「混ざるぅ!?」  
と、ザングースは眉を顰めて言うと  
サンドパンはコクリと頷いた。  
「そ。だってリーダーもストライクもイイ思いしてんのに  
俺がした事と言やぁ、無い胸触った程度だぜ?」  
「無くて悪かったな!!」  
マニューラが牙を剥いてサンドパンに怒鳴りつけるが  
彼は聞きもせずに言葉を続ける。  
「それってズルくねェ〜?だから俺も楽しみたいの。  
イイでしょ?リーダー?」  
 
ニマリとサンドパンが笑うと、ザングースは口を閉ざして数秒間考えたが  
すぐにサンドパンと同じような笑みを返した。  
「…イイぜ?でもちゃんと慣らしてやれよ」  
「わぁってるって。じゃないと俺も痛いしー」  
ザングースからの許可を得て、  
サンドパンはマニューラの臀部の中央部に押し当てた指を再度動かし、  
指先に絡めた液を彼女の菊門の周りに塗り込んだ。  
「こ、このっ…!」  
「何、嫌?なら嫌って言えよ」  
彼らの企みを知ったマニューラは、首を動かしてサンドパンを睨みつけるが  
今のように言われて口を噤んだ。  
「おいおい、サンドパンばっか見てないで俺も見てくれよ」  
ザングースはそう言いながら地に着けた腰を上へと突き上げた。  
「はっ!あぅッ!」  
唐突に受けた衝撃に、マニューラが背を反らして声を上げると  
その声を気に入ったのか、両手で彼女の胸を揉みながら  
ザングースはまた腰を突き上げ続けた。  
その後ろでサンドパンはマニューラの蕾をほぐし続け  
ヒクリと動いたそこに、親指を入れ込んだ。  
「つぁっ!」  
肛門に感じた違和感に、マニューラは思わず声を出してしまったが  
サンドパンはお構いなしに入れ込んだ親指を出し入れしてほぐして行った。  
「んっ…?おい、今ケツ弄った?」  
「指入れたけど?どしたの」  
「いやぁ、いきなり膣ン中の締りが強まってさぁ」  
「マジでェ?何、コイツケツも感じるんだ」  
マニューラの直腸内を掻き混ぜるように入れ込んだ指を回し、  
サンドパンは喉奥を鳴らして笑う。  
その笑い声にマニューラは心底嫌悪を抱くが  
直腸内と肛門を掻き乱されているにもかかわらず、  
嬌声の声を上げてしまう自分に対しても、同じであった。  
 
「ンッぁ……あ、はっ!は、ぁ…」  
背を仰け反りながら、マニューラは口を開いて喘ぎ  
息を荒くして行く。その反応を見て、ザングースは「お」と、呟き  
「へへへ。イキそうっぽいなぁ」  
突き上げる腰の動きを強め、指で硬くしこった胸の突起を摘んだ。  
「くっ…あ、ぁッ、はっぁ!」  
反らした背を前へと屈め、目を硬く瞑って襲い来る快感に耐えようとするが  
それも虚しく、身体の感覚は素直に快楽の電気信号を彼女の脳へと送って行く。  
脚がガクガク震え、身体全身も痙攣を始める。  
─そしてついに、マニューラは限界を迎えた。  
 
「はっ……あッ、んっ!あっああぁあーーー!!」  
ビクリと背を仰け反らせ、絶頂の波に溺れながらマニューラは叫んだ。  
膣内が締まり、メスの本能がオスの種子をねだったが  
ザングースは片目を瞑って身を強張らせて射精を我慢した。  
身体の痙攣を続け、やがてそれが治まった頃  
マニューラは深く息を吐いて身を再度、前へ屈めた。  
「んっ…は…はぁ…はぁ…」  
彼女が熱い息を唾液と共に吐き出すと、その表情にザングースは満足げに笑みを浮かべた。  
「キモチ良かっただろぉ?イイ声出してさぁ」  
「……」  
マニューラは未だ整わない息を続け、  
顔を伏せたまま上目でザングースを睨んだが  
その瞳に鋭さは残っていなかった。  
「おいおい。ンな怖い顔すんなって」  
「…黙…れ……」  
「…本当、強情なメスだなぁ」  
ザングースは半場呆れ、半場感心して溜息を吐いた。  
 
