真珠が幾つもころころと転がっていくような愛らしい声。  
ヴァルと夫人は重なり合った姿勢のまま彫像の様に声のした方を見続ける。  
そこには可愛らしいぬいぐるみを持った幼女……  
まだ年端も行かない博士の一人娘が戸口でこちらの様子を魂の抜けた様な表情で見ながら立っていた。  
大きく円らな青い瞳は大きく見開かれている。  
小さく開いた口からは何か言葉でも絞り出そうとでもしているのだろうが、上手くいっていない。  
こんな状況……気まずいどころではない。  
先ず真っ先に説明を求められるだろう。  
―どうしてママ、おにいちゃんといっしょにはだかになってるの?  
―どうしてママ、おにいちゃんといっしょにあんなにおおきいこえをだしてたの?  
―どうしてママ……おにいちゃんといっしょにそんなことをしてるの?  
ああいった事を知らない無垢な子供が訊く質問ほど答えにくい物はない。  
だが馬鹿正直に答えようが、オブラートに包んだような言い方をしようが先の人生でトラウマを持ってしまうだろう。  
小耳に挟んだ程度の話でしかないが、親の情事の場面を見た子供、特に女子の方は  
それがトラウマになって後々男性とつき合うといった事が容易に出来なくなるとの話もある。  
それ以前に博士の耳にでも入ったら……想像しただけでも背筋に寒気が走った。  
瞼を閉じればジュンサーさんにしょっ引かれている自分が簡単に出てきそうだ。  
いや、その前に冬場のシロガネやまかおくりびやまかテンガンやまで自分一人で人生の幕引きを迎えざるを得ないだろう。  
どうする……どうする……?  
ヴァルは首を夫人と彼女の間で動かす事以外微動だに出来ない。  
が、夫人は両の口端を軽く上げ、艶っぽい声で一言言う。  
 
「ミー……ちょっといらっしゃい……」  
「うん。」  
 
その一言にヴァルはぎょっとする。  
この女(ひと)は一体何を言っているのだろう?  
ただでさえ言い訳の出来なさそうなこの状況がますます悪くなるだけじゃないか。  
そんなヴァルの心配を他所に、ミーはドアを閉め部屋の中に足を踏み入れる。  
ヴァルは夫人に向かって「どうするんですか?」といった雰囲気の目線を送るが、  
夫人は「動いちゃダメ」といった感じの表情を浮かべるだけでまるで相手にしない。  
また、まだ体がまだ繋がった状態だったため、ヴァルは離れようともがく。  
しかしそれに気づいた夫人はそうはさせまいと、いきなりヴァルの唇を奪う。  
それは先程やっていた物より更に激しかった。  
夫人はヴァルの口に唾液を送り込んでかき回し、舌を舌で舐め回し、そして唇を愛撫する。  
口から出るはずの艶かしい吐息がいちいち鼻から漏れるものだったから、  
ミーは入り口からベッドまでの三分の二程まで来た所でびくっとして一瞬立ち止まる。  
だが、幼い者の好奇心という物は何にも勝るらしい。  
ミーはそのまま真っ直ぐ歩み続け、ついにベッド際までやってきた。  
彼女の驚異に満ち溢れた目はヴァルに一種の罪悪感を芽生えさせるには十分だった。  
大体この年頃の女の子っていうのは恋愛という物を、  
漫画とかで繰り広げられているような甘く切ないロマンチックな物だと認識している節がある。  
だから大人こそが知る、つまり今自分達がやっている恋愛の発展的、  
若しくは延長線上で起きるであろう本質的な面に首を突っ込んだ時、凄まじいまでの嫌悪感を露わにするものだ。  
こんな小さい子供にそんな物を植えつけさせるというのだろうか、自分は。  
やがて二人がお互い繋がっている部分と、その二人の貪るようなキス(かなり一方的だが)を見ていたミーはほんの極僅かではあるが呼吸を荒くさせる。  
夫人はそれをちらりと横目で見やると同時に自分の唇をヴァルの口から離れさせる。  
 
