「ペラップ、起きてる…?」  
「わわわわわわっ?!」  
夜、かつては自分たちの部屋だった  
ペラップの部屋を訪れたポッチャマは  
ペラップが派手に驚いたことに驚いた。  
「な、なんだオマエは唐突に!  
 ビックリしたじゃないか!!」  
「…そんなに驚くなんてこっちがビックリしたよ。  
 何してるの?」  
「あっコラ!ダメだダメだ!  
 勝手に見るな触るな!!」  
ペラップは積まれたポケの山を翼で乱暴に崩し  
まとめて袋に押し込んだ。  
ピンハネされた報酬がざかざかと袋に、金庫に消えていくのを  
ポッチャマはため息と共に見送った。  
 
「…で、何の用だ?  
 言っておくが取り分を増やせとか、  
 そういう用件なら却下だぞ?」  
重労働を終え、ぜえはあ息を整えながら  
開口一番そう言ったペラップにポッチャマは苦笑いした。  
「何て言うか…、ペラップってさ、ペラップだよね」  
「どういう意味だそれは?」  
柔らかな藁に身体を預け、  
一息ついたペラップは乱れた翼を整え始めた。  
「今更羽繕いしたって、  
 チャームズはもう行っちゃったよ」  
「な、なんでチャームズの名前が出てくるんだそこで!!」  
せっかく整えた羽をバサバサさせてペラップは怒鳴る。  
「ペラップは、チャームズの誰が好きなの?  
 ミミロップ?サーナイト?チャーレム?」  
 
「いっ、いきなり、何を言い出すんだオマエは!」  
目は白黒、顔は真っ赤。  
そんなペラップを見てポッチャマはまたため息をつく。  
「…やっぱり進化したポケモンは強いし、  
 スタイルいいもんね…。」  
「あーっもうなんなんだ!!」  
その言葉にペラップはついにキレた。  
「突然やって来たと思えばワタシをミーハー呼ばわりした上  
 進化できないから使えないだの種族値低いだの  
 オマエはワタシに喧嘩を売りに来たのかっ!  
 用件があるならさっさと話さんか!!」  
(誰もそんなこと言ってないよ…)  
ポッチャマは内心そう思ったが、  
これ以上話を拗れさせるのも何なので  
敢えて何も言わず、本題に入った。  
 
「あのさ。  
 ペラップ、チャームズと探検できなくて残念だったでしょ?」  
「あーまったくオマエは!」  
「だから」  
尚もあれやこれやと言い募ろうとしたペラップを  
少し強めに遮って、ポッチャマは言った。  
「だから、わたしが慰めてあげる。  
 チャームズにしてみたいようなこと、わたしにしていいよ」  
ポッチャマが、ふわりとペラップに抱きついた。  
 
「何を言い出すかと思えば…。」  
ペラップは少し驚いたが、  
回されたポッチャマの翼を嘴で、  
宥めるように軽くコツコツ叩いた。  
だがポッチャマは飛べない翼により一層力を込めて、  
ペラップの柔らかな羽毛に顔をうずめた。  
「好きなようにしていいよ、わたしのこと」  
「あのなぁ」  
「ペラップが好きにしないんだったら、  
 わたしの好きにしちゃうからね」  
ペラップに何かを言われてしまう前に、  
ポッチャマは早口でそう言った。  
そしてさわさわ翼を震わせて、  
嘴で白い羽毛を探るようにもそもそと動き始めた。  
 
「コラ」  
窘めながらペラップは身を捩るが  
ポッチャマはペラップを離そうとはせず、  
ごそごそ動く嘴がくすぐったくてペラップは頭を振った。  
「やめんか、何のつもりだオマエは」  
「…交尾するつもり」  
ペラップの羽毛の中で響かせるようにぽそっと呟く。  
そして恥ずかしさを誤魔化すように性急に、しかし柔らかく、  
ポッチャマの嘴がトットッ、と羽毛に触れた。  
だがその動きはどうにも拙くて、  
単にじゃれつかれているような心地しかしなかった。  
「…わかった!わかったから、ちょっ、ヤメロ!やめんかぁ!!」  
もういい加減くすぐったさに耐えられず、  
ペラップはバサバサ羽ばたきポッチャマを振り払った。  
 
