松葉杖を右脇に抱え、潮風に当たる少年。
以前は勝手にエイパムがついてきたが、今回は正真正銘ピカチュウだけしか連れていない。
「久しぶりだぜ、シンオウ地方。」
「ピカ。」
「…ヒカリ、か。懐かしいな。」
「ピカァ?」
ピカチュウがにやける。
ほぼ告白同然の手紙が来た以上、ピカチュウもサトシをからかいたくなるのは当然である。
「なんだよ…
お、見えてきた、マサゴタウンだ。」
あらかじめ話はつけてあり、ナナカマド博士が車で待機する。
マサラタウンを出発する時もケンジに車で送ってもらったが、膝の状態は万全ではなく長い距離を歩くことはできない。
「ところで、ヒカリは今何をされてるんですか?」
「本人に会えば分かる事じゃろう。
旅に出られないつらさはあるだろうが、サトシにとって、今のヒカリのそばにいるのは素晴らしい経験となるはずじゃ。」
車を飛ばし、フタバタウンのヒカリの家に到着。
考えてみればヒカリとはマサゴタウンの近くであったため、フタバタウンやヒカリの家は初めて。
ジャマになるのを察して、ヒカリの家の前まで送るとさっさとナナカマド博士は退散した。
「ヒカリー!俺だ!」
「ピカピカー!」
しばらく続く静けさ。
そして、中からトタトタと足音が聞こえてきて、ガチャリ。
「サトシ!来てくれたのね!」
恋愛に疎い彼女だったが、旅をしているうちにサトシの事を想い始め、いつの間にか恋をしていた。
思わず抱きつく。のだが、
「わわっ!」
「あっ!」
右膝をかばって松葉杖に軽く体重をかけていたため、バランスを失いかける。
ヒカリがとっさに側面に回りサトシを支える。
「ご、ごめん!」
「いや、きにするな、ははは。」
「クスクス…」
(ピーカ…)
サトシも旅を経験するうちに、以前ほどの恋愛の疎さはなくなった。
それでも女の子に恋をすることはなかったが、ずっと一緒に旅をしていたヒカリとなら…そう感じていた。
「そういえば、ヒカリは何をしているんだ?」
「えへへー、それはね!
うちの家、どう感じてる?」
「え?いい家じゃないのか?」
「ついてきて!」
ついていくと、広い部屋に出る。
フローリングの床に、部屋の壁には手すりと大きな鏡。バレエ教室のような感じ。
「外は、これ!」
外に出ると、広い芝生の庭、特に何もない。
つまるところ、何が言いたいのだろうか。
「なんだ、これ?」
「そろそろ時間ね。」
「え?」
こんにちはー!
「ん?お客さん?」
「ううん、うちの生徒!」
「生徒!?」
はい、こんにちは。
「この声は…ヒカリのママ?」
「うん。そっか、電話で話すだけで、会うのは初めてだっけ。」
「ああ…で、生徒ってどういうことだ?」
「実はね…
ここで、ポケモンコーディネイター養成学校を開いてるの。
学校と言っても楽しくがモットーだけどね。」
ヒカリはサトシと別れた後も各地のグランドフェスティバルで好成績を残している。
そのポケモンコーディネーターとしての能力、そしてそのあくなき向上心から、
コンテストの世界ではトップコーディネイターとして認められている。
「ヒカリ、すごいよな。
ポケモンコンテストのこれからの事も考えてるんだからよ。」
「ううん、あたしなんて、まだまだだよ。あたしにはこんな学校開ける実力なんて、まだまだ全然ないよ。
あたしもここの生徒、みんなと一緒に強くなるんだ!」
「へえ。
…となると、この教室を開いたのは、ヒカリのママ?」
「うん!
ママは押しも押されもしない、誰もが認めるトップコーディネーターだからねっ!」
自慢の母親。その母親がこういう取り組みを始めたのも、
ヒカリが立派なポケモンコーディネーターに成長したからに他ならない。
ヒカリと2人3脚でこの取り組みをしていく。そこにサトシが加わってくれれば…と考えたのだ。
サトシからも、そして生徒からも、いろんなものを学ぶ事が出来る。
コーディネーターとして自分を高める方法は、なにも修行の旅だけではない。
ヒカリは今回の旅を持ってしばらく旅に出ない事に決めている。
こんにちはー!