「また……我慢できなくなっちゃったの?悪い子ねぇ、ミーは。」  
「ご……ごめんなさい。」  
 
自分と接している時と同じ様に艶っぽい声で問いかけをする夫人。  
ミーは消え入りそうな声でそれに答える。  
我慢できなくなった?一体どういう事だ?  
ヴァルの頭の中では疑問符が幾つも生まれる。  
その時彼の萎えた肉棒はずるりと音をたてて相手の秘所から離れた。  
それを確認した夫人はヴァルの送り込んだ精液を秘所からぼとぼとと垂らしながら四つん這いの姿勢でミーに迫る。  
そして彼女はミーにそっと耳打ちする。  
ヴァルが聞き耳を立ててたところで聞き取れないほどの小さな声で。  
 
「うふふ。悪い子にはちゃあんとお・し・お・きしなきゃいけないわね……  
鞭にしましょうか?縄で縛って吊るしましょうか?鉄の鎖で絡めましょうか?  
蝋燭も悪くないけど……この間覚えたお馬さんが良いんじゃないかしら……?それとも……全部?」  
 
「ママがいちばんしたいおしおきでいい……」  
 
ミーは震える声でやっとそれだけを言った。  
それを聞くと夫人はクスリと笑い、両脇を抱えて彼女の身をベッドの上に上げる。  
ヴァルはこれから一体何が起こるのだろうと向かい合った二人を見つめた。  
夫人の方は相変わらず妖しげな笑みを浮かべている。  
その両視線は直ぐにミーのスカートからのびる両足の内太腿に集中する。  
そこにはてらてらと輝く水の筋が幾つも出来ていた。  
ミーの方は目線が下に向けられ何処かに向けてちらちらと動いていたが、その先は直ぐに分かる。  
今はもう萎えていたが夫人との情事を一通り終えた後、剥き出しの状態になったヴァルの肉棒。  
夫人は病気療養していたと言っていたので、父親の物なら風呂等でご対面する事も考えられなくも無い。  
が、他人の、しかもこんなグロテスクな物が目の前にぼてっとあるのは精神的にきついんじゃないかと。  
ヴァルはこんな小さな子には目の毒だと心底思った。  
夫人はヴァルのそんなあられもない姿に気をやる事も無くミーに向けて甘ったるい猫撫で声を出す。  
 
「ミー……どうせママが此処に入った時からドアの外で聞き耳をたてていたんでしょう……?やらしい事、考えていたんでしょう?」  
「ちがうもん。そんなことしないもん。」  
「我慢できなくなって女の子の大事な所お手てで弄ってたでしょう?」  
「ちがうもん!そんなこと……そんなこと……しない……もん。」  
「じゃあスカートたくし上げてごらんなさい。パンツが濡れてなかったら信じてあげる。」  
 
その瞬間ミーの体がびくんと上に向かって跳ね上がり、俯きかげんだった目線は母親の方に向けられる。  
夫人は満面の笑みだったが、ミー自身には分かっていた。  
―ママがこんなかおをするのはわたしにはずかしいことをさせるとき―  
暖かそうな笑みの裏に隠された冷徹な嗜虐の顔が本性を見せるのはそう時間はかからない物。  
待ち構えている何かに怯えと期待を感じつつ、ミーは恐る恐る着ている寝巻きのスカートをたくし上げる。  
そこには股間の部分がまるでお漏らしをしたかのようにびしょびしょに濡れた白い無地の下着があった。  
ミーの顔は今や火が点きそうなほどに真っ赤だった。  
そこへ夫人の容赦無い言葉攻めが始まった。  
 
