「……お泊まり?」
バシャーモは聞き返した。
「そう。バシャーモは依頼が終わったらすぐ帰っちゃうでしょ?」
エーフィが答える。
「言われてみれば、そうかも……」
「こっちに泊まってくれたら夜までたくさんお話出来るでしょ?」
エーフィはらんらんと目を輝かせてバシャーモを見つめる。
「ん〜。たまにはそういうのもいいかもね」
「じゃあ決まり!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねて喜ぶエーフィを見てバシャーモは無意識に笑みをうかべた。
「ちょっとはしゃぎすぎよ、エーフィ」
「だって楽しみなんだもん。早く夜にならないかなぁ」
エーフィは二本の尻尾をゆらゆらとゆらしながら言った。
「そこまで楽しみにしてくれてたらこっちも嬉しいかな。じゃあ、夜になったら行くね」
そう言ってバシャーモは自分の住処へと戻って言った。
「ねぇ、エーフィ。そろそろ寝ない?」
バシャーモが欠伸を堪えながら言った。
「えぇ〜?もう寝ちゃうの?」
エーフィは不満そうに抗議の声をあげた。
「だってもう夜も遅いよ?」
普段なら二匹ともとっくに寝ている時間だった。
「ん〜。仕方ない。じゃあ寝よっか」
二匹は各々自分の寝床に入った。
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ〜」
バシャーモは話し疲れたのかすぐに眠ってしまった。
けれどエーフィはなかなか寝付けなかった。
チラッとバシャーモの方を見る。
「……可愛い」
スヤスヤと眠るバシャーモの寝顔を見つめながら、エーフィは呟いた。
そして、ある感情がエーフィの中に生まれた。
一旦生まれたその感情は次第に大きくなり、留めることが出来なくなってくる。
自分のすることを想像しただけで体がほんのりと熱くなる。
そしてついに我慢出来なくなったエーフィはそっとバシャーモに近付いていった。