「大人の男の人の声?ヒカリ、今の人も生徒さん?」
「ううん、多分ポケキャンの撮影ね。
養成学校の宣伝も兼ねて、時々来てもらう事になったんだ。」
「ポケキャン…?」
「ほら、以前話したじゃない!ヨスガコレクションの時よ!
あの大会で優勝したら、ポケキャンのトップページのグラビアを飾れるって話!」
「ああ、そういえばあったな!
でも、ヒカリはポケモン達と一緒にやる事があるってあの時…」
「各地のポケモンコンテストに出て、グランドフェスティバルにも何回か出て…
ポケモン達と、やりたい事たくさんやった、もちろんまだまだやり足りないけど、いろんなことを経験できた。
だからそろそろ、新しい事にチャレンジしようと思って…」
撮影の人たちにアヤコが応対している。
「あの時コシノさんに受けてたオファー、あの時は断ったけど、
ポケキャンの専属ポケリストになる事に決めたの。コシノさんも快諾してくれたの!」
「へえ!…。」
「どうしたの?」
「いや…すごいな、自分の好きな事、やりたい事を思い切り楽しんで、大活躍して。
俺、何やってんだろ。」
「…やっぱり、サトシはあんまり元気がないか。でも、そういうサトシはあんまり見たくないかな。」
「え?」
「元気の出るおまじない、してあげよっか?」
「お、おまじない?」
ピカチュウがにやける。
ヒカリの唇がサトシの頬に…と考えていた。
「な、なんだ、それって?」
「一言で、サトシを元気づけてあげるっ!」
「…なんとなくわかった。」
「ピーカ。」
もうおわかりだろう。
ヒカリの、満面の笑みでのおまじない。
「だーいじょーぶっ!」
ポケキャンの撮影を終えるころには生徒も全員集まった。
アヤコが後ろで見守る中、ヒカリが元気よく生徒達を教える。
「はーい、みんな!今日はみんなのために、ゲストを呼びましたー!」
「え?」
「だれだろ!?」
この教室は始ってからまだ1週間もたっていないが、大盛況。
トップコーディネーターであるアヤコの存在もあるが、何よりも今をときめくヒカリの存在があまりにも大きい。
…そして生徒たちにとって、シンオウリーグでその名をとどろかせたこの少年の存在も大きい。
「シンオウリーグで大活躍、サトシくんですぅ!」
「どーもー!」
「ピカァ!」
「サトシだ、本物だー!」
「ピカチュウよ、サトシのピカチュウ!」
「前に遠くの地方で開かれたポケモンリーグでも大活躍だったよなあ!」
生徒たちに教えるのは慣れないゆえ、さすがに緊張する。
だがそれはヒカリも同じだった。
「それでは!…えっとお、なにしよっか?」
「おい、ヒカリ?」
「いや、なんかなれなくってさ。とりあえず先ずはブラッシングから…」
と言って気付いた。
せっかくバトル専門のポケモントレーナーを呼んだのに、ブラッシングなんかしてもあまり意味はない。
ポケモンバトルを学ぶことで、それをポケモンコンテストに生かす。シンオウでずっとそうやってきた。
そしてポケモン達と最高の演技をしてきた。
今度はそれを生徒に伝える番。そのためにサトシを呼んだのだ。
「ヒカリ。ここは、言葉なんかよりまずは見てもらう方が早いんじゃねえのか?」
「そうね!よおし、みんな、外へ出ましょ!」
(少しは何をすべきか分かってきたみたいね、ヒカリ。)
アヤコがそっと微笑む。
そして広い庭に出ると、サトシとヒカリが位置に着く。
「それじゃあ今から、あたしとサトシで、コンテストバトルをやってみるね!」
「俺はコンテストバトルはなれてないけど、全力でポケモンバトルするからな!」
「おおおーーっ!」
「すごい、トップコーディネーターとトップレベルのポケモントレーナーとの対決だあ!」
「こんなすごいのが見られるなんて、すげえ幸せ!」
ハイレベルなポケモンバトルを見せる事で、それを伝えスキルの向上に繋げる。
口で伝えるのが苦手な2人にとって、実際にバトルをするのが性にあっている2人にとって、一番いい教え方である。
「ありがとうございましたー!」
「気をつけて帰るのよー!」
今日のレッスンを終え、生徒たちはみんな帰っていった。
サトシはポケキャンの雑誌を眺めている。
「すごいな、どの月の雑誌もヒカリが一面独占だぜ。
