〜第一章 "頽唐"〜  
 
別室に着いた。そこには、テーブルやベッド、草タイプのポケモンのぬいぐるみが幾つか並んでいる。  
ぱっと見、女の子の部屋のようである。そう思いつつ、コウキは訊いてみる。  
「ここは・・・?」  
「あたしの部屋よ。今日はもう遅いから、ここに泊まってってよ」  
「えっ、そんな・・・いいんですか・・・?」  
突然のナタネの申し出に、吃驚せざるを得ないコウキ。しかし、ナタネは気にせず続ける。  
「いいのいいの、遠慮しないでよ。外は土砂降りだし」  
そういわれて窓から外を見渡すと案の定、頻りに強い雨が降り注いでいる。  
「・・・はい。じゃあそうします」  
「うん。じゃあ、パジャマに着替えるからさ、ちょっと、あっち向いててくれるかな?」  
「・・はい」  
ずきん、と心臓が跳ねる。コウキにとって危ない意識が、脳内を過ぎる。  
ちょっとだけ見てみたいという気持ちからか、後ろを向いていたコウキは、ほんの少しだけ、ナタネのほうに振り向こうとした。  
「イヤッ!見ちゃダメぇ・・・」  
「ご、ごめんなさい・・・」  
ナタネの嬌嗔に思わず赤面し、元の体制に戻る。  
先ほどのヘソを出している、蠱惑的な腰のボディラインを回想するコウキ。  
思い出すうちに、自分自身の中心部に齎される違和感に気づく。  
「コウキくん、もういいよ」  
 
ナタネにそう言われ、無言で振り返るコウキ。ナタネは、薄い緑のかかったパジャマの上下を着ている。  
それでいて、少しだけ胸の上部がちらちら見え隠れする。そんな艶やかな魅力に溢れる出で立ちである。  
しかも、黒いバンダナを外した髪は変わらずショートだが、バンダナを身に付けている時とは一味違った美しさを秘めている。  
「どう、コウキくん、似合ってる?」  
ナタネの質問に些か困惑しながら、コウキが言う。  
「・・・はい、似合ってると、思います」  
「うふっ、ありがと。 じゃ、そろそろ寝よっか」  
「はい」  
そう言って部屋を再び見回してみる。ベッドは、二人分の大きさに相当することが分かった。  
そして、二人はベッドに入る。そして、部屋の電気を消し、ランプを点ける。  
「コウキくんって、どの町から来たの?」  
「えと・・フタバタウンです。」  
「そう。じゃあここまで結構遠かったでしょ?」  
「そうですね・・・」  
ナタネの質問に、ぎこちない回答をするコウキ。暫時そのやり取りが続いた。  
「コウキくんさ、好きな女の子とか、いるの?」  
「えっ、・・・特に、今はいないです・・」  
コウキの目を見ながら質問するナタネ、その目はなんとも魅惑的だった。  
「そう、あれっ・・・」  
ナタネが太股辺りに違和感を感じた。ナタネは太股に触れているものを掴む。  
「あうっ」  
コウキが不覚にも短く声を漏らす。そう。ナタネの太股に当たっていたのは、コウキの半ば屹立した肉棒だった。  
 
「コウキくん、どうしたのかな?」  
自分が何を握っているのか既に知っているのに、意地悪く訊く。そして更に、握っている力に強弱を加える。  
「あっ、ぅくっ」  
ズボンの上から優しく、そして強く揉んだりする。コウキは、無意識のうちに、声を漏らしてしまう。  
「コウキくん、どうしちゃったの?体調でも悪いのかな?」  
「ナタネさん、それは・・・・」  
それは僕のアソコです、と言おうにも言える筈がない。少なくともコウキは、そんな度胸の持ち主ではなかった。  
「それがどうしたの?」  
ナタネは更に問い詰める。コウキには、卑語を吐かせるための、一種の誘導訊問かのように思えた。  
一方で、ナタネは左手でズボンとブリーフを引っ張りながら、右手で直にコウキの一物を触り、しごきあげ始めた。  
「くっ・・・ああっ・・・・・んはぁ・・・」  
声を漏らすまいとしても、ナタネの巧みな愛撫にコウキは否応なく喘いでしまう。  
「ナタネさん、や、やめてください・・・」  
「何をやめて欲しいの?」  
ナタネの表情が艶かしくなっている。ナタネは、亀頭の先端部分や裏を手の平で撫であげたりする。  
次第に、にちゅっ、ぬちゅっ、といった卑猥な音が出始める。  
「だから、えっと・・あっ・・て、手を離して・・ください・・んんぅ」  
「あれっ、あたし、何かまずいものでも触っちゃった?」  
これでもか、と言う位にナタネが惚ける。だが、実はナタネの息も荒くなっていた。  
「はい、とても、まずいものだと、おぅっ、思います」  
「何なの?言ってみて。遠慮しなくていいから」  
やや上がった声のトーンでナタネが聞く。それと同時に、先ほどの、ぬちゅっ、ぐちゅっ、といった淫靡な音が更に大きく響く。  
「あっ・・・あ、アソコですッ」  
「えっ!? アソコって・・・何?」  
はっきり宣言するコウキに、ナタネがちょっと驚いたような口調でまた問う。  
「それは・・・僕の・・おッ・・おち・・んちん・・・ですッ」  
「ちょっと待って! 今、あなた、何て言ったの!?」  
さすが演技派!とでも言いたくなるかのようなリアクションを示し、更に詰問する。  
「オチンチンですッ! だから、あっ、手を離してくださいっ」  
「コウキくん・・・あなた・・・」  
 
