人の気配が部屋に戻ってくるのを感じたが、下を向いた頭を上げられない。  
…とりあえず、照れくさい。  
 
床を歩く音が、こちらの様子に気付いたのか、ちょっとの間止む。  
けど、又すぐに近づいてきて、俺の横に座ったかと思うと…  
 
「…!ぅわぷっ!?」  
「うふふふ〜♪」  
 
こちらが頭を向けようとするのと同時に、頭を両手で抱えられて引き寄せられる。  
 
バランスを崩し、咄嗟に両手をベッドに付くも、勢いのままに顔は…彼女の胸の中へ。  
 
うわ、柔らかい…いい匂い…  
 
「高坂さん…高坂さん…」  
 
ただひたすらに彼の名前を呼びつつ、両手と胸の間に高坂の頭を埋めてすりすり、ついでに頬も寄せてすりすり。  
一見穏やかな笑顔、だけどその目の輝きが普段に比べて少々強すぎる様子で。  
 
溜まりに溜まった愛情が、先ほどのやりとり、更にはイニシアティブを取ったことによって軽くガス漏れ。  
顔を洗って戻ってきてみると、俯いて困った感じの彼の様子に、好奇心やら母性本能やらが交じり合って、  
 
まとめていっぺんに大爆発。  
 
「…ん‥‥‥と、あの…」  
「あっ…、…うふふ、高坂さん…♪」  
 
その感触の心地よさにしばらく浸るも、どうにか我を取り戻す高坂。  
息は続くものの、幾分か苦しさを感じ、思わず声を上げるも、それに気付いた朋美は、むしろその抱きしめる力を強めてきた。  
 
‥‥‥マズい。  
 
彼女の様子が少々変であること以上に、さっきから自分が主導権を取られっぱなしであることに対し、彼は危機感を覚える。  
 
 
 
 
―――このまま彼女にされっぱなしでは駄目だ。  
…そうだ、一度やられても次の機会でリベンジするのがプロの世界であり、プロの選手だ!  
よし!  
 
 
 
 
明らかに引き合いに出すには間違った信念を胸に、ベッドに付いたままの手を動かした。  
 
『かわいい』『愛しい』『大好き』『彼』といった単語のみで埋め尽くされている状態の朋美の頭の中。  
 
…ふと、彼の頭を抱いている自分の体が、バランスを失って後方へと倒れていくのを感じる。  
 
『…あ、あら…?』体がベッドに倒れ込み、それによって彼女が軽く我に返るのと同時に、高坂の頭を抱く手の力が抜ける。  
それを逃さず、高坂が彼女の胸から抜け出して、朋美を組み敷く形をとった。  
 
…目が合う。  
しばしの静寂。  
 
徐々に、両者に笑みが浮かぶ。  
ただ、その笑みの質は全く異なるもの。  
 
朋美のそれは、これから起こり得るであろう様々な出来事を予想しての、冷や汗交じりの笑い。  
高坂のそれは、これから行えるであろう様々な行為を想像しての、この上なく不敵な笑い。  
 
「あ、あの…高坂さん?」  
「‥‥‥」  
「えーと‥‥‥その、目が「…先ほど、言いましたよね?」はいいっ!?」  
 
完全に形勢逆転。  
さながらそれは、追い詰められた兎と、それをどうやって食べようか算段している狼のような。  
 
「『旦那さんは、奥さんに甘えるのが決まり』…って。  
 
…でも、それだけじゃ駄目ですよね?『夫婦』って。」  
 
今度は高坂の方が、目をギラギラと輝かせていた。  
既に、理性は彼方へ追いやった後の様子。  
 
「お互いに支え合って生きていくから、『夫婦』なんですよ?」  
「‥‥‥あ…」  
 
言ってることは的を得ているし、想い人への台詞としても中々。  
 
「‥‥‥ですから、俺の方でもこれから朋美さんを悦ばせて、気持ちよくしてあげます!」  
「ど、どうしてそうなるんですかぁ〜!」  
 
ただ、その使い方は激しく間違っていた。  
おまけに、当人ですら理解出来ているのか謎な、無理矢理にも程がある論理展開。  
 
…獣になってる男の思考ルーチンなんて、そんなものだけど。  
 
「愛してます、朋美さん。」  
「ぅ。」  
 
それまでの勢いに対して、戸惑い大部分、期待少々といった感じの朋美に、それらの葛藤を一瞬で打ち消してしまう必殺の一言が高坂から発せられる。  
 
「高坂さん…」  
 
あまりに強力な、パートナーからの『愛してます』という言葉。  
 
その言葉に、自然と体の力が抜けていく。  
 
「優しく‥‥‥して下さいね。」  
「はいっ。」  
 
何とも無邪気そうに応じる高坂の言葉に、口元が緩むのを感じつつも目を閉じた。  
 
少しの間を経て、唇が合わさる。  
 
「ん‥‥‥」  
「あむ‥‥‥れる…」  
 
口付け。  
舌と舌を絡め、お互いの睡液を行き来させ、心を一つにする。  
 
他人の心など見える筈がないのに、キスの最中はまるで相手の考えていることが全て伝わってくるみたいで。  
 
「んむ‥‥‥ふ、ぷはぁっ」  
「ん、んん‥‥‥っ?」  
 
そのやりとりを楽しむも、普段よりも早いタイミングで唇を離す高坂。  
それに対し、朋美が顔を上気させながらも不思議そうな表情になる。  
 
「どうか‥‥‥され「あの‥‥‥胸を‥‥‥」‥‥‥あ‥‥‥はいぃ‥‥‥ひゃあっ!?」  
 
何となくバツの悪そうに呟く高坂を何だか可笑しいと心で思いながらも、上着を脱いで乳房を露わにする。  
途端に、片方の胸を手で覆いながら、もう片方の胸にむしゃぶり付く高坂。  
 
