「野球、もう辞めなさい」  
 保健室に虚しく響く加藤先生の声。窓から差し込む夕日が、それこそ沈んでゆく様子が分  
かるくらいの、長い長い沈黙。先生が冗談でそんなこと言うような人じゃないことは、もう  
知っている。  
 しばらくして、静寂を破るように、飽く迄俺を慰めるかのように、先生は口を開いた。  
「幸いあなたは丈夫な野球肩ができてるから、日常の生活では何ら支障はないわよ」  
 その言葉は余計俺を惨めにさせた。俺はもう野球をしないという前提でものを言うかのよ  
うな、そんな先生の言葉。野球が出来ない身体だということを、俺の意識に直接訴えかける  
先生の言葉。それがどれほど現実味を帯びているのか。  
「野球続けるとどうなりますか・・・?」  
 聞くだけ無駄かもしれない。でも、聞きたい。  
「そうねぇ・・・あなたのその利き腕、いつか一生動かせなくなる日がくるかもね」  
 ある程度予想して覚悟はしていたくせに、聞かなきゃ良かった、なんて、考えたくはな  
かったけど、もう遅かった。  
「骨折とか・・・普通の手術で治せるものならそっちを勧めるんだけど・・・」  
 先生の声は簡単に、左耳から右耳へとぬけていった。  
「あなた責任感とか強そうだから、きっと無理したのね」  
 そういえばとにかく上手くなりたくて、遠投やら10kgバットで素振りやら、腕や肩に負  
担をかけていたかもしれない。ギシギシ痛むこともあったけど、1日2日寝たら治ったので  
病院にも行かなかったし、それ以前に気にすら留めていなかった。  
「いつ激痛に襲われるか私でも分からないの、だから余計に怖いのよ」  
「じゃあ、肩が壊れるまで野球します」  
 もうこれはある意味仕方がないことだと受け止めよう。肩が壊れても、その時はその時、  
自業自得だということで片付けてしまえば良いじゃないか。  
 俺にはあおいちゃん達と一緒に甲子園に行くと、そう誓ったのだから。だから、せめて。  
「ただ生活するだけならもう一本の腕がありますから」  
「本気で言ってるの?」  
 
「本気で言ってますよ」  
 そう言うと先生は「はぁ・・・」と溜息をついて、腕を組み、何か考えるように目を瞑る。  
 
「じゃあ、条件があるわ」  
「条件?」  
「分かっててただ続けさせると私のクビが危ないじゃない」  
 それもそうだ。一応保健室の先生兼野球部顧問なわけだし。  
 先生が真剣な面持ちで、俺の顔をじっと見つめる。先生と目が合う。少し恥ずかしくなっ  
て目を逸らそうとしても、そのまま目線が離れない。ぴったりと、縛られている。  
「うん、あなたなら大丈夫」  
 そう言ってニコッと笑うと、クルッと身体を椅子ごと回転させてパソコンと向かい合い、  
マウスを4、5回カチカチ。そのあとキーボードを指で弾き始めた。  
 なかなか慣れたもので、手元を見ずにカタカタと文字を打っていく先生。  
「何してるんです?」  
「ん〜、もう少し待っててね〜・・・」  
 サラ〜っと流される。先生の横顔を見つめる。やっぱり美人だ。  
 
「はいできた」  
 先生はキーボードを打ち終わると、1回だけ、マウスを弾く。  
 すると印刷機が機械音をたてて動き出し、カシュンッと紙の出てくる音がした。先生は立  
ち上がってその紙を手に取り、また椅子に座って俺の前に出した。  
「ここにあなたの指紋印章をお願い」  
 そう言って俺の手を取って印鑑用の赤いインクを指にぺたりと付けた。  
「何の用紙です・・・?これ」  
「承諾書」  
 まあそれは何となく分かるんですが・・・。  
 ただ承諾書っていうからには、やはり俺の同意が必要な何かをするってことなのか。それ  
が肩の爆弾を治すのに必要なら、俺は喜んで指紋印章だってなんだって押すのだけれど。  
「あとで高額なお金を請求しても無駄ですよ、うちは貧乏で、親父は頑固ですから」  
「・・・何のことよ、ちゃっちゃと押しなさいっ、悪いようにはしないから」  
 
