ここはポケモン広場の近くにある救助基地。
家は大まかに見るとヒトカゲの顔をしていて、口が出口、目が窓となっている。
その基地の前にはすこし眠そうなピカチュウがいた。
どうやらこの基地の中に居るポケモンを迎えに来たらしい。
そのピカチュウは基地に向かって大きく叫んだ。
「ルナ!!」
するとその基地からルビーのブレスレットを着けたヒトカゲが出てきた。
ブレスレッドと名前からして女の子だろう。年齢は15、16位だ。
ルナというヒトカゲはさわやかにピカチュウに笑いかけた。
そのピカチュウは照れ臭そうに笑った。
「おはよう、ピカリ」
「うん、おはよう」
2匹はお互い挨拶を交わした。
ピカチュウの名前はピカリと言うらしい。
二人はそれから笑顔で手を繋ぎ、ポケモン広場へと向かっていった。
ちなみにルナとピカリは両思いで、恋人同士だ。
だがルナは元人間、ピカリはポケモンだ。
そんなに2匹が結ばれるなんて、有り得ないことだった…が。
ある出来事がきっかけで、2匹は結ばれる行動をしてしまう…
2匹がポケモン広場に行くと、広場のポケモン達は店からも施設からも出て、空っぽになっている。
よく見ると、救助隊ポケモンも、広場のポケモンも、皆広場の中心に集まっていた。
ルナとピカリは何事だと思い、広場の真ん中に向かった。
ある程度近づくと、村のポケモンや救助隊ポケモンの声が聞こえてくる。
「一体、誰がこんな依頼を受けるんだ!」
「これはもう清らかな森の依頼級…いや、それ以上じゃないか?」
「難しさで表すと…★5つ位か!?」
その発言を聞いた瞬間、ルナとピカリは顔を見合わせた。
清らかな森は、レベルが最低限のレベル1になり、仲間も連れて行けず、道具も持って行けない。
そんな究極のダンジョンの依頼よりも難しい依頼が、あると言うのだろうか?
しかし、ルナ達が驚いたのは、その依頼の難しさだった。
依頼の難しさの最上位は★1つ。それが5つあると言うことは、非常に難しい依頼なのだろう。
ルナ達はそこから真ん中に割り込んだ。
「その依頼!僕達が引き受けるよ!!」
「私達がクリアして見せるわ!」
その自信満々の言葉を聞いた広場のポケモン達は、目を丸くしていた。
その後、しばらく沈黙が続いた。
しかし、あるポケモンの声によってそれはかき消された。
「お前達は…ルカリオランクの救助隊…チーム名は…忘れたな…」
ルカリオランクとは、救助ランクの最高ランクだ。
そのランクになっていたのは、広場で1チームしかいない。
それがルナとピカリの救助隊、「クリムゾン」なのだ。
その為、ルナとピカリは世界中でかなり有名な救助隊だった。
「じゃあ、その依頼を見せて」
「お…おう」
広場のポケモンから依頼を受け取ると、ピカリが開いた。
ルナがそれを覗き込む。そこには…こう書いてあった。
依頼主;イーブイ
私の彼氏が…捕らえられてしまったんです。
お願いします、助けてください…
救助ランク;?
お礼;不明
場所………恋人の洞窟
それは…聞いたこともないダンジョンだった。