ほかにもヒカリの特集のページが数ページにわたって…いろんなページにヒカリが埋まってるな。」
「あたしもすごく嬉しいんだ。
ポケキャン専属になったのが半年ほど前、旅先での撮影が主だったの。
旅から旅への根なし草のあたしに合わせてくれて、本当に感謝してる。」
アヤコが食事の準備を終えた。
「サトシくん、今日はありがとう。思う存分食べてね。
あと、ちょっとママ、これから出かけなきゃならないの。」
「ポケモンコンテスト委員会との打ち合わせ?」
「後はポケモンジャーナルの取材とか。
2,3日ほど帰ってこれないけど、次のレッスンまでには帰ってこれるように何とかするから。」
「うん、わかった。」
「後サトシくん、ピカチュウを借りていい?」
「え?どういうことです?」
話によると、サトシが養成学校に来る、という話を聞いた委員会が、
ぜひヒカリと旅をしていたトップレベルのポケモントレーナーのポケモンを見てみたい、と言ってきたのである。
「ピカチュウ、いいか?」
「ピカ!」
「それじゃあ、ピカチュウをよろしくお願いします。」
このコーディネーター養成学校は施設ではあるもの、
トップコーディネーターであるヒカリ親子がオーナーであるという事で、
全国ポケモンコンテスト委員会の公認を受けているのだ。
その方が何かとやりやすく支援も受けられ、委員会との打ち合わせでいろんな情報も入手できるのである。
アヤコとピカチュウを見送り、食事を終え、ソファーでふうと一息つく。
「忙しいんだな。」
「うん。」
「…すごくうらやましいぜ。」
「そんな風に思わなくていいんだよ。あたしと一緒に、これから頑張ってみない?
いろんなことに挑戦できるよ、コンテストとか、ポケキャンとか。きっと、絶対、すごく楽しい毎日を送れるよ。」
「ヒカリ…」
「…やっぱり、バトルから離れたくはないかな?」
「いや、俺はこういう生活はすごくいいと思ってる、…。」
手紙の内容を、思い出した。
『ねえ、来てくれない?お婿さんとして…』
「…ヒカリ、本当に俺でいいのか?
俺が、ヒカリの、お婿さんになって。」
「…。
あたしは、サトシに元気になってもらいたい。そして何より、サトシの事が大好き。ただ、それだけ。」
唇を寄せ、サトシの頬にそっとキスをする。
そしてサトシの首に手をまわし、耳元でささやく。
「サトシの、お嫁さんに、なりたいな。」
「ヒカリ…」
「んっ!」
柔らかいソファーの上で、唇を奪い、ヒカリを押し倒す。
2人の体が重なる。
「んむ…むぅ…」
「んっ…」
その頃。
ピカチュウを車に乗せて綾子がコンテスト委員会に向かっている。
「ピカチュウ、あの2人、今頃楽しい子としてるのかしらね?」
「ピカァ?」
「ふふ、ピカチュウ、確かに私は委員会の打ち合わせには呼ばれてるんだけどね。
でも、あなたを見たい、て言う話、あれは嘘なのよ。」
「ピカ!?」
「…二人きりにさせてあげて、ね?」
「…ピッカ!」
流石はピカチュウ、と言ったところか。
アヤコの粋な計らいに、笑顔を見せた。
そしてまたその頃。
「…ぷはぁ…」
「サ…トシ…」
「ヒカリ、服、脱がすな。」
「うん。」
ヒカリと別れてからの月日。
それは、思春期の彼らを成長させる時間。
あの時は膨らみかけだった彼女の胸は、いまや大きく立派なふくらみを形作り、主張していた。
彼女が来ている服はサイズこそ違え、昔とまったく同じファッションである。
それゆえに、昔との彼女の一番の相違点である胸が、とりわけサトシにとっては目立って見えた。
ヒカリと別れてから数年たつが、その数年でこんなにも変わるものなのか。
確かにお互い成長したが、客観的に見てまだ子供ととられるはずの年齢なのに。
「こ、これがヒカリの…」
「やん…みられちゃった…」
生唾をごくりと飲み、唇をそっと近付け、
「んっ…」
「…ちゅく」
「ひゃん!」
「…。」
「ん…はあ…」
左の乳首に唇を当て吸いつく。左手でもう片方の胸をさする、そして揉む。
乳首に吸いついて、そのままその周辺部分を舐めまわし、キスをする。
「えっと、サトシ、そろそろ…」
「あ、ああ。…えっと、どの体位でやろうか。」
「サトシの好きにして、いいよ。」
「それはそうなんだけど、…ヒカリ、はじめてだろ?」