 言うと俺の手を掴んで無理矢理指紋印を取る。  
「先生って強引ですね」  
「久しぶりに腕が鳴るわぁ、ここ数年間ぜんっぜんっ、実験台が見つからなくてっ」  
 そう言って嬉しそうに笑う先生。  
 真ん前で見て聞いていた俺は、親指にくっ付いた承諾書を掃って、先生が今言った台詞を  
思い返す。今この人何てった・・・?  
「久しぶり・・・?実験台・・・?何のことです?」  
 そう聞いた途端、先生は俺にガバッと抱きついてきた。  
「え・・・、えええぇえぇえぇぇええ!!?」  
 突然のことに超戸惑う俺。女性に抱きつかれたのなんて生まれて初めてか。そもそも、女  
の人に触れられたことなんて、あおいちゃんと一緒にストレッチしたりだとか、はるかちゃ  
んにマッサージしてもらった時くらいしかない。  
 先生の香水の香りが俺を包み込み、妙にエロティックな気分にさせられた。  
「あなたのような丈夫な身体を提供してくれる人が本当にいなくて・・・」  
「・・・は?」  
 身体を提供・・・?何のことだか分からない。  
「今年は今日が最後だったの、もうウズウズイライラしてたのよっ」  
「は、はぁ・・・、そうですか」  
 そうですか、じゃないだろ・・・俺。  
 先生の色香に誘惑されている自分が悲しいというか何というか。離れようとしても離れな  
い。ていうか離されたくない。むしろこのままの方が美味しい。俺の顔の真横に先生の顔、  
白衣から突き出た先生の胸、首の後ろでロックされた先生の腕。  
 息子が・・・、やばい。  
「安心して、私たちが責任を持ってあなたを野球の出来る身体にしてあげるから!」  
 妙に張り切っている先生。  
「私・・・たち・・・?」  
「ふふ、ごめんなさい、しばらく眠ってて、小波君」  
 先生のその言葉を最後、チクッと首に痛みを感じた後、俺の意識はそこでバーストした。  
 
 ・・・・・・。  
 
 
 それから多分、半日は寝ていたと思う。外は闇に染まってはいるが、僅かに夜明けの兆し  
のような、青っぽい色をした闇。時計の針は4時半を刺していて、丁度部活が始まった時間  
から12時間。その間俺はずっと眠り続けていたらしい。  
「目が覚めました?」  
 聞こえてきたのは女性の声。聞き覚えのある、優しくておっとりした声。  
「京子さん・・・?何で?」  
「ふふ、手術は無事に終わりましたよ」  
 この含み笑いは姉の理香先生とよく似ている。  
 ていうか手術って何のことだ。手術じゃ治らなかったんじゃなかったのか。俺は自分が寝  
かされている場所に、今になって気付く。  
「病室?」  
「ええ、パワフルタウン総合病院です、小波さんの肩はちゃんと治りました」  
「え、本当?俺治ったんですか?」  
 何だかあまりにも現実味がないというか、何故こうもあっさりと治っているのか、全く訳  
が分からない。ただ、俺は寝ている間に手術されたのだと、たったそれだけだ。  
 手術を受けたくせに、俺の身体は全く痛みを感じていない。何故だろう。  
「小波さん、よく聞いてくださいね、今、小波さんは普通の身体じゃありません」  
「はい?」  
 微妙に微笑んではいるが、それでも真剣な京子さんの言葉。普通の人間じゃない、なんて  
言われても、何のことだかさっぱり。  
「少し姉が身体をあちこち弄り過ぎまして・・・無くてもいい副作用が」  
「先生が?何かしたんですか?」  
「はい、多分・・・学校のお勉強がとっても簡単だったり、今までよりスポーツができたり」  
 それは良いことなのでは?と突っ込もうとしたが、どうやったらそんな手術ができるのか  
が不思議で仕方がない。一体何をすればそんな副作用が出るんだ。  
 淡々としているが、どこかバツが悪そうな京子さんの物言いに、首を傾げた。  
「ここまではその・・・まあ、良性の副作用なんですが・・・」  
「ああ、悪性もあるってことですね」  
「え、ええ・・・あ、あの・・・とっても言い辛いんですけど・・・」  
 
