「この縄を解きなさいよッ! あたしを誰だと思ってるのッ!?」  
ほのかに室内を照らすオレンジ色の灯りの下、  
眼前に居る女が俺たちに向かって吼えかかってきた。  
少女漫画に登場するような金髪縦ロールに、キッチリと着こなした制服。  
こいつは、前回捕らえたレンジャー――ヒナタと同じく、  
レンジャーユニオンに所属し、俺たちの妨害を繰り返してきた女だ。  
ヒナタのときと同様、後ろ手に縛られているにも関わらず寸分も臆した様子は見せない。  
それどころか、こうして囚われの身になっている事実が、  
一層気概を高めているような気さえする。  
それほどまでに、この女から感じられる熱気は凄まじいものだった。  
 
「随分と血の気の多いレンジャーだな」  
歯を剥き出し、釣り上げた瞳に怒りを湛えるレンジャーを眺めながら俺は呟く。  
 
「ええ。このレンジャーさんは僕の工場で、そりゃもう盛大に暴れてくれましたよ。  
ここまで連れてくるのにも本当に苦労させられました」  
言いながら自身の腕をさするユウキ。  
よくよく観察してみればユウキの腕には無数のミミズ腫れが浮かんでいる。  
この部屋にレンジャーを連れてきたのはユウキだが、相当抵抗されたらしいな。  
 
「ちょっと聞いてるの!? この縄を解けって言ってんのよ! さっきから無視して――」  
「ゴタゴタうっせーんだよ!」  
とめどなく喚き続けるレンジャーに苛立ちを覚えたのか、  
歩み寄ったヨウジが女に顔を近づけながら吐き捨てた。  
 
「アンタはたしか……」  
ヨウジの顔を見た瞬間、レンジャーが眉をひそめる。  
部屋の薄暗さと興奮状態が相まって面識があることに気付くのが遅れたようだな。  
 
「サマランドでオレに負けて、今回はヨナベ工場でユウキ兄ィに負けたんだってなァ?  
てめェみてェなザコがいきがってんじゃねェぞ」  
低く笑いながら楽しそうにレンジャーを覗き込むヨウジ。  
その様子があまりにも無防備だったためか、ユウキが口をはさむ。  
 
「ヨウジ。そのレンジャーさんの装備はまだ解除していないので不用意に近づくのは――」  
「なぁにビビってんだよ、ユウキ兄ィ」  
尊大な態度を改めることもなく、肩越しにユウキを見ながら鼻で笑うヨウジ。  
 
「スタイラーがあってもポケモンがいなきゃあ、なんもできねーし、  
だいたいコイツは縛られて――ッ!?」  
唐突に何かが噴き出すような音が聞こえたかと思うと、  
それと同時にヨウジのセリフが途切れた。  
しかし沈黙も束の間。部屋に流れる静寂はすぐさまヨウジの雄たけびに取って代わる。  
 
「ぎぃやあぁあァぁぁッ!!」  
突然、耳をつんざくような悲鳴を上げたかと思うと、ヨウジは背中から床に倒れ込んだ。  
そのまま左目を押さえながら絨毯の上をのた打ち回る。  
 
「ヨウジ兄さんッ!?」  
慌てて駆け寄ったミライが悲鳴の原因を確かめるべくヨウジの顔に手を触れる。  
その瞬間、ミライの指にドロリとした赤い液体が纏わりついた。  
 
「ひィィッ! 目がッ! 目がぁッ!」  
「どう? 眼からマトマの実を食べるなんて初めての経験じゃない?」  
引きつった声を上げながら苦しむヨウジを見下ろしつつ、  
勝ち誇った表情を浮かべるレンジャー。  
よくよく見れば、レンジャーは後ろ手に縛られた両手に小さなスポイトを携えつつ、  
それを背後から覗かせていた。  
なるほど。辛味成分豊富なマトマのエキスを入れたスポイトを隠し持ち、  
ヨウジが油断した隙に射出したということか。器用なヤツだ。  
 