口を開きかけたペラップは  
明らかに傷ついた様子のポッチャマを見て  
結局何も言えなくなり、  
俯くポッチャマの嘴に嘴を触れ合わせ  
誘うようにコツコツと音を立てた。  
 
「…?」  
しかしポッチャマは何を誘われているのか全く分からず、  
不思議そうにペラップを見つめ返すだけだった。  
「…オマエな、もうちょっとこう、  
 情緒ってヤツをだな…。」  
ペラップはため息と諦めと共に頭を振り、嘴と嘴をぶつけた。  
少し首を傾け角度を変えて  
その隙間に噛みつくように嘴を割り入れ舌を絡める。  
ポッチャマはただ驚き、硬直していた。  
嘴を啄む嘴の硬質な音と  
舌を絡めとろうとする舌が奏でる粘質な音。  
硬直した身体がその舌でとろけた頃合いで  
ペラップの嘴が離れた。  
 
…キス、したんだ。  
 
そんな実感が今更やってきてポッチャマの頬が熱くなった。  
甘ったるく啄みあった嘴の音やら  
何やら艶めかしい感じだった舌の動きやらを  
逆回転に思い出してしまって、ポッチャマは――  
 
プッ、と吹き出した。  
 
少し心配そうにポッチャマを覗きこんでいたペラップは  
そのあんまりな反応にまたキレた。  
 
「オマエなあああぁ!!」  
「ご、ごめ…、  
 いや、だって、『情緒』って言葉、  
 ペラップに全然似合わないなあって…」  
キスの前の何気ないやりとりがツボに入ってしまって、  
どうにか笑いを噛み殺そうとぷるぷる震えているポッチャマを  
ペラップは青筋立てつつ見ていた。  
が、ふっと笑って呟いた。  
「…まあ、沈んでるよりは  
 そうやって笑ってるほうがマシだがな」  
「え?何?」  
「いや、何でもない。  
 ホラ、情緒のないやり方のほうがいいならそうしてやるから  
 さっさとオシリをこっちに向ける!」  
「…それはそれで、なんだかなあ…」  
ブツブツ言いながらもポッチャマは素直にうつ伏せになった。  
「もうちょっとしっかり腰を上げんか、ホラ」  
「はぁい」  
ぺたんと伏せていた身体を、  
言われたとおりに少しくい、と持ち上げる。  
ピンク色の小さな蕾が、よく見えるようになった。  
 
荒っぽい言葉遣いとは裏腹に、  
ペラップはふわりと優しくポッチャマに覆い被さった。  
温かい羽毛に包まれ心地よくて、  
ポッチャマはむしろ安堵に吐息をこぼす。  
が、丸い嘴や繊細な羽の感触で  
全身をゆったりと揺さぶられると、  
なんだか妙な心地がした。  
 
「…んっ」  
唯一、互いの身体で羽毛に覆われていない箇所を  
ぴたりと添わせた瞬間、  
身体の内側を駆け抜けた感覚に  
ポッチャマは知らず声を上げた。  
ペラップはまだ動かずただ静かに寄り添ったまま、  
もっとしっかりと重なり合うように身体を前に倒す。  
 
「…ひとつ、大事なことを言い忘れていたがな」  
後ろから覆い被さっているペラップが  
どんな顔で今話しているのか、  
ポッチャマには分からない。  
「ワタシは、オマエをチャームズの代わりだなんて思ってないぞ」  
 
「…分かってるよ」  
そしてペラップにも、  
うつ伏せのポッチャマがどんな顔をしているのか、分からない。  
「分かってるよ、そんなこと。  
 だってわたし、ミミロップみたいにスタイル良くないし  
 サーナイトみたいにおしとやかじゃな…痛っ!」  
最後まで言わせず、  
ペラップはポッチャマの後頭部を嘴の丸い部分でどついた。  
「痛いよペラップ!」  
「オマエがあんまりバカなことを言うからだろう。  
 …大げさだな。そんなに強く叩いてないぞ」  
ポッチャマが少し涙声だった気がしたので、  
ペラップは嘴で首のあたりをくりくり撫でてやった。  
 