 頬を赤くして恥じらいだ京子さん。もじもじとドモる京子さんが、やたらと可愛い。  
 まさか愛の告白か。バカやろう。今は悪性の副作用の話だ。京子さんのリアクションから  
は少なくとも、余命あと1週間です、とか、末期のガンです、とかでは無さそうだ。  
 
「その・・・、姉ったら、小波さんの、あの・・・、ぺ・・・、・・・男性器まで弄りまして・・・」  
 男性器と聞いてすぐにソレが浮かんだ俺。  
 理香先生、そんなものまで弄ったんですか・・・、なんて呑気なこと言えるほど、俺は男と  
して成長していない。っていうか見られたっ、初体験もまだなのに・・・。  
「本当に申し上げにくいんですけど・・・」  
 京子さんが手をまごつかせる。そういえば変だ。寝起きなのに勃ってない。  
 まさか。  
「ぼ・・・勃起不全ですっ!ごめんなさい!私は止めたんですっ、だけど姉がっっ!」  
 言ってから泣きそうになる京子さん。  
 そりゃ勃たないわけだ。考えてみればかなり困るかもしれない。初体験もまだなのに、こ  
のまま年老いたらどうしようとか。女の人の膣を知らないまま死んで逝くのはごめんだっ。  
「治してくれるんですか??」  
「え、ええ、まあ・・・少し原始的な方法ですけど・・・、私が何とかしますので・・・」  
「・・・京子さんが?」  
 俺が首を傾げると、突然、京子さんは俺のベッドに上がってきて俺の体を押し倒した。  
 あまり急なことに、先生に抱きつかれた時と同じように超戸惑う。そして混乱。今、俺が  
生きてるこの世界は夢か?  
 目の前には、顔を赤らめながら俺に覆い被さっている京子さんがいた。  
 原始的な方法とはつまり、そういうことだ。  
「ちょ、待って京子さんっ、今は普通に病院で治せるんでしょ・・・?」  
「私たち少し違法なことをしていますので・・・他のお医者さんに見つかるとまずいんです」  
 京子さんが俺の身体に自分の身体を重ねてくる。先生に似て、柔らかい京子さんの胸が、  
俺の胸板に押し付けられるのが分かる。大きくて柔らかい。  
 興奮しているくせに、息子の方がピクリともしない。  
「理香先生が治してくれるんじゃ・・・」  
「ううん・・・今日の手術をしたのは博士で・・・、姉や私は助手だったんです」  
 
 耳元で囁かれてトロけそうになる。  
「じゃあその博士が・・・」  
「ダメなんです、今日付けで一旦ドイツの方に帰っちゃいました」  
 そういえば眠らされる前に先生が『今日が最後』だとか何とか言っていた気がする。  
 京子さんが一旦身体を起こして、俺を見下ろした。看護服姿の京子さんは、それこそ神秘  
的なオーラをまとっていて、女性としての魅力がてんこ盛りだ。  
 