「ひ‥‥‥んん…あ、あ、あん」  
 
加減をしながら、柔らかくて大きな胸をぐにぐに、ふにふにと揉む。  
胸の頂上にある、小さな突起をぺろぺろ、ちゅうぅぅと吸う。  
 
我を忘れたかのようにそれをひたすら繰り返す。  
 
「あ、あは…高坂さんてば‥‥‥まるで…や、ああっ、そんなに、したら…ヒッ!?」  
 
その絶え間ない刺激に、最初こそ『赤ちゃんみたい』と思っているも、次第にそうした余裕が無くなっていく朋美。  
気付かない内に尖っていた乳首を、手ではきゅっきゅっ、くりくりと摘まれ、口の方でもより強く弄られる。  
 
「あ、ひゃ‥‥‥あ、そこ、それ、強い、強すぎ‥‥‥だめ、だめ、だめですぅ!ふぁぁぁっ!?」  
 
一気に襲ってきた強い快感に、不意に背中をのけぞらせる彼女。  
同時にそれまでもこんこんと湿っていたパンティに、多くの愛液が吸い取られたのを感じる。  
 
朋美が軽く達したのを感じて、高坂がすっかり睡液でべとべとになった乳房から顔を上げ、聞く。  
 
「気持ち‥‥‥良かったですか?」  
「…ぇ‥‥‥あ、はいぃ‥‥‥ぁ」  
 
いつの間にか、目じりから流れていた涙。  
それを、舌でぺろぺろと舐めとる。  
 
「あ‥‥‥くすぐっ、たいですよぉ。」  
 
彼女が気持ち良さそうにするのを見て、ふと、彼女の白い綺麗な肌に目がいく。  
 
―――美味しそうだ。  
―――汚してしまいたい。  
 
不意に、朋美の肩口に唇を当て、吸う。  
 
「ぁ‥‥‥ゃぁんっ」  
 
その感覚に、思わず嬌声を上げてしまう朋美。  
 
高坂が唇を離すと、そこには彼の口で付けられた跡―――キスマーク。  
 
それを見て、更なる高揚感に襲われる高坂。  
 
「そろそろ…いいですか?」  
 
今すぐにでも入れたい衝動を抑え、確認をとる。  
 
「ぁ‥‥‥ぱんつを‥‥‥」  
 
そう言って、軽く腰を浮かせた彼女のズボンとパンティを剥ぎ取るように脱がせる。  
愛液でてらてらと光る秘所に自身を当て、入り口に少し侵入したところで…  
 
「ぃ‥‥‥ひゃぁぁぁん!」  
「‥‥‥ぅ‥‥‥っ…」  
 
我慢できずに、一息に最奥まで押し込む。  
その衝撃だけで、再びびくびくと震える朋美。  
 
久しぶりの彼女の膣内の感触。  
いきなり動き出すと、達したばかりの彼女と合わせられない。そう考えてしばらく呼吸を落ち着けていると、朋美が言った。  
 
「ぁ‥‥‥高坂さんで‥‥‥いっぱいですぅ…♪  
高坂さん‥‥‥いっぱい動いて…気持ちよくして下さいぃ‥‥‥。」  
 
すっかり快楽に身を預けている様子の彼女。  
ふと、あることを感じて彼女に告げる。  
 
「これからは…朋美さんも『高坂』になるんですよ…。  
 
どうか…『忍』と呼んでくれますか、俺のこと。」  
「ぁぁ‥‥‥はいぃ‥‥‥忍‥‥‥さん」  
「‥‥‥っ!」  
 
その一言を引き金に、律動を開始してしまう。  
 
「ぁ‥‥‥あああ!い…イイ!きもちいいですぅ!」  
 
往復する度に、声を上げて快楽を口にする彼女。  
 
「ああ…忍さん…しのぶさぁん!!」  
 
考えていなかった。  
名前を呼ばれることでの昂り。  
 
普通に上がっていた筈の階段を、二段、三段飛ばしで上がっていくような。  
 
「気持ち‥‥‥イイですか?朋美さんっ…」  
「気持ちいいのぉ!しのぶさんが‥‥‥もっと、もっとぉ!」  
 
昂りが止まらない。  
 
「っ‥‥‥っあああ!」  
「う‥‥‥ううっ!」  
 
先に彼女が達し、膣内を強く締めながら全身を震わす。  
 
その動きにつられるかのように、強烈な射精感。  
自身の勢いに耐えられず、あっけなくスペルマを吐き出す。  
 
「あ‥‥‥あついです‥‥‥あったかいですぅ♪」  
 
射精の感触を、ややかすれた声で嬉しそうに味わう彼女。  
 
その表情がいやらしく、色っぽくて、無意識に顔を近づけ、唇を合わせる。  
 
「んっ…」  
「ふぁ…」  
 
合わせるだけのキスで、又軽く震える彼女。  
 
「忍さん‥‥‥好きぃ…」  
「朋美さん…」  
