ぽっ…ぽつっ…ぽつっぽつっ…  
「ひゃっ!」  
頭から落ちてき始めた冷たい雫。  
雨だ。ついさっきまで全然曇ってもなかったのに。  
(まずいなぁ。どっか雨宿りしないと。荷物濡れちゃうよ)  
森の中、きょろきょろとヒコザルは辺りを見回した。  
今はまだ小降りで、生い茂る木々が傘の役割を果たしてくれているが、  
これ以上強くなったらそれも期待できなくなる。  
少しづつだか強くなりつつある雨脚に、  
それまで肩にかけていたポシェットをお腹に抱えるように持ち替えた。  
この中には、マスターからお遣いを頼まれた紙とお金が入ってる。  
濡らしてダメにしてしまったら、どうなることか…。  
ゾクっと背筋を冷たいものが走ったのは、雨に濡れたせいだけではなかった。  
 
(早く…、どこかないかな…あれっ?)  
片手でポシェットを押さえ、足早に掛けていくヒコザルの視界の片隅に、  
岩場の中、きらっと光る半透明の壁のようなものが映った。  
岩と岩の間、薄く張った白いガラスのような壁。  
近づいていくと、その表面が綺麗にドーム状になっていて、雨が滑っていくのが見える。  
つつーっと流れた雨は、庇のように突き出たツララを垂れて落ちて…  
(氷だ…)  
氷の膜が、岩の隙間を覆うようにして包み込み、内部を雨から遮断している。  
どう考えても自然にできるようなものじゃない。  
一体誰が…と中を覗き込もうとするヒコザルの鼻先に、  
大きくなりつつある雨粒が当たり始めた。  
 
「誰?」  
「わっ!」  
雨を遮る氷の膜の下から覗き込むようにして中を見た瞬間、  
鋭い声が軽い反響を残して響く。  
「あ、あのー、ゴメン。雨宿りできるとこないかなって…」  
「ヒコザル…?」  
岩陰から顔を出してきたのは、ニューラだ。  
(熱でもあるのかな?)  
なんだか顔がちょっと赤くって、きつそうだ。  
じっとヒコザルの顔を見ると、少し迷ったような表情を見せた後で、  
ふいっと後ろを振り返った。  
「炎タイプだし、雨はきついだろ。いいよ。おいでよ」  
肩越しに話しかけながら、奥へと進んでいく。  
外では少し雨がひどくなってきたようで、うっすらと白く張った氷を叩く音が強くなっている。  
パキ…パキ…という軽い音に後ろを振り返ると、  
ゆっくりと氷が入り口を覆っていくのが見えた。  
 
「ありがとう、ニューラ。助かったよ。これ便利だね」  
「こんなの、どうってことないよ」  
遠くからは透明に見えた氷も、近くで見るとうっすら白く凹凸もあって、  
中から外を見てもぼんやりとしか見えない。  
中には枯れ草がうっすらと敷いてあって、なかなか居心地がいい。  
(これってニューラの家なのかな?こんなとこに1人きりで住んでるってヘンだよな…)  
ヘンといえば、この氷の家の中の香り。  
うまく言えないけど、なんとなくツンと鼻をくすぐるような匂い。  
嫌いじゃないけど、なんだか体がむずむずする。  
 
「あんた、ヒトに飼われてるんだろ」  
鋭い目でヒコザルが脇に置いたポシェットを睨んでいる。  
このニューラ、メスだ。  
外より少し薄暗い岩場に目が慣れてくると、姿がよく見える。  
メスなんか見るの、すっごく久しぶりだ。  
正直、マスターのポケモンになってからはオスとしか接してない気がする。  
「…うん」  
飼われている…という言い方に敵意のようなものが混じるが、  
言葉短に、言いにくそうに答えるヒコザルから何かを感じ取ったのか、それ以上は追求してこない。  
「……」  
「……」  
何とも形容しがたい沈黙が流れる。  
氷の天井を叩く雨音と、お互いの呼吸音だけが岩場にしみるように響いて残る。  
やっぱりこのニューラの呼吸は少しだけ早く、そして荒い。  
(病気なのかな…?)  
 