「嫌・・・ですか?私と、こういうことするの・・・」  
 困り果てたように目で訴えかけてくる京子さんが、何だかとても可愛い。  
 ドキドキと高鳴る胸が熱くなる。理香先生ほど色気は少ないものの、童顔な京子さんはそ  
れだけでも充分興奮するし、コスプレじゃない天然の看護師だ。生だ。生看護服だ。  
 そんな女性が俺の上に覆いかぶさっていて、イイコト(治療)しようと迫っている。  
「京子さんこそ・・・俺なんかとで良いんですか?」  
「ち、治療ですからっ」  
 赤面する京子さんがやたら可愛い。なんて良い副作用なんだ。勃起不全。ED。インポテ  
ンツ。先生と名も知らない博士に半分ずつ感謝。  
「あ、あの、小波さんは脱がせたいですか?・・・それとも私が自分で脱ぎましょうか・・・?」  
「俺が脱がせて良いんですか・・・?」  
「ええ・・・姉が『小波君の喜ぶように』と言っていたので・・・、お好きなように・・・」  
 じゃあお構いなく・・・と、俺は京子さんの背中に手を伸ばし、そのまま、身体の上に京子  
さんが重なるように促した。ゆっくりと腕の力を抜いてくれる京子さん。  
 また京子さんの柔らかく富んだ胸の感触が、俺の胸板に伝わってくる。  
 ギュッと抱きしめてみると、実感が湧く。腕に少しだけ力を込めてみると「きゃっ」と可  
愛らしい声を上げる京子さん。恥ずかしそうにして目を瞑っている。  
 
「女の人抱きしめたの、俺初めて」  
「わ、私も・・・何だか暖かいんですね、ぽかぽかしてます、小波さんの身体・・・」  
 多分それは興奮して火照ってるだけだと思うんだけど。  
 京子さんも、ってことはセックスしたこととかない、ってことなんだろうか。いやいや、  
20にもなって京子さんくらい魅力的な女性なら、経験は浅くないはずだ。  
 
「京子さんの髪の毛、良い匂いがする」  
 耳元で囁くと、ピクンと身体を反応させ、赤いピアスが揺れる。  
 俺は京子さんが下になるように促し、コロンと身体ごと半回転させて、京子さんに覆い被  
さった。京子さんは全く抵抗しようとしない。経験豊富からくる余裕の表れなんだろうか。  
 悔しい感じがして、少し虐めてみたくなったる。  
「脱がせる前におっぱい、触ってみて良いですか?」  
「ど、どうぞ・・・」  
 京子さんの了承を得て、看護服の上から胸に手を添える。  
「ん・・・っ」  
 またピクンと身体を反応させ、喉から声を出す京子さん。柔らかいその2つの膨らみを、  
あまり力は加えずに2度3度、円を描く。  
「はぁっ・・・ふ・・・ぁっ」  
「うあ・・・すご、女の人のってこんなに柔らかいんだ・・・」  
 初めて触れる女性の胸に感動した。  
 看護服越しから伝わってくる京子さんの胸の感触は本物だ。持ち上げる度に出る京子さん  
の「んっ・・・んっ・・・」という声。頬を赤らめて目を閉じ、人差し指の第二間接のところを咥  
えている。それが胸を揉まれている感覚に耐える仕草だと言うことは、一目瞭然だった。  
「乳首ってこの辺かな・・・?」  
 看護服とブラジャーの向こうにある性感帯を探す。  
 
 多分この辺だろうというところを、人差し指で擦り付けてみる。すると僅かだが、確かに  
胸を刺激され、勃起して硬くなった乳首の感触があった。  
「ここか」  
 俺は爪を立ててその僅かに硬くなった部分を擦りつける。  
「ひっ、ああ・・・、あ・・・あっ・・・、あぅ・・・」  
 どうやら大当たり。ピンポイントで刺激される性感帯は、京子さんの身体に快感を与えて  
ゆき、咥えていた指が自然と離れてしまい、口から喘ぎ声が漏れる。  
 俺の指の動きに、京子さんの身体はビクビクと反応しだして、京子さんが今、間違いなく  
『気持ち良い』と感じていることが見て取れる。  
「京子さん・・・おっぱいだけでイっちゃいそう」  
「あっ、ん・・・だ、って・・・、きもち、いっああっ!」  
 言い終わるよりも早く、俺は京子さんの乳首を衣類ごと摘み上げた。京子さんは股を擦り  
付けるように閉じて、ギュッと目を瞑ったまま下唇を噛んでいる。  
「イった・・・?」  
「・・・っ、・・・小波さん、早く・・・脱がせてください・・・、とっても切ないです・・・」  
「うん、俺、精一杯京子さんが気持ち良くなるようしてあげる」  
「こ・・・これは小波さんの治療・・・」  
「そんなのべつに良いのっ、京子さんにエッチなことができれば勝手に治るから!」  
 有無を言わせず、俺は看護服のボタンを全てテンポ良く外していく。ボタン1つ外す度、  
京子さんは身体をモジつかせはしたが、全く抵抗はしない。はだけさせると京子さんの下着  
が露になった。  
 