「リーダー。そろそろイイ?」  
マニューラの菊門から指を抜いたサンドパンが  
彼女の背越しにザングースに声をかけた。  
「お。準備は大丈夫なん?」  
「結構ほぐれたからイイかも」  
そう言いながらサンドパンは既に勃起した己の分身をマニューラの臀部に挟み、  
陰茎を擦り付けた。菊門に塗りこんだ液体と、彼の陰茎の先から流れる先走りが  
マニューラの臀部の間でクチュクチュと音を立てて混ざり込む。  
「そうか。じゃぁイイぜ」  
「了解」  
ザングースから下された許可に笑みを浮かべ、  
サンドパンは亀頭をマニューラの菊門へと押し当てた。  
マニューラは身を強張らせ、歯を食いしばってこれから自分の身に起こるであろう  
サンドパンの行為に息を飲んだ。  
「力、抜かないと処女喪失の時よか痛いと思うぞ?」  
ザングースがマニューラの身を案じて今のように忠告するが  
彼女は何も答えずに、耐える体制を崩さなかった。  
今のザングースの言葉を聞き、サンドパンはケラケラと笑った。  
「あ、イイのイイの。どうせなら思いっきり痛めつけてやりたいしー。  
俺ってリーダーみたく優しくないしー」  
「うっは。サンドパンのSはサディストのSってか」  
「じゃぁ、マニューラのMはマゾヒストのMってねー」  
笑いながらマニューラを侮辱し、サンドパンは己の分身をマニューラの菊門へ入れ込んだ。  
 
「くあッ!」  
肛門を裂くかのようなビリビリとした痛みが走り、  
熱さと痛みが心臓の鼓動と同じように脈打って、マニューラは呻いた。  
「う…ほぐしたと言ってもキツぅ」  
サンドパンはマニューラの背に乗りあがり  
彼女を寝転がるザングースとの間に挟むように押し倒し、  
その動きに合わせて陰茎を埋め込んでいった。  
 
「ん、全部入ったぁ」  
サンドパンは深く息を吐き、今のように呟く。  
マニューラの直腸内は異物の進入を拒み  
押し出すように収縮するが、それは逆にサンドパンへ快楽を与えた。  
「んん〜。キモチイイ…。俺、年増はあんま好みじゃないけど  
コイツのナカはかなり好きかも」  
「だっ……れ、が、としッ……ま、…だ!」  
誰がと言ってもその答えは分かりきっているにも係わらず、  
激痛に息を荒げながらもマニューラはサンドパンに怒鳴りつける。  
その様子を見て、サンドパンはまた、笑った。  
「ふはッ。ケツを犯されてマンコも犯されているのに。強いねー…でも」  
 
「その強さもどこまで持つかねぇ?」  
 
ニタァと邪悪な笑みを浮かべ、サンドパンは腰を動かした。  
「ひはッ!」  
焼けた鉄を抜き出されたような熱さと痛みがマニューラの肛門と直腸に走る。  
サンドパンは陰茎を抜き出し、再度入れ込んでまた抜き出しまた入れ込む。  
進入を拒む直腸は肉壁を動かして収縮を続けるが  
それはやがて彼の動きに合わせるように馴染んでいく。  
膣内の感覚とは違う熱さと鈍痛に、マニューラは声を張り上げて呻くが  
同時にまた、痛さとは別の感覚を知り始めていた。  
 
動きを止めていたザングースもマニューラの腰を掴んで  
自分の腰の動きを再開させ、彼女の前後の穴をサンドパンと共に責めたてた。  
「くはっ!あぅっアぁつ!」  
膣壁と腸壁を擦られ、マニューラは悲鳴に近い呻きを上げた。  
「うん?今リーダーのチンコに当たったかな。ははは」  
「…萎えるよーな事を言うなって…。っつーか、重めぇよ。退け」  
「はいはい、…よっと」  
サンドパンは身を起こし、彼女の両手首を握り締めたままマニューラの背から離れるが  
それを彼女の背に押し当てて逃さぬように重心を寄せて、腰の動きを再開させた。  
「あッぐ、う、ぅんっ!」  
ザングースの胸に頬を押し当てて、マニューラはひたすらに耐え続けた。  
痛感と快感が膣内と腸内に巡り、それらは合わさって彼女の全身を駆け巡る。  
意識は保ったままではあるが、このままでは持たないであろう。  
その事を、サンドパンとザングースは互いに感じ取った。  
「あんまヤり過ぎると、コイツ壊れるかもな」  
「イイんじゃねー?だぁって俺らを襲った盗賊団だぜ」  
「悪い事は出来ないものだなぁ?ハハハ。  
ま、壊れたら壊れたで囲っちまうのもイーかも」  
「うっわ、リーダーも負けじとサディストじゃん」  
サンドパンは笑い、ザングースは喉を鳴らす。  
マニューラは2匹の会話を聞きながらも抵抗せずに、  
ただ、なすがままに犯されるしかなかった。  
 