ナタネはコウキのペニスから手を離す。  
「・・何てこと言うの・・・女の子の前でそんなこと言っちゃダメでしょ」  
「だって・・・」  
「だってじゃないでしょ。もし、女の子からプレゼントをもらったら、その中身にケチ付けて、返したりしないでしょ?」  
「でも・・・ナタネさんがやったことは、良くないことだと、思います」  
コウキは前人未到の窮地に陥った。万事休す。正にお手上げ状態だ。  
「あんなに気持ちよさそうな顔してたのに?あたしは、負けたあなたに、プレゼントしてあげたのに・・・」  
「でも、やっぱり・・・」  
目に涙を溜めているナタネを見て、最早コウキは我を忘れている。言葉が出てこない。  
「こうなったらさ、きちんと、お詫びするのが、男の子でしょう?」  
「けど、お詫びって・・・?」  
ナタネの申し出に理解し切れていないコウキ。  
「入れて・・・ここに・・・」  
そういってナタネはパジャマとショーツを脱ぎ捨て、自分の秘所に導く。そこは、年相応に生えた陰毛と蜜によって、淫らに飾られている。  
中途半端にズボンとブリーフを下ろしているコウキは、無言で自分の肉棒を挿入する。  
「あ、あ、あ、あ、あはぁッ・・・」  
短い喘ぎ声を放つナタネ。コウキの一物はナタネの膣内にゆっくりと侵入していく。  
「動かして、いいですか・・・?」  
「うん、いいよ・・・動いて・・・」  
コウキの申し出に、ナタネはこっくり頷く。  
そして、前後運動が開始する。  
「あ、あうんっ・・・ああぁ・・コウキくんっ・・・」  
「はぁ、はぁ、はぁ・・・な、ナタネさんっ・・・」  
互いの名前を呼び合い、快楽を貪る二人。  
「ああん、コウキくん・・す、すごい・・・すごいよ、すごすぎるぅ・・・!」  
「あああっ、す、すごいよ、ナタネさん! あっ、あっ、あっ、あっ、あっ・・・!」  
 
最初はぎこちなかったコウキの腰の動きが、要領を掴んだのか、リズムを合わせるようにして、より大きなストロークで肉棒をピストンする。  
愛液にぬめる肉竿が、桃色の秘唇を出入りする様を、ナタネは、潤んだ瞳で見つめていた。  
「あああんっ・・・コウキくんのが、あたしの中で、おっきくなってるうっ・・・!」  
「だって、だってっ・・! ナタネさんの中、きもちよすぎてっ・・・! あん、ああっ・・・!」  
ふと、これはいけないことなんだ、という背徳感がコウキの脳内に蘇る。しかし、あまりにもの愉悦に、すぐに消滅する。  
そして、コウキはいよいよ絶頂へのラストスパートを一斉にかける。  
「ナタネさん・・・僕、僕もう・・もう・・っ!」  
「あたしも・・・・あたしもイっちゃうっ・・! お願い、コウキくん・・中じゃなくて、おヘソに、出してぇッ・・・!」  
そう言って、ナタネは捲れ上がったパジャマから窺える綺麗な臍に視線を移す。  
コウキは、返事をする余裕もなく、肉棒を引き抜き、自ら自分のモノを扱き上げる。  
びゅううううっ! と、これまでに無い程激しい勢いで、コウキのペニスが射精した。  
「ああああぁーっ! あーっ! あーっ! あーっ! あーっ! あーっ! あーっ! あーっ!」  
熱く滾る精液に臍の辺りを連続して叩かれ、ナタネが立て続けに絶頂を極める。  
コウキの肉棒が射精を繰り返しながらびくびくと律動し――ナタネの膣肉が絶頂に戦慄きながらひくひくと収斂する。  
「あああっ・・・あああ・・あああん・・・あああ・・・あ・・あ・・・あ・・あああぁぁ・・・」  
初体験の時以上の衝撃を伴った凄まじい絶頂に、ナタネは、暫くの間、全てを忘れた。  
真っ白に染まった視界が、次第に暗転し、そして、快感以外の感覚が、少しずつ、戻ってくる。  
ナタネの腕の中で、ひくん、ひくん、と、コウキの体が震えていた。  
 
そう――ナタネの処女は、既に別の男によって奪われていた。  
 
その男は、ナタネの魅力である腰と、臍を性感帯として開発し、見事な快感の媒体に仕立て上げた。  
 
ナタネは、それ以来、「中出し」より、謂わば「臍出し」の方が愉悦を感じる特殊な躰になっていた。  
 
〜第一章 "頽唐" 完〜  
 

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