「さてと……。金縛りも解けたことだし、どうしてくれようかしら」  
スパッツを履いた、ボーイッシュな妹のほう――ランが、  
地面に転がるオレを見下ろしながら含みを込めて呟いた。  
――マズイことになったぞ……。  
――先ほど行われた、リン&ラン姉妹とのイトマル争奪戦で、  
パラセクトの痺れ粉を浴びたオレ。  
だが、用意周到なオレは、モンスターボールに潜ませていたヤドンに金縛りを命じ、  
なんとか姉妹の動きを封じることに成功した。  
それにより、一度は危機を脱したかに思えたのだが――  
 
「ざーんねんだったわね! シュウくん!  
パラセクトちゃんの痺れ粉の効果は、とぉっても長く持続するの!」  
妹とは対照的に、お嬢様のようなメルヘンチックな服に身を包んだ姉――リンが、  
明るい笑顔を振り撒きながら言い放った。  
――そう――。予想以上に痺れ粉の効き目が強かったため、  
オレだけ、いまだに身動きが取れない状態なのだ。  
 
「ぐ……」  
この状況を打開するためには、もう1度、双子の動きを封じるしかない。  
オレは、少し離れた場所で見守るピカチュウとヤドンに、チラリと目配せをした。  
 
「シュウ……?」  
ピカチュウが、オレの名前をポツリと呟く。  
親父が開発した特製インカムのおかげで、  
オレの耳にはピカチュウの言葉が人語として聞こえてくるのだ。  
長年のツレであるピカチュウは、いち早くオレの意図に気付いたらしく、  
間髪入れず、こちらに向かって走り出そうとしてきた……が――  
 
「おっと! そうはさせないわ! パラセクト!」  
「い……!?」  
ランが指示を飛ばすと、  
いつの間にかピカチュウたちの背後に回りこんでいたパラセクトが、  
体を震わせながら勢いよく胞子を撒き散らした。  
ピカチュウとヤドンは咄嗟に振り返ったものの、時すでに遅し。  
胞子を浴びた2匹は、その場にバタリと倒れ込み、  
しばらくの間を置いたのち、大きな、いびきをかきながら眠り始めた。  
 
「せっかく、あたしたちを倒すチャンスだったのにね! 本日2回目の、ざーんねーん!」  
愉快とばかりに、リンが笑う。  
 
「こ、この性悪双子め……」  
オレは、痺れで感覚の無い体を必死に動かしながら2人を睨みつける。  
 
「フン。なんとでも言いな。イトマルは貰ってくよ」  
先ほどオレがゲットしたイトマルを奪おうと、ランが体をまさぐってきた。  
 
「――ん……。見つからないわね……」  
ランの手によってオレの体は引っくり返され、うつ伏せの状態から仰向けの状態になる。  
――いくら探してもムダムダ。  
イトマルの入ったモンスターボールは、別の場所でディグダが土の中に隠している。  
おまえたちが、いくら探そうと見つかるものか。オレは心の内で、ほくそ笑む。  
 
「ちょっと、シュウ!」  
――なかなか見つからないことに業を煮やしたらしく、ランがオレの胸ぐらを掴んできた。  
 
「イトマルはどこ!? 白状なさい!」  
「――さぁ……。どこでしょうねぇ……」  
怒鳴りつけてくるランに対し、オレはワザと慇懃無礼な返答をする。  
そのことが、よほど気に障ったらしい。  
ランは眉間にシワを寄せつつ、オレを突き飛ばしながら立ち上がった。  
 
「もう、いいわ! リン姉さん! 他を探すわよ!」  
「なんでぇ? まだ探してないところがあるじゃない?」  
「――探してないところ……?」  
ランは疑問符を浮かべながら、姉の言葉を復唱する。  
 
「そ! シュウくんの服の中!」  
リンの一言で、一瞬、その場の時間が停まる。  
――服の中……?  
ちょっと待て。そんなところに隠しているハズが無いことくらい、  
先ほどの、ヤドン入りモンスターボールでの囮作戦を考えれば簡単に判ることだろう?  
双子の姉は、そこまで、お花畑なのだろうか?  
 
