「……嫌な予感がする」
依頼が終わり、トレジャータウンを歩いていると、ザングースは唐突にそう呟いた。
「? どうしたの、いきなり?」
隣を歩いていたストライクが訪ねる。
「いや、後ろから何か嫌な気配……視線を感じるんだが」
「?? 後ろには特に何もないよ?……あるとすれば、」
後ろを見ているストライクが言葉を続けようとしたとき、ザングースの後ろから何かが思い切りぶつかった。
「ぐぁぁあぁっ!!」
いきなりの大きな衝撃にザングースは数メートルほど飛ばされる。
突然のそれに、ザングースは受け身も出来ずに地面に落ちた。
「ハブネークがリーダーに向かって突っ込んで来てるくらいかな」
「それを先に言えッ!!」
ふらふらと立ち上がりながらザングースが叫んだ。
「ここはそういうノリかなぁ、と」
「どういうノリだよ……。いや、そんなことより」
ザングースは今自分に突っ込んできたハブネークに目を向ける。
嫌な予感は当たっていたようだった。
「ハブネーク……なんでこんなところに」
ザングースはため息混じりにそう言った。
「なんでこんなところに?ですって?そんなこともわからないくらいバカになったのかしら、あなたは?」
ザングースに思い切りぶつかったハブネークは高飛車な態度でザングースに言い放った。
少なくともさっきの行為に対する罪悪感は少したりとも感じてはいないようだ。
「まだ言ってるのかお前は……」
「当たり前よ!忘れはしないわあの数々の屈辱……!!」
「あの……リーダー?ちょっと話についていけないんだけど……」
一匹蚊帳の外状態になっていたストライクがザングースに訪ねる。
「あぁ、こいつは俺が前に住んでいた森にいたハブネークなんだが……見ての通り俺を目の敵にしてるみたいで」
「ザングースとハブネークは代々仲が悪いって聞いてるけど?」
「俺は別になんとも思ってない」
「それがおかしいのよ。あんたもザングースの端くれなら私と戦いなさい!私たちはそういう運命なのよ」
ハブネークはシャーシャーと威嚇しながらザングースに突っかかっていく。
一方のザングースは飽きれ顔で関わりたくないというオーラが滲み出ている。
「リーダー、戦ってあげたら?こんなに言ってるんだし」
「いや、もう何度も戦ってきたよ、こいつとは」
森でいつも突っかかってくるハブネークを大人しくさせるため、ザングースはしばしばハブネークの戦いに付き合っていた。
しかし、結果はいつもザングースの勝利だった。
「あ、あんなのは全部たまたまなんだから!ちゃんと決着をつけるまで戦いは終わらないわよ!」
「だからって、こんなところにまで来ることないだろ……」
「何処に行こうが私の勝手でしょ」
「はぁ……俺は前みたいに暇じゃないんだよ。今は探検隊をやってるからな」
「探検隊……ねぇ。とにかく、私と勝負しなさい!」
ハブネークは話の流れを無視してとにかく言いたいことを伝えた。
「話を聞けよ……」
「今日の夜、リンゴの森で待ってるわ」
ハブネークは一方的にそう告げると振り向くことなく去っていった。
「すごい強引なハブネークだね」
「質が悪いんだよ。お前らと一緒で」
ザングースは何度目かのため息をつく。
「ところで、サンドパンはどこ行ったんだ?」
「ぇ?そういえば……依頼が終わってから見てないよ」
「まったく……何処に行ったんだか」
「まぁ、サンドパンはいいとしてさ。行くの?」
「行かない方があとで面倒なことになるからな、行くよ」
このときのザングースにはこのあとどんな面倒なことが起こるのかなど、知るよしもなかった。
夜。
ハブネークに言われた通り、ザングースはリンゴの森にやって来ていた。
「あいつ、リンゴの森。とは言ったけど、リンゴの森の何処って言わなかったな……」
ザングースはやることもないのでただ行くあてもなく歩いていた。
「……また、嫌な予感だ。ザングースだからわかってしまうのか……?」
ザングースがそう呟いた瞬間に頭上からハブネークが降ってきた。
「先手必勝っ!!」
「なっ!卑怯だぞ!」
いきなりの攻撃にザングースは体制を整えられず、倒れてしまう。
「勝負の世界に卑怯なんてないわ。あるのは勝ちか負けかの2つだけよ!」
