引き攣り白い歯が見える。犬歯がギリギリと擦れるような歯軋りになり、どうやらそれで声を殺しているらしい。
フローリングの床は掃除するのが簡単で良い。別にここでぶちまけられてもオレは全然構わなかった。
なんだったら浣腸して排泄物全部、出すもん全部出してもらおうかとさえ思ったが、流石にオレはそこらへん、思っても実行するほど鬼じゃない。
が、あおいちゃんを精神的に追い詰めてやるのには丁度良い。
「浣腸もしてあげようか、すっきりして気持ち良いと思うよ」
「い、いや!!やめてぇ!」
案の定、あおいちゃんは拒否。まあここで肯定するようなら、そんな淫乱な女は街中へ下着すら付けさせない全裸で1人にしてやるが。
キャットハンズのアイドルみたいなもんだ。世間はどう騒ぐかな?くくく、想像しただけでも恐ろしい。
とまあ、そんなバカなことはしないさ。あとであおいちゃんの証言でオレにもそのとばっちりが来るし。
そんなオレのポケットからイチジク浣腸。まあ一般に使われる、排泄物をドロドロにして出やすくする下剤だ。それをあおいちゃんの目の前でチラつかせる。
「や、やめて・・・」
ニヤッとオレが微笑すると、あおいちゃんの表情はみるみるうちにオレに対しての威嚇から恐怖に変わっていた。本当に浣腸される、と、頭を過ぎったのだろう。無駄だと分かっていてもその身体はバタバタとまた暴れだした。
M字開脚によってアソコもアナルも丸見えだ。不揃いに生えた陰毛が緑がかっている。やはりあおいちゃんの髪の色は地毛のようだ。
その陰毛を撫でる。26にもなっているくせに、身体はまだまだガキだ。それをあざ笑う。
「触るなぁ・・・!」
「五月蝿い」
オレは平手でそこだけ挑発的にオレに顔を向けているあおいちゃんのお尻をバシンッと叩いた。
「ひぐぅ・・・!」
「良んだよ、別に。ここで全部ぶちまけられても」
そう言ってツンツンと浣腸の抽出部分でアナルを軽く小突く。「いやぁ・・・」と目に涙を溜めているが、そんな雫一滴でオレの心は動かせないぞ、あおいちゃん。
アナルにツプッと抽出部分が挿入される。と突然、あおいちゃんがまた暴れだした。
「いや!いやぁ!!お願いやめて!!」
ヒステリックな声を上げて断固拒否し続けるが、束縛されているあおいちゃんにはもはや言葉でしかオレから抵抗することが出来ない。
ズズッと抽出部分を入るところまで入れた。
あおいちゃんは諦めたように大人しくなった。そしてひっくひっくとしゃくりあげるような声で泣いた。
精神的に追い詰めることが今最も優先されること。涙を流すであろうことはすでに予想済みだった。
「あとはこの液体入れるだけなんだけど」
「ふ・・・っ、ひっく・・・ぅ、ひっく・・・っ」
「1つだけチャンスをあげる」
「え?」っと期待、いや、不安の方が近いかもしれない声を上げ、涙を含んだ何かに縋るような目でオレを見上げた。
チャンスと口では言っているものの、もちろんこれは精神的に追い詰めるためのオレの策だ。
「あおいちゃんがオレのすることに大人しくしていてくれれば浣腸は入れないし、おしっこするのにトイレに行かせてあげる」
「あ・・・」
「でも、もしそれが出来ないようならここで排泄物をぶちまけてもらうよ。まあ床がカーペットじゃないだけ掃除は楽だから、オレは全然構わないよ」
言い終えてオレは最後に「どうする?」とだけ聞いた。
オレはポケットからまたアイテムを取り出した。携帯電話だ。
最近の携帯電話はとても機能豊富で、そんなもんつけなくても良いだろと思うような機能まで付いているのが魅力だ。
ディスプレイを90度曲げ、カメラ機能を起動させる。
「脅しじゃないけど、折角だから排泄するシーン撮っとくね」
「そんな・・・っ」
これであおいちゃんは、『ここままじゃ自分は絶対浣腸される』というイメージが強くなる。
それを回避するには?条件を飲むこと。条件を飲んだら自分はどうなるんだろう?でもそんな恥ずかしい思いをしないで済むなら・・・。
などとあおいちゃんの頭の中では思考回路が幾多にも別れて張り巡らされていることだろう。だがどんな並列回路でさえ、行き着く最後の銅線はたった1つだということを理解させるには難しいことではない。
「10秒以内に答えだしてね」
オレは浣腸のつまみを指でつまんだ。返答によっては本当に注入するかもしれない。
だが、もうあおいちゃんの答えは決まっているのだ。
時間を加えることによって焦り、戸惑い、そして出てくる答えは自分の本音でしかない。
「9・・・8・・・7・・・ろ――・・・」
『6』を言おうとしたその時だ。大きく息を吸い込んだあおいちゃんがオレに訴えかけた。
「言うこと聞きます!!お願い許してぇ!!」
「ふふふ」
浣腸をズルッと抜いてやった。あおいちゃんの顔が安堵の表情に変わった。オレはあおいちゃんの頬に手を沿え、目尻の涙を拭ってやった。
「あとであれは嘘でした、なんて言おうものなら・・・」
オレはパチンッと指を鳴らした。
「そ、そんな・・・」
その部屋に入ってきた人物。首には首輪、手足には鎖でつながった手枷と足枷がはめられた姿で、その女の子はモジモジとオレとあおいちゃんの前にその全裸を晒した。
あおいちゃんの表情は安どの表情からみるみるうちに絶望の表情に変わる。そして疑いにも似た声が漏れる。
それは自分が普段から良く知る人物。
自分のことを本当の姉のように好いてくれ、いつも一緒に練習していた人物。
可愛くて可愛くてつい抱きしめてしまいたくなる、自分に似た野球好きな女の子。
「みず・・・き・・・?」
1年の3分の1、『オフシーズン』って長すぎる時間を恨むんだな、あおいちゃん。