「はっ…ん、あっぁ……」  
ゾクゾクとした悪寒が背筋に走ったマニューラが息を吐いて喘ぐと  
その様子を見てサンドパンがまた笑った。  
「んん?何、今の声」  
陰茎を咥え込んだままのマニューラの肛門を広げさせるかのように  
サンドパンが腰を回すと、  
「あつっ!んっ、ぁあ…ッ」  
彼女は強い感覚に再び声を出して喘いだ。  
「うはは、ケツで善がり始めたぜコイツー!」  
「さっきまで進化後処女だったメスとは思えねェなぁ…」  
2匹の言葉は容赦なくマニューラの誇りを切りつけた。  
「くぅっ…」  
マニューラは顔をザングースの胸の中に埋めて  
羞恥心と怒りを静めようとするが、それはサンドパンによって邪魔された。  
「はっあ。もー我慢出来ない。リーダー、激しくしてイイ?」  
呼吸を荒げ、サンドパンがザングースと目を合わせて言うと  
彼も同じ様だったようで、それに同意した。  
「よっしゃ。どーせならコイツも一緒にイカせようぜ」  
「そりゃぁイイや」  
その会話を聞き、マニューラは埋めたザングースの胸の中で  
ギリ、と歯を食いしばった。  
─だが、その歯は即座に食いしばる力を緩め  
その奥より肺と声帯を振るわせた音を出した。  
「はぅっ!あ!」  
胸の中に埋めた顔を仰け反らせ、膣内と直腸内が受ける刺激に反応を見せた。  
ザングースの陰茎が膣からその身を抜き出すと  
サンドパンの陰茎が直腸の奥へと捻り込まれ  
逆にサンドパンの陰茎が直腸からその身を抜き出すと  
ザングースの陰茎が膣の奥へと捻り込まれる。  
どちらにも与えられる休み無き刺激の動きに  
マニューラの理性の思考は弾き飛ぶ寸前であった。  
 
「はぁッ。スゲー。ケツんナカ、ビクビクいってら」  
「こっちもまた締まり始めたぜ。うぉぉ、また出そぅ…」  
「おらっ!イクならイケよ!」  
サンドパンはマニューラの頭上からそう命じて  
彼女の腰から生えた尾羽の先を両手で握りこんだ。  
「ひはぁンッ!」  
両手首を離されて、鉤爪が生えた両腕が自由になったが  
もはや彼女に腕を上げる余裕など今は無く、ザングースの両脇腹へと垂らし、  
握り締められた尾羽に意識は寄せられていた。  
「確かさぁ、お前首の羽根を弄られて感じていたよなぁ。  
じゃぁ、こっちもどーなのさ?んん?」  
マニューラはサンドパンを睨むが、何も言わなかった。  
否定しても肯定しても、彼が取る行動など容易に想像出来たからだ。  
口を噤むマニューラを見下し、サンドパンは口の両端を上げ─  
 
左手で尾羽の先を引き上げながら、  
握りこんだ右手で羽根の繊維を逆撫でるように根元へと滑らせた。  
 
「はッ!あ、…あ、あうぅぅんん!!」  
直腸内と膣内を巡る快楽と、尾羽を逆撫でられた刺激に  
マニューラはついに耐えるのを止め、その身を快楽の坩堝に落した。  
「おぉ…射精るッ!」  
「う!」  
マニューラが4度目の絶頂を迎えると同時に、  
ザングースとサンドパンも腰を震わせて  
それぞれの絶頂の証を彼女の体内へ注ぎ込んだ。  
「あっは…は…ぁぁ…」  
絶頂しつつ膣内と腸内に熱い精液が注ぎ込まれ  
中の空気と混ざり合った音を立てて塞がる両穴から溢れるのを感じ  
マニューラは全身を震わせながらそれらを受け入れていた。  
 