「ふ、服の中って、姉さん。あたしが探したけど、もうここには――」  
「でもでもぉ。もっと詳しく調べてみないと、わからないわよね〜」  
言いながら、リンがトコトコと近づいてくる。  
そのままオレの正面で腰を下ろすと、笑顔のまま両手を前にかざしてきた。  
 
「さぁてと。シュウくんのイトマルは、どっこかな〜?」  
楽しそうに両手をわきわきと動かすリンの様子を見て、オレは悟った。  
コイツは気付いている。オレがイトマルを別の場所に隠していることを。  
それにも関わらず、こうしてオレの体を調べようとしているのは、  
単にオレを、からかいたいだけだ。――オレの顔から、サーッと血の気が引く。  
 
「ちょ、ちょっと姉さん。調べるってまさか――」  
「ランちゃんも、お手伝いしてね。シュウくんの、お洋服を脱がしちゃうの!」  
あっけらかんと言い放つリン。それを聞いたランが、1歩あとずさった。  
 
「脱ぎ脱ぎしましょうねぇ、シュウくん!」  
呆気に取られるランを尻目に、リンは、いそいそとオレのベルトを外し始めた。  
オレもしばらく呆然としていたが、すぐさま我に帰り、慌ててリンに説明する。  
 
「ま、待てよリン! じつはイトマル入りのモンスターボールは別のところにあって、  
今のオレは持ってないんだ! ディグダに預けてある! 信じてくれ!」  
恐怖のあまり、オレは洗いざらい白状する。  
だが、1度調子に乗ったリンを、そう簡単に停められるハズが無い。  
 
「そんなこと言って、あたしたちを騙すつもりかしら? その手には乗らないわよ〜」  
こ、この女……。気付いてるクセにィ……。  
両手でリンを引き離そうとするものの、痺れ粉のせいで体に力が入らない。  
オレはついに、無抵抗のまま、ズボンを下ろされてしまった。  
 
「あはっ! シュウくんの下着、白だぁ!」  
オレのブリーフを見たリンが、悪びれる様子も無く笑う。  
頬が、かぁっと、熱くなった。女子の前でこんな格好を晒すなんて、この上ない屈辱だ。  
 
「リ、リン姉さん。もう、その辺で――」  
ソッポを向いたまま、こちらをチラチラと窺うランが、おずおずと制止を求める。  
その表情は、ほんのりと赤みを帯びていた。  
 
「まだまだ! これからが本番よ!」  
そう言ってなんと、リンはオレのブリーフにまで手をかけてきた。  
――え……? お、おい! 冗談だろ!? オレは激しく狼狽する。  
これにはランも驚いたらしく、オレたちのほうに体の向きを変え、慌ててリンの肩を掴む。  
 
「ね、姉さん!? いくらなんでも、それは――」  
「えーいっ!!」  
「わーっ!! やめろ、バカ女ーッ!!」  
オレの絶叫と共に、スポーンという景気のいい音を立てながら、  
白いブリーフが宙に舞った。そのまま地べたに、パサリと落下する。  
 
「きゃーっ!! シュウくんのオチンチン、かわいー!!」  
熱の籠もった黄色い声が耳を貫いた。  
気が付けばオレは、両足を広げながら、双子の前に下肢を曝け出している状態。  
包皮がまったく剥けていないソレは、本来、人前に出せるようなモノじゃない。  
しかし、それを見たリンは、両手で頬を押さえながら歓喜の声を上げている。  
物珍しさのためか、その瞳はキラキラと輝き、好奇心に満ちていた。  
 
「こ、これがシュウの……」  
一方ランは、意外にも真剣な眼差しでオレの股間を覗き込んでいた。  
男勝りでオレより腕っ節があるため、今まで意識していなかったが、  
頬を紅潮させながら瞳を潤ませる、その姿は、まさに女そのもの。  
普段は見せることの無い、ランの艶っぽい姿に、オレの心臓は思わず跳ねてしまった。  
 
「あっ! シュウくんのオチンチン、動いたぁ!」  
いや。跳ねてしまったのは、オレのコイキングだったか。  
 
「つんつーん」  
「はうッ!」  
なんの前触れもなく、リンが人差し指で股間のコイキングをつついてきたため、  
オレは思わず、間の抜けた声を上げる。  
 
「やーん! シュウくんのオチンチン、びんかぁん!」  
オレの反応が面白かったのだろうか。  
調子付いたリンは、追い討ちを掛けるかのごとく、幾度も同じ部分を責めてくる。  
裏筋を下から上へ向かってなぞり、先端のあたりで力を込められた。  
程よい圧迫感が刺激となって、身悶えせずにはいられない。  
 
