何も変哲もない、木で作られた丸太の小屋。
でもちゃんと窓やドアまである。
その周りには少し草原が茂り、それをたくさんの木(もはや森としか言いようがない)が覆っている。
そんな穏やかで静かな場所へ、
「なーっはっはっは」
と、ニャースの顔の形の気球が遠くからやってきた。
ニャースの気球は小屋の近くに着陸させており、『ジャリボーイ』ことサトシとその仲間に遠くから見つけられないようにバーナーの火を消し、気球の中の空気を全て出してしぼませてある。
乗ってた人は既に小屋の中に入ったらしい。
中には白を背景に赤い『R』の文字が刺繍されている旗が壁に張られていた。
「なんだかんだと聞かれたら」
「答えてあげるが世の情け」
「「以下省略!!」」
とっておきの台詞も今は早く終わらせたいらしい。
「今日もロケット団はいい調子ね☆」
そう、彼らはロケット団。
日々サトシが連れているピカチュウを連れ去り、しかしサトシのポケモンによってピカチュウは簡単に取り返され、そしてあっけなくピカチュウに吹っ飛ばされる。
あいにく今はピカチュウを手に入れたみたいだが、どうせまたサトシにかぎつかれ、すぐに取り返されるのがオチだろう。
「ピカチュウちゃーん」
「元気にしてるかなぁ?」
ロケット団の二人がランタンみたいな入れ物に入っているピカチュウに顔を近づけた。
「ピーカ、チュウーーー!!!!」
ピカチュウの体から一斉に電気が放たれるが、ロケット団に当たる事もおろか、入れ物を壊すことも出来なかった。
「ピーカ・・・」
「だめだめピカチュウちゃん。その入れ物は電気を吸収しちゃうんだから」
「・・・ピカピ」
助けて欲しいパートナーの『サトシ』の名前を言ったが、当然誰も助けに来てはくれない。
「ちなみにピカチュウちゃーん。これ、なーんだ?」
赤髪の女性は懐から何かを取り出した。
マニキュアのビンくらいの小さなビンに、ルージュラのレッテルが貼られていた。
「これねぇ。ルージュラ印のぉ」
「おいおいムサシ、そんな事言って大丈夫かぁ・・・?」
もう一人の男性が言った。
どうやら赤髪の女性は『ムサシ』と言うらしい。
「何言ってんのよコジロウ。もしポケモンが知っても、喋れなければ意味がないんだから」
コジロウと呼ばれた男は腕を組んで少し考えたが、やがてケロッとした顔で、
「それもそうだな」
といった。
ムサシは片手で栓を開けると、そこから液体と同じ紫色の煙が立ち昇った。
あらかじめつけておいたビニール手袋でランタンの蓋を開けると同時にピカチュウをつかんだ。
ピカチュウは抵抗しようともがいたり、電気を放ったりするが、ビニール手袋をつけてるムサシには到底敵わなかった。
ピカチュウを左手で地面に抑えつけると、右手にあけた薬を持った。
「ピカチュウも終わりだニャース」
脇から出てきたのはばけねこポケモンのニャース。ロケット団にいるこのニャースはなぜか喋れる様だ。
「あ、ニャース。いたんだ」
ムサシが素っ気無く返した。
「『いたんだ』じゃニャいニャ! 最初からずぅっといたニャ!!」
「そんな事よりピカチュウの鼻をつまんでて」
「・・・もういいニャ」
ニャースは肩で一息ついた後、言われた通りにピカチュウの鼻をつまんだ。
そのため、ピカチュウは鼻で息する事が出来ないので、口を開けて呼吸するしかなかった。
「ピカチュウちゃ〜ん、じっとしてればすぐに終わるからねぇ〜」
「ピ〜カ、ピ〜〜カァ〜〜」
ピカチュウの顔が恐怖に包まれ、首をゆっくりと左右に振った。
「そぉれ!!」
とムサシは素早く薬を持っている手を開いているピカチュウの口の中へ突っ込ませた。
ピカチュウの口の中は暖かった。
ムサシの右手、しかもビニールごしでも良く分かった。
息を吐いた時に感じる生暖かい息。押し出そうとするヌメヌメした舌。