それにしてもこの香り。なんだかどんどん強くなっている気がする。  
次第に甘く、そして刺激的に。  
不快ではないけれど、なんとなく体が休まらない。  
それどころか、ぽかぽかと顔が火照ってきて、心臓の鼓動も早くなってきた。  
(おいらってば何ドキドキしちゃってるんだ)  
確かに、久々に見るメスの体つきは魅力的だ。  
艶のある毛並み、流れるような曲線を描く体型。  
独特のきりっとした目尻と長い眉は、ヒコザルを誘うように緩められている。  
その目を見ているだけで吸い込まれていくような感覚を覚える。  
(あ…)  
不意に下腹部に血流が集まってきているのを感じ、  
ニューラに気取られないように慌ててヒコザルは座りなおした。  
そんなヒコザルの動揺を知ってか知らずか、  
ニューラは何も言葉を発しないままに、すっとヒコザルに身を寄せてきた…。  
 
「ちょっ、ニューラ、何…?」  
ドキっと心臓が跳ねる音が聞こえるほどに顔を寄せてくる。  
反射的に身を引くと、  
「ふぅん。ヒコザルってば、女の子初めてなの?初心なんだね」  
上目遣いに見上げられ、バカにするような声で言われてしまった。  
(誘われ…てるのかな)  
ヒコザルだって、確かにメスのポケモンとの経験はないが、  
性行為の「経験」なら嫌というほどさせられている。  
ただ、雨宿りで寄っただけのはずが、初対面のニューラとこんなことになるという  
突然の事態に思うように体が反応できずにいた。  
ニューラは更にすっと顔を近づけると、くんくんと首元から胸の辺りまで匂いを嗅いでいく。  
同時に熱い吐息がヒコザルの体毛を揺らす。  
「ニンゲンくさい…。それに、他にもいっぱいポケモンの匂い。  
まだコドモのくせに、馴れ合いが好きなんだね」  
「違うよ…、そんなの違う」  
小声での反論をニューラは聞いていないようだった。  
 
「ふふっ、やっぱり勃起してるんだ。隠しても見えてるよ」  
「っ!」  
上から覗き込まれると、興奮で大きく伸びきってしまったオチンチンは隠しようがない。  
(なんでなんだろう、何にもしてないのに。収まらないよ)  
そんなヒコザルの心に答えるかのように、ニューラが耳元で囁きかけてきた。  
「私がこんなところに1人でいるなんて、おかしいと思わなかった?  
今ね、発情期なんだよ。体からオスを狂わせる香りがにじみ出ちゃってるんだ。  
放っておいてもアソコがじんじんしちゃってる…。  
群れの中にいたらとんでもないことになっちゃうからね。1人でここにいたんだ」  
「ふあっ…」  
耳に息をふっと吹きかかり、ぞくぞくっと背筋を痺れるような感覚が走る。  
「でももう限界なんだよね。オスを見ると、体が欲しがって…疼いちゃうんだ」  
つつーっとニューラの手が胸元を滑り、ヒコザルの小さな乳頭を横断していく。  
ひくんっとヒコザルの体が小さく震えた。  
「そんな時に突然来ちゃってさ。飛んで火に入るってやつだよね。  
まだコドモみたいで悪いけど、アソコはそれなりに立派そうだしさ。相手してもらうよ」  
「あうんっ…」  
ひんやりとした手がついにヒコザルの急所を握りこんだ。  
ニューラの発する不思議な香りのせいか、それとも犯され慣れてしまった体のせいか、  
好き勝手に体を弄られても、抵抗しようとする手足に力が入らない。  
まるでアリアドスの巣に絡め捕られてしまったかのようだ。  
 
「抵抗したら凍らせちゃうからね。おとなしくしときなよ」  
鋭く脅すその口調とは裏腹に、暖かい舌先がヒコザルの胸元からお腹へと  
ちろちろとくすぐるような刺激を与えつつ縦断していく。  
今まで味わったことのない感覚に、他人に弄られることに慣れきってしまった身体が  
ひくひくと素直に反応してしまう。  
「あんっ!ふわぁ…」  
「ふーん、そんなに気持ちいいの?かわいいなぁ〜」  
「っ!!」  
ちゅくっ、ちう…  
荒い息をついていた唇を不意に奪われ、舌先が絡まりあう。  
さっきまで香っていた刺激的な香りが何倍もの濃度で気道を満たし、鼻腔を通り抜けていく。  
脳を下から直接突き上げるように淫靡な感覚が貫いていった…。  
直接はほとんど触られていないのに、ヒコザルは早くも股間からじんじんとする  
お馴染みの感覚が急かすように伝わってきているのを感じていた。  
 
