参考資料・ラジオドラマブックレット  
 
どことも知れぬ孤島の研究所。  
ここではある研究がひそかに行われていた。  
一つは幻のポケモン、ミュウのコピーを再生しその永遠の生命力の謎を解くこと。  
そしてもう一つは…  
「おはよう、アイ…」  
「おはよう、パパ!…パパ、眠れなかったの?」  
パパと呼ばれた白衣の男は確かにやつれて見えた。  
人工子宮の中から心配そうに見守る『娘』に男は語り掛ける。  
「ああ…心配ないよ、アイ。それより新しいポケモンが生まれたんだ」  
「新しいポケモン!ほんとに?」  
 
アイと呼ばれた『娘』の顔がぱあっと明るくなる。  
男はそれを見て嬉しそうに微笑んだ。  
彼の『娘』はコピーだった。  
本当の娘はとうの昔に事故で亡くなっている。  
男は何人もの『娘』を作り復活させようとしたが、娘の享年である四歳が限界だった。  
ミュウの永遠の生命力を元に『娘』に人生を謳歌させたい−それが男の願いだった。  
男は人工子宮の一つにかけてあった覆いを助手に外させる。  
その中で小さな長い尾のポケモンが腕を組んで眠っていた。  
「名前はミュウツー、エスパータイプだ」  
 
「わあ…なんてかわいい…!わたし、こんな子がいるなら生きていていいな。よろしくね、ミュウツー」  
名前を呼ばれた幼いポケモンが一瞬尾を揺らした。  
 
 
『ここは、どこ…?ぼくは、だれ…?どうして、ぼくはここにいるの…?』  
ミュウツーは他のポケモンと同じように未だに目を覚ますことはない。  
しかし、意識は既に芽生えていた。  
ある日、彼は誰かの靴音が近づいているのを感じ取った。  
「…れが…ュウの…コピーか」  
「姿は…違いま…ミュ…より強力な…」  
『ぼくのことをはなしている…でもなにをいっているの?』  
 
アイはミュウツーが生まれてから今までと違うことにすぐに気がついた。  
何かを知りたがっている男の子の声が聞こえるようになったのだ。  
ある日、彼女はミュウツーに語り掛けてみた…。  
 
『あれってね、言葉なの。人間の…』  
彼の意識に少女の声が語り掛けてくる。  
『きみ、だれ…?』  
『私はアイツー。アイの、2』  
『アイ、ツー?に…?にって、なに?』  
『それはね…』  
この時から一人と一匹は交流を深めるようになった。  
 
孤島の研究所に楽しそうな声が聞こえるようになった。  
『アイ、あれはなに…?』  
『あれはね…』  
弟が出来てはしゃぐ姉と姉に世界を教わる弟。  
アイとミュウツーの関係はまさにそれだった。  
交信のテレパシーは他のポケモンには聞こえても、他の人間には聞こえないらしい。  
それで、よく冗談を言っては笑いあった。  
 
 
そんなある日の夜。  
アイは自らの手を眺めていた。  
「やっぱり、私も…」  
隣では何も知らないミュウツーが眠っている。  
アイは何かを決意するとミュウツーに呼び掛けた。  
『ミュウツー、起きて…』  
 
『ふぇ、アイ…?』  
『お願いがあるの。テレパシーを私に集中させて』  
以前、ミュウツーのテレパシーを利用することで意識世界でのみ直接会えることに気がついたのだ。  
『…?うん…』  
意識世界にたどり着くとアイはミュウツーを抱きしめた。  
『アイ、どうしたの…?』  
『今から私の言う通りにしてね。最期に教えたいことがあるの…』  
 
『おしえたいことって…?』  
ミュウツーが首をかしげる。  
『私、もうすぐね…』  
アイは柔らかな唇をミュウツーの頬に当てる。  
尻尾がくすぐったそうにもぞもぞと動いた。  
『もうすぐ…?』  
 
こんな子がいるなら、私…  
腕の中に納まっている温かい背中を撫でる。  
アイは静かに、ゆっくりと打ち明けた。  
 
『…お別れなの』  
 
彼女自身の命が残り少ないのは分かっていた。  
彼女がいなくなっても『父親』は何事も無かったかのように『娘』を作り続けるだろう。  
 
『おわかれ?おわかれって…』  
説明しなくてもこの子は察している。  
 
紫の大きな目に涙が零れていた。  
『あれ…なにかがながれている、これ、なに?』  
『涙。悲しい時に流すの…』  
 
私の為に涙を流せるこの子なら…  
 
『最期にね、女の子にして欲しいの…』  
『え…?』  
『私はお姉さんにはなれなかったから、せめて…』  
そして涙を吸い、唇を寄せた。  
『…ふっ…』  
小さな舌を絡めていっそう強く抱きしめる。  
髪のふんわりとした匂いがした。  
ぴちゃ、ぴちゃと互いの舌が音を立てる。  
少しだけ温かさを取り戻した手で腰を撫でると、電気を流したようにびくっと身体を震わせた。  
 
普段は外部接触の少ない人工子宮に入れられている為、刺激に対して敏感になっているのだ。  
キスの間擦り合わせていた胸も熱を持ってくる。  
少し口を離して下腹部を探る。  
隠れていた小さな性器があった。  
刺激に対して大人のそれのように上を向いている。  
撫で上げると喘ぎながら小さく嬌声が聞こえた。  
片手を彼女自身の茂みに触れさせる。  
『…あ、い…あつ…い…っ…』  
先端に丸みを帯びた指を侵入させると徐々に濡れていくのが分かった。  
そして始めは押し返していた弾力のある粘膜も−  
 
『あい…っ。ちがでて…』  
 
『だい…じょうぶ…、つづけて…』  
足を伝う血も拭わないままに行為は続けられた。  
根本が擦られ膨らんだ性器を茂みに入れていく。  
なかなか入らなかったが出し入れを繰り返す内に奥へと進んでいく。  
『…ぅ…』  
狭い中で絞り上げられるように達した。  
『…みゅうつー…ありがとう…あったかい…』  
『あい…』  
 
彼の意識はそこで途絶えた。  
最後に見たのは汗ばんだまま穏やかな笑みをたたえたアイの表情だった…  
 
気がついた時には人工子宮に戻って来ていた。  
隣にアイの姿は無い。  
『アイ…』  
また彼は長い眠りについた  
 
子供編 完  
 

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