「……ここは」  
気がついた場所は未来の世界。ジュプトルにとっての現在だった。  
辺りを見回すとそこは両端を高い崖に挟まれた谷のようだ。  
相変わらずそよ風ひとつ吹くことはなく、見上げた空は不気味な闇に包まれている。  
崖の側には時間が止まって落ちずにいるままの石が宙に浮いている。  
いつ見ても吐き気のする光景にジュプトルはため息をついた。  
「まぁ、この世界とももうすぐお別れだがな」  
今頃ピカチュウたちは時空の塔をのぼっている頃だろう。  
あそこに時の歯車を収めれば未来が変わり、この世界は消滅する。  
ジュプトルたち未来のポケモンと共に。  
「くっ……ジュプトル!」  
背後から恨みの念がこもった声がぶつけられる。  
「やっと気がついたか、ヨノワール」  
振り返るとそこには意識を取り戻したヨノワールが立っていた。  
「よくもやってくれたなっ!貴様、自分がどういうことをしたのかわかっているのか!」  
ヨノワールの言葉に怒りがのせられ、ジュプトルに向かって吐き出される。  
しかしジュプトルは全く気にせず冷静に答える。  
「わかっているさ。覚悟なんてずっと前に終わっている」  
こんな世界で生きていくなんて、死んでいるのと同じだ。ジュプトルはそう思っていた。  
それでもジュプトルにはピカチュウのことが気になっていた。  
人間の時の記憶がないピカチュウに覚悟なんて出来ていなかっただろうし、実質巻き込んでしまったようなものだ。  
ジュプトルは胸が締め付けられるのを感じ、それを誤魔化すように話を続けた。  
「俺は俺の信じることを貫いた。それだけだ」  
「信じること……だと?」  
ヨノワールは理解出来ないと言うように聞き返した。  
「俺とお前。どっちが正しいのかなんて、俺にはわからない」  
ジュプトルはまたヨノワールに背を向け、日の昇ることのない空を見上げた。  
 
「信じる力の強い方が勝ち、勝った方の望み通りになった。それだけだ」  
「ふん、世界を救ってヒーロー気取り……それが貴様の望みか」  
ヨノワールが吐き捨てるように言った。  
「……違う。ただの自己中心的な考えだ」  
「……?」  
「俺自身がこんな世界にいたくなかった。そんな理由だ」  
そう言ってジュプトルは自嘲気味に笑った。  
「理解……出来んな」  
「元より理解してもらおうなんて思ってないさ。ただ、もう最後だからな。言ってみただけだ。もうすぐ消えるのにいがみ合っても意味がないしな」  
「……最後、か」  
ヨノワールが背後から近付いてくる気配を感じて振り返ると、ジュプトルはいきなり押し倒された。  
ゴツゴツとした地面に背中を強く打ち、痛みが走る。  
「くっ!最後の最後まで抵抗するのか」  
ジュプトルが逃げ出そうともがいてもジュプトルより体の大きいヨノワールに馬乗りになられて動くことが出来ない。  
「最後だからこそだよ。最後に、貴様を……掘るっ!」  
「アーッ!」  
 
続きは本編にてお楽しみ下さい。  
 
 

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