「まったく……。僕は事前に忠告しましたからね」  
「ほら、ヨウジ。水だ」  
かぶりを振りながら呆れ返るユウキの隣で、俺は卓上の水差しをヨウジに差し出した。  
ヨウジは俺の手から水差しをひったくると、自身の顔面に慌てて流水をぶちまける。  
もちろん室内での出来事なので、ヨウジが膝を着いている場所はたちまち水浸しになった。  
 
「ふぅん……。アタシたちゴーゴー団を前にして、ずいぶんと強気でいられるのね」  
毅然たる態度でベッドに座り続けるレンジャーに向かってミライが歩み寄る。  
 
「当然よ! あたしはフォルシティでもトップクラスの実力を誇るレンジャー。  
テロリストなんかに屈して自分の役目を放棄したりしない!  
あたしは自分自身を客観的に見られるわけ! アンタたちとは違うのよ!」  
「国家権力のイヌが減らず口を……。しかし、これを見てなお大口が叩けるかな?  
――ミライ」  
俺に名前を呼ばれたミライは悟ったように眼で返事をし、懐から例の物を取り出す。  
それを、訝しげな表情で傍観しているレンジャーの鼻先に突きつけた。  
 
「ッ……!? ――これって……、まさか……」  
掲げられたミライの手に握られている物……。  
それは紛れもなく、俺たちが前回捕らえたヒナタのキャプチャ・スタイラーだ。  
すでにジャンクと成り果てているソレを見て、レンジャーは驚きを隠せないらしい。  
焦点の合わない眼でスタイラーを凝視している。  
 
「これがどういうことだか分かるわよねー、ア・リ・ア・ちゃん!」  
ミライはスタイラーを見せつけながら小馬鹿にしたような忍び笑いを洩らす。  
 
「――あの子に……、ヒナタにいったい何をしたの!?」  
しばらくのあいだ、声も出ないといった様子で固まっていたレンジャーだが、  
突然、何かを思い出したかのような表情になり、ミライに食ってかかった。  
 
「なにをって……。色々と教えてあげたの! 女のコの味とかね。フフフ……」  
自身の唇に指を当てたり、真紅のマントを翻したりと、  
大げさなリアクションでレンジャーを煽るミライ。  
その様子を見ていたレンジャーが怒りを誇示するように口元を歪め、  
ミライを睨みつける。  
 
「ん? どうしたの? もしかしてヤキモチ?  
ヒナタの大切な部分まで知ってるアタシに嫉妬してるの?」  
「っ……!?」  
ミライの度重なる挑発の中に図星を突く一言があったらしく、  
顔を背け押し黙るレンジャー。その頬にミライが軽く手を添える。  
 
「そんな感情すぐに消し飛ぶわよ。アリアもアタシのコレクションにしてあげ――」  
「こんのクソアマがぁッ!」  
突然、室内にヨウジの怒声が響き渡ったかと思うと、  
次の瞬間にはレンジャーがベッドの上で勢いよく壁に叩きつけられていた。  
ミライとレンジャーの会話に気を取られているあいだにヨウジが復活したようだ。  
 
「あッ! く……」  
額をわし掴みにしているヨウジが自身の腕に力を込めるたび、  
レンジャーは苦しそうな呻きを洩らす。  
一方、会話の途中で押しのけられ、床に放り出されたミライは、  
自身の腰をさすりながらヨウジを睨みつけていた。  
たしかヒナタのときも似たような光景を見たな。  
 
「よくもやりやがったな! 上等じゃねーかレンジャーふぜいがァッ!」  
苦悶に満ちたレンジャーの表情を覗き込みながら、ドスの利いた口調で責め立てるヨウジ。  
だがレンジャーのほうも諦めてはいないらしく、  
閉じていたまぶたを開き、ヨウジに向かって睨みを利かす。  
 
