再びベッドの上。
お互い裸のまま、ハキは顔を赤くして下を向いていた。
「へー、そう言う事はちゃんと知ってるんだー。」
「うるさいな、ラナ。」
「お姉ちゃん、でしょ?」
「セックスは、男がエスコートすものじゃないのか?
だからこのときばかりは、立場が下の『弟』という存在になるわけにはいかない。」
微妙に偏見がかっているが、彼の言う事も全くの間違いではない。
だが、やっぱり姉と弟として接したいラナは、その言葉に疑問を持つ。
「甘えながらセックスするってのも、ありなんじゃない?」
「うー…でも、やっぱり恥ずかしい…」
「人のおっぱいまで飲んどいて、なにいまさらセックスを恥ずかしがるんだか。
えいっ!」
「!!」
裸のまま、思い切り抱きしめる。ハキも条件反射で手がラナの背中に回る。
すべすべして気持ちいい、ラナの肌。
…だが、その肌の内側に、違和感を感じた。
「ラナ、うつぶせになってくれる?ちょっとマッサージしてあげる。」
「え?…ふふ、いいわよ。ほら。」
うつぶせになる。
巨乳が押しつぶされて上から見ると体から乳房がはみ出ている、かなりエロい。
「いい?」
「や、やっぱり待って。これじゃおっぱいが苦しい…」
やはり胸が大きいと、その分押しつぶされる時の負担も半端ではない。
乳房を体の両側へ追いやり、もう一度うつぶせに寝転がる。
たわわに実ったボール状の乳房が、体の両側にくっついている、直径20cmは超えている。
「…す、すご…」
「ん?どーしたのかな?」
「い、いや。じゃあ、マッサージするね。力抜いて、僕がぐっと押したら息を吐いてね。」
巨乳に顔を赤くしているのにはちゃんとラナは気づいていた。
そしてハキ曰く『マッサージ』の意味も、ちゃんとわかっていた。
胸や陰部を指のテクニックで気持ち良くなるようにマッサージするのだろう、と。
…だが、前者は正しかったが、後者はそうではなかった。
次の瞬間聞こえてきた音で、期待は驚愕に変わった。
バキバキバキ!
「!!!??」
骨の折れるような音。
いったい何をしたというのだろう。背中に非常に強い圧迫を受けた。
…だが、どこも痛くない。むしろ、さっきまで重かった背中が軽くなった感覚がする。
「な、何今の!?」
「ちゃんと息はいてよ。」
「そうじゃなくて、前触れもなくこんなことされたら…」
「ちゃんとマッサージって言ったよ?」
「…はあ!?」
ラナには何が何だか分からない。
ハキがしょうがないなあという感じで説明する。
「さっき抱き合ったときに、ラナの背中に触って感じたんだ。
肌はすべすべて柔らかかったけど、その内側の筋肉がすごく硬くて。
筋肉がこってなければ指が吸い込まれるような感覚なんだけど、ラナの筋肉は硬くてすごく反発が強くて。」
先ほど抱き合ったときのハキが感じた違和感はこれだった。
どうやらこの少年、指圧や整体に精通しているようである。
「胸が大きいからか、日ごろの体のケアが足りないか、
とにかく疲労がたまってる。」
「う…当たってる。」
「すごく体が固くなってるから、さっきのように背中に圧迫をかけると…」
バキバキバキ!
「あわわわわ…」
「ほらね。後は足…起き上がって…」
「う、うん。…あだ、あだだだだだ!」
今度は足裏。これはマジで痛い。
「ちょ、ちょっと、こ、これマジできついって、こら、ハキ!」
「こってるって証拠だよ。」
「せ、セックスするんでしょ?お姉ちゃんと!そのためにこうやってはだかんぼで…」
「でも、マッサージするって言ったとき、喜んでたじゃん。」
「そ、それはエッチな事期待して…いててててて…!」
足全体への指圧。
健康にはいいかも知ればいが、やはりローティンの少女の柔らかい足に強力足ツボはきついものがある。
「い、痛い、痛いよお…」
逃れようとするが、片手で足首を強く握られ、逃げられない。
いくらラナがハキを守ると言ってもそれはポケモンの話、力はハキの方が強いのだ。
「もう、ハキ!いい加減にして!」
「うっ!」
ラナの怒る声に、流石に手を止めるハキ。
ふざけるにしても限度がある、ラナはそう思っていた。
「やっていいことと悪い事があるのよ?