「はぁ、はぁー…キモチ良かった」  
「ふはーぁ…あー流石に2連発はキッツ〜。頭ガンガンするぜ」  
マニューラの体内に自身を入れ込んだまま、2匹は余韻に浸っていた。  
「…へへ。今のご気分はそうですかい、お嬢さん?」  
自分の胸の中でぐったり身を預けるマニューラに声をかけるが  
彼女はその呼びかけに言葉を返さず、虚ろげな瞳で息を荒げていた。  
…が、マニューラはふと視線をずらし、  
その先に映ったとある物体をしばし見つめた。  
思考が混濁していたせいで、その物体の姿を瞳から脳へと送り込んで  
それが何であるか、何が出来るかを理解させるまで少々時間がかかったが  
脳の奥で電気が弾けてそれを理解した時、彼女は声を出さずに笑った。  
 
「…そう…だな…」  
マニューラはゆっくりと身を動かしてザングースに視線を合わせた。  
「実に…イイ気分だ……」  
マニューラからの思いも寄らない返事に、  
ザングースとサンドパンはおぉ、と声を上げた。  
「へっえぇ。そりゃーこっちとしても嬉しいぜ?」  
「ふふ…」  
マニューラはザングースの胸に頬を押し当てながら  
両手でそっと彼の胸を撫で、擦り寄った。  
その様子はまるで飼い主に甘える仔猫のようで  
ザングースとサンドパンはマニューラが完全に墜ちたと確信した。  
「…お前はいい部下を持ってるな」  
「部下?あぁサンドパンの事か」  
「何ー。俺がイイ部下って、ケツ穴が良かったってコト?  
それとも2本差しが良かったってコト?」  
「ふふふ。違う。別の意味で、だ」  
「別の意味って…いてっ。おい、爪が食い込ん…」  
胸に置かれた鉤爪が体毛に沈み、皮膚に食い込まれた痛さを感じ  
ザングースはマニューラに呼びかけようとし、そこで口を噤んだ。  
 
マニューラはザングースに目を合わせ、  
口を軽く開けた状態で笑っていた。  
不気味に輝いている赤き瞳と─黒い悪意を纏わせた、両鉤爪。  
ザングースはマニューラの瞳に一瞬気を取られ、  
鉤爪の状態に気がついた時は、もう遅かった。  
「あっ!ちょ、おいサンドパン!手ぇ離…!!」  
「え? あぁ!!」  
ザングースが身を引こうとし、サンドパンがマニューラの腕を取ろうと身を屈め─  
 
「消 え な !」  
 
マニューラが叫ぶと同時に、鉤爪に纏った黒い悪意が波導に変わり  
それは一気にザングースの胸へと送り込まれ、彼女を中心にして黒い円を描いた。  
バシュン、と風を切り裂くような音が響き、ザングースの動きが一瞬止まった。  
…しばしの沈黙が訪れた。  
「あ ぁ あ…」  
だが、ザングースの呻きに似た声でそれは破かれた。  
「あ゛ーーーーーーーーー!!!!!!!」  
彼が叫ぶと当時に、天から地へ繋がる一筋の光が現われ  
それは彼の全身を包み込むと一瞬で姿を消した。  
そう、ザングースの姿もろともに。  
「ちょ、リー…」  
サンドパンが驚愕の声を出し切る前に同じく一筋の光が彼を包み、  
そして彼ごと消えて気絶していたストライクまでも、同じく光に連れ去られ、消えた。  
 