「ミー、ママに嘘吐いちゃいけないでしょう……パンツが濡れてるじゃない。これはなあに?」  
「お……お、おしっこ。」  
「おしっこ?そう……おしっこなの……それにしちゃあんまり濡れてないし、何処にも垂れ流してないわねえ……?  
その前にどうしてトイレに行かなかったの?いつも寝る前に行く約束だったでしょう?行って来たの?」  
「……いってきたよ。」  
「じゃあ漏らしたわけじゃないんでしょう?おしっこじゃないなら……これはなあに?」  
「あ、あせ……かなぁ……」  
「そう!汗なのね?でも……」  
 
その時夫人はミーの股間に手を伸ばし丁寧にそこを弄り始めた。  
その手の動きと殆ど連動するようにミーの口から甲高い嬌声があがる。  
 
「ひゃうぅ!う……ふぅ……きゃううっ!……あ゛っ……あ……は……んぁ……っ!……ママぁ……やめてぇぇぇ……やめてぇ……やめてぇぇぇっ!」  
「汗ならどうしてこんなにべとべとするのかしら?それにパンツのここだけ濡れるっておかしいじゃない。ここから出してるこのべとべとは何?  
知らないなんて言っちゃダメよ。この間教えてあげたばかりでしょう?」  
「いやぁぁっ……は……っ……やあっ、うあぅっ!!しらないぃぃ!いいたくないぃぃ……!!……おねがい……ママ……ぁ、はぁあ、はっ、あっあっああっっっ!もぅ……ゆるしてぇぇっっ……」  
「本当に……イケナイ子ねぇ。正直に答えたら止めてあげるのに……でも、止めたらまた自分で弄るんでしょうね……誰に似たのかしら?」  
 
あんただよ、と突っ込みたいのを傍で見ていた必死に我慢する。  
その時、ふと気づいた。  
何で自分は何もしていないんだろうと。  
別に錘とかで腕や足を何かで固定されているわけじゃない。  
夫人のミーへの虐待じみた行動を止めようものなら止められるはずだ。  
なのに、腕どころか指一本も動く事が出来ない。いや動かしたくない。  
目の前で繰り広げられている母娘の淫猥なやり取りに言葉一つ無く見入ってしまうこの感覚は一体……?  
そんな時一際高い声がミーの口から漏れる。  
 
「ひぐっ、ひゃうううう゛う〜〜っっ!!ひゃああっっ〜〜!!」  
「ほらぁ、早く本当の事言わないならもっと速く指動かしちゃうわよ。良いのそれでも?」  
「いやああぁぁっ!いうっ!!いうからあぁぁああぁ……」  
「はい。じゃあ、このべとべとは何か言ってごらん。」  
「ぇぅ……ぃぇき。」  
「良く聞こえないわ。もう一度、この部屋に響き渡る位の大きな声で言ってごらんなさい。」  
 
ミーの目から大きな涙の粒がぽろぽろと零れ落ちる。  
それは母親から受ける責め苦からの怖さの印かそれとも……止め処なく攻め寄せる快感への応えか。  
ミーは何も抵抗はしない。その場から離れようものなら離れられる。  
しかし母親の淫猥な仕打ちを甘んじて受けるかのごとく、その場にただただ立ちつくす。  
いや、本当にそうされるのが無上の喜びのように……  
 
「あいえき……あいえきぃいぃぃいいっっ!!」  
 
堪えきれずついにミーは部屋中に響くような大声で絶叫した。  
それはもう見回りをやってる使用人の誰かに感づかれそうな程の大きな声で。  
その言葉に微笑んで応える夫人。  
 
「はい、よく言えました♪でもね……」  
 
夫人の手は止まらなかった。  
止まるどころか激しさをより一層増した動きとなってミーの股間を弄る。  
 
「あ……っ、やああんっ!!ああっ、ああっ、らめぇっっ!いぃやあぁっっ!みいぃ……溶けちゃいそっ……あぐ……あぐぅっっ!!!」  
「このエッチなおつゆはね……もっと大きくなってからじゃないと流しちゃいけないのよ。おまけにちょっと股を擦っただけなのにこんなに感じちゃって……やっぱりおしおきするわ。」  
「いやあああぁぁぁっっ!!おしおきぃ、きやいぃ〜〜っっ!」  
「嫌い?大好きの間違いでしょう?さあぁ、お兄ちゃんのおちんちんと遊ぶ前に一回イキましょうねぇ……」  
「らめえええええぇぇぇっっっ!!」  
 