人があれだけいたいって言ってるのに…やりすぎよ!」
「ご、ごめん!ちょっと、調子に、乗りすぎた…」
「ちょっとどころじゃないわよ、もう!どれだけ痛い思いしたと思ってるの?」
パン、と音がした。
ラナの平手が、ハキの頬にぶつかって。
涙目のラナが、思わずハキを叩いてしまって。
ラナははっとした。叩いた後で、自分が何をしたかに気付いた。
ハキを見る。顔を赤くして、黙って涙を流している。
「ハキ、ごめん!そんなつもりじゃ…」
「…。」
「ごめんね、お姉ちゃんが悪かったから、ね?」
本当の兄弟のように思える。姉が弟をなだめている。
うつむくハキを、抱きしめる。
「ごめんね、お姉ちゃんを、許して、ね?」
「…。」
「…ひゃん!?」
覆うように抱いていたので、ハキの目の前に巨乳が来る形になっていた。
それを両手で持って、乳首に吸いつく。
「ハキ…」
「ん…ちゅ…」
涙を流しながら、無我夢中でおっぱいを飲んでいる。
その姿を見て、可愛いなあと思いつつ、少しだけ安心した。
「ねえ、ハキ。
…あたし、おっぱいが大きいから、肩こってるの。」
「!…。」
「お願い、していいのかな?」
「…下手な事して、また痛い想いさせちゃうかもしれないよ。」
口をきいてくれた。
よわよわしい声だが、確かに聞こえた。
「いいよ、一生懸命、やってくれるのなら。」
「…ありがとう。」
胸に顔をうずめ、すすり泣く。
ああ、あたし、この子に、もうすぐあたしの初めてを、あげちゃうんだね。
…すごく、嬉しいな。
「あ〜…。う〜…。」
「どう?」
「すご〜〜い…。」
普通、がちがちになった肩を、効くように、痛くないようにマッサージするのは至難の業。
だが、絶妙の力加減で、ラナの肩をほぐしていく。
「すごく、いい…。」
「少し下手になったかな。まだまだこんなんじゃ、マッサージとは呼べないや。」
(その向上心をポケモンに向けなよ…)
「うーん、オイルがあればもっとうまくいくんだけど…」
「オイル?」
「ぬるぬるの、滑りを良くする液体があればなあって。
ひょっとして、サンオイルとか持ってる?」
突然ラナの目が泳ぐ。
何か隠しているな、と感じて問い詰めると、しぶしぶ口を開いた。
「えっと…サンオイルじゃないけど、あたしのカバンの中に、その…
ハキの求めてるものが…はいってるかもー?」
「そんじゃ、探してみる♪」
「あうう…」
できれば出してほしくないなー、という想いを遠回しに伝えてはみたが、やっぱり無駄だった。
ごそごそと鞄をあさり。
「…あのー、ラナ?
一応僕、そう言う知識はあるんだけどさー。」
「あ、あはは。」
「いつから、そのつもりだったわけ?」
「え、えへへ。217番道路で買って、その時からそのつもり。」
「はあー…」
取り出したのはローション。
もちろん、情事用のものである。
「ラナー!」
「きゃっ!お、重い重い!あはははは!」
嬉しさのあまりのしかかるハキ。そして体の横にこぼれている巨乳に吸いつく。
もはや完全にバカップル。
「あー…さっきよりもっと気持ちいー。」
「でしょ?オイルを塗ると、肌と指の吸いつきがよくなるんだ。
滑りもよくなるから、こうやって…」
腰から肩に向かって、筋繊維に沿って指圧する指を滑るように動かしていく。
オイルがあるからこそ、効くマッサージである。
いつの間にか、ラナの頭はマッサージの気持ちよさでいっぱいになり、セックスの事を忘れている。
…ハキは、それを見逃さなかった。
「ひゃああんっ!」
「どう、気持ちいい?」
「ん…あっ!気持ち、いいよお…」
ローションですっかりぬるぬるになった手で、あらわになっている割れ目に指を入れた。
初めてなので、感度は良好。
もちろんハキも初めてだが、知識はある故に楽しそうにラナを弄っている。
「えへへ、こんなマッサージをずっと期待してたんでしょ?」
「ひゃん!…あ、あ…やん!」
「もしかして、背中のマッサージばかりに思考が行ってて忘れてた?」
「ううん!」
「それじゃ、今度は口でマッサージしてあげるね。」
「うああ、や、やあっ!」
うつぶせゆえにハキの顔を見ることが出来ず、見られているという感覚がさらにラナを恥ずかしくさせる。
だったら仰向けに体勢を変えればいいのだが、
先ほどの奇襲攻撃で完全に力が抜けてしまい、ただされるがままになっていた。
「くちゅ…んちゅ…」
「ひゃあああああん!イ、イクううううっ!」
口で陰部を舐めまわし始めた直後、大量の潮を吹いて頂点に達した。
だが、絶頂に達した後は、女性の陰部は敏感になる。
それもハキは知っていたので、怯むことなく舐め続ける。
「んああああっ、こ、こわれひゃう…ひああっ!」
「あれ、さっきイったはずなのに全然元気だね。」
「そ、それはハキが…んああっ!」
「ん?僕が何?もっと激しい方がいい?」
「こ、これ以上激ひくはれたら…んんんんんっ!」
2度目の絶頂。
あまりの恥ずかしさに口を閉じたが、喘ぎ声は抑えられなかった。
「お、お願い、ハキ、ハキの、ハキのが、欲しいのお!」
「え?口の方で、僕はまだやりたいんだけど。」
「お願い!お姉ちゃんの、一生の、お願い…ああんっ!」
「…うん、わかった!セックスしよ?