「なんだその眼ェッ! まだ勝てると思ってんのかよ! あァ?」  
「あ、当り前じゃない……。  
脳ミソの代わりにカイスが詰まった頭の持ち主に……。  
アンタなんかにウチのジョウさんは負けたりしないのよッ!」  
「な――!? ――調子こいてんじゃねェぞ、クソがッ!」  
「くッ!」  
ベッドに叩きつけられ顔を歪めるレンジャー。  
休む間も与えず、ヨウジはレンジャーのブロンドを強引に掴み上げる。  
 
「あッ! イタッ……」  
「てめェみてェな女は身体に教えてやんねェとわかんねーらしいな。  
おまえも、あのレンジャー――ヒナタと同じ目に合わせてやるよ!」  
言うや否や、ヨウジはレンジャーの胸元に手を掛け、力任せに制服を引きちぎった。  
あっという間に布切れと化した制服と下着が部屋中に舞い踊る。  
当然、レンジャーは俺たち全員に剥き出しの上半身をさらけ出すこととなった。  
 
「つッ……!? い、いやあァァぁァッ!!」  
唐突として自分の身に降りかかった羞恥に耐えられなかったらしく、  
レンジャーは自分の身体を見下ろしながら大きな悲鳴を上げる。  
 
「な……、やだっ! こんなの!」  
お世辞にも大きいとは言えないが形の整った胸をあらわにしながら、  
上擦った声を洩らしつつオロオロとたじろぐレンジャー。  
後ろ手に縛れているせいで身体を隠すことすら不可能だ。  
 
「んだよ、ちいせェなぁ……。栄養足りてんのか?」  
レンジャーを押し倒したヨウジは、  
緩やかな双丘の先端にそそり立つクラボのように真っ赤な突起を、  
指で弾き、こねくり回し、摘まんだりして弄ぶ。  
 
「あつッ! そ、そんなに強く引っ張ったら千切れ――」  
相も変わらず加減を知らないヨウジの責めだ。  
当然のごとくレンジャーは痛みしか感じていないらしい。  
 
「ケッ! てめェみたいな生意気な女にゃ、これくらいが丁度いいんだよ!」  
そう言ってヨウジはレンジャーの突起に、ガリッと歯を立てる。  
 
「ぎィィッ!!」  
痛みに耐えかね濁った呻き声を洩らすレンジャー。  
その眼にはうっすらと涙が溜まり始めていた。  
――と、そこで、先ほどから傍観していたミライとユウキがベッドの上に移動する。  
どうやら見ているだけでは飽き足らなくなったらしい。  
 
「レンジャーさんの髪、凄く綺麗ですね。これなら文句はありません」  
言いながらユウキはレンジャーの前で自身の昂ぶりを取り出した。  
血管の浮き出たグロテスクな男性器を見せつけられたレンジャーは、  
ビクッと身体を震わせたあと、そのまま硬直する。  
 
「いッ!? やだっ! そんなモノ近づけないでっ! 離れてっ! あっち行ってよッ!」  
「酷い言われようですね。  
でも安心して下さい。僕はヨウジほど乱暴なことはしませんから」  
上辺だけの笑顔を向けたあと、ユウキはゆっくりとレンジャーに怒張を近づける。  
 
「ま、まさか口に……」  
「いえいえ。それは以前、ヒナタさんにやって頂きましたし、  
美しいブロンドのあなたにはこちらのほうがお似合いでしょう」  
少々熱のこもった口調で言い放ったのち、  
ユウキはおもむろにレンジャーの縦ロールをひと房手に取った。  
何をされるのか判らないといった様子でユウキを見上げていたレンジャーは、  
次に起こった出来事を目の当たりにし、驚愕の表情をあらわにした。  
 
「え……、ちょっと――」  
「か、髪の毛でするってこんな感じなんですね。あっ! 1度やってみたかったんですよ」  
自分の屹立に肌触りのよさそうなレンジャーの頭髪を巻きつけ、上下に扱きだしたユウキ。  
それを見ていたレンジャーは、まさか自分の髪をそんなことに利用されるとは、  
夢にも思っていなかったらしく、困惑の色をあらわにしながらユウキに喚き立てる。  
 