「ふぅっ、くぅんっ…」  
「ホントにされるがままって感じだねぇ。こういうの好きなの?」  
自分の思いどおりにヒコザルを陵辱できて、ニューラは満足そうだ。  
「もっとよく見せてよ」  
ヒコザルが抵抗しないのをいいことに、股間に入り込んでまじまじとそのオトコノコの印を見つめる。  
「綺麗なピンク色だねぇ」  
「んんっ!」  
くんくんとそんなところまで匂いをかいで、つつーっと舌先で先端まで舐め上げる。  
「こんなとこまでニンゲンの匂いがする。ヘンタイ」  
その言葉はヒコザルの心に突き刺さり、  
しかし股間は萎えるどころか、ニューラの絶妙な舌技を受けて更に角度を増してそそり立っていった。  
 
「すっごい元気だねぇ。熱くってカチカチ…」  
「は、恥ずかしいよ…」  
上目遣いにヒコザルの顔を観察しながら、ニューラはオチンチンの味を楽しむように  
ちろちろと剥き出た先端を舌先で撫で上げる。  
「こうして先っぽだけ舐められるのがいいの?それとも…」  
はむっ、くちゅくちゅぅう〜!  
「ふぁぁっ!んんっ!」  
「やっぱり全部咥えてもらうほうが好きなの?」  
「んっ、す、すっごいよぉ…!」  
舌の動きも絶妙だが、それだけではない。  
発情期のメスの香りが、分泌物が、唾液から粘膜へと染み込み興奮を高めていく。  
 
「ねえ、私のも舐めてよ。できる?」  
ゆっくりと性器への刺激を続けながら、ヒコザルの眼前へと恥じらいもなく全てをさらけ出してくる。  
ほんのり充血した外陰部の膨らみの中央から滲み出るように、  
粘性の高い液体が表面をしっとりと濡らしていた。  
恐る恐る舌先を伸ばして表面をぺろん…と舐めとると、  
発情期を迎えたメスの、狂おしいまでにオスの脳髄を痺れさせる味がした。  
「ふぅっ、くっ、ああんっ!」  
直接その部位への刺激を受けた瞬間、今まで必死で堪えてきた堤防が決壊したように、  
ニューラの本能が弾け、オスを迎え入れようと体内が蠕く。  
「もっと!もっとぉぉ!」  
自らの手であられもなく外陰唇をめくり上げ、ヒコザルの熱い舌の刺激を  
より内部で、一番刺激を感じ取る陰核で直接受け入れようと腰を動かす。  
くむっ、ちゅっ、じゅるっ…  
「はぅんっ!そこぉっ!そこがいいよぉぉっ!!」  
充血し、唾液と愛液にまみれて光る陰核の上を遠慮なく舌先が動き回る。  
無理矢理舐めさせられることに慣れたヒコザルの、献身的とも言える口撫に晒され  
ニューラはあまりの快感に目の前が激しく明滅するのを感じた。  
腟がきゅぅっと収縮し、更なる愛液をヒコザルの口へと搾り出し、  
ヒコザルのオスの欲求を高めていく。  
 