「京子さんの肌、すごく綺麗・・・」  
 透き通る肌。そこに清潔感を感じさせる白いブラジャーは、絶対にDカップ以上はある。  
 俺は惜しげなくブラジャーに手を掛けてたくし上げる。京子さんの胸は、反動でタプンと  
揺れて、俺の前に生の姿を現した。  
「ひあっ・・・あんまり見ないでください・・・恥ずかしい、です・・・」  
 カアッと顔を真っ赤にして、また人差し指の第二関節のところを咥えた。  
 京子さんの大きな胸は形が良く張りがある。巨乳グラビアアイドルなんか、若くても垂れ  
ている人が多いのに。綺麗なピンク色をした乳首は、先ほどの愛撫で硬くなっている。  
「下も脱がすね」  
「や、やだ・・・恥ずかしい・・・」  
「はいはい、脱がしますからね」  
 スカートのホックを外すと、京子さんは恥らいながらも、気を利かせて腰を浮かせてくれ  
る。スルスルとスカートを下げると、やはり清潔感漂うパンティ。  
 下着と半脱ぎの看護服。全部脱がせる気は更々ない。夢の看護師さんプレイをとことん楽  
しみたいわけだが、あんまり恥ずかしい恥ずかしい言うので、その気遣いでもある。  
 そんなことを考えつつ、京子さんの乳首を口に含む。  
「ひゃぁうぅっ!」  
 身体がビクンと反応する。  
 口の中で勃起した乳首を舌で転がして刺激すると同時に、パンティの中に手を侵入させ、  
既に出来上がって勃起している突起を指で撫でる。  
「あっ、ふっ、ぁあっ!だ、だめっ、小波さんっ」  
「んく・・・、京子さんもオナニーするときはここを触るんでしょ?」  
「ん、あっ・・・そ、んな・・・っ」  
 京子さんのヴァギナは愛液でとろとろになっている。少し触れるだけでも、その愛液が指  
に絡みつく。爪を立ててクリトリスを擦りつけると、ピクンッピクンッと身体が反応して、  
喘ぎ声も喉から出てくるような声。正直、可愛い。  
「ひう・・・!!」  
 乳首を甘く噛むと京子さんが仰け反った。  
「気持ち良いんだね」  
「そんな・・・っ、そんなこ、とっ、言わなっ、いぁうぅぅうう!」  
 