「も、もちろん!サトシ以外の男の子とやるわけなんてないよ!」
慌ててると言うよりは、自分がホイホイと体を好きにさせるような女の子でないと思ってほしかったのだろう。
サトシは少しだけ笑い、ヒカリは少しだけ膨れる。
「…初めてだから、優しくしなきゃいけないんだけど…
この膝だと、うまい事体をコントロールできるかどうか…」
「あ…そっか。」
ヒカリの事を考えると、慎重にセックスをしなければならない。
しかし、慎重にやるとなると力を使う事になる。
右膝に負担をかけることにもつながりかねないし、それは避けないわけにはいかない。
「それじゃあ…来て。」
「ん?」
上半身の服がはだけた状態のまま連れてこられたのは、ヒカリの部屋。
サトシが女の子部屋に入るのは旅の途中で何度かあったが、その時はピカチュウやタケシたちと一緒だった。
2人きりというのは当然初めてである。
「ほら、ベッドならソファーより不安定じゃないでしょ?…んしょ。」
「!!」
「何今更驚いてるのよ、女の子を自分のものにするのなら、ここを見てもらわないと。」
ヒカリがスカートの上からショーツをするすると脱ぐ。
そしてスカートをはいたまま、少し上半身を後ろに傾け、サトシに見えやすいように、
「ほら、これが女の子の…あそこ。」
「…もっと、見ていいか?」
「…ん。」
小さくうなずくと、サトシは顔をミニスカの中にもぐりこませる。
プニプニの肌によって閉ざされている割れ目を指で開き、ピンク色の世界を覗く。
(扉が…こうなってたのか。)
(やん、早くして…)
さらに割れ目の様なものがあるので、開いてみる。
ピンク色に染まった世界がそこにある。
(まだ割れ目があるのかな…?)
(見られてるよお…サトシに、見られてる…)
両指を開いてさらに開いてみると、…何やらキュウっと閉ざされた穴の様なものが。
(セックスするときに、ここに入れるんだな。)
「サトシぃ…もうガマンできないよお…舐めて、しゃぶって…」
「あ、ああ。わかった。」
エッチすることを一瞬忘れていたサトシだったが、ここで思い出した。
まずはピンク色の割れ目を、その方向に沿って舐めあげる。
「んっ!(ど、どこで覚えたんだろ…あたしと旅してた時から知ってたのかなあ…)」
(いいにおい…病みつきになりそうだ…)
そのまま舌で奥へ突き進み、舌の先端をちょこちょこ動かしてくすぐる。
ヒカリの意識がぼやけ始めた。
「はあ…ん…あ…ああっ…!」
(きもちいい、ヒカリ、大好きだ!)
ヒカリの性器の虜となっていた。
トップコーディネーターとしての地位を確立しつつ、多方面に活躍している女の子。
そして、一緒に旅をしていた時は気付かなかったが、華奢な体、流れるような髪、そして何より天使のような可愛い顔。
誰もがあこがれる女の子を、自分のものにできる。ヒカリの事が大好きになった。
「あああっ!」
(!…し、潮が…)
サトシの顔に降りかかる。
それでもサトシはまだまだ食べ足りないと言わんばかりに、ヒカリの性器をしゃぶり続ける。
サトシの理性はとうに吹き飛んでいた。ヒカリの魅力に、記憶が吹き飛ぶほど病みつきになっていた。
ヒカリは何度も絶頂を迎え、そのたびに意識が飛び、さらなる快感に意識を戻させられ…
…雄の目をしていたサトシが我にかえって気がついた時、ヒカリは荒い息を立てながら気を失っていた。
「…ん…俺は…
ヒ、ヒカリ!?おい、大丈夫か!?」
「…ぅ…。」
「ヒカリ?大丈夫?」
「…ぅん…サトシ…?」
とりあえず大丈夫のようだ。サトシは安心したが、ヒカリはふくれている。
「もう…サトシったら…」
「え?」
「あたしがこんなになるまでエッチして…ひどいよ。」
「あ、ご、ごめん。悪かった。」
「いいんだよ。それだけあたしとエッチするのが楽しいってことなんだよね。
サトシに気に入られて、嬉しかったよ。」
すぐに元に戻った。
根にもたない、ポジティブな性格が、彼女を支えている。
「…そろそろ、お願いね。」
「ああ。…で、体位はどうしよう。」
「うーん、確か靱帯が切れてたって言ってたから、負担をかけたり速く動かしたりはできない、と。
てことはサトシは全く動かなくてもいい騎乗位かな。」