「ニューラ、もう、ガマンできないよ。おいら、ここに入れたい…」  
「あふぅっ!」  
ここに…と挿し込まれたヒコザルの指は、  
ねっとりとした愛液に包まれて、容易に内部へと滑り込んでいく。  
氷タイプとは思えないほどに熱く熟した粘膜が包み込み、初めての感覚を敏感な指先に伝えてきた。  
(これがメスの中…?ねっとりしてるのに、ざらざらしてる…)  
「あっ!いやぁっ!指は、ダメぇ!」  
「でも、すっごくヒクヒクしてるよ?」  
なんという淫乱な女陰なんだろう。軽く指で擦っただけでとめどなく淫猥な液が流れ出る。  
快感の渦に飲まれ、とうに口での愛撫をやめてしまい、  
ただすがりつくように肉茎を握り締めるニューラの手からそれを引き抜くと、  
後ろに回りこんだヒコザルは、狙いを定めるように  
ぴとりと肉茎の先端を陰唇の分け目へと滑り込ませた。  
「ほら、もう入っちゃうよ…」  
「あんっ!お願い!それっ!欲しいよぉっ!」  
ニューラはもうオスを求めて狂ったようにオシリをヒクつかせている。  
内部に挿入されていた、陰水の絡まった指で大きく陰唇を広げあげると、  
ヒコザルは後背位でゆっくりと身を沈めていった。  
 
にゅるっ…ずぷずぷっ…  
「はぁ!んっ!!すっ…ごい…!オチンチンが、熱い…」  
「うっわぁ、ニューラの中、気持ちいい…」  
初めて味わうメスの体内。  
肉厚で柔らな粘膜が幼い陰茎を締め上げ、まんべんなく表面を撫でつけ、刺激する。  
ゆっくりと前後に体を揺すると、ざらっとした表面が敏感な先端を嘗め回すように動き回り、  
今まで感じたことがないような独特な快感が、股間から全身へと伝わっていった。  
(これが…メスとの交尾…?)  
想像以上の快感に、腰が勝手に前後に動いて止まらない。  
「あっ!ヒコザル、激しいよぉ!動きっ、すぎっ!溶けちゃうぅ…」  
ニューラにさっきまでのヒコザルを誘惑していた余裕は感じられない。  
腰を掴まれ、オシリを左右に目いっぱいに広げられ、  
中央にオスの欲求を突き込まれ、自らの体もそれを求めている。  
感じやすくなっていた身体は、先ほど陰核を舌先で撫で回されていた時から既に軽い絶頂を迎え続けており、  
今もヒコザルが短い幼茎を目いっぱい中へ滑り込ませる度に、腟内部での快感に震えている。  
 
「うぅっ!気持ちいいっ!もう、おいらイっちゃいそう…!」  
「ああっ!また…オチンチン、おっきくなった!あっ!はぁんっ!」  
射精寸前の快感に必死で抗うヒコザル。  
オシリはきゅうっと窄み、幼茎の下で揺れながら叩きつけるように陰核を刺激していた陰嚢が、  
ひくっ、ひくっと精液を送り出そうと蠕いている。  
絶頂の瞬間が近いのを感じ取ったかのように、ニューラの腟壁が自然に蠕動し放精を促す。  
「うわぁっ、ダメっ、もう、出ちゃう!中に出しちゃう…!」  
どくんっ!びくっ、びゅるうっ!!  
ニューラの中に包まれたままの、陰茎の内部を律動的に震わせて、白濁液が押しだされていく。  
「あっ、す、すごい…!感じるよぉ…!」  
初めての交尾に夢中になっていたヒコザルは、相手が発情中のメスであることも忘れ、  
自らの子種を本能のままにニューラの体内へと放出してしまった。  
ニューラの腟は、注がれたオスの液を受け取り、一滴も逃さないというように  
小さくなりつつあるヒコザルの幼茎を根元から搾り上げていた…。  
 
 
「早く行っちゃいなよ。もう雨やんだよ」  
「あ、あの、でも…」  
「もう、オスらしくないなぁ。もしかして好きになっちゃったとか言うわけ?」  
後ろ髪引かれる思いのヒコザルだったが、ニューラの口調は冷たい。  
「私は単に発情期でオスのチンチンが欲しかっただけ。  
元々ニンゲンに飼われてるような軟弱は嫌いなんだよ」  
切り捨てるような声に押されて、ヒコザルがゆっくりと出て行った入り口は  
またうっすらと白い氷に覆われ始めた。  
「じゃあね、ニューラ。また会えたらいいね」  
閉ざされてしまった氷にそう言ってまた歩き始めた背中に、  
小さく「さよなら…」と呟く優しいニューラの声を、ヒコザルは聞いた気がした。  
 
 
おーわり  
 

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