「ビィガァ」
そしてこのピカチュウの声。何もかもがムサシの感情を高ぶらせる。
手をもう少し奥へ入れる。
極端に通路が狭くなった。喉までいったのだろう。
ピカチュウの苦しそうな声がする。
ムサシはビンをひっくり返して液体を無理矢理飲ませ、このまま腕を引き抜いた。
ピカチュウは少し咳き込んだ後、涙を流した。よほど悔しかったのだ。
「さて、これでピカチュウは俺たちの言う事を聞いてくれるんだな?」
後ろからコジロウの声がした。
「あったりまえよ、じゃなかったらあたしたち騙されてる事になるのよ」
歯を食い縛ってムサシは言った。
ふとピカチュウが立った。ムサシ達も気づいてピカチュウの方を向く。
見上げたピカチュウの顔は―――。
「・・・なんか、酔っ払ってない?」
コジロウが指差していった。
「『操られてる』と言いなさい。さぁピカチュウ!!」
ムサシがビシッとピカチュウを指差した。
「これからアンタはロケット団の一員よ!!!」
「一員だぞ!!」
「そうでニャース!!」
「ソーーーーーーナンッス!!!!」
「はい、アンタは出てこなくていいの」
言うなりムサシはモンスターボールを先ほど出てきたポケモン、ソーナンスをボールに戻した。
「ピ〜カ〜チュ〜〜」
ピカチュウはのらりくらりと歩幅が合わずにムサシへと向かって歩き始めた。
「あれ、どうしたのよピカチュウ。ろ、ロケット団に歯向かう気!?」
「ムサシ、薬間違えたんじゃないのか?」
「何言ってんのよ。あたしがこの『万能服従薬』を―――」
その瞬間、『服従』の部分がペラリと剥がれ落ちる。
「「「―――って、なにぃぃぃぃーーーーー!!!!!?」」」
服従の下に隠れていたのは、『女』と『眉』という字だった。
「・・・『おんなまゆ』薬って何よ」
ムサシが顔をしかめた。
「違うぞムサシ、ソレは『女』と『眉』をくっつけるんだ。『媚薬』だよ、び・や・く」
「―――だからそれって何よ」
「だああぁぁぁぁっっっっ!! あのな、媚薬っつうのは―――」
コジロウが説明しようとしたがもう遅かった。ピカチュウがロケット団へ向かって『10万ボルト』を当てた。
しかし、一時的なものだったので、爆発はしなかったものの、ロケット団一味は、『マヒ』状態のまま仰向けに倒れてしまった。
コジロウが説明の途中でマヒになったため、代わりに説明すると、
びやく 【媚薬】
(1)性欲を催させる薬。催淫薬。
(2)恋情を起こさせる薬。惚(ほ)れ薬。
参考 excite辞書
と言う事である。
ピカチュウは、変わらない足どりでムサシの目の前に立った。
「な、何よ。まだ何か文句あんの?」
ムサシが痺れながらも何とか言葉を紡ぐ。
ピカチュウはムサシのその口へ自分の口を合わせた。
「ん゛む゛ぅ゛」
ムサシはあまりの出来事に目を見開いた。
ピカチュウは舌で無理矢理ムサシの口内へ侵入し、舌を絡ませた。
「あ・・・ん・・・んむっ」
「ン・・・ピ・・・ピカァ」
やがてピカチュウが口を離した。
「ぷはぁ。やっと終わって―――」
と、今度はピカチュウは手に添えたモノを出してきた。
媚薬の効果もあってか、ピカチュウのモノが今にもはちきれんばかりに膨らんでいた。
「ピカピカァ〜」
「ひぃっ!!」
そのモノを容赦なくムサシの口へ突っ込ませた。
「んぐっ!!」
根元まで突っ込ませたピカチュウはそのまま腰を前後させた。
「う・・・ぐ・・・ん・・・んぐっ」
「ピカ、ピカ、ピカ・・・・・・ピカァ」
ドピュ、ビュ、ビュッ。
ピカチュウの顔が和らいだ瞬間に、モノからあふれ出た液体がムサシの喉へと放たれた。
当然ムサシもたくさんの何かが口の中へ入ってきて苦しかったけど、ピカチュウが抜くまで吐き出す事が出来なかった。
「うっ、ゲホッ、ゴホッ」