だって、お姉ちゃんが、大好きだもん!」
「ハ、ハキ、あたしの、あたしだけの、…んんんっ!」
陰茎をあてがい、少し差し込む。
ハキの陰茎は大人と比べればもちろん小さいが、
10歳の女の子を満足させるだけの大きさは、充分に持ち合わせていた。
「く…んはあっ!」
「だ、大丈夫?お姉ちゃん…
初めてが痛いって事、ごめん、ちょっと忘れてた…」
本気で反省するハキ。幸い、処女膜をぶち破る前にその事を思い出し、陰茎の差し込みを止めていた。
ラナも、ハキの思いやりをしっかり感じ取っていた。
「ハキのなら、痛くないよ。…入れて、欲しいな。」
「お姉ちゃん…」
「よっと。」
少しだけ差し込まれた陰茎を抜かないように気をつけながら、体制を変える。
そしてハキとラナが繋がったまま間近で向かい合うような形になるのだが、
「…なんで?」
「え?」
「肩や背中はあれだけカチカチだったのに、股関節だけはなんでそんなにも柔軟なんだ?」
「あ、あはは。昔弟と、どっちが広く広げるか競争しててそれに熱中していた時期があってさ。その時に。
向かい合ってセックスするんだから、脚はハキの足元にない方が邪魔にならないでいいでしょ?」
正直言ってわけがわからなかったが、とりあえずほぼ180度に広げた太ももを膝でまたぐ。
そして、少しずつ互いの距離を縮めていく、段々と巨乳が潰れていく。
「ぐっ!」
「痛いか?」
「ハキのなら、痛くない…と思ったけど、流石に、ね。」
「…無理しないでよ。お姉ちゃん。」
「分かってる。…ふう、よし来て、ハキ!お姉ちゃんが、気持ち良くしてあげるから!」
いつまでもうじうじしていたってしょうがない。
痛みは必ず来る、どれだけ待っていたって、それは避けられないのだから。
だから―――ラナと、最愛の姉とつながりたいという気持ちで、迷いを吹っ切った。
「くあっ!」
「ラナっ!」
一気に奥まで突っ込む。
陰茎から生温かい感触を感じる。何かと思って下を見ると、
「血!?こ、こんなにも大量に!?」
血が出ることは知っていた。
だが、想像以上の出血に、驚きを隠せない。
「も、もうちょっと、ゆっくり優しく挿れてほしかった、かな。」
「ご、ごめん!」
「いいの、それだけ、一緒になりたかったって事だよね?」
「う、うん。」
「可愛いよ、ハキ。」
そう言って背中に手を回して抱きしめる。
実際には身長はほんのわずかにハキの方が高いが、圧倒的にラナの方が大きく感じる。
「ふう…ふう……。」
「お姉ちゃん?」
「だんだん、苦しさが、なくなってきたよ、もう、安心して。」
「でも、あれだけ血を出してたんだよ?」
「あはは、あれだけ血を出す女の子は、そうはいないかもね。
でもね、ハキのおちんちんが血を出させたのなら、どれだけ痛くたって幸せ、だよ。」
「…弟さんとやるのと、どっちが幸せかな?」
「!」
…いつか聞かれると思っていた質問。
ハキと、本当の弟、コウジ。ラナにとって、どっちが大好きな弟なのか。
血のつながってないハキに奪われて、本当にいいのか。
「…痛いところ、突いてくるなあ。
確かに、ハキと出会うまではコウジの事しか考えられなかったし、
…やっぱり血がつながっているコウジの方を、大切に思うべきかもしれない。」
「…それなのに、もう遅いけど、僕がラナの初めてを…」
だが、そのハキのもやもやに対しては、ラナははっきり答えてくれた。
「いいんだよ、
初めてはハキに奪ってもらうって、決めてたから!
