「…お願いします」
「ヤダ」
あああ……今日何回目だろう、このやりとり
「抱かせて下さい」
「嫌」
土下座までして頼んでるのに、酷くない?
「なんで「そんな気分じゃない」
……ほう。成程。じゃあオレが乗り気にしてあげればいいんですか?ムサシさん。
「それに、久しぶりにベッドで寝られるんだから、ゆっくりしたいじゃないの」
何っ!?久しぶりにベッドだから、ヤりたいんじゃあないか!普段は野外だし、ニャースもいるし、だからオレはいつも一人で我慢してるんだ!折角金貯めてホテル取ってついでにニャースたちまで預けてきたオレの努力はどうなる!?
「お願いしm「おやすみー」
あれ?あれ?おかしくない?ねぇおかしくない?マジで寝ちゃうの?ねぇ?
オレはちょっぴり怒りました。
オレの男性本能に火が点きました。
オレはヘタレじゃない!オレは出来る子だ!オレは男だ!いや、漢だ!
「ムーサーシー」
ムサシの上に覆い被さるように乗ってみます。ほう、流石は激安ホテルだ、ベッドがめちゃくちゃ揺れる。
「いただきm…………ぶっ」
キスしようとしたところで、腹にムサシさんの鉄拳が飛んで来ました。体が宙に浮くのが分かります。
天井と床とを三回ずつバウンドしたところでようやく体が床に落ち着きました。痛いです。
でもオレは負けません。これはオレのプライドを賭けた闘いなんだ、自分に言い聞かせてみます。
さて、隣ではムサシさんが色気も糞もあったもんじゃない格好で眠っています。非常に見慣れた光景です。
でもでも、寝巻き(notネグリジェ)の合間から覗く豊満な胸の谷間にはやはりそそられます。思わず挟まりたくなります。
……寝込みを襲ったりなんかしたら、絶対ブッ飛ばされる。それこそ宇宙空間まで飛ばされる。
それでもやっぱり誘惑には勝てません。恐る恐るムサシの胸に手を伸ばします。
「ん……」
突然、ムサシが寝返りを打ちます。慌てて手を引っ込めるオレ、やっぱりヘタレ。
…いや、今日のオレはヘタレじゃない!オレは今日から変わるんだ!頑張れ、コジロウ!負けるな、コジロウ!
再びムサシの上に覆い被さると、服の上から両方の乳房を優しく掴んでみます。
「やあらかー…」
久しぶりの感触に思わず感嘆の声が洩れてしまいます。やはりおっぱいとは非常に良いものだ。相棒が巨乳で良かった。本当に良かった。
布団を引っ剥がして上半身を脱がしにかかります。ぷるん、と大きな乳房が揺れて服の中から現れます。
……行くよ?行っちゃうよ?
ムサシが目を覚まさないかビクビクと怯えながらも、ゆっくりと胸に顔を近付けます。谷間に顔を埋めると、頬に当たる乳房の柔らかさに自然と頬が緩んでしまいます。
たぷたぷと乳房を揉みながら上目でムサシの表情を伺います。チラッ。
………あれ、起きてる。
「うわああああすみませんごめんなさいっ!!!」
すぐにベッドから飛び降りて土下座の体勢。我ながら呆れるほど素早い行動。
ベッドから降りてオレの前に立つムサシの生足が見える。こ、殺される…!!
恐々と顔を上げますと、ムサシ女王様の御足で顔を踏まれます。
いっつもブーツ履いてるから臭いかと思いきや、意外にそうでもない。ちょっぴり快感を覚えます。
「アタシの寝込みを襲うなんざ、良い度胸してるじゃない」
嗚呼、なんてテンプレ通りのセリフなんだ!オレの息子さんもなんだか嬉しそうです。
だがしかし、これではまたオレはヘタレで終わってしまう!そういう訳にはいかないんだ!