「わかった。」
サトシが寝そべり、ヒカリがまたがる。
そしてサトシの陰茎を持ってあてがうが、
「ヒカリ?」
「いや、ちょっと怖くってね。痛いのかなー?なんて思うと…」
「あ、そっか…」
「でも、サトシが大好き、サトシのが欲しいから、入れちゃうね?」
「あ、ああ…うわっ!?」
「ダーイジョーブっ!」
先端が触れるだけで、サトシは軽い悲鳴を上げた。
ヒカリはそんな事を気にせず笑顔でダイジョウブと言い放つと、
一気に入れた。
「うわっ!(き、気持ちいい…)」
だが、すぐにヒカリが腰を動かすものと思っていたサトシは、少しも動かないヒカリを意外に感じた。
よく見るとヒカリの体は震えていて、歯を食いしばっている、そっか、痛いんだ。
しかも、全体重を使ってサトシの陰茎を一気に突き刺した。痛みは半端ではないだろう。
「くうっ…!」
「ヒカリ、血が…」
「だ、ダイジョウブ、ダイジョウブ…っ!」
相当辛いようだ。でも、今は優しく見守る事しかできない。
ヒカリは痛みを知っていたうえで、自分とつながってくれた。それが嬉しかったから。
「う、動くよ。」
「無理するなよ、落ち着くまではこのままで…あっ!」
まだ痛みが治まらないうちから、ヒカリは腰を動かす。
サトシには快感が来るが、ヒカリを襲う痛みはさらに激しくなる。
「あぐ…ぅ…」
(ヒカリ…)
必死に耐えている。
だが、相当痛みが生じる体だったのだろう。いかに思いが強くても、もう限界だった。
「ああっ!」
思わずサトシの陰茎を引き抜き、サトシの隣に、サトシと向かい合うように倒れこむ。
目を閉じ、涙を流しながら、血の止まらない陰部を抑えている。
「つぅ…」
「だ、大丈夫か?」
「ご…ごめんなさい…」
「え?」
「サトシから、離れちゃって…」
血みどろの陰部を、さらに強く抑える。
「痛さに…耐えられなくて…一度始めておいて、こんな事なんてしちゃいけないのにっ…!」
「ヒカリ…
…痛いんなら、痛いって言えよ。」
「え?…!」
「いいんだぜ、無理しなくって。」
そっと抱き締めてあげる。
1人で思い悩むヒカリの悪い癖は、一緒に旅をし続け無意識に分かっていた。
「ありがとう…」
「ちょっと待ってろ。」
そういうと近くにあったティッシュを数枚とってヒカリの血だらけの陰部を拭う。
流石にシーツを取り換えて…まではできないが。それでも彼の優しさがヒカリは嬉しかった。
「だいぶ落ち着いたよ。」
「そっか、よかった。
…悪い、ヒカリ。俺もう限界だ。」
「え?…キャッ!?」
今度はサトシの陰茎が悲鳴をあげていた。
お預けを喰らっていた形になっていたため、早く楽になりたかったのである。
「ヒカリ…痛く…ないか?」
「うん、もうほとんど…あっ!」
「痛いのか?」
「う、ううん、いいよお、もっと…イ、イっちゃう…んっ!」
右膝の事も忘れ、激しく腰を振る。
サトシは性的な知識はあったものの射精はまだしたことがなかった。
それゆえすぐに限界は来て、
「あっ…ああああっ!」
「ううっ!」
半端ではない量がヒカリの中に入っていく。
ヒカリの体は何度も痙攣し、血に染まってピンク色となった精液がこぼれ出てくる。
「いてて…」
「もう、やりすぎよ。」
行為に夢中で完全に膝の事を忘れていたため、行為の途中では快楽のおかげで気付かなかったが、
落ち着くと膝が悲鳴を上げ出した。幸い怪我の再発には至っていないようだが。
「ははは…今度からは気をつけるよ…あれ、今度から?」
「…これからも、たくさんエッチしてくれるよね…?」
「…ああ!」
無意識に、何度も体を重ねたいと思っていた。
そうだ、自分は婿入りしたんだ、そう改めて実感した。
「…でも、中に出して、良かったのかなあ…」
「え?」
「いや、俺たち、まだ10才だし…
(ていうか、アニメスタッフ!いつまで俺の年を10才のままにしておくつもりだ!)」
「いいのよ、お婿さんでしょ?サトシの赤ちゃんなんだから、問題ないよ。
それに…」
ヒカリが首に腕を回して、ささやく。
「まだまだあたしの虜にしてあげたいしね♪」
「!!」
…その後。(数年後という設定だが、サトシたちはやっぱり年を取ってはいない。)
今日も2人で仲良く養成学校で生徒を教えている。