「しのぶさ‥‥‥あっ…」  
 
幸せそうな顔で、そう呟く彼女。  
‥‥‥その様子に、一度出した筈の分身が、再び血液を帯びて大きくなるのを感じた。  
 
「忍さん…」  
「‥‥‥すいません、もう一回、良いですか?」  
「‥‥‥もぉ‥‥‥えっちですねぇ」  
 
その言葉に、少しばかりカチンとくる高坂。  
何だかその言い方だと、俺だけがえっち…という感じじゃあないですか。  
かくなる上は…  
 
「…え?‥‥‥ぁ、きゃあっ!?」  
「よっ…と」  
 
彼女の背に手を回し、一気に持ち上げつつ自分はベッドに寝転ぶ。  
俗に言う『騎上位』の格好。  
 
「…ぁ…この格好は…」  
 
寝転がった状態で見る、困った様子の彼女の表情。  
整ったプロポーションの体に、普段は留めていて見られない、長く美しい髪。  
ほんのり赤い、汗ばんだ肌と、豊かな胸。  
肩の所には、先ほど付けたキスマークがくっきり。  
 
「…すいません。」  
「ふぇ?‥‥‥ひ、ひゃ、あ、あああ!」  
 
断りの言葉を告げ、腰を掴んで上下の運動を開始。  
不意に刺激を加えられ、訳が分からないままに、それでも快感に嬌声を上げる彼女。  
 
「ひ…だ、駄目です、ダメですぅ!…ぅあっ!?」  
 
容赦の無い突き上げに、あっさり高みに持ち上げられるも、手を高坂の体についていなかった為、上体バランスを崩して彼の胸元に倒れこむ。  
 
「ぁ‥‥‥ごめんなさ‥‥‥やぁぁんっ」  
 
引き締まった胸板に手をついて体を起こそうとする前に、今度は尻をがっしりと掴まれ、さっきよりも激しく突かれる。  
 
上体の力が抜け、彼女はひたすらその快感に耐える以外に無かった。  
 
「あ、ひ…しのぶ…さぁん‥‥‥あ、あん、あんっ」  
 
貫かれて、犯されている秘部、掴まれながらやわやわと揉まれる尻。  
こすり合わされる胸や、高坂の体温と匂い。  
肌を通じて感じる、彼の心臓の音。  
途方もない快楽の中で、彼女が出来たことは…  
 
「ん‥‥‥ちゅ‥‥‥ちゅ…」  
 
先ほど付けられたキスマークを、お返しとばかりに高坂の胸から首元における色んな箇所に付けることだけ。  
 
忍さんに付ける、私の印。  
忍さんは、私だけの忍さん。  
私は、忍さんだけのもの。  
 
「ん‥‥‥しのぶさん‥‥‥わたし、もう…っ」  
「俺も‥‥‥朋美さん、出しますね。」  
「はいぃ‥‥‥いっぱい、出してくださいっ…」  
 
先程の射精した分が、結合部から流れ出して白く泡立つ程に激しいセックス。  
再び、これで最後とばかりに高坂が朋美の最奥部に分身を突き立てる。  
 
限界が見えてこないほど上り詰めたままの彼女の膣内に、二度目とは思えない程の精液を吐き出す。  
 
「‥ぁ‥‥‥はぁぁぁ…ん」  
「うっ‥‥‥っ…」  
 
放出のリズムに合わせ、小刻みに震える朋美。  
収縮する膣の奥に、最後の一滴まで精液を放出する。  
 
力を失った分身を引き抜くと、ごぼりと音を立てて濁った液が出てくる。  
彼女の性器はだらしなく開いたまま、ひくつかせながらそれらを少しずつ放出していた。  
 
抱き合ったまま、二人で並んで横になる。  
 
「朋美さん…」  
「忍‥‥‥さん‥‥‥」  
「俺‥‥‥必ず、朋美さんのこと、幸せにしますから。」  
「わたしも‥‥‥  
 
二人で、みんなで、いっぱいしあわせになりましょうね。」  
 
そう言って、彼女が寝息を立て始める。  
それを見て、高坂も夢の中へと旅立つ。  
 
 
 
 
様々な人生がある。  
環境、家族、社会…誰一人、同一の人生を歩むことはない。  
 
それでも、皆の思いは一緒。  
「幸せな人生を送る」為に、人は生きる。  
 
今が幸福であっても、一寸先は闇。  
明日からも又、日常で起こる出来事は様々。  
 
せめて今は、良い夢を。  
どうか彼等の今後に幸多からんことを‥‥‥  
 
『Crossing Lives』  
              完  
 

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