ムサシは思わず飲み込んでしまい、焼けるような熱さを感じた。そして液体が粘々してて喉に絡まり、咳をしてしまった。
ピカチュウは自分のモノを確認した。
少し小さくなっているがまた物足りないらしい。
ピカチュウはムサシへ向かってほくそ笑むと、また歩き出した。
ピカチュウの歩いている方向は、ムサシと平行して足元の方へ向かっているようだ。
「ま、まさか・・・」
そのまさかだった。
ピカチュウはムサシの股間へたどり着くと、隠している下着を歯で噛み千切った。
あらわになった下半身をピカチュウはそれを秘部へ宛がった。
「や、やめて。お嫁にいけなくなっちゃう!」
そんな古くさい頼みもどこかへ放り投げ、ピカチュウは容赦なくモノを一気に突きたてた。
「いぎゃああぁぁぁーーー!」
ムサシはいきなり入ってきた異物に思わず悲鳴を上げた。
その声はまるで怪物のようだ。
しかし、ピカチュウは容赦なく自分の欲望に突っ走る。
「あぁ、あ、あ、あぁ」
ムサシはピカチュウの腰の動きにあわせて声を出す。出さざるをえない。
「あぁ、あぁ、で・・・でも・・・なんか気持ち、いい」
ムサシがそう喘いだ。
そして快楽も一気に急浮上する。
「あぁ、あぁ、あぁ、あ・・・あああああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!」
ピカチュウのモノから大量の液体がムサシの中へと注ぎ込まれた。
「いあ、ああぁ、はあぁ・・・」
しばらくたって、やっと注ぎ終えたのか、ピカチュウはモノを引き抜いた。
大人のムサシでも中に入りきらなかったものが、コポコポと音をたてて溢れ出た。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁぁぁぁっっっっっ」
そのままムサシは気絶してしまった。実に残酷な光景だった。
ピカチュウは自分のモノを見た。二発もしたのにまだ抑えきれてなかった。
ピカチュウは顔の角度を変え、近くで倒れている二人を見た。
「ひいいぃぃぃ。み、見るな。こっちを見るなぁ!!」
コジロウが目を見開いた。
「ニャァ!! ニャーはいいポケモンにニャります。だから、だからお助け―――」
ピカチュウは二人へ向かって歩いてきた。
一歩一歩が確実に二人の精神的ダメージに来ていた。
「あわわわわわ・・・」
「ニャニャニャニャニャ・・・」
ピカチュウの口の端が上がった。
「「やなかんじいいいいぃぃぃぃぃーーーーーーー!!!!!」」
小屋の外まで声は響いたが、その声は誰にも届かなかった。
「ピカチュウぅ〜!」
森の中から声がする。
「ピカチュウぅぅ〜〜!!」
同じ声。
「ピカチュウどこだぁ〜!」
赤い帽子を被っている少年が歩きながら必死にパートナーのポケモンの名前を叫んだ。
「くそぉ、ロケット団のやつら、ピカチュウを取り返してやる」
その時、ガサガサ、と近くの草が揺れた。
「誰だ!!」
少年はすぐに警戒して草むらを見続ける。
すると、そこから一匹のポケモンが姿を現した。
少年は震えていた。
「ピカチュウ・・・」
そしてもう一度。
「ピカチュウ!!」
と、今度は喜びの感情を含めた叫び声をあげた。
ピカチュウのほうも少年に気づき、
「ピカピ!!」
と叫んで少年に飛びついた。
そう、この少年こそがピカチュウのパートナー、『サトシ』である。
「ピカチュウ。良かった」
サトシも涙を流してピカチュウを抱きしめていた。
僅かな別れも、この二人にとっては1年にも10年にも感じていただろう。
「ピカチュウ・・・」
呼びかけ、サトシはピカチュウを持ったまま正面を見た。
もう一度しかとピカチュウを見たかったからだ。
「それにしてもお前・・・なんか輝いてないか?」
「ピカ?」
ピカチュウは首をかしげた。
その頃ロケット団の小屋―――はもう言うまでもなかった。