あれからさらに繁盛し、家も増築し土地も増やした(ポケモンコンテスト委員会負担。)
ヒカリは押しも押されもせぬトップコーディネーターになり、アヤコは身を引いてポケモンコンテスト委員会の名誉委員に。
「どうだった?病院。」
「もう完全に膝は治ったってさ。いつでも旅していいってよ!」
サトシはヒカリの恋人(まだ結婚はしておらず子供もいない)としてカップルとして有名だが、
膝の回復経過も順調で、この前の精密検査で旅をする場合のGOサインが出た。
「そっか。
…どうするの?ていうか、そろそろポケモン川柳の人にも会っておいた方が…」
「…オーキド博士ね。」
あれから、結局カントーには1度も帰っていない。
そろそろ一度顔を見せておいた方がいいかな。
「ん?チャイム?誰か来た!」
「俺も行くぜ。」
「うん。」
マスコミが取材が来ることも多いが、自分たちの活動を広く知ってもらうために、この2人はマスコミを嫌ったりしない。
故にマスコミともかなり仲がいいのだが、今回はマスコミではなかった。
「ずいぶんポケモンバトルをさぼっているようだね、サートシくん。」
「シゲル!」
「川柳の人のお孫さん!」
ずっこける2人。もうこのやり取りも何度目だろうか。
「…名前で呼んでくれないかな?
そんな事より、ずっとこっちにいるみたいだから、つまんないと思ってきてやったよ。」
「なんだとー!?」
「まあまあ。そんな皮肉を言いに来たんじゃないでしょ?」
「ああ。」
シンオウ地方で研究を続けているシゲル。
なので別にフタバタウンに来ることに何の不思議もない。のだが。
「僕はもうすぐシンオウを離れる事になった。
僕たちの知らない新しいポケモンがたくさん住んでいる地方を研究することにしたのさ。」
「ほ、本当か!?」
「ホウエンの時もシンオウの時も、君は僕が行く事にしたから旅を決意したみたいだからね。
何かの指針になれば、と思ってわざわざ来てやったのさ。」
「サンキュー、シゲル!
…そっか、新しいポケモンか、よーし、俺も…」
「どうした?」
俺も行くぜ!…と元気よく言い放つ姿を期待していたが、サトシはすぐに元気がなくなった。
「いや…この養成学校の事もあるし、自分勝手な事、できないって思ってさ…
そりゃ俺抜きでもヒカリはやっていけるとは思うけどさ、俺だって自分なりにここで頑張ってきたし…」
本来はポケモンバトル大好き少年なのだが、サトシはこの仕事にも愛着を持っていた。
「それに何より、ヒカリを置いてなんて、いけないって…
長い事はなれる事になるし、帰って来たって、また新しい地方に行くかもしれないし…」
「ま、一度旅に出たら、君は止まらないだろうね。
旅に出たら、2度とここに帰ってくることはない気がする、そう思ってるんだろう?」
「うん…」
「そうなると、ヒカリと離れ離れ…それが君にとって一番嫌なんだろう。
だったら、ヒカリ、君も一緒にサトシと旅をすればいい。
君も長い事旅から遠ざかって、また旅を始めたいんじゃないのかい?」
「そ、そんな事出来ないよ!この養成学校もあるし、ポケリストの事もあるし…
サトシはあたしの事気にせず、えーと、その…」
とても行ってきてと言いだすことはできない。
自分の事をすごく想ってくれているサトシに対して失礼だというのもあるが、
何よりサトシと離れたくない、という想いが一番大きかった。
しかし、そんなことくらいシゲルは予測済みだった。
「相変わらず可愛い事言うねえ。」
「ノ、ノゾミ!?」
「僕が連れてきたんだ。偶然知り合ってさ。サトシやヒカリと知り合いだって偶然知って、驚いたよ。」
「あんたたちの事情はちゃんとわかってる。
安心しな、あたしでよけりゃ、ここの養成学校の先生、代わりに務めさせてもらうよ。」
ノゾミもヒカリと共に、押しも押されもせぬトップコーディネーターとしての評価を確立させた。
今も各地のポケモンコンテストに参加し、大活躍している。
「すでにポケモンコンテスト委員会から了承はもらってる。
後はあんたたち次第だ。ま、あたしじゃ役不足って言うんならしょうがないけどね。」
「そ、そんな事はないよ!でも、それだとノゾミは…」
「あたし?あたしの事なんか気にするなよ!
