「トド嫁か…。おっかないな。まぁ薫子に限ってそんな心配ないか。」  
時々、俺はテレビを見る。旅のときに使っていた携帯式のテレビ。  
ネットも使える優れものだ。  
「トド嫁?」  
不思議そうに聞く薫子。本来はデカイ亀なのだが、  
人になって、でかいのは胸だけだ。揉み応えもそれ相応にある。  
あのまま人にならないで本当によかった。  
「トドみたいに太って、何もしない嫁の事だ。おっかない話だよな。」  
俺は言った。  
「それは失礼な話ですね…。」  
薫子が言った。少し怒ってるようだった。  
「薫子、お前じゃない。だから安心しろ。なっ。」  
薫子の肩をたたく。こいつは結構働いてくれたし、今も働いてくれる。  
「そうではありません。私の故郷の双子島にいる、トドのお嫁さんは  
よく働きます。むしろ夫の方が怠け者です。」  
「なぁ、そのトドって…。」  
オチが読めた。  
「トドゼルガの…」  
「トドゼルガだな。」  
「すまん。そんな嫁はトドに失礼だったな。じゃぁどんな動物にがいいか?」  
「カビゴンなどはいかがでしょうか…。」  
「ピッタリ合い過ぎて、怖いなそれ…。ついでに夫は誰なんだ?」  
「ルンパッパです。あの人は女遊びが度を越しますから…。」  
「まんまだな。」  
「えぇ。」  
 
お後がよろしいようで。  
 

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