 京子さんが喋るタイミングを見計らい、クリトリスを摘み上げ、言い終わらせるのを邪魔  
する。ようするに意地悪だ。京子さんが可愛くて、可愛すぎて、自分よりも年上だというこ  
とをつい忘れてしまう。  
 指の第一関節くらいまでを、京子さんのヴァギナに挿入する。  
「ひ!だ、だめぇ!だめ小波さん!」  
 急に京子さんの身体が汗ばんだ。  
「どうしたの?」  
「だめなんですっ、まだ・・・っっ、まだっそのっ、まだ挿れちゃだめですっ」  
「まだ?え・・・?充分濡れてるから大丈夫だよ」  
 さらに挿入しようとすると京子さんが俺の腕を引っ張った。  
「京子さん??」  
「こ・・・小波さんだって・・・、一番最初はちゃんとしたいって思うでしょう・・・?」  
 そう言って京子さんは何故かぽろぽろと涙を零し始めた。腕を引っ張っている手も、心な  
しかふるふると震えているような気がする。  
 1番最初、という言葉にハッとなった俺は、京子さんのヴァギナから指を抜いた。  
「まだしてなかったんだ・・・、ごめんね、何も知らないで・・・」  
「いえ・・・言わなかった私が悪いですから・・・」  
 しょんぼりとする京子さん。  
 それが経験の有無からそういった顔をするのか、それとも、元々俺のやりたいようにさせ  
てくれるという約束を、守れなかったということからなのかは分からない。  
 京子さんに経験がないことにも驚いたけど、俺がそのまま指を挿れていれば、処女膜を傷  
つけていたかもしれなかった。もしかしたらそのまま破れていたのかもしれない。そう思う  
と途端に、冷や汗が出てきた。  
「こういうことしたのも初めて?」  
「あ、はい・・・」  
「キスは?」  
「・・・・・・まだ・・・」  
 申し訳無さそうに未だしょんぼりとしている京子さん。  
 
 まさかキスもしたことないなんて思っていなかったから、京子さんくらい可愛くて魅力的  
な女性なら、恋人の1人や2人はいそうなものだし、いなくても経験豊富って感じがしてい  
た。穢れの無い女性を汚してしまったという、何とも言えない自己嫌悪に、俺は京子さんに  
覆い被さったまま、この後どうするかで困ってしまう。  
 
 そんな俺を、やっぱりこれは気遣ってくれているんだろうか、京子さんは俺の頬に両手を  
添えて、静かに口を開いた。  
「・・・私は構いませんよ・・・、その・・・小波さんが初めての人でも・・・」  
 汗を握っていた京子さんの手は、夜の冷たい外気に触れてすっかり冷えていた。  
 何故かホッとする京子さんの優しい声。  
 俺は何も言わず、冷たい外気に晒された裸体に自分の身体を重ね、強く、最初に抱き合っ  
た時の京子さんの台詞を思い出しながら、強く抱きしめた。  
「暖かいです・・・」  
 耳元で囁かれたのは、俺を受け入れてくれるかのような、そんな声だった。お互いに安心  
できたのか、俺と京子さんはどちらからというわけでもなく、唇を重ねていた。  
「ん・・・」  
 これが俺のファーストキス。そして同時に、京子さんのファーストキス。  
 大人同士がやるほどディープではなく、飽く迄で俺の、高校生のレベルに合わせているよ  
うな、ただ唇と唇が重なっているだけのキスだけど、俺にとってはそれが新鮮だった。  
 ちゅ、ちゅ、と、柔らかい京子さんの唇を、軽く2、3度挟んだりしてみる。  
「ん、ん・・・ん・・・」  
「ちゅ・・・は、ぁ・・・ちゅ、ん・・・」  
 舌は使わない唇だけのやり取りが、京子さんも気に入ってくれたらしく、俺の唇を求める  
ように唇を小さく動かしている。  
 決して意地悪するわけではないけど、"もっとキスして"と言わんばかりの京子さんから、  
ゆっくりと唇を離した。我慢ができない。キスだけじゃ足りない。もっともっと、京子さん  
を愛したい。京子さんが、欲しかった。  
「あ・・・」  
 腕を立てて上体を起こす。京子さんは名残惜しそうに俺の唇を見つめた。  
 