コウジ以外に、コウジくらい好きな人が出来たその時にって!」
「え…?」
「兄弟とは、結婚が出来ない。その事は小さい頃にすでに知っていた。
…だから、何があっても、コウジとはセックスしないって、決めたんだ。」
「ど、どうして…」
「…本当に好きな人としか、セックスしない。
あたしの体は、一人だけのものって、物心ついた時にあたしの道徳として身についてたみたいでさ。
あたしは本当にガキでさ、好きな人とは一生一緒にいるもの、なんて風に思ってたのよ!笑えるでしょ?」
ラナがクスクスと笑う。
ハキはそれを何も言わずに聞いている。
「もちろん、セックスの事を知ったのは旅に出る直前くらいの頃なんだけどね。
旅で何か間違いがあってはいけないからって、スモモさんが教えてくれたんだけど。
それを極端に取っちゃって、セックスした人と一生を共にするって思っちゃって!」
「ラナ…」
「でもさ、その考え方が世間ではおかしいって気付いた時も、
それでも、この考え方を貫こう、って思ったんだ。」
「どうして?」
ハキは問いかける。
その質問に対し、ラナの答えは、ハキの心に響いた。
「そんな浮気性じゃ、涙をのんで別れたコウジに、あわせる顔がないから。」
「!」
今、自分がラナにしている事。
その重大さと、責任の重みを、ずっしりと感じた。
…そして、その責任を背負って強い意志を持って生きていこうと、強く決心した。
「ラナ…もう挿れちゃったけど…僕でいいんだね。
…いいや、たとえ断られようと、力づくでも一生ラナと一緒にいる。絶対に離れない!」
「ありがと、ハキ…
こ、これは、プロポーズ、なのかな?」
「…ああ。そうとって構わない。肯定するのが恥ずかしいから。」
「もう、男なら結婚してって言ってよ!」
「ぐ…あうう…」
「冗談。無理して言う事じゃないしね。
あたしを本当に嫁に欲しくなった時でいいよ。
ハキは離れない、だから絶対にその時がくる、それまでずっと待ってるから。」
「ごめん、情けない男で。」
「あたしは、ハキのお姉ちゃん!だから情けないなんて、思わないよ!」
「うん。」
ハキの『女』であり、『お姉ちゃん』であるラナ。
ラナの『男』であり、『かわいい弟』であるハキ。
2人の想いが、幸せを呼び込む、瞬間である。
「今はまだ結婚、とまでは言えないけど…
これから一生、君を、ラナを守…いや、違うな。」
「え?守るって言っていいんじゃ…あ、そっか。」
「うん。
これから一生、君に、ラナに守られ続ける!
その柔らかい肌、大きなおっぱい、そして…その強い心に!」
「ええ。ずっと守ってあげる。
ハキはそばにいてくれるだけでいい、何もしなくて、いいからね。」
「うん。」
もちろんハキもラナを守るために全力を尽くすだろう。ラナもハキに守られる事はちゃんとわかっている。
だけど、ラナが守り、ハキが守られることによって、2人の愛が守られる。
それをしっかり噛み締めて、ハキは腰を動かし始めた。
「あ…んあ!」
「ラナ…の…僕の…赤ちゃん…」
「えへへ、まだ、早いのかな…?…んあっ!」
「プロポーズしたら、すぐに作って、あげる…くっ!」
入れた後だいぶ時間がたっており、散々じらされた形になった故、快楽もまた格別。
すぐに絶頂に行きそうになる。
だけど、少しでもラナを気持ちよくさせるために、粘る。
痛みはほとんど消えた。とはいえ、ラナは出血量が相当多い女の子。
今もまだ血が出続けている。
もっとも、抱きついた状態で腰を動かしているので、そのことには気づいていない2人だが。
「か、体が、熱い…もっと、ハキ、もっとぉ!」
「お、お姉ちゃん!」
「ハキ、いい子だからね、お姉ちゃんの中に、たくさん出してね?
ほーら、もっと…つ、強くんあああっ!」
弟であるハキをあやそうとするが、快感で喘ぎ声がどうしても出てしまう。
ハキはさらに激しくし、そしてついに一番奥まで陰茎が到達した。
「んんっ!
