「さて、ヒトミくん。  
キミが廊下を走ったことを注意されるのは、これで何回目でしょうか?」  
レンジャースクールの地下にある自身の研究室。  
そこで俺は、椅子に座らせた女子生徒――ヒトミに向かって、  
怒鳴りつけたい気持ちを必死に抑えながら質問する。  
――そう……。教師たるもの常に冷静でいなくてはならない。  
怒りに身を任せ、生徒たちからの信頼を失うことなどあってはならないのだ。  
それゆえに俺は、相手に対する思いやりを忘れずに接する。  
 
「ええとぉ……。22回くらいカナ〜?」  
「25回目だッ!」  
 
やたら短いツインテールを揺らしながら、人差し指を口元に当てつつ、  
あっけらかんと答えたヒトミを、全力で怒鳴りつけた。  
――いかん! 怒りのあまり冷静さを欠いてるぞ、俺!  
すぐさま自分の行いを悔い改め、1つ咳払いをした。  
 
「し、失礼。とにかくキミは入学以来、25回も廊下を走ったワケです。何か言うことは?」  
「わぁ〜。ダズルの記録を超えちゃいましたね。あたしってばスゴイ!」  
「ブン殴るぞッ!」  
両手のひらを合わせつつ、満面の笑みで答えるヒトミに対し、再び暴言を吐き捨てる。  
――だから落ち着くんだ俺! 今はまだ、生徒たちからの信頼が必要だ。  
少なくとも、ドカリモが完成するまでは……。  
 
「せ〜んせ〜い。そろそろ帰して下さいよぉ。もうすぐ就寝時間ですよ?」  
両足をパタパタと動かしながらあくびをするヒトミ。コイツ、全然反省してねーな。  
 
「そういうワケにはいきません。  
これだけ注意しても廊下を走り続けるアナタには、何かしらの処罰を――」  
「そんなこと言っちゃっていいんですかぁ?  
あたし、知ってるんですよ。ミラカド先生の秘密」  
瞬間、俺の心臓が、ドクン、と跳ねた。  
――お、俺の秘密だと……? もしかして、このガキ、ドカリモのことを!?  
うっすらと笑いを浮かべるヒトミを前にして、俺の鼓動は激しくなるばかり。  
――バカな……。  
ここで秘密裏に開発しているドカリモ――ポケモンを意のままに操るマシンのことは、  
俺とイオリ以外ではアンヘルコーポレーションの者しか知らないハズ……。  
まさかイオリが漏らしたか!? ――いや。優秀なアイツが口を滑らせることなど有り得ない。  
だとすれば、いったい誰が……。  
 
「あたし、見ちゃったんですよぉ……。  
このあいだの肝試しのとき、ミラカド先生とイオリくんが、  
この研究室で何かやっているのを……」  
その言葉を聞いて、もはや俺は動揺の色を隠せなくなる。  
間違いない……。このガキはドカリモの開発について知っている!  
喉が渇く。足が震える。汗が流れる……。マズイ……。マズイぞ!  
俺が、このレンジャースクールに教師として潜り込んだのも、  
すべてはイオリの優秀な頭脳が狙いだった。  
この時点で計画がおおやけになれば俺の努力は水の泡だ。  
 
「消して……しまうか……?」  
机の上に置いてあった鈍器に、ふと目が留まる。  
幸いここは地下室。このガキを殴りつけたところで誰も気付くまい。  
計画がバレるくらいなら、いっそのこと、このガキを……。しかし――  
 
「ミラカド先生とイオリくんは、この部屋で――」  
ええい! ためらっている場合じゃない!  
ここまで来て計画が破綻するなどあってはならんのだ!  
俺は脱兎のごとく、鈍器に向かって手を伸ばす。  
 
「禁断の愛を育んでいるんですね!」  
「ぶべらッ!!」  
突然、ヒトミの口から発せられた予想外の台詞に、俺は足を滑らせ機械に額を打ち付けた。  
ア、アンヘルコーポレーションからの頂き物だから大切に扱わねば……。  
 
「ヒ、ヒトミくん……? いま、何と……?」  
ズキズキと痛む額を押さえながらヒトミに尋ねる。  
コイツ今、物凄いことを言わなかったか?  
 