「…本当にバカなコだねオマエは。  
 ワタシが今、何でオマエとこうしてるのか、  
 ちょっと考えれば分かることだろう」  
ポッチャマが振り返ってこちらを向きそうな素振りを見せたので、  
ペラップは唐突に身体を揺らす動きを再開した。  
「あっ、」  
「…というかな、考えないでも分かれ!」  
 
 
「あつ、いっ…!」  
どぷどぷ子種を注がれて、  
その火傷しそうな熱さにポッチャマは悶えた。  
「イチイチ大げさだねオマエは」  
秘所を細かく揺すり合わせながらそんなことを言うペラップに  
やっぱりペラップに情緒なんてものは欠片もないじゃないか、  
なんてことを思った。  
だが不意に首のあたりを舌でぞろりと舐められて、  
そんなことはすぐに考えられなくなった。  
「やっ、ペラップ、それだめ!」  
産毛に覆われた身体をペラップの舌が這い回る。  
ざらりとした舌は熱くて、  
通り過ぎた跡はひやりと冷たくて、  
でもまたすぐに自らの熱でカッと熱くなる。  
「だめ、だめだったら、あっ」  
「ダメ、なんて言葉イチイチ真に受けてたら  
 まともに交尾なんか出来やしないだろ」  
相変わらずあんまりな言い種だったが、  
器用にポッチャマを追いつめる舌と  
ぬるぬると擦れる秘裂が生み出す感覚は  
切なく甘いものだった。  
 
「ホラ、オシリが下がってきてるよ」  
「んっ…」  
言われて、ポッチャマは快楽に震える身体をどうにか支えて  
ねだるようにおしりを持ち上げる。  
ペラップはぐいと自身の尾羽を下げて、  
尻尾の丸い部分でポッチャマの花芯に触れた。  
「やあぁん!」  
走った快感にあっさりと身体は崩れ落ち、  
ポッチャマはぺたりとうつ伏せになってしまった。  
「全くだらしないね。シッカリしな、ホラ」  
「だって…ああっ」  
尻尾でくりくり花芯をいじめられ、  
ますます身体に力が入らなくなる。  
それでも初めて知った快感をもっと味わいたくて  
無意識に、秘裂を押しつけるように腰は揺れていた。  
「な、なんか、来ちゃうよ…あぁ」  
「そうか、じゃあ一回イッとけ」  
「まっ、待って、待ってよぉ」  
 
息が苦しい。クラクラする。  
あそこが熱くてジンジンする。  
身体がバラバラになりそうで、怖くて、  
なのにペラップは待つどころかますます尻尾の動きを早めて  
ヌルヌルの花芽を容赦なく責めてくる。  
 
「イッちゃ、イッちゃうよぉ…はあぁぁん!!」  
 
全身をピンと強張らせ、ビクビク痙攣する。  
「ホラ、出すから、ちゃんと感じろ…ッ!」  
その痙攣に合わせて、ペラップもまた精を放つ。  
「やっ、うそっ、イッてるのに、また、ああっ…!!」  
 
絶頂できゅっと締まっていた秘裂を  
無理矢理に熱さが駆け抜けて、  
精液に犯される感覚でポッチャマはまた達してしまった。  
ペラップは子種を擦り込むようにぐりぐり腰を動かして、  
潮を吹きたがっているそこを強引に塞いでしまう。  
「コラ出すな、もったいないぞ」  
「あうっ!あ、あっ、うあああっ!!」  
押さえつけられた秘裂が窒息しそうだ。  
ぷしっ、ぷしっ、と可愛い音をたてながら  
精液混じりの愛液を時折おもらししているポッチャマは  
自分の中で渦巻いている熱い濁流に  
もう気が狂いそうになっていた。  
「あああああ、やあああああ!」  
その秘裂の震えを直に感じているペラップは  
またこみ上げてきた射精感のままに、さらにどぷどぷ精を注ぐ。  
「ペラップだめ、熱いよぉ、やあああん!!」  
精液を呑み込みたくて奥へ、  
絶頂の証を吐き出したくて外へ、  
感じすぎてもう訳が分からなくなってしまった内壁は  
ただ痙攣を繰り返す。  
 
身体はもう突き上げられる快楽に付いていけず  
ぐったりと脱力して、  
ペラップの尻尾がぐちょぐちょの花芽をいたぶる動きに従順に、  
生理的な、感電したような反応を返すばかりだ。  
 