「あっ! リン! やめ……、ああっ!」  
おかげでオレのコイキングは、すでに半勃ち状態。  
中心へと向かい、血液が徐々に集束していくのが手に取るように分かった。  
悔しさと快感の入り混じった、なんとも言えない複雑な感情が波のように押し寄せる。  
 
「――ん……くゥ……」  
唐突にオレは、リンの背後に居るランから、ある異変を感じた。  
先ほどからオレたちの姿を静観していたようだが、何時からか、小さく声を漏らしている。  
リンも、そのことには気が付いたらしく、  
オレのコイキングに手を添えたまま、ゆっくりと後ろを振り返った。  
 
「あ……ふ……」  
「ラン……?」  
そこには、立ち膝で太股をこすり合わせながら、  
自分の指で、スパッツの上から恥部をさすり続けるランの姿。  
その唇から漏れ出るのは、抑え気味に発せられる静かな嬌声。  
このような状況に出くわしたことは、今までの人生を振り返っても記憶に無いが、  
オレは本能で察知する。これが、女特有の鎮め方なのだと。  
 
「リン姉さん……。なんだかあたし――」  
「うふふ! やっぱりランちゃんも、気持ちよくなりたいわよね!」  
そう言ってリンは、意気揚々とランの手を取り、オレの目の前に連れて来た。  
 
「――ラン……」  
官能的なランの姿を目前にしたからだろうか?  
オレの股間は激しく熱を帯び、ビクビクと自己主張を繰り返すほど出来上がっていた。  
自分のモノが、ここまで猛るだなんて、今まで想像したことも無い。  
ランの下半身に目を落とすと、黒いスパッツに、うっすらと染みが浮かんでいた。  
それを目撃したオレは、さらなる興奮を覚える。  
 
「ほらほらぁ! もっとシュウくんに近づいて!」  
「あっ……!」  
おそらく、リンに背中を押されたのだろう。  
突然、バランスを崩したランが、オレに覆い被さるように四つん這いになった。  
瞬間、ランの髪が頬に触れ、オレは思わず目を見開く。  
それはまるで、絹糸で編み上げられた衣のような肌触りをしており、  
オレの触覚を、これでもかというほど研ぎ澄まさせた。  
 
「シュウ……」  
ランの口から、オレの名前が零れ出た。  
すぐ真上にあるランの顔は、切なげにオレを見下ろしており、何かを訴えている。  
考えるほどに胸が締め付けられる。そんな表情だった。  
 
「シュウ……。あたし……、――ひぁッ!?」  
言葉が紡がれようとした刹那、ランが歯を食いしばりながら、のけぞった。  
 
「ランちゃんのココ、すっごく濡れてるぅ!」  
「あ……、ふぁぁっ! リン姉さん!」  
視線を落とすと、少々見えにくいがリンの姿を確認できた。  
どうやら、ランの秘部を指で責めているらしい。  
カラナクシの粘液を思わせる卑猥な水音が、静かな森の中で一層大きく聞こえる。  
リンの傍らには、スパッツと縞模様のショーツが転がっていた。  
 
「かわいい声……。こんどは口でしてあげるわね」  
「え……? ちょっと姉さ――ああァッ!!」  
先ほどにも増して、ランは大きく体をよじらせた。  
水音がだんだんと大きくなり、ランの羞恥心を煽るように淫靡なメロディーを奏でる。  
これも狙ってやっていることなのだろう。  
ランの秘部に口を付けているので顔は見えないが、  
悦楽に染まっているリンの表情を想像するのは容易いことだった。  
 
「ん……ぷはぁ……。  
――お口のまわり、ベトベトになっちゃった。そんなに気持ちよかったの?」  
リンがクスリと忍び笑いを漏らした。  
オレに覆い被さりながら荒い息をつくランの頬は、うっすらと蒸気しており、  
額には珠のような汗が浮かんでいる。  
 
「もう我慢出来ないわよね? シュウくんもでしょ?」  
「え……?」  
不意に名前を呼ばれたため、思わず聞き返す。  
――リンの言う、『我慢が出来ない』という言葉の意味を、  
正しく認識するために必要な情報が、オレの脳内には足りていない。そういうことだ。  
――しかし、人間にプログラミングされた情報というのは、  
必要に応じて姿を現すものらしい。  
――ハッキリと理解しているわけではない。  
だが、股間の昂りが示す確かな疼き。これは生物としての生理的欲求だと、オレは悟る。  
原因が目の前に居るランだということにも、すでに気付いている。  
――ただ、この感覚を鎮める方法が判らないのだ。  
手で刺激を与えるとか、そういう単純なことでは無いハズ。もっと別の何か――  
 
