「遺跡」
ブラブラと、のどかな街中を橘みずきは散歩をしていた。
別にどこかを目指していた訳ではないが、ふと、ある建物の前で足を止めた。
「ああ、これって・・。」
その建物とは最近この町で見つかった謎の遺跡のことである。
その中は暗く、得体の知れないうめき声が聞こえるとの噂だった。
「入れるかな?」
興味が湧き、近づいてみると入口らしき場所は固く閉ざされ、とてもじゃないが入れそうではなかった。
しかし、その近くにトラロープで囲った小さな穴がポツンとあった。
1メートル程しかないその穴を覗き込むと、キーキーとコウモリの鳴き声らしい音がこだまして聞こえた。
「確かにうめき声に聞こえないこともないわね。」
と納得し顔を離そうとした瞬間、
シュルッ..... 「えっ・・!?」
何かが絡みついたような気がした......
ポツーン... ポツーン...
と水滴の音が静かに響いていた。
「ウ・・ ウ〜ン。」
彼女は目を覚ました。
「あっ・・・!! そうか、私・・確か穴から落ちたんだっけ?」
自分の落ちてきた穴を見上げてみるが、あまりにも険しく登れそうもなかった。
何か使える物はないかとバラバラになった荷物を調べる。
「あっ、これは・・・? ろうそくとマッチ?」
それは商店街の福引で、たまたまハズレのティッシュがきれてたので、代わりにもらった物だった。
「なんか、とって付けたような幸運ね。」
と、呆れつつ他の物を探すがバラバラになった拍子に闇に紛れてしまったらしく、この一本しかなかった。
「それじゃーレッツゴー!」
気を取り直し、ゆっくりと歩きはじめた・・。