抗議しようと立ち上がったところに、ムサシさんのブレイズキックが炸裂します。きゅうしょにあたりました。こうかはバツグンです。差詰、ムサシがバシャーモでオレがナゾノクサといったところでしょう。
股間を押さえた情けない格好でその場に蹲ると、彼女は勝ち誇ったようにフンと鼻を鳴らしてベッドに戻っていきました。
それでもやっぱりオレは負けません。痛む股間を労りながらも、ムサシの待つ(待ってないけど)ベッドへと向かいます。
再びベッドに乗ると、ムサシさんが物凄い顔で睨んで来ます。ははあ、このバシャーモはいかく持ちだったのか。
だけど、この位で怯むコジロウじゃありません。恐いけど、慣れてます。
勢い良くムサシの体に飛び掛かります。やっぱ細いなー、ちっちゃいなー。これでも一応女の子なんだよな、本当は。
とか何とか考えてる間にも、殴る蹴るなどの暴行は繰り返されます。ついでに罵声も飛んできます。
でもねぇ、オレ今日は珍しく本気だから、それくらいじゃへこたれないぜ?
……オレしか知らない自信があるんだけど、猛獣ムサシさんをおとなしくさせる方法。聞きたい?
「よぉしよしよし」
「………アタシはポケモンじゃない」
ム○ゴロウさんよろしく、ムサシの頭を撫でる。
頬が赤くなって、困ったように顔を背けてしまいます。いつの間にか、攻撃もおさまって。
「なあ、なでなで好き?」
「…うるさい」
「なんだそれ」
もー、好きなくせに。可愛くないんだから。
「なでなでされると、甘えたくなっちゃうんだよなー?」
「だから、うっさいってば、おバカ」
にんまりと笑いながら軽く額に口付けると、スッと細い腕が背中に伸びてくる。
ぎゅーって思いっきり抱き付いてるのに、顔だけはオレの胸に押し付けて、隠してるつもり。らしい。
……ズルいよなぁ、こういうの。こういうときだけ甘ったれになるなよな。
「…可愛い」
「当たり前でしょ」
………ごめん、やっぱ可愛くない。
…まあ、でも、ね。そんな所も嫌いじゃないぜ、ハニー。
調子に乗ってみる。
「ンむっ……んん」
ちゅうっと唇に口付けて、唇の隙間から舌を挿し込む。
ねっとりと中を探るように動かすと、不器用に舌を絡ませてくる。
舌に唾液を絡ませて口内に流し込むと、飲み切れなかった分が顎を伝って溢れていく。
徐々に体重をかけて口付けていくと、苦しそうに胸を叩いてくる。あんまり調子に乗ると後で殴られるから、そろそろ離してあげようか。
「んぅッ……はぁ、う……」
すぐにそっぽを向いて、濡れた唇を拭ってる。ムサシのバカぁ。
「……っとに、キスは上手なんだから」
「ムサシは相変わらず下手っぴ」
「うっさい」
「いたっ!」
小突かれたけど、いつもみたいにブン殴られたわけでも、技かけられたわけでもない。ちょっとはノリ気になったみたい。
一旦ムサシから離れ、服を脱いでいく。上半身を晒した所で、ハッと息を呑むのが分かる。
なぁに、オレ、かっこいい?
なんかいいカンジだから、そのまま飛び付いてみる。
「きゃっ!………で、電気、消しなさいよ…!」
うん?恥ずかしいとか言いたいの?でもね…
「ヤーダッ」
「イヤッ、コジロ……ッあ!ぁっ…」
勢い良く服を捲り上げ、胸の尖端にしゃぶり付く。空いた方の乳房も、がっちりと掴んで優しく揉み上げていく。
「ん、ンッ……く、ぅ…」
上目で表情を伺うと、必死で目を瞑って指を噛み締めている。
「あ、コラ、ダメだってば」
セックスの時に指をくわえるのは、ムサシの悪い癖。
指を外させると、すぐに胸の突起を摘み上げる。
「やあッ…!む、ぅん……」
すぐに唇を噛み締めて、やっぱり声を抑えてしまう。…そんなに嫌なもんなのかなぁ、声出すのって。