「教師と生徒……。さらに男性同士という障害を持つ2人は、  
この閉ざされた研究室でしか愛を語らえない……。わかります! その気持ち!」  
わかってねーだろ! 人を勝手にホモにすんな!  
 
「あの……。ヒトミくん。ちょっと――」  
「でも、安心して下さい!  
お2人の関係は、あたしとリズミだけの秘密にしておきますから!」  
あたしとリズミ……って、あのオペレータ志望にも話したのか、コイツ!  
女の噂話しというものは瞬く間に広まるというのに……。  
――だが、ドカリモの件がバレていないことが判って少し安心した。  
とりあえず、ホモ疑惑のほうをどうにかしよう。  
 
「あー。ヒトミくん。何か勘違いしているようですけど、  
ワタシとイオリくんは、そういった関係ではありません」  
「ええッ!?」  
俺の弁解に対し、ヒトミは大げさとも取れる動作で驚く。  
ご丁寧なことに、両手を口元に当てながら。  
 
「そ……そんな……。――ウソですよね! ミラカド先生! ウソだと言って下さい!」  
ヒトミはこちらに、グッ、と身を乗り出し、懇願するように訴えてくる。  
な、何でコイツは俺をホモに捏造したがるのだ。  
 
「ヒ、ヒトミくん……。何故、そこまで必死になるのですか?」  
「同人誌を作ってるんです……。リズミが……」  
「ど、どうじんし……?」  
「はい……。『イオリくんは絶対に小悪魔受け!』って張り切ってました!」  
聞き慣れない単語の羅列に、俺はいささか目眩を覚える。  
何なんだ、この学校……。もう疲れた。早くヒトミを説得して、帰ってもらおう。  
 
「と、とにかく、ワタシとイオリくんは至ってノーマルであると、  
リズミくんに伝えておいてもらえませんか? これ以上、誤解が広まるのは――」  
「嫌です!」  
「つッ……!?」  
差し出された俺の手を跳ね除けて、ヒトミが勢いよく立ち上がる。  
 
「ここで諦めたら、身を粉にしてきたリズミの努力はどうなるんですか!  
お願いです! お2人はホモっていうことにしておいて下さい!  
金髪のタレ目はホモだって、勇者ハーメルも言ってました!」  
ふざんけんなクソガキ! つーか、勇者ハーメルって誰だよ!?  
 
「ワケのわからないことを……。早く帰ってください! ムリなものはムリです!」  
「いいえ! 帰りません!」  
ヒトミを研究室から追い出そうと試みるが、俺の腕を掴んで一向に離そうとしない。  
その強情さに耐えかねた俺は、空いているほうの手でヒトミの腕を掴み返す。  
 
「ええい! 鬱陶しい!」  
「きゃっ!」  
そのまま机に向かって叩き付けた。  
 
「――いったぁ……」  
床に座り込み、顔をしかめながら腰をさするヒトミ。  
俺はヒトミに歩み寄り、目の前で仁王立ちをする。  
 
「やはりアナタには罰を与えたほうが良さそうですね」  
ヒトミを見下ろしながら冷ややかな態度で言い放つ。  
そんな俺の変化に、ヒトミはすぐさま気付いたらしい。  
その場に座り込んだままこちらを見上げ、身をすくめた。  
 
「ミ……ミラカド先生?」  
「立ち上がって後ろを向き、机に両手を着きなさい」  
引きつった笑いを浮かべながら俺の様子を窺うヒトミに向かって、低い声で命令する。  
 
「あ……あの――」  
「早くする!」  
「は、はいぃ!」  
俺が一喝すると、ヒトミは裏返った声で返事をし、素直に命令に従った。  
 
「――ミ、ミラカド先生……。いったい何を……――ひゃあっ!?」  
机に両手を着いているため、こちらにヒップを突き出す体勢になっていたヒトミ。  
そのヒトミのヒップを、ショートパンツの上からゆっくりと撫で回してやった。  
当然、驚いたヒトミは机から手を離し、体をのけぞらせる。  
 