ああっ、は、ハキ、もっと動いて!気持ち良く、なりたいのっ!」
「ラナ、わかった!」
スピードを最大にする。
打ちつける音が聞こえてくる。
陰茎に圧力がかかり、膣内が掻きまわされ、意識が白くなっていく。
そして、限界が、訪れた。
「ラナっ、くっ、うあああっ!」
「ハ、ハキ、ハキ…やああああああああっ!」
陰茎から、精液が爆燃する。
初めての射精。大量に、注がれていく。
…ただ、何か違和感を感じた。
「あ、あれ?…何も、来ない?」
「う、うん。一応、コンドーム、着けておいたよ。」
「あれま、いつの間に?」
「ローションと一緒に入ってた。
背中のマッサージをした後に襲う事になるのは分かっていたから、あらかじめ取り付けといたんだ。」
「…全然気がつかなかった。」
ラナは一度もハキの陰茎を見ていない。
故にコンドームの存在に気付いていなかったのである。
「ふふ…もう、若さに身を任せようよ!…て思ったけど、
お姉ちゃん想いの弟を持って、幸せだよ。」
「ありがと。…おっと!」
「ごめん、力尽きちゃった。」
ラナがベットの上にコテンと倒れこむ。
繋がったまま抱きしめていたので、当然ハキも巻き添えを喰らって。
…外を見ると、すでに午前5時になっていた。
「…今日はゆっくり寝よ?
明日、キッサキから、ポケモンリーグ出場資格者専用の船が出るから。」
「え?…じゃ、じゃあまさか、ハキとまたお別れ?」
「いや、それは大丈夫だってば!
出場資格者の付き添いとして、ちゃんと船に乗れるようになってるからさ!」
「よ、………。」
「ラナ?」
「よかったーーー!もう、ハキ、驚かさないでよ…」
涙目になりながらさらにぐったりするラナ。
もう当分立ち上がることはできないだろう。
「ごめんごめん。」
「さ、寝よ?明日出発だからさ。
本当は今日、僕がラナの次としてジム戦に臨む予定だったけど…」
「え、そうだったの?じゃ、じゃあ、明日ジム戦すれば?」
「でも、そうすると船が…」
「だったらまた雪道を行けばいいよ!」
ラナが必死になって言う。
ハキは少し考えたが、やがて口を開いた。
「いや、僕はもう、ジム戦はいい。」
「え…?」
「僕はもう、自分の歩む道を、決めたんだ。
…ラナ、反対しないと、約束してくれる?」
「ハキ…?
うん、わかった。」
大分睡魔がきつくなってきた。
最後の力を振り絞って、ハキの言葉を聞く。
「僕は、これでも冒険のノウハウは結構なものだ。
…だから、それを生かす。」
「どうするの?」
「僕は、これからずっと…ラナのバックアップに専念する。裏方に回る。
ラナが行きたい場所があるときは、その場所に見合った装備を用意する。
ポケモンリーグでは、ラナのスケジュールを、徹底管理する。
ラナが、ポケモンバトルだけに思い切り専念できるようにする。」
思い切った決意である。
自分の想いをすべて犠牲にし、ラナのためだけにその身をささげるのである。
ハキの自分の中にあったポケモンマスターになるという夢に、最近疑問を持っていた。
そんなあやふやなものを中途半端に追い続けるよりは、…ラナのための道を選ぶ。
「で、でも、ハキだって大きな夢を持って旅に出たんじゃ…」
「うん、ポケモンリーグで優勝するってね。
でも、ラナだって同じ夢を見てる。
だから、一緒にその夢を見て、もしかなったら、僕も自分の夢をかなえたって感じになる。」
「ハキ…」
「逃げてると言われるかもしれない。
でも、それでもいい。僕は弱いままでいい、いや、弱いままでいたい。
ラナに、守ってもらえるから。強くなってしまったら、その必要がなくなってしまうから。」
ラナに対する心遣いでもある。
ラナは反対しようかとも思ったが、…止めた。
ハキを守るのが、自分の役目だからだ。
「うん、…お願い、でも、それでいいの?」
「もし、僕がまた強くなりたいと思ったら、またジム戦に挑戦し始める。
その時は、ラナに、力を貸してもらう。」
「その時は、ハキに超えられないように、あたしも頑張らなきゃね。
だって、あたしはハキの、お姉ちゃんなんだから!」
そう、人生は、何度でもやり直しがきく。
ラナの裏方に回ると決めたって、これから死ぬまでそうしなければならないという義務はない。
夢が出来たら、また追い直せばいいだけなのだから。
「…ごめん、もう、眠たいな。」
「じゃあ、このまま、繋がったままでいてくれる?」
ラナの意識がゆっくりと消えていった。
最後に、一言だけ、残して。
「いいよ。じゃあ、夢の中でまた、セックスしようね。」