マニューラは乗り上げていたザングースが消えると、そのまま胸から地へと落され  
その痛みに軽く呻いたが、すぐに上半身を起こし上げ、周りを確認した。  
すると部屋の隅に赤い果実や青い果実などが散らばっているのを見つけ  
笑みで歪めた顔をさらに歪め、声を張り上げた。  
「…ふはっ。ははは、あーーーっはっはっはっは!!  
ざまあみな!このマニューラ様を散々甚振った罰だよ!!」  
背を反らし、天を仰ぎながらひとしきり笑うと  
膝を使って立ち上がった。  
「! たっ!  
…くそ、本当好き勝ってしやがって、アイツら…」  
下腹部と股に走った鈍痛に軽く呻きながら、  
散らばった道具のそばまで歩き、背をかがめてそれらを確認した。  
「ふぅん、食料は十分あるね。  
…くそっ。洗濯球は無いか……ん?」  
鉤爪で道具を指し示しながら、彼女は1つの道具に注目した。  
 
楕円に近い形をし、先端が尖った果実。  
青い色をしているならば、それは体力を回復させるオレンの実であろう。  
だがそれとは1つだけ決定的に違っている所があった。  
 
マニューラの爪の色─燻し銀と正反対の、黄金に輝くその果実─  
「…オボンの実!  
珍しいな。アイツらこれも持っていたのか」  
オボンの実を拾い上げ、まじまじと眺めながら今のように呟いたが  
彼女はそれを食する事はせず、一度床の上に戻して今度は液体が入った小瓶を手に取った。  
鉤爪で器用に蓋を開け、その中身を口の中に含ませる。  
飲む事はせずに、口内を濯いで汚れた液体を床の上に吐き出し  
再度口に含んで今度はそれを飲み込んだ。  
喉を通り、胃の中へ蓄えられるのを感じ、彼女はホッと一息をつく。  
そして今度はリンゴを齧って同じく胃の中へと入れた。  
リンゴを全て食べ終わると、今度はオレンの実を2つ手に持ってその場から離れ、  
彼女は倒れこんでいる部下の元へと向った。  
 
「おい、アーボック。起きれるか?」  
「う……ぁ……」  
背をかがめて倒れるアーボックに呼びかけるが、  
返って来たのは軽い呻き声だけであったので  
彼女はチッと舌打ちしてオレンの実を1つ、彼の口の中にそれを押し込んだ。  
「う…ん……」  
口内に食料が入り、アーボックは無意識的に口を動かしてオレンの実を歯で砕き  
そしてそれを飲み込んで、目を開いた。  
「…はっ! ぼ、ボス!?」  
その様子を見て、マニューラはまたホッと息を吐いた。  
「起きたかアーボック」  
「は、はい…。って、そのお姿は一体!?」  
身体を起こし上げながら、アーボックはマニューラの身体を見て驚きの声を上げた。  
だが彼女はそれを恥ずかしがる様子も見せず  
「あぁ、アイツらにやられた」  
サラリと返した。  
「や、やられ…って、ボス…」  
「しかしそのおかげで逆転出来たからな。恥じる事でもない」  
「そぉーですけどぉ…」  
心配するアーボックを横にし、マニューラは次にドラピオンの元へと向った。  
「ドラピオン。起きろ」  
背をかがめて呼びかけるが、彼からの返事は呻きすらも無く  
仕方無しにオレンの実を口へと入れ込むが、それはゴロリと音を立てて床の上に転がった。  
マニューラは背を伸ばしまた舌を打ち、  
床の上に落ちたオレンの実をしばし眺めた。  
「……」  
何かを考えたマニューラは踵を返してドラピオンの元から離れた。  
「?」  
アーボックはどうしたのか、と首を捻りながらマニューラの姿を目で追いかけると  
彼女は散らばった道具の元へ駆け寄っており、  
その中にある1つの道具をその手に取っている所であった。  
 
そしてそれを手に、再びドラピオンの元へと駆け寄った。  
マニューラが手にしていたのは、黄金に輝くオボンの実であった。  
彼女は膝を付いてドラピオンの顔の横にしゃがむと  
手に持ったオボンの実を齧って口の中で数回咀嚼し、  
顔を伏せ、横たわったドラピオンに重ね合わせて  
砕いたオボンの実を彼の口の中へと流し込んだ。  
その様子を眺めながら、アーボックはひょぅ、と鳴いた。  
マニューラが顔を離すとドラピオンは口を動かし、  
喉を鳴らしてオボンの実を飲み込んだ。  
だが、それでも意識は戻らずに彼は倒れこんだままであったので  
マニューラは再度、同じようにオボンの実をドラピオンに与えた。  
 