「今まで負け続けてきたやつが言うセリフじゃねぇだろ!」
「ふんっ!そんなことが言えるのも今回までよ」
言っている間にもハブネークの体はザングースに巻き付き、身動きを取れなくしていた。
「っ!このっ!」
ザングースが力を入れても体はちっとも動かすことが出来ない。
「さぁて、これで完全に捕らえたわよ。覚悟しなさい」
(くそっ。マズいな……)
今の状態はハブネークの完全な優勢だ。
このまま締め付けられればザングースにはどうにも出来ない。
「このまま締め付けちゃえばそれで私の勝ちなんだけれど、それじゃあ面白くないわ。今まで散々受けた屈辱、返してあげないとね」
「くっ、好き勝手言いやがって」
ハブネークの頭がスルスルと下に降りていく。
ザングースは何をする気だと思って見ているとハブネークはザングースの股の辺りで止まった。
まさか、と嫌な想像がザングースの頭をよぎる。
「こんなことは、今までしたことなかったわよね」
ハブネークの長い舌が、ザングースの股を舐める。
「っ……」
いくら頭で我慢しようとは思っていても、直接的な刺激に対抗することは出来ず、ザングースのモノは徐々に姿をあらわしてくる。
「ふふっ、もう勃ってきた。こういうのには弱いんでしょ?」
「なんで、知ってるんだよ……」
「誰かは知らないけれど、親切なサンドパンが教えてくれたわ。色々とね」
(いないと思ったら……あいつっ!)
「ここを責めればあなたは抵抗出来ないんだってね?」
ゆっくりと根元の方から先端までを舐めあげる。
焦らすように何度も何度も舐めていると、ザングースのモノは段々と固さを増していった。
「んっ……くぅ」
「まだそんなにしてないのにこんなに固くなってる。焦らされて興奮したのかしら?」
大きくなったモノのすぐ側で言われ、その吐息にさえも敏感になったモノは反応してしまう。
「そ、そんなので興奮なんか……んぁっ!」
ハブネークの長い舌がザングースの先端を舐めくすぐる。
垂れてくる汁を舐めとりながら、じわじわと責められ、ザングースの意識はぼんやりとしてくる。
「んっ、はぁ……」
「どうかしら?大分感じてるんじゃない?」
「こ、このくらい……」
口ではそう言っていても反応する体は正直だった。
「へぇ、そう。じゃあこれならどうかしら?」
「っ……んにゃぁぁ!」
ザングースのモノが一気に根元までくわえられる。
いきなりの快感にザングースは声を押さえきれなかった。
暖かい口の中で、唾液と我慢汁が混ざり合ってザングースのモノを濡らしていく。
充分に濡れきったモノにハブネークの舌が滑る。
「ふぅ、んんっ!や、やめっ……!」
モノをくわえ込まれて、それでもまだじらすかのように舐められ、ゆっくりと確実に快感が体中に広がっていく。
一気に責められないのでイクことも出来ず、長い時間をかけて快楽に浸らせる。
それはまるで、毒のようなハブネークに合った責め方だった。
「んっ……くちゅ、ちゅっ、ぴちゃ」
ハブネークは口内でわざと音をたて、聴覚からも責め立てる。
ザングースは正直もう限界に近かった。
しかし、まだ絶頂に達することは出来ない。
広がり続ける快楽は全身を満たし、思考を完全に鈍らせて理性を殺していく。
ハブネークには弱いところは見せたくないと張っていた意地もやがてザングースにとってどうでもいいものになり、ハブネークによって与えられる更なる快感を求めるようになる。
「うぅ……くぁ、んっ」
「どうかしら?私に苛められるのは」
ハブネークは口を離し、頭を起こしてザングースの耳元で囁く。
その間にもザングースのモノにはハブネークの体が巻きつき、擦られている。
「くっ……ふぁっ!」
「ふふっ、感じてるみたいね。変・態ザングース」
ハブネークの屈辱の言葉さえも今のザングースにとっては与えられる快感の一つとなっていた。
ハブネークはさらに続けて言う。
「じゃあそろそろ本番といこうかしら?まぁ、あなた次第だけれど」
「? ……ど、どういう、意味だ?」
荒い息の中、ザングースが問いかける。
その問いかけに、ハブネークは耳元で小さな声で答えた。
「なっ!そ、そんなこと……」
