「私は正しかった…」
モニターを見つめ、白衣の男が呟いた。
「長かった…実に長かった…」
「みーゅ…?」
そのポケモンは、質素な実験台の上で目を覚ました。
身体を起こそうとするが、うまく力が入らない。
「目が覚めたかい」
人間の聞き慣れた優しい声。
天井のライトの逆光で表情は見えない。
「みゅん…」
尻尾をぎこちなく振り、熱っぽい身体の不調を訴える。
「君が眠っている間に薬を入れておいたからね。大丈夫、すぐに治るよ」
そして手袋をはめた手でポケモンの背中を撫でた。
「みっ…」
彼女の意志に背き、電気を流したように身体が反る。
人間の指は背中から首筋にそって動いていく。
「みゅ、みゅ…」
くすぐったいようなもどかしい感覚が彼女を支配していく。
指の触れた所から熱がじんわりと伝わっていった。
どうしてこんなことを?と、潤んだ目で人間を見上げる。
「君のことをもっと知りたい、それが私の夢だった…」
そう言うと、現れた胸の先端を慈しむように撫で始める。
細い尻尾がびくんとしなり、荒く呼吸を繰り返すようになった。
「君に発情期があればこんなことをしなくて済んだのだが…」
人間は溜め息をつき、下半身のひときわ熱を持っている所を擦った。
擦る度に手袋に蜜のようなものが絡み始め、指が少しずつ開き始めた口に受け入れられていく。
そこで人間が指を抜くと、口が呼吸に合わせひくひくと震えていた。
目からは涙が零れ落ちている。
「み、みぅ…?」
人間は傍らにあった器具を手にすると、培養液が入った小さな入れ物をセットした。
器具はちょうど雄の生殖器に似た形状をしている。
「君の子供になるモノだよ。息子か娘か…やがて世界のどのポケモンより強くなる子だ」
昨日完成したばかりなんだ、と人間は心から嬉しそうに笑った。
「みぅ、みぅ…!」
彼女は怯えた表情で首を振る。
しかし、ひくひくと震えた口は器具をあっさりとくわえ込んでしまった。
少し血が流れたが、器具は何の苦もなしに奥まで入ることができた。
「みぃ…」
「君の子供に幸あらんことを…」
人間が器具のレバーを引くと、温かい培養液が彼女の中を満たした。
それから数ヶ月後。
ぽっこりと膨らんだ腹を撫でている彼女の姿があった。
その胎内には彼女とは似ても似つかない子供が眠っている。
のちに人間を罪に陥れる子供が…