「…う……ん……う…」  
身を捩り、長い両腕を動かしてドラピオンはようやく目を開いた。  
「ドラピオン!」  
「大丈夫か?」  
マニューラが部下の名を呼び、アーボックが蛇腹を滑らせて2人の元へと駆け寄った。  
ドラピオンは眩しいのか、目を細めながら数回瞬きを繰り返し  
そして目を見開いて起き上がった。  
「ま、マニューラ様…!」  
「良かった。起きたか」  
「は、はい……ですが、その……」  
ドラピオンは口をどもらせ、目を伏せる。  
ザングースたちに良いようにされていたマニューラを  
救うことが出来なかった事が気がかりになっており、  
頭である彼女に会わす顔が無いと、彼は思っていた。  
「どうした?」  
「いえ…あの……」  
「……そうかい。ならもう行くよ」  
マニューラはドラピオンが抱く考えを読み取っていた。  
だが、それには触れずにおこうと考えて  
彼女は彼に背を向けて、歩き出した。  
マニューラが横を通り過ぎ、それを目で追って確認すると  
アーボックはドラピオンの顔へ首を伸ばした。  
「…おい、ドラピオン」  
「何だ?」  
「感謝する事だな、ボスに」  
「? あぁ、かまいたちを倒した事か」  
するとアーボックはニヤニヤと笑い、違うと返した。  
「それじゃねぇよ。  
…ま、分からねぇんなら、一生分からねぇままでいろよ」  
「はっぁ?意味分かんねぇ!?」  
「お前たち!早くしな!!」  
道具をトレジャーボックスに入れながら、マニューラが部下2匹に呼びかけると  
彼らは「は、ハイ!!」と勢いの良い返事をした。  
 
「…で、ですがマニューラ様…」  
「何だい、ドラピオン。しつこいね」  
「えっと…そ、そのですねぇ…」  
長い両腕で顔を覆いながら、ドラピオンはチラチラとマニューラを見る。  
「…そのお姿は…ちょっと刺激が……」  
無理も無いだろう。彼女の身体を覆う黒い体毛は  
ザングース達の精液によって所々白く染まっており  
股から脚にかけては体内に放出された精液が未だ垂れて落ちているのだから。  
「…… !!」  
マニューラは床を蹴り上げ、その反動を利用して脚の爪を  
ドラピオンの下顎に叩き付けた。  
「っ ガッ!!」  
ドラピオンは蹴られた痛みに声を上げたが  
マニューラはそれに構いもせずに、ドラピオンを睨んだ。  
「…ドラピオン……」  
「は、はいっ!!も、申し訳ございません!!」  
涙目になりながら、必死になってマニューラに詫びるドラピオンであったが  
彼女は腕を組み、首を傾けて次にこう言った。  
「今すぐ!洗濯球を1匹で探してきな!」  
「え、えぇぇ!い、1匹でですかぁ!?そんなアーボックも…」  
「命令が聞けないってのかい?ならそんな部下なんか要らないね」  
「! い、いえ!探してきます!探してきますから!!」  
ドラピオンはそう叫ぶと、その大きな身体を支える爪を動かして  
マニューラが命じた通りに洗濯球を探しに部屋から出て行った。  
 
廊下を走るドラピオンの背を見つめながら、  
マニューラはもう1匹の部下に、愚痴とため息を吐いた。  
「…ったく、馬鹿な部下を持つと苦労するよ」  
「ははは。違いねぇですね、ボス」  
「…でもさ」  
 
「そんな馬鹿な部下共を持つのも、悪くはないさ」  
 
「…部下"共"って、オレも入っているんですか?」  
「おや、他に誰がいると思う?」  
「ちょ、ひっでぇですよボスー」  
マニューラとドラピオンは共に笑った。  
そして半刻が過ぎた頃、ドラピオンが戻って来たが  
洗濯球が見つからなかったとマニューラに告げて  
再度彼女に蹴られたと言う事を、蛇足的ではあるが付け加えておこう。  
 