夫人はミーの股間からぐっしょりと濡れたパンツの布地だけをどかす。  
月の光に照らされてきらきらと光る幼い秘所は汚してはいけない場所の様に思える。  
しかしそこはもう年に似合わぬほど垂れ流した愛液で汚れきっていた。  
そして夫人は何の躊躇も無く右手をそこに持っていき、皮を被ったある部分を撫で、摘み、そして引っ張る。  
一番敏感なその部分……クリトリスを刺激されたミーは体を弓形に反らせた後、膝から崩折れる。  
 
「あああああっ!!ママぁぁっ、やめてっ!やめ……ひうっっ!!……っかはあぁっ!!はーっ、はーっ……おひおき……やめれぇぇぇ、あっ、あっ、あっあふぅぅぅっっ!!はあ……ん!!やあ……はっ!!  
ひっ、ああんっっ!!もお……もおらめえええええぇぇぇっっっ!!!!ママあああっ!!!みい、みい、イッちゃ、イッ……イッちゃううううううううううううぅぅぅっっっ!!!」  
 
次の瞬間ミーの股間から愛液が間欠泉の様に勢い良くぷしゃぁっと飛び出る。  
そしてその下には夫人の手があったが、勿論ベッドのシーツもあった訳で。  
 
「あらあら、お兄ちゃんのベッド汚しちゃダメでしょう?お兄ちゃんが眠れないじゃない?」  
 
その言葉すらミーには聞こえていなかった。  
手で掴んでいたスカートの裾ははらりとその場に落ちる。  
目は切なげな視線を何処とも知れぬあさっての方向に向け、口からはみっともなく涎をたらしていた。  
やがて支えを失った老木の様にぽさっと夫人の体に寄りかかる。  
唖然としたまま一連の出来事を見ていたヴァルはそこで突然我に返った。  
 
「お母さん!自分の娘になんて事してるんですか!あんな……その……」  
「いやらしい事?」  
「何でもいいです!あんな事子供に教えるもんじゃありませんよ!!」  
「あんな事?どおして?女の子があんな風に感じる事はちっとも悪い事じゃないわ。それ以上に素敵な事なのよ。それに……いずれは誰かに教えられる物よ。」  
「いや、だからって……」  
「それよりも……」  
 
そう言って夫人はミーを抱えヴァルの方に体を動かす。  
そしてそっとミーをヴァルの肉棒の前に置いた。  
当然の事だがそこにはヴァルが先程夫人とやりあった時に放った雄の匂いが、これでもかと言わんばかりに漂っている。  
すると、それまでぐったりして目を閉じていたミーがゆっくりと目を開けた。  
が、その表情が何やら怖い事になっている。  
目に光が宿っていないのだ。  
虚ろな視線もまるで熱に浮かされた人間の様に定まってはいない。  
が、それがヴァルの肉棒に向けられた瞬間、ミーの口の端が獲物を見つけた動物の様ににへらと歪んだ。  
それと連動するように夫人の声が、近くにいるのにまるで霧の彼方から聞こえてくる様に聞こえる。  
 
「この子……わたしに一度イかされたから体が疼いてしょうがないみたい。ほら、あなたのおちんちん物欲しそうに見てるでしょ?こうなるともう自制は効かないのよねぇ……助けてあげてくれないかしら?」  
 
その間にもミーは腹這いになった状態でずるずると体をヴァルに、もといヴァルの肉棒へと近づける。  
ヴァルはそれに驚いて後ずさりするものの、ベッドの端に追いやられてしまい直ぐに終わってしまう。  
そんな慌てるヴァルをただただ夫人は面白そうに見つめていた。  
獲物の動物を追い詰めた肉食獣と同じ様な目で……  
 

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