「入れたいんだよね? ランちゃんの中に」  
「っ……!?」  
どくん……と、鼓動が聞こえた。他の誰でもない。オレの心臓の音だ。  
そう――。やり場の無い衝動を持て余し、それをぶつける対象が存在しないことに、  
さっきまでのオレは焦燥を感じていたんだ。  
しかし、リンの一言で、漠然とではあるが解決方法を見つけ出した。  
――たぶん、これが答えだ。  
 
「ラン……」  
オレは、わずかに痺れの感覚が残る上体を起こし、  
右手を掲げ、そっとランの頬に触れてみた。  
 
「シュウ……」  
それに気付いたランが、薄く閉じていたまぶたを開き、小さく呟く。  
――ランの顔を、こんなに間近で見たのは初めてだ。  
つい、粗野な性格のほうばかりに気を取られがちだったが、  
潤んだ大きな瞳や長いまつげは女を感じさせるには十分過ぎるものだった。  
頭の後ろで適当に束ねられた髪の毛からは、草むらの香りがする。  
――オレは直感に導かれるまま、ランの腰を両手で掴む。  
抵抗されるんじゃないか、という危惧もあったが、  
ランは変わらぬ様子でオレのことを見詰めていた。  
きっと、こいつもオレと同じ気持ちなんだ。  
 
「リン。このまま、ランの中に?」  
いまだに行為の具体的な方法が判らないオレは、念のため、リンに確認を取る。  
 
「そうそう! パパが隠してたビデオで、やり方を覚えたの!  
そのままゆっくりランちゃんのお尻を落としてあげて!」  
言われるまま、少しづつランのヒップを下げてゆく。  
程なくしてオレの肉棒の先端に、ぬるっ、とした粘膜が触れた。  
――あとは、このまま――  
 
「シュウ!」  
「え!?」  
オレが、一呼吸置いてからランの中に挿入しようとしていた、その矢先。  
予想外にも、ラン自ら、勢いよく腰を落としてきた。  
気を抜いていたオレは、突然、肉棒を飲み込まれ、  
強引に与えられた未知の圧迫感に思わず顔をしかめる。  
中は信じられないほど熱く、ドロドロとした感触の膣壁が、  
マグマッグの体に触れたかのような錯覚を呼び起こす。  
だが、初めて味わう、その感覚の余韻に浸る間も無く、  
オレは黄色い声に耳をつんざかれた。  
 
「いったぁぁッ!!」  
いきなり顔を歪ませながら大きな悲鳴を上げるラン。  
――な、何が起こった?  
 
「言い忘れてたけどぉ。初めてのときって、すっごく痛いらしいわよ!」  
あっけらかんとした態度で説明するリン。今さら教えられたって無意味だろ……。  
――いや……。これが自然な状況であることが判明しただけでも、よしとするか。  
オレは、苦痛に身悶えるランの手を、ぎゅっ、と握り締めてやる。  
 
「大丈夫だ。オレが付いてるぞ。ラン!」  
「シュウ!」  
ランが、目に涙を溜めながらオレの背中に両手を回してきた。  
こちらも、それに応えるべく、ランのことを抱きしめる。  
彼女の身体は予想以上に肉感的だった。  
衣服越しに伝わってくる温もりが、それを、まざまざと感じさせてくれる。  
 
「く……。ラン……」  
ゆっくりと、上下に腰を動かしてみた。  
その瞬間、今までに感じたことも無いような快感が根本に伝わってくる。  
自分が何をすれば気持ちよくなれるか――。生物としての本能がオレに教えてくれた。  
その本能に従うように、オレは腰を動かすスピードを速めてゆく。  
 
「ひっ! ぐ……、はぁんっ!」  
動かし始めてからしばらくのあいだは、痛みに耐えようと歯を食い縛っていたランだが、  
どうやら、少しづつ快感に変わってきたらしい。  
喘ぎ声には先ほどよりも余裕が感じられ、表情は和らいでいる。  
気が付けばランのほうも、オレの上で一心不乱に腰を振っていた。  
もはや、ここが野外だということも忘れているのだろう。  
彼女は何のためらいも無く歓喜の声を上げ、輝く汗をほとばしらせている。  
 