「う、ウソでしょ!? アタシの髪でなにして――。や、やめてよっ! 汚れるッ!」  
嫌がるレンジャーを尻目に、ユウキは恍惚の表情で縦ロールの感触を楽しむ。  
 
「よそ見なんかしてないでアタシの相手もしてよ」  
「んんっ!?」  
ミライは狼狽し続けるレンジャーの顔を両手で掴み、強引に唇を重ねた。  
 
「んっ! んんんッ!」  
頭を激しく揺すり、ミライから離れようともがくレンジャーだが、  
その様子がミライの興奮を後押ししているのか、ますます深く口づけられていった。  
淫靡な唾液の音を響かせながら、俺の妹は夢中でレンジャーの口内を蹂躙し続ける。  
 
「そんじゃ、そろそろ締めといくか」  
言うや否や、ヨウジはレンジャーのズボンをショーツもろとも一気に引きずりおろした。  
下肢を覆うものを剥ぎ取られ、本来ならば隠し通すべき部分を露出させてしまう。  
それが胸を見られた時とは比べ物にならないほどの恥辱だったらしい。  
大きく頭を動かしミライの責めから逃れると、レンジャーは大声を上げた。  
 
「いやっ! お願いっ! 見ないでェッ!」  
男に視姦されるなど初めての経験だろう。  
形の整ったまっさらな秘裂を覗き込むヨウジを前にして、必死に懇願する。  
両足を閉じて何とか秘部を隠そうと試みるが、  
ヨウジとミライの両人から四肢を押さえつけられ、それも適わない。  
 
「大人しくしてろや。いい夢見せてやっからよ」  
言いながらヨウジは自分の股間をまさぐり、熱く猛る男のシンボルを引っ張り出した。  
その様子を見ていたレンジャーの顔が見る間に青ざめてゆく。  
 
「ウ、ウソでしょ……? ねぇ……。ウソ……よね……?」  
受け入れがたい現実に精神が耐え切れなくなったのか、  
レンジャーは引きつった笑いを浮かべながら何度も同じ質問を投げかけてきた。  
だが、そんなレンジャーを意に介すこともなく、  
ヨウジは自身の先端を弾力のありそうな二枚貝にあてがう。  
 
「残念だったなァ。オレぁウソが大嫌いでよ。ヘヘヘ……」  
「くッ……! ――ふ、ふざけないでよ、この筋肉ダルマぁッ!  
誰がアンタなんかにッ! アンタなんかにィィッ!」  
「てめェは今からその筋肉ダルマに犯されんだよッ! そらッ!」  
「ッ……!?」  
かつてないほどの剣幕で吼えかかってきたレンジャーを鼻で笑うと、  
ヨウジは体重を掛けて一気に刺し貫いた。  
 
「い……!? あァあぁぁァァッ!!」  
刹那、部屋全体に凄まじい叫び声が響き渡った。それは到底この世のものとは思えない。  
おそらく、別室で待機している団員たちの耳にも届いたことだろう。  
 
「痛いッ! 痛いぃッ!」  
ヨウジの辞書に、ゆっくり慣らしてやるという文字は無い。  
出だしからフルスピードで腰を振られつつ、レンジャーは引っ切り無しに痛みを訴える。  
ヨウジが威勢のよい音を立てながら腰を打ちつけるたび、  
レンジャーの秘裂から飛び出す血液と愛液の混じったモノ。  
粘膜が荒っぽく擦れ合う音も相まって、よりいっそう非日常を体感させてくれた。  
 
「オラッ! さっきまでの威勢はドコ行ったんだ? レンジャーさんよぉッ!」  
額に汗を滲ませ、卑下た笑いを浮かべながら攻撃を続けるヨウジ。  
強気な女がボロボロと涙をこぼすサマを見て、興奮極まれりといった感じだ。  
 