「な、何するんですか、ミラカド先生!」  
「黙りなさい! これは罰なのです。ワタシとて好きでやっているワケではありません!」  
「でも――」  
「いいから、もう1度机に手を着きなさい! 逆らえば罪が重くなりますよ!」  
「うう……。――はい……」  
体を小刻みに震わせながら、しぶしぶ従うヒトミ。  
その声色から明らかに怯えていることがわかる。  
この程度の脅しに屈するとは、やはりガキはガキということか。――しかし……。  
俺は、カタカタと震えるヒトミの後姿を舐めるように見回す。  
――少々キツめと思われるショートパンツから、クッキリと浮き出たヒップライン。  
その下から伸びる、若さゆえのみずみずしい太もも。ふくらはぎ……。  
 
「ふむ……。発育途上というのも悪くないな」  
俺は前に手を回し、ヒトミのベルトを右手だけを使って器用に外した。  
続けて左手を用い、ショートパンツを引き下げる。  
もちろんヒトミの羞恥心を煽るため、ゆっくりとだ。  
 
「――ほう……。白と水色の縞模様ですか。なかなか趣味がいいですね。ヒトミくん」  
「うう……」  
あらわになったショーツを眺めながら、ヒトミに対し言葉で責める。  
顔は見えずとも、ヒトミがこの状況を恥ずかしく思っていることは、  
真っ赤に染まった耳から一目瞭然だ。  
気がつけば俺自身も昂りが停められない状態になっていた。  
ズボンの中で蠢く俺の分身が、外の空気を吸わせろと急かしてくる。  
こうなったら最後まで行くとするか。  
俺はズボンのチャックを下ろし、猛るギャラドスのようなソレを引っ張り出した。  
 
「せ、先生!? まさか――」  
これから自分の身に起きるであろう出来事を、音で察知したのだろう。  
ヒトミは自身の肩越しに俺の顔を流し見る。  
 
「いいですか? 先生はキミのことが憎くてやっているワケではありません。  
これは愛のムチなのです」  
心にも無い台詞を言いながら、ヒトミのショーツを指でずらしてやる。  
その瞬間、触られた形跡などまったくない、小振りな果実と対面した。  
男を知らない少女の、閉ざされた淡いピンク色の秘部。  
俺は心の中で感嘆する。――これが若さか……。  
 
「――おや……?」  
ヒトミの秘所をまじまじと観察していたところ、俺はあることに気付いた。  
 
「おやおやぁ? これはいけませんねぇ、ヒトミくん」  
ヒクヒクと動く二枚貝の中心からは、わずかではあるが蜜が滴っている。  
それを俺は目ざとく見つけたのだ。  
 
「こんなに濡らしているなんて……。  
アナタは自分が罰を受けている最中だと理解しているのですか?」  
「ち、ちが――! これは――」  
目にうっすらと涙を溜めながら、上擦った声で否定しようとするヒトミ。  
そんな彼女の様子を見て、俺はサディスティックな気分に包まれる。  
この女を、もっと責め立ててやりたくなった。  
 
「何が違うのですか! 本当に反省しているのなら、こんなに濡らさないハズ!  
アナタみたいな悪い生徒には、もっとキツいお仕置きが必要です!」  
俺は自分の怒張をヒトミのワレメに、グイッ、と押し付ける。  
 
「先生! 待っ――」  
「待ちません!」  
俺はヒトミの制止を気にも留めず、体重を掛けて一気に貫いた。  
 
「ひ……!? ぎぃイィィぃいィィィッ!!」  
刹那、肉がみちみちと押し広げられる感覚が俺の下半身を襲い、  
それと同時にヒトミが、仕留められたコラッタのごとき壮絶な悲鳴を上げた。  
聞き慣れない鳴き声に俺は一瞬戸惑ったが、すぐさま我に帰り、激しく腰を動かし始める。  
 