「嫌ならいいのよ?私はまだこうして焦らし続けていてもいいんだから。あなたのために言ってあげてるのに」
ザングースは少しの間悩む。しかし、理性をほとんど失った今ではたどり着く答えは決まってしまっていた。
「……この、淫乱で、いやらしい変態……ザングースを、イカせてください……女王様ぁ……」
「ふふっ、あはははっ!それでいいのよ。よく言えたわね。プライドの高かったあなたがここまで落ちるなんて予想以上の結果だわ。前からこうしていれば、良かったのにね。そう思わない、変態ザングース?」
「くっ……!!」
これ以上ない屈辱に、ザングースは歯を食いしばって耐えるしかない。
羞恥心が興奮に変わるのが自分でもわかって、自己嫌悪に陥る。
けれどそれは快感の前にすぐにかき消されてしまうのだった。
「それじゃあちゃんと言えたからご褒美をあげないとね」
ハブネークは一度拘束を解いて、自分の秘所をザングースのモノに近づける。
「じゃあ、私のをたっぷりと味わいなさい」
ハブネークがゆっくりとザングースのモノをくわえ込んでいく。
モノはたっぷりと濡れているのですんなりと入っていった。
「くぁっ、ふぅ、んにゃぁぁあぁ!!」
オスとは違う締め付ける感覚にザングースは溢れる声を抑えきれない。
完全に根元まで入りきると、一度動きを止めた。
何もしていないのに、モノが溶けてしまいそうなほどの快感に襲われる。
「ふぅ……熱くていやらしいのが入ったわよ。もう奥まで届いてる」
ハブネークはゆっくりと動き出す。
初めはすこし焦らそうと考えていたハブネークだが、無意識の内に動きがどんどんと早くなっていく。
「んっ、はぁ……はぁ、ふぁっ!」
抜き差しを繰り返すたびに、結合部からは汁が溢れ出し、いやらしい音をたてる。
二匹の最も敏感な部分が擦れ合い、お互いに強い快感を与え合う。
いつしかハブネークも快感に捕らわれていた。
「あっ、す、ごい……んんっ、こんなの、やぁっ!」
「っ、くぁっ、お、おかしく……なりそうだ!」
一度動き出したらもう止めることは出来ない。
性欲に支配された体は貪欲に快感を求め、こすりつけ合う。
見えているのは自分に快感を与えてくれる相手のみで、それ以外は何も見えない。
「んんっ、はぁ……はぁ、も、もう我慢……出来なぃ!」
今までずっと焦らされてきたザングースにはもう限界だった。
絶頂はもうすぐにそこまできている。
「あっ、やっ……いいわよ、イキなさいっ!」
「うぁっ、んっ、あぁぁぁあぁああ!!」
途端にザングースの頭が真っ白になる。
体中に溜まったものが精液としてハブネークの中に吐き出される。「ひゃっ!熱いのが、入ってくる……!」
全身がビクンと震える。
溜まっていたものを吐き出し、ザングースの中が空っぽになる。
「はあ……はぁ……」
ザングースは満足してモノを抜こうとした瞬間、ハブネークの体が絡みついてくる。
「まさか、これで終わりだなんて思ってないでしょうね?」
イッたばかりのモノをギュッと締め付けられ、新たな快感がまたザングースの中に注がれる。
「んっ、ちょ、ちょっと待てよ、まだイッたばっかり……んにゃぁぁ!」
「そんなことは知らないわよ。私が満足するまであなたにはイキ続けてもらうからね」
ハブネークはそう言うと再び動き始めた。
「ぁ、やっと帰ってきた。おかえり〜」
ザングースがトレジャータウンに帰ってきたのは朝日がとっくに登った後だった。
「やっと帰ってきたか。ずいぶんと楽しめたみたいだな」
サンドパンはそう言ってニヤリと笑った。
「誰のせいでこうなったと思ってんだ……」
今はもうサンドパンに怒る元気すら残っていない。
それでもなんとか終わったことにザングースは安堵していた。
これでハブネークが満足してくれて森に帰ってくれれば面倒なことにならないですむ。
「まぁまぁ、そう言うなよ。ぁ、あとあのハブネークこれから探検隊を作るって言ってたからしばらくここにいると思うぞ?」「嘘だろ……」
ザングースの期待もあえなく打ち破られ、結果どうでもよくなってザングースはその場に倒れ込んだ。
これからまた厄介なことが多くなるんだろうな。
意識を失う寸前に、諦めの意味を含んでザングースはそう思った。
〜おわり〜