…むしろ、感謝してるくらいさ。」
「え?」
ノゾミが数歩前に出てきて、ヒカリと向き合う。
「あんたがこうやって底辺を広げる活動をしてくれているおかげで、
年々ポケモンコンテストのレベルも上がってきた。
あたしも倒しがいのあるコーディネーターと戦えて、すごく楽しいんだ、だから、感謝してる。」
「ノゾミ…」
「だからよ、そのお礼さ!行ってきなよ!」
「…うんっ!」
一方、シゲルもシゲルでサトシと向き合う。
「俺、行くよ、その新しい地方に!」
「そうこなくっちゃな、サートシくん!
僕も、ポケモンのもっといろんな事を知るために、そして博士を目指す上でもっといろんなものを得るために、
オーキド博士と相談して一度ポケモンの研究から離れて、ポケモントレーナーに復帰することに決めたのさ。」
「本当か!?」
「ああ。
僕はその地方のポケモンリーグに出る。ポケモンリーグに挑戦する。
そして、ジョウトリーグのリベンジを果たすために、サトシ、そこで君ともう一度戦う!」
「望むところだ!」
「ピーカチュウ!」
こうして、新たな希望を胸に、翌朝、まだ日が明けないうちに出発した。
マスコミに捕まらないうちに、港の船に乗らなければ。
「潮風が気持ちいいねー!」
「ああ!…しかし、何か忘れてる気が。」
「もしかして、タケシじゃない?」
「そうか!いつも俺たち2人のそばにずっといたからなあ…」
「でも…今回は2人きりがいいかな。」
「え?」
「…だって…誰にも邪魔されずに、サトシとエッチが出来るんだもん…」
「ヒカリ…」
唇を重ねる。
そして、水平線の向こうから、新たな冒険の舞台が見えてきた。
「あれが、俺たちの挑戦の舞台となるのか…」
「うん!よーし、待ってなさいよー!」
こうして、2人の新たなる挑戦が、幕を開けた。
「…あれ?サトシじゃない?ヒカリもいるかも!」
「え、は、ハルカ!?」
「久しぶりかも!」
「ハルカ!もしかしてあなたも、この地方でポケモンコンテストに挑戦!?」
「うん!ヒカリとまた会えるなんて…!
いつかコンテストで、ミクリカップの、リベンジかも!」
「ええ!」
「ヒカリ、手ごわいライバル、出現だぜ!」
ハルカも各地でトップコーディネーターとして活躍する一人。
偶然この地方のグランドフェスティバル挑戦のために同じ船に乗っていたのである。
「俺とヒカリは東側を行くけど…」
「私は西側を行くわ!同じ道を行くと、ポケモンコンテストで戦う事になるけど…
ヒカリと再び戦うのは、グランドフェスティバルって決めてるから!」
「そっか!それじゃ、グランドフェスティバルで会いましょ!」
内心ヒカリはほっとした。サトシと2人きりでいられる、そう感じた。
ハルカは2人の関係や、養成学校などの活動を知らないために気配りをすることができなかった。
「ん?何か隠してなるかも?」
「ぜーんぜん!あ、もうすぐ着くよ!」
「よーし、新しいポケモン達、今行くぞ!待ってろっ!」
「ピッカチュ!」
こうして、サトシ、ヒカリ、そしてハルカの、新たなる挑戦が始まった。
…しかし、もし手紙の送り主が、今2人のそばにいる、ハルカだったら?