「…っぁあッ!!」  
燻し銀に光る鍵爪を振り上げると同時に鮮血が舞う。  
その血が床に落ちるとそれに圧し掛かるようにリザードンが崩れ落ちた。  
 
倒れたリザードンの頭を踏みつけ、見下しながら血の付いた鍵爪を舐める。  
「ちぃっ…溶かされるところだった」  
そう呟くと、後ろで何かが倒れる音が響き  
首を後ろに回して確認すると、黒紫色のモンスター達がフシギバナとメガニウムを倒していた。  
「お前たち。大丈夫か?」  
「えぇ、なんとか」  
「しかしなかなか先に進めませんね。今どのくらいでしょうか、マニューラ様」  
 
ドラピオンが頭部をくるりと回し、辺りを見ながら呟くと  
隣にいるアーボックが尻尾を揺らしながら答える。  
「えぇっと…ここで44階のハズです、ボス」  
「44階か…いったい何階まで続いているんだ?このゼロの島南部は」  
 
─チームMAD。  
マニューラ率いる盗賊団は念願だったゼロの島の存在を聞きつけ  
宝を手に入れるためにこの島へと乗り込んでいた。  
だが、今まで攻略してきた遺跡等とは全く違うこの島に  
さすがのチームMADも手を焼いていた。  
 
「今回、倒れてしまえばこれで5回目の失敗となってしまう…。  
もう、あんな悔しい思いは散々だ!今回こそお宝を頂くんだよ!」  
「しかしボスぅ…そろそろ食料が尽きそうでは…」  
アーボックが尻尾で腹部を押さえながら言うと  
マニューラは腰にかけていたレンジャーボックスを覗く。  
だが、中にはリンゴが1つだけが入っていただけだった。  
 
「ちぃっ…ただのタネと成り下がった復活のタネをさっさと  
食うんじゃなかったよ…」  
顔をしかめ、リンゴを取り出してレンジャーボックスの蓋を閉じ、  
それを3つに切り分けて2切をドラピオンとアーボックに投げ渡す。  
一口でリンゴを食して唇を舐めまわした後に、  
腕を組みながらマニューラは唸った。  
「むー…ん…仕方ない。他の冒険者を襲って食料を頂くよ」  
「ですね、ボス!」  
「けどここまで他の冒険者来てますかねぇ?」  
 
ドラピオンの言い分はもっともだった。  
ゼロの島の中でも一番の難所と言われる南部─  
ここを攻略しようと思うだけでも狂人扱いされかねないのに  
さらに実際乗り込んでくる物好きも相当少ないだろう。  
だが、マニューラ達が4度目の攻略失敗を経験し  
トレジャータウンに戻ってパッチールのカフェで作戦を練っていた時、  
この島を攻略せんと同じく作戦を練っているチームが居たのを  
マニューラは気がついていた。  
フフッと口の両端を吊り上げ、マニューラは組んでいた腕を解き  
その様子を見て、ドラピオンが声をかけた。  
「マニューラ様、心当たりがあるんですか?」  
「まぁね。確信は無いけど。  
しかしここんところ、落ちている道具もほとんどない。  
つまりは誰かが先に行っているってコトさ。  
もし追いつけなくてもどうにかなるだろう。切羽詰ったらソイツらを食えばいいんだし」  
 
鍵爪でリザードン達を示すと、ドラピオンとアーボックはガハハと笑った。  
「さっすがボス!」  
「ちがいねぇ!」  
「でもどうせなら魚が食いたいね。  
お前たちはいいだろうけど、草と炎は趣味じゃない。  
さぁ、お前たち行くよ」  
クルリと踵を返し、マニューラは先を目指して進み、ドラピオンとアーボックはそれに続いた。  
 