「小波さん・・・」  
 京子さんが欲しい。  
 強く意識する。こんなに女の人が欲しいと思ったことはないかもしれない。それが既に恋  
愛感情すら通り越していることは、自分でも分かっている。  
 股間の辺りがムズムズする。もしかしたら治ってきているのかもしれない。  
「・・・俺、京子さんとセックスしたい」  
 京子さんは静かに目を瞑り、コクン、と1回、俺に頷いた。  
「治ったみたい・・・」  
「・・・はい」  
 ムクムクと次第に大きくなる俺のペニス。京子さんを抱きたいと強く意識するにしたがっ  
て、それは患者用のパジャマを突き破ろうというくらいの大きさになっていく。  
 やがて完全な勃起状態でいきり立つ俺のペニスは、何もせずとも、ただ、下着とその先端  
が擦りあうだけでも、我慢汁を零し始めていた。  
「あ、俺・・・準備とか何もないや・・・」  
 正直これからすることは俺と京子さんにとっての初体験だ。経験の浅い俺じゃ、膣外射精  
なんて高度な業は持ち合わせていない。  
「大丈夫ですよ・・・、つい2、3日前がアレの日でしたから・・・」  
「そ、そっか・・・、じゃあ、京子さんの処女・・・奪うよ・・・」  
「優しくしてくださいね・・・」  
 俺はズボンとパンツを下げ、京子さんにパンティを脱ぐよう促す。京子さんの恥毛は濡れ  
ているのに乱れることのない、整った毛並みをしていた。  
 そして実際に生で見る京子さんのヴァギナは、綺麗な穢れのないピンク色で、花弁もしっ  
かりと開いている。発情している証拠として、ヴァギナが多量の愛液で濡れていた。  
「恥ずかしいのに・・・もっと、見てほしい・・・なんて・・・、私・・・変ですね・・・」  
「そんなことないよ」  
 愛撫によって刺激されたクリトリスも、もう既に出来上がっていた。  
 俺はそのクリトリスを中指の爪で擦り付けたり、クニクニと円を描くように捏ねたり、摘  
んで引っ張ったりしてみる。  
「ひぅう!あ、ぁっ、ん!ん!こ、なみ、さ!あ、はぁんっっ、気持ち、いっ!」  
 
 可愛い。喘ぐ京子さんが可愛い。  
 俺は我慢できなくて、ペニスの先端を京子さんのヴァギナに宛がった。  
「あ・・・」  
「大丈夫・・・ゆっくりするから・・・」  
 そう言うと京子さんが胸を抑えてコクンと頷いた。  
 硬くなって張り裂けそうなペニスを、ヴァギナの膣口に固定する。亀頭をゆっくりと挿入  
していく。カリの部分まで挿ると、両手を京子さんの腰に添えてしっかりと固定し、ゆっく  
りと腰を近づけていく。  
 すると亀頭の先端が何かに触れて、俺はそこで一旦挿入をやめ、上体を京子さんに重ね、  
ギュッと抱きしめた。行くよ、という合図で、俺はペニスを突き上げる。  
 
 
 次第に外が明るみを帯びてくる頃、たった2人しかいない病室では、京子さんの喘ぎ声だ  
けしか耳に入ってこなかった。よくもまあ誰にも気付かれないなと思う。  
「ああっ・・・ああっ・・・い、あっ、あんっ」  
「京子さん・・・さっきまであんなに痛がってたのに・・・っ」  
 抱き合ってもうそろそろ1時間ちょっとになる。その間、俺は3回、京子さんは痛みを堪  
えながらようやく1回果てていた。先生のおかげなのか、俺のペニスはなかなか弾切れしな  
かった。3回出してもまだいきり立つペニス。なかなか修まらない性欲。  
 
 京子さんの方といえば、最初は痛い痛いと涙も見せていた。色々体位を変えている内に発  
見したことだが、後ろから突くと割と痛みと快感が丁度良い具合に合わさって、性的な快感  
とまではいかずとも、性的な興奮は得られるらしい。よくGスポットとか言われている開発  
型の性感帯があるけど、どうやらこれはその兆しみたいなものなのかもしれない。  
「ああん・・・ああっ・・・あはぁ、ん・・・っ!あ・・・あん・・・い、いい・・・っ、ですぅ・・・」  
 ただこれでは、全く面白くない。京子さんの表情が見れない。  
「はぁ、はぁ・・・、仰向けになれる・・・?俺、エッチな京子さんが見たい・・・っ」  
「・・・ああっ・・・ああああああ・・・っ、そ、そんなっ、いきなりっっ」  
 俺は京子さんの腰を掴んで、身体を半回転するように促す。器用に突き上げながら、後ろ  
から、横から、正常位へと状態を変えていく。  
 