「おい。おーい。 おいっ!そこの!  
イーブイとロコン!!」  
 
太陽が輝く青空が広がるトレジャータウンで、今のような声が響き渡り  
カクレオンの店で買い物をしようとしていた名を呼ばれた2匹のポケモンが振り返り  
その声を主を探した。  
「え?」  
「あ!」  
川を跨ぐ丸太橋の上に佇む3匹のポケモンを見つけ、  
その者達が自分らを呼んだのだと理解した。  
「MADさんだー。わー、お久しぶりですー」  
イーブイが長い耳を傾けて挨拶すると、  
MADの頭であるマニューラが手を軽く上げて挨拶を返した。  
その肩には、黒い絹糸を平織りにした織物を羽織っていた。  
「久しぶりだな」  
「こっちこそ!えーと…それで何かご用件でも?」  
「あぁ…お前たち。たまごは持っているか?」  
「たまご?どうだったけ、ロコン」  
「えーっとぉ…この前の依頼でもらった子が先日孵ったよね」  
6本の体毛豊かな尾を揺らしてロコンが答えると  
イーブイはあぁ、そうそう、と答えた。  
「ムウマの女の子が生まれてね!すっごく可愛かったのー」  
「…そうか。なら今は持っていないのか」  
「うん?そうだけど…」  
「なら、これをやろう」  
マニューラはそう言うと、羽織った絹織物で隠した懐に手をいれ  
その中から1玉のたまごを取り出し、それをイーブイに差し出した。  
「え?たまご…良いんですか?」  
たまごを受け取りながら、恐る恐るイーブイがたずねると  
マニューラはあぁ、と返事をした。  
「どうせ我らが持っていても足手まといになるだけだからね」  
「そうそう、MADは俺たち3匹で十分なのさ」  
マニューラが肩をすくうと、アーボックが笑いながら同意する。  
「へぇー…じゃ、ありがたく頂きますね」  
「どんな子が生まれるのかなー」  
「さぁね?じゃぁな」  
ロコンがイーブイの持つたまごを眺めながら期待を膨らませると  
マニューラたちは彼女らを背にし、再び丸太橋を渡ろうとした。  
 
その時イーブイはマニューラが羽織る、その絹織物に気がつき  
再び彼女に声をかけた。  
「あ、あのっ!」  
「ん?何だい?」  
「…それ、黒いシフォンですよね。確かゼロの島の─」  
マニューラは黒いシフォンを指で摘み、イーブイたちに見せるように持ち上げた。  
 
「あぁ、西部で見つけた。  
いやさ。必死になって南部を突破したんだけどさ  
めぼしいお宝が全然無くってさあ」  
「そうそう、あんなに頑張ったのに…」  
「マニューラ様も骨折り損でしたよね…」  
「え?骨折り損?」  
ロコンが首をかしげてドラピオンのセリフを復唱すると  
マニューラはドラピオンを睨みつけて彼を黙らせた。  
「…いや、気にするな。何でもないさ」  
「そぉーですかぁ…」  
納得の行かないロコンであるが、  
マニューラにそう言われてしぶしぶ追及するのを諦めた。  
「ふ。だから、今はゼロの島の西部を攻略中なのさ。  
今はまだ突破出来てないけど、いつかはしてやるさ」  
「へぇー。実は今度ゼロの島の西部に行こうかなって考えていたんですよ」  
たまごを持ったまま、イーブイが耳をピンと張り上げて嬉しそうに言うと  
マニューラはへぇ、と返した。  
「そうかい。…それじゃぁ今度ゼロの島で会ったら覚悟しておくんだね。  
顔見知りだからって、見逃してはやらないよ」  
「えっえー…そんなぁ、冗談きついですよー」  
「はははは!それが我らチームMADのやり方さ。じゃあな」  
そう言って身を翻し、マニューラは片腕を上げて左右に振りながら  
ドラピオンとアーボックを従えてその姿をトレジャータウンの外へと消していった。  
 
「ねぇねぇ、早くラッキーさんの所に預けに行こうよー」  
「えっ?う、うん。そうしよっか」  
ロコンにせかされ、イーブイはたまごを落さぬよう  
尻尾に包みこんでラッキーの店へとロコンと共に向った。  
 
数日後、たまごが孵化してポケモンが生まれ  
ロコンとイーブイはそのポケモンをつれてゼロの島西部へ挑み  
そこでチームMADと遭遇した事は、また別の話─  
 

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