ふりふりふりふり。  
目の前を行くロコンの尻尾を、パートナーのピカチュウはぼんやり見つめながら歩いていた。  
 
先が丸まった彼女の尻尾はどんな感触なのだろうか。  
そういえば進化をするとキュウコンになるんだっけ。ということは自分の尻尾とは違ってサラサラしているのかもしれない。  
 
「どうしたの?」  
 
「え!う…ううん。なんでも…」  
 
「? ならいいけど…ぼんやりし過ぎて怪我、しないでね」  
 
 
前を向き、また歩き出したロコン。  
ふりふりふりふり。歩く度に揺れる尻尾。  
 
――― 触れたい。  
 
ピカチュウの胸にそんな欲求が生まれた。  
自分がオスで彼女がメスだからこんなこと思うのかな、と頭の中で考える。  
 
何かを感じ取ったのか、立ち止まってロコンがこちらを見た。  
少ない勇気を振り絞って、ピカチュウは思いのままに―――。  
 
「ろ、ロコンの尻尾って可愛いね!」  
 
「…え?」  
 
言えなかった。  
勇気を出すのは、やっぱり難しい。  
 

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