 パンパンと肌と肌がぶつかるエッチな音をBGMに、京子さんの胸が上下に踊る。  
「すげ・・・っっ、京子さんのっ・・・おっぱい、凄い揺れてる・・・っ」  
「や、やん・・・見ちゃだめぇ・・・っ、はんっ、んくぅっっ、見ちゃだめ、です・・・っっ」  
「そんなこと言われても・・・っ」  
 俺を挑発するように、京子さんの胸は俺の腰の動きに合わせてタプタプと揺れる。  
「あ・・・あんっ・・・、あんっ・・・、あんっ・・・はぁあ・・・っ、いい・・・、はぁ・・・いいのぉ・・・っ」  
 ついさっきまで処女だったのが嘘のような、京子さんのこの反応。どうやら処女の痛みと  
は、経験の数ではなく、慣れで徐徐に消えていくものらしい。そこら辺、京子さんは正規の  
看護師さんだし、そっちの方の知識も知ってるんじゃないだろうか。  
「はぁ・・・っっ、だめぇ・・・私・・・っ、初めてなのに・・・初めてなのにまたイっちゃう・・・!」  
「良いよ、イって・・・、俺も・・・もう・・・っ」  
 4発目が込み上げてくる。俺は京子さんの腰を両手で固定し、一気にスパートをかけた。  
 京子さんの胸が激しく揺れる。髪が乱れ、身体は汗ばみ、お互いの精液や愛液でドロドロ  
になったヴァギナがジュプジュプといやらしい水音を立てている。  
「あっ!んっ、ひ、ひんっっ、こ・・・なみ・・・さんっっ!一緒・・・っ、一緒に・・・ああんっ!」  
「・・・出すよ」  
「出してぇ・・・っ!いっぱい・・・っ、小波さんの熱いのを・・・!中にぃ・・・っっ!」  
 そろそろこの辺で終わっておかないと、京子さんの出勤の関係もあって非常にマズい。こ  
れが今日最後の射精になるだろう。後で後悔なんてしたくない。中出しは男のロマンだ。俺  
はできるだけ射精を我慢して、引っ張れる限界まで引っ張る。我慢すれば我慢するほど、出  
した時の快感が大きい。  
 
「あっ、あっ・・・あっ、ぁあっ、あ、あ、あっっ!」  
「京子さ・・・っ、イって・・・っ、出る・・・!」  
「んくぅ・・・!!ぁっあぁぁあああぁ!!!」  
「う、くぅ・・・っっ」  
 京子さんの身体が仰け反るとほぼ同時に、俺は京子さんの中に欲望を吐き捨てた。  
 しばらく腰を動かし余韻に浸った後、既に看護服も何も身に着けていない京子さんの裸体  
を抱きしめた。京子さんも、俺の背中に手を回す。  
 そのままキスを何度も何度も交わす。お互いが満足するまで。裸で。ずっと。  
 
 ・・・・・・・・・。  
 
 先生が気を利かせて持ってきてくれていた学生服を着る。まあさすがにパジャマで外には  
出たくない。しかもやたらとキナ臭い。  
「学校、頑張ってくださいね」  
「あはは、京子さんこそ、そんなヒョコヒョコした歩き方でお仕事大丈夫なの?」  
「むっ・・・」  
 赤くなってぷっくり膨れる京子さんが可愛かった。  
「それじゃあ行ってきまーす」  
「ふふ、行ってらっしゃいっ」  
 病院から『行ってらっしゃい』も何だかあれだけど、まあ、良いんじゃないかな。  
 
終わり(続くかも)  
 

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