サイクリングロードの下、小さな洞穴が顔を覗かせるすぐ傍、
目つきの鋭い少年が岩に腰掛けていた。
少年はくたびれた表情でふうっと天を仰いだ。
「ぬるい、な・・・」
ついてない。運が悪い。そんな事は考えたくもなかった。
目当てのポケモンを探して今日で四日目になる。
だが、こんな事でへこたれる彼ではない。
「・・・一旦、戻るか」
ぼそりと呟くと、彼はサイクリングロード近くのポケモンセンターに向かって歩き始めた。
しばらく歩く。サイクリングロードに沿った道に出る。
「む・・・」
彼の目に自転車に乗った三人の人影が飛び込む。一瞬の出来事。すぐに視界から消える。
その中の一人の少女。彼女の顔が何故かフッと浮かんだ。
が、幻の如くそれも彼の頭から一瞬にして消えた。
「まさか・・・な」
何故少女の顔だけが彼の頭に浮かんだのだろう?
しかしそんな事を考えてる暇は彼には全く無い。
6V、性格一致のポケモンを求め、彼は今日も旅を続ける。
そう、後一ヶ月ほどしたら彼に会えるでしょう。確実に。