「メノリ、ここへおいで」  
「はい、ロビントン師」  
私は乞われるまま、師の砂盆の前まで歩いた。  
師は、お気に入りの葡萄酒をついだ杯を玻璃板に乗せて、  
さらに手で招き寄せる。  
「今日はセベルはいないのだね」  
「はい」  
「あの騒がしい火蜥蜴たちはどうした?」  
「皆、部屋で眠っています」  
「ふむ…ならば、わたしは今夜だけは、思いのままにふるまおう」  
「師よ、いったいなにをおっしゃって…」  
最後まで言い終わらぬうちに、私の躯は師の長い腕にからめとられていた。  
「ああ、メノリ。わたしがどれだけお前を愛しているか、知っているか?」  
師の腕は私の背をまさぐる。  
「師は、私を特別に扱ってくださいます。でもそれは師を補佐する立場を  
いただいているからこそ…」  
「いやいや、メノリ。今夜はそんな難しい話はなしだ。竪琴師としての  
立場もこの一時だけは忘れてくれ。わたしを一人の男として見てくれ」  
「そ、そんな……」私は更に戸惑う。  
ロビントン師は、竪琴師ノ長であり、楽曲を奏でることはもちろんのこと、  
パーンの政治の仲介役としても、優れた手腕を発揮なさる。私を竪琴師の  
工舎に入れるよう取り計ってくださった大事なお方でもある。  
私はもちろん、師を敬愛している。師もまた私を「弟子として」愛して  
下さっているのだと思っていた。でも今のおっしゃりようは、まるで、  
長と一人の竪琴師ではなく、男と女として、奔放な竜騎士たちのように  
愛を交わしたいと言っているかのよう。  
 
師の腕は私の青い上衣を開き、肩から腕を滑らせて、脱がせてしまった。  
ベルトの留め金(火蜥蜴の形が気に入っている)も外して、ズボンも脱がされて。  
抵抗することができなくて、蝋燭の明かりが揺らめく中、私は下着姿で  
師の前に立っていた。師の振舞いはやはり、女としての私を求めている。  
「メノリ、嫌なら嫌と言っていいんだよ」  
師の指は、私の躯の輪郭をなぞる。  
触れられたところから切ない感覚が走り、私の中心の弦を響かせる。  
正直、どうしていいのかわからず、私は動けないままだった。  
師のことはとても好きだけれど、でも私はセベルと結ばれた仲でもあって。  
「ロビントン師…」声が震える。  
「やはり、嫌か?」問いかける目はとても優しくて。  
「い、いえ……、嫌とかではなく……、怖いんです。とても」  
「わたしが怖いのか?」  
「ロビントン師が、怖いのではなくて…。もし、師と結ばれてしまったら、  
それから後、師にも、セベルにも、どう接して良いのか、  
どんな顔をして過ごせば良いのか、怖いんです」  
「いつも通りのメノリでいれば良い。そうあって欲しい」  
これまでと同じ私でいられるだろうか。  
私の内に秘めておけば、全てが収まるのだろうか。とても怖かったけれど。  
それでも、師が私を求める気持ちを切り捨ててしまいたくはなくて。  
答える代わりに、師の胸に自ら頬を寄せた。  
 
手足の長い師の為に、師の寝台は特別に作られている。その中に、師と私はいた。  
師の長い衣裳も、私の下着も全て、寝台の外に脱ぎ捨てられて。  
師の膝に、幼子のように抱き上げられた私。  
師の胸に背を預けて、師の指がまるでジタールを弾くかのように、  
私の躯に触れるのを、見下ろしている。  
師が、私の乳房に触れる。  
先端をつままれると、甘い刺激が私の中に満ちる。思わず、吐息が漏れる。  
長い指が、全体を持ち上げ、柔らかく揉みしだく。  
師の息が耳許で聞こえ、仰ぐと、そのまま唇を塞がれる。  
口づけは、セベルよりも……いけない、今はそんなことを考える時ではない。  
師の求めに応じることだけを考えていよう。  
 
師は、蝋燭の明かりに向けて、私の両膝を開かせた。  
私の陰部が揺れる明かりに浮かび上がる。  
「メノリ……、君は美しい」  
開かれた私の陰部に、師は指を滑らせた。  
触れられてわかる。既にそこは湖の如く潤っている。  
「この数巡年のうちに、男勝りの徒弟だった君が、輝くばかりの女竪琴師となって  
羽ばたき始めるのを見ることができて、本当にわたしは幸せだ」  
潤いを指でかき回されると、湿った水音がした。  
襞をなであげられ、小丘を転がされると、私は喘いだ。  
「ロビントン師……」  
「声質も良くなった。君が情感を歌い上げる時の聴衆は、感動に満ちている…」  
私はもう、師の指使いと、そこからもたらされる快感しか認識できなくて。  
師が少し躯をずらすと、開いた私の足の間に、師のものが顔を覗かせた。  
それは私の陰部から垂れる雫を受け、見る間に濡れそぼる。  
「メノリ、良いか?」  
ここまで来てなお、問いかけてくれるのは師が本当にお優しいから。  
私は黙って、頷いた。  
 
俯いて、師の腰に私の腰を沈めていく。  
膝と膝を絡めるようにして。  
十分に濡れた陰部は、吸い付くように師を迎え入れる。  
師の目には、その様子がありありと見えている筈だ。  
息を吐きながら、師の大きさを受け入れていく。  
深く、深く。  
最後まで入ってしまうと、結び付いたそこから、絶え間なく快感が打ち寄せ始める。  
師に促されるまでもなく、私は腰を動かす。  
「おう、メノリ…。素晴らしい感触だ…」  
師のものを絞るように、ゆっくり上下に、膝を使って。  
私の中で擦れる感触が、躯中に広がって、寄せては返し、同調し、増幅し、  
一つの響きとなって鳴り響く。  
師の息と、私の息が重奏となって、短い拍を刻む。  
師も自らも動き始め、二つのリズムが一つになり、より深い快感が押し寄せる。  
私は寝台にしがみつく。  
腰の律動はもう私自身でも制御できない。  
師のものは私の中でより大きく、強く膨れ上がって。  
「あああっ、メノリ!」  
「師よ…!」  
同時に、達し、果てた。師の精液を躯の中に受け止めた。  
これは私と師だけの秘密。誰にも、教えてはならない…。セベルにさえも。  
 
そして朝になれば、いつもの工舎の生活が始まる。  
パーンの一日が始まるのだ。  
 
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