「…あ、あ、……ぐす、前田…くん」
告白現場を一也に目撃された日の夜。
遙佳は、自分の股を手で弄っていた。
「あっ…、どう、しよう…、ん、こんな、こと、…ん、いけないのに…」
もちろん、こんなことをするのは初めてではない。
それこそ、疎遠だったころは少し寂しく思っただけで自慰してしまっていた。
夏休み明けからは落ち着いていたが、例の事件により再び抑えられなくなったのだ。
「う、うん…あっ、グス…とまら、ないよっ…前田くん…」
涙をながし、声を潜ませながらも自慰行為を止められない。
秘部を弄っている手とは逆の手で、自らの胸を揉みし抱く。
「ん、くぅ…あっ!」
形の良い丘の頂点に咲く蕾を刺激して、更に快感を求めるが…、
「あ、こ、こんなに、あなたが、好き、なのに…あっ」
この手が彼のモノだったらと……、その想いばかり強まってしまう。
「あ、ああっ!わ、私は、他の、だれ…よりも、あなたを、求めて…」
切なさを埋めようと行為を加速させる。
「あ、あん、あ、あ、はぁん……くぅ、前田くん…前田くん!」
どんなに名前を呼んでも、現実に彼がそばに居るわけではない。
しかし、彼女が切なさを埋めるには、さらに強い刺激を求めるしかできなくなっていた。
「くあっ、ん…あぁ、も、もう…、ダメ!」
限界が近づき、更に手と指の動きを速める……そして、
「…っ!くっぅぅぅぅぅーーーーー!!」
胸を揉んでいた手で、絶頂の声が漏れないよう口を必死に押さえる…
彼女の股からは大量の愛液が溢れ、下着とパジャマをびっしょりと濡らした。
「はぁ、はぁ、………グス、切ないよ……前田くん…」
絶頂によりほんの一瞬紛らわすことができても、やはりすぐに切なさが襲ってくる。
「…私が、好きなのは、あなただけ…、私の全部をあげられるのは、あなただけなの…」
どんなことをしても、どんなことを言われても、彼に対する彼女の想いは強まるばかり…
「だから……、私に、触れて……名前をよんで……、抱きしめてよ……、一也、さん…」
最後に彼の名前を呼んで夢におちていく遙佳。
その夢は暗くつらいものになってしまうかもしれない……
だが、それからしばらくしたある日、ふたたび彼女の願いに光がさすのだった。