うつ伏せのポッチャマの身体からペラップが降りると  
ようやく解き放たれた潮が勢いよく吹き出して藁を濡らした。  
「あぐっ…あ、あぅ、ああ…!」  
その流れがまた内壁を嬲り、震えが走る。  
止まらない、汁が滴り落ちる感覚はまるで  
おもらししたようで恥ずかしくて、  
一生懸命内股に力を込めようとしているのに  
全然力が入らない、止められない。  
本当に恥ずかしくてたまらないのに、  
その羞恥までもがいつか快楽の糧になっていた。  
 
ペラップは嘴でポッチャマの身体をころんと仰向けにして  
二羽の体液が混じり合った汁を垂れ流す秘裂に  
またぴったりと寄り添う。  
最早自力で腰を上げられないポッチャマの割れ目は  
どちらかと言えば上付きだったので、  
この体勢の方が都合が良かった。  
 
「ペラップ…、好き」  
恐らく無意識に、ポッチャマが言った。  
ペラップは苦虫を噛みつぶしたような表情の後で  
その言葉にはとりあえずキスで返事をした。  
「…オマエな、普通、それを最初に言うモンだろ」  
 
ポッチャマはただ荒い呼吸を繰り返している。  
うっすらと涙ぐんでいるのは、苦しさからか、  
それとも何か他の理由があるのだろうか。  
「ワタシも、…オマエが」  
 
その続きは、本当に微かな声で囁かれた。  
 
 
――ああ、ペラップはずるい。  
ポッチャマは思う。  
いつもは甘やかしたりなんかしないのに、  
ここぞ、という時は絶対に優しい。  
そんなのズルい、  
ペラップがそんな風だから、好きになってしまったのだ。  
 
「…ペラップ」  
呼べば、嘴を甘噛みするように啄まれる。  
何度も何度も角度を変えて嘴は絡んで、  
ペラップの鮮やかな羽毛が温かくて、  
ポッチャマは泣きたくなる。  
「…一緒に、いたい」  
絶頂の後の気怠さのままに、ポッチャマは知らず口走っていた。  
「一緒にいたいよ、ここにいたい、側にいたいよぉ…!」  
 
夜毎見る悪夢、  
確かに自分は進化できない現実。  
ペラップが好きだから、  
自分は消えなければいけないのかもしれないけれど  
ペラップが好きだから、本当は側にいたい。  
どうすればいいのか分からないまま、  
覚えたての快楽を貪るように  
ただ腰は揺れ、  
柔らかな羽毛に夢中で頬を押し当てていた。  
 
ペラップはポッチャマの涙を羽毛で受け止めながら  
嫌な予感に胸がざわめいていた。  
側にいるのが当たり前すぎて忘れてしまいがちだが、  
ポッチャマは本当は人間で、未来から来た存在なのだ。  
 
「…ああ、ちゃんと側にいるんだよ。  
 ワタシの側に」  
上手く言葉が出てこなくて困るなんて、  
ペラップには初めての経験だった。  
「どこかへ探検に出かけても、ちゃんと帰ってくるんだよ。  
 勝手にフラフラどこかへ行ってしまったら、  
 オマエの取り分をもっと減らすからね」  
 
やっぱり情緒の欠片もない言い種に、  
ポッチャマは呆れ、笑い、そして安心した。  
今こうしてペラップと一緒にいるのは確かに現実で、  
ふわふわした夢なんかじゃない。  
 
「何笑ってるんだ、ワタシは本気だぞ」  
「うん」  
ポッチャマはまだクスクス笑っている。  
「随分余裕が出てきたみたいだな」  
ペラップはフフンと笑い返す。  
「じゃ、もっと可愛がってやろう♪」  
「えっ」  
 
ペラップはまた律動を再開する。  
 
「やっ、だめそんなにいっぱい出しちゃ、  
 おなか破れちゃうよぅ!」  
「あれだけゴハンが入るお腹が  
 この程度で破れるわけないだろ」  
「やんっ、ああっ!」  
 
 
一緒だから、きっと今夜は悪い夢は見ないだろう。  
…いや、それ以前に  
果たして今夜は眠れるんだろうか…?  
 

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