「やだッ! こんなのやだよォッ! 助けてジョウさんッ! ヒナタぁッ!」  
激しく泣き叫びながら助けを求めるレンジャー。  
ヒナタのときにも感じたことだが、訓練を受けているとはいっても、  
やはりタダの女なのだ。男に組み敷かれてはあまりにも無力。  
陰部から流れ出る破瓜の血が純白のシーツを赤く染め上げてゆく。  
 
「も、もう許してぇッ! 2度と逆らわないッ! だからお願いッ!  
あッ! い、痛いのやだッ! 怖いのやだぁッ!」  
ついにプライドを投げ捨てて懇願し始めた。しかし、謝罪したところで、もはや手遅れ。  
ここまで俺の兄妹たちをその気にさせてしまっては今さら中断とはいくまい。  
 
「はっ! おせーんだよボケがッ! このまま中に出してやらぁッ!」  
予想通り冷たく一蹴するヨウジ。だが、レンジャーはなおも食い下がる。  
 
「そ、それだけはいやッ! 外にっ! 外に出して――」  
「んなら1回だけのチャンスだ! ここで一生オレの肉奴隷になるって誓えッ!」  
「え……! あ……」  
唐突に与えられたチャンスとやらに困惑し、上手く言葉が出ないのだろう。  
引きつった喘ぎ声を発しながら激しい責めに身悶えしている。  
 
「ああッと時間切れだ! 残念だったな! ――あぐっ……。そんじゃブチ撒けるぜッ!」  
「い……。ま、待ってッ! 冗談でしょッ!? こ、こんなのウソよッ!  
だってこんなッ! こんなのって――」  
限界を示すように顔を歪ませたヨウジに向かって、  
何かの間違いであってほしいと訴えかけるレンジャー。  
しかし、そのような希望は息を吹きかけただけで散りゆく花びらのように儚い。  
 
「ぐッ! もう出そうだっ! たっぷり注いでやっからなッ!」  
「レンジャーさんッ! 僕も限界が!」  
「アリアが種付けされるトコ、じっくり見ててあげるからねー」  
俺の兄妹たちは思い思いの言葉を口にしながらレンジャーを注視する。  
そうだ! もっと鳴け! その嬌声で曲を紡げ! 極上の演奏を俺に聴かせろ!  
俺は昂る感情を必死に抑えながら4人の動向を見守り続ける。  
程なくして、その4人は臨界点を迎えることとなった。  
 
「はッ! ああッ! ぼ、僕もう我慢できな――。うぁァあァッ!!」  
縦ロールを用いて肉棒に刺激を与えていたユウキが先端から勢いよく白濁を吹き出した。  
流れるような優雅さを湛えていたブロンドが、  
あっという間に白く染め上げられ汚されてゆく。  
 
「ぐあァッ! 出すぞレンジャー! 孕んじまえッ! イッ! うおォぉオォぉッ!!」  
「いやぁぁァあぁあぁァッ!!」  
涙目になりながら最後まで抵抗を続けていたレンジャーの膣内に、  
ヨウジが猛りながら自身の子種をブチ撒けた。  
 
「やだやだッ! 産みたくないッ! 産みたくないよぉッ!!」  
好きでもない男の精を流し込まれ取り乱すレンジャー。  
どんなに苦しかろうと、この状況から逃れるすべは皆無に等しい。  
ヨウジがすべてを吐き出すそのときまで地獄の真っ只中をさまよい続けるのだ。  
それはまさしく絶望を絵に描いたような光景だった。  
 
◆  
 
「――はぁ……、うう……」  
レンジャーがベッドに横たわりながら規則的に身体を上下させている。  
貴族のように端正だった顔立ちは唾液と涙と白色のおかげで今や見る影もない。  
無理やり純潔を奪われたつぼみからは混ざり合った血液と白濁が桃色となり滴っていた。  
降りかかった災厄に打ちひしがれ、放心しているのだろうか?  
魂が抜け落ちたかのように虚ろな瞳で視線を空に漂わせている。  
そんなレンジャーの姿を眺めながら、俺は率直な感想を呟いた。  
 
「いいコンサートだった……」  
 
 
 
END  
 

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