「あ! あぐっ! ラ、ラン!」  
体を動かすたびに襲いくる嵐のような激情に気圧され、  
オレのほうも欲望に身を委ねながら力を込めて、下方から幾度も突き上げる。  
うっそうと生い茂る木々たちに見守られながら、  
オレたちはケダモノと成り果て、互いを激しく求め合った。  
 
「うっ……! なんか……来る!」  
怒張の疼きが途端に強烈なものとなり、  
何かを知らせるかのごとく、尿道に痺れをもたらした。  
――おそらく、行為の終結が近いことを知らせるためのものなのだろう。  
 
「ラン!」  
体面も恥もかなぐり捨てて、ランの唇にむしゃぶりついた。  
モモンを連想させる柔らかい感触が口元を包み、  
同時に、タポルのような、ほどよい甘酸っぱさが、鼻孔を刺激した。  
一瞬、驚いたように身を引いたランだったが、  
すぐさま、オレの求めていることを理解してくれたらしい。  
ランのほうから進んで舌を絡ませてきた。  
 
「ん……ちゅぷ……ふぁっ!」  
すべてを貪り尽くすかのような濃厚な口付け。  
ねち、という秘めやかな音がリズムを刻み、激しい腰の動きと一体になった。  
それと同時に、下半身の痺れが今までとは比べ物にならないほど大きくなる。  
その疼きがついに限界を迎え、理性の欠片を押し流すかのように決壊した。  
 
「うぐッ! 出るっ! 何か! 何か出――うわァアぁァぁッ!!」  
下肢が痙攣したと思った次の瞬間、尿道の中を熱い何かが走り抜け、  
結合していたランの膣内で爆発した。  
 
「ひ……ああァあぁぁァァッ!!」  
それとほぼ同時に、ランが身体を反り返らせ、甘美な嬌声を空高く放った。  
ランの身体は、ビクッ、ビクッ、と痙攣し、根本が在り得ないほどキツく締め上げられる。  
それでもなお、オレの、みなぎったモノから噴き出す何かは止まらない。  
ランの中に注ぎ込まれているものの正体が何なのか、という疑問が、  
少しだけ頭をかすめたが、それ以上に、この瞬間が大切だと、素直にそう感じた。  
 
「――はぁ……はぁ……」  
どれだけの時が経ったのだろうか。吹き飛んだ理性の前では時間の感覚もおかしくなる。  
ゆっくりまぶたを開くと、眼前には変わらぬランの姿。  
快感の余韻が抜け切っていないのか、口を開け放ったまま、肩を大きく上下させている。  
なんのことは無い。絶頂の終結から、まだ1分も経っていないようだ。  
 
「シュ……シュウ……」  
ろれつの回らぬ口調で、ランがオレの名前を呼ぶ。  
たったそれだけのことなのに、不思議と嬉しかった。  
 
「ラン……」  
こちらからも名前を呼んでみる。  
とても小さなことなのに、とても大切なこと。  
互いに名前を呼び合う行為から、オレは、言葉では言い表せないほどの重要性を感じ――  
 
「あ〜ん! ランちゃんってば、すっごく、えっち〜!」  
突如として、この場のムードに似つかわしくない、舌ったらずな歓声が響き渡った。  
咄嗟に顔を横に向けると、  
瞳をキラキラと輝かせながら、ランの表情を眺めているリンの姿が視界に入る。  
そういえば、こいつも居たんだったな。すっかり忘れてたぜ。  
 
「うふふ! 今度は、あたしがランちゃんを食べちゃおっかな!」  
そう言って、ランの両肩を、がしっ、と掴むリン。  
 
「え? え? ちょっと、リン姉さん?」  
突然行われた不可解な宣言に、ランは目を丸くしながら動揺する。  
だが、リンは、それを気にも留めようとしない。  
 
「あ、あたし、イッたばかりだし、これ以上は――」  
「せーの! いっただっきま〜す!」  
「ね、姉さん! 待っ――ひゃぁあああぁぁッ!!」  
たくさんのポケモンたちが暮らす、深緑に満ちた森の中で、  
ランの悲鳴が、ひと際高く響き渡った。  
 
 
 
END  
 

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