「はぁー…あとどんだけ登ればいいんだ?」  
「知るか。あ、おい!それ俺のリンゴだぞ!返せ!!」  
「ガツガツ!むしゃむしゃ!ガツガツ!…ん?なんか言ったか?」  
46階のとある一室で、3匹の冒険者が食料を広げて休憩していた。  
3匹の周りにはリンゴの芯や木の実の残骸が散乱し  
蓋を開けたレンジャーボックスにも、リンゴを始めとした木の実やグミなどがギッシリ詰まっている。  
「なんかじゃねー!返せ!吐き出せ!!」  
「落ち着け。仲間割れしている場合じゃない。  
それにリンゴも他にもあるだろう」  
リンゴを奪われた男が、奪った男に振りかざした黒い爪をピクリと止める。  
「そうは言ってもよぉ…リンゴは5階進む毎に3つまでって決めてるだろ?  
これで俺の分は51階までナシだぜ?くそっ」  
「ムシャムシャ!ガツガツ!…けどよ、この作戦のおかげで拾った食料を食い果たす事無く  
ここまで飢えずに来れてるんだぜ?」  
「お前が言うなー!!今俺が飢えそうなんだろー!!51階じゃテメェの分は無いからなー!!」  
黄土色の棘を背中に生やした男が尚もリンゴを齧りながら言うと  
白い毛を逆立てながら奪われた男が爪を振りかざす。  
その様子を見つつ、止めに入った男は鎌の手でリンゴを刺してハァ、とため息をついた。  
 
 
 
─が、次の瞬間、彼は身体をビクリと震わせ、部屋へと通じる廊下へと目をやった。  
「…おい!何かが来るぞ」  
「へ?」  
「この島の敵か?」  
「…いや、違う…!」  
 
 
「匂う…匂いますぜボス!あの部屋からです!」  
「さすがお前の鼻はきくね、アーボック!」  
45階で食料を見つけることの出来なかったチームMADの飢えは限界に来ていた。  
だが、6階に登った瞬間、食料の匂いを嗅ぎつけたアーボックにより  
チームMADは3匹の冒険者が居る部屋へを目指していた。  
が、部屋へと続く廊下の前に島のモンスターであるオニゴーリが立ちふさがった。  
 
「邪魔だよぉッ!どきなッッ!!」  
走りながらマニューラが両手の鍵爪を重ね合わせ、その中に闇の球体を作り出し  
 
「シャドーボーーーールッ!!」  
 
闇の球体を邪魔をする者へと投げ飛ばす。  
シャドーボールをまともに喰らったオニゴーリは壁へと叩きつけられ、  
その衝撃で分厚い氷の身体は簡単にひび割れて断末魔を上げる間もなく崩れ落ちた。  
氷の残骸を横目にしつつ、チームMADは廊下を駆け抜け、そして…  
 
 
「…来た……!」  
 
鎌の手を構え、翅を広げる。  
揉めていた二匹も気配を感じ取り、部屋の入り口を睨みながらそれぞれの爪を構えた。  
 
…ジャリ、と足を止める音と同時に現われた。  
 
「…あぁ。やっぱりお前たちだったんだ。久しぶりだな」  
マニューラは壁に寄りかかりながら、冒険者たちに軽く挨拶をした。  
だが、冒険者たちはマニューラに返事を返さず、険しい表情を浮かべ心中穏やかではなかった。  
マニューラたちが何を目的に自分らの前に現われたのか、察していたからだ。  
 
「あのさぁ、ここにくる途中で食料全部食っちまったんだよね。  
だから同じ冒険者として分けてくれないか?  
 
……食料の全てをな!!」  
 
鍵爪を胸の前で光らせ、マニューラは目と牙を剥く。  
その後ろから、アーボックとドラピオンがニヤニヤと笑いながらマニューラの横へと歩む。  
しかし、冒険者たちはチームMADに屈する様子は─無い。  
 
「オレたちも宝を目的としている以上はそうもいかん」  
「そうだそうだ!お前らに渡すくらいなら俺が全部食ってやる!」  
「…これ以上食ったらマジでようしゃしねーぞお前…」  
 
あくまでも抵抗するつもりの冒険者たちを見て、  
マニューラはケラケラと笑った。  
「はははっ強情だな。そこまで言うなら無理やり頂くまでだ。  
それに…トレジャータウンで見たときから気になっていたんだよね。  
 
…チームかまいたち!」  
 

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