「あ! ひぐっ! あぁあッ!」  
机に突っ伏すヒトミは、ひと突きされるごとに、  
チルットのさえずりのような可愛らしい音色で苦悶の声を上げる。  
だが、俺はそれに構わず、幾度も幾度も自身の肉棒をヒトミに出し入れする。  
 
「お、おお……。これは……」  
破瓜したばかりの少女の体内は、アーボックの締め付け攻撃を上回るほどの圧迫感。  
おまけに膣内のヒダはしっかりと俺の分身を絡め取ってくる。  
素晴らしいキャプチャスタイラー。俺のポケモンは完全に逃走不可能だ。  
 
「お、お見事ですよヒトミくん……。コッチのほうは文句なしの優等生です……。あっ!」  
あまりの快感に、俺も、ろれつが回らなくなってきた。  
 
「ヒ、ヒトミくんが……うッ! こんなに優秀な生徒だったなん……て……。  
ぐッ! せ……せんせい……、びっくり……です……よ、あぁぁッ!」  
「あぐッ! せんせ……。痛いよォ……。ふあぁッ! 抜い……て……」  
ヒトミの上に覆い被さりながら、俺は一心不乱に腰を振り続ける。  
 
「大丈夫……。もうすぐッ……! 終わりますから……ね。あぁっ!」  
もうしばらく、この名器を楽しんでいたかったが、そうもいかないらしい。  
大滝を上りゆくコイキングのごとき力強さで射精の欲求が押し寄せてきた。  
 
「ぐぅ……! ヒトミくんッ! 出しますよ! おおお……!  
たっぷり注いで……はぁッ! あげますからねッ!」  
擦られ続けて敏感になった俺の亀頭が、カッ、と膨張する。  
続けざま、込み上がってくる濁流のうねり。  
 
「ひぁッ! せ、せんせぇッ! なかは! なかはらめぇぇッ!」  
ヒトミは体外射精を望んでいるらしいが、そんなこと構うものか。俺は本能に従うぞ!  
 
「出すぞッ! ヒトミッ! ぐぅ……あアぁあァァアァァァァッ!!」  
「ひあぁぁッ!! ミ、ミラカドせんせぇえぇぇええぇぇぇッ!!」  
大きく咆哮しながら、俺はヒトミの中にすべてをブチまけた。  
出しても、出しても、断続的に襲いくる快感が射精の勢いを後押しし、  
俺はヒトミの膣に子種を塗り込むかのごとく注ぎ続ける。  
それに反応するかのように机に爪を立て、何度も身体を痙攣させるヒトミ。  
俺たちは、いつ終わるともしれない至上の喜びに打ち震えつつ、  
1つになったまま情欲を貪り続けた――。  
 
◆  
 
「――うーん! いい天気だ!」  
早朝。俺は、朝の日差しが眩しく照りつける校庭へと足を踏み入れ、大きく伸びをした。  
昨夜はヒトミの足腰が立たなくなるまで合体と解除を繰り返したため、  
俺は明け方になってからヒトミを女子のベッドルームに送り届けたのだ。  
最初は嫌がっていたヒトミも、次第に快楽が苦痛を上回り始めたらしく、  
最終的には自分から求めてくるようになった。  
おかげで楽しい一夜を過ごすことができ、俺は大満足だ。  
心も満たされ心機一転! 今日もドカリモ完成に向けて頑張るぞ!  
 
「せんせ〜い! ミラカドせんせ〜い!」  
校庭で体を動かしていると、校舎の中から駆け寄ってくるヒトミの姿が見えた。  
手を大きく振りながら笑顔で走ってくるヒトミに向かって、俺も手を振り返す。  
昨夜はムリさせすぎたし、ここらで労をねぎらっておくか。  
幸い、周囲に他の人間は居ない。  
 
「ヒトミくん! 昨日の夜は――」  
「リズミの出す本のタイトルが、『僕と先生のイケナイ関係』に決まりました〜!」  
その報告はいらねーよ。  
 
 
 
END  
 

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