彼女は今、僕の前で泣いている。
けれどそれは悪い涙じゃない。それを知っているから僕は何も言わずに一緒に泣いた。
「イーブイ……。良かったぁ。会いたかったよぉ」
「……ごめんね。心配かけて」
僕は一度は消えた存在だった。消えたはずだった。未来を変えたら……未来のポケモンは消えてしまうはずなのに。
何故僕がここにいるのかはわからないけれど、今はロコンとまた会えただけで良かった。
「うぅん、いいの。今は…イーブイとまた会えただけで幸せだから」
「ロコン……」
ロコンも僕と同じ考えだったみたいだ。そのことがとても嬉しく感じた。心があったかくなるような、そんな感じ。
今こそ、言うべきなんだろうか。あの時言えずにしまっていた言葉を……。
夕暮れのクラブの泡がキラキラ舞っているロコンの好きなこの場所で。
「ロコン」
「? なぁに?」
ロコンが僕の目をじっと見つめる。その丸い瞳に僕は吸い込まれそうになった。…実際にロコンの瞳の中には僕がいる。
「僕は……ロコンのことが好きだ」
思い切ってそう言った。
言ってしまった。
顔が熱くなるのがイヤでもわかるし、心臓の音はロコンに聞こえてしまうんじゃないかと思うほど鳴っている。ロコンの顔も、足元さえも見れなくて僕は目を瞑った。言ってしまった途端にロコンがものすごく特別に見えてきてしまう。
僕の告白にロコンが答えるまでの間が、恐ろしく長く感じられた。
それはすぐだったのかもしれないし、実際に長い時間がたっていたのかもしれない。
目を瞑る僕の耳にロコンの恥ずかしそうな声が届いた。
「私も……イーブイのことが、好き」
その言葉を理解するのに数秒かかった。期待していた言葉なのにいざ言われてみると頭がフリーズしてしまう。なんだかふわふわとして足元がしっかりしない。
ゆっくりと目を開けるとそこにはすぐ近くに迫ったロコンの顔がうつった。
「わ……んっ!」
唐突に口が塞がれた。これは……キキキキス!?
僕はすっかりテンパってしまって、何も考えられなくなった。けれど、ただただ幸せを感じていたのは確かだ。
だってこれからはずっとロコンと一緒なのだから。幸せじゃないわけがない。
口内に広がる優しくて甘い味を感じながらそう思った。
「今日は……ギルドには戻りたくない」
ロコンがそう言ったので、僕たちはサメハダ岩の隠れ家へと向かった。
これで僕たちは二人きりだ。ギルドに帰ってしまったら色々聞かれたりするだろうからゆっくりできない。ギルドの仲間達の顔も見たいけれど、今夜だけはロコンと二人きりがよかった。
「これで…二人きり。だね」
ロコンが小さな声で呟いた。
二人きり……。
その言葉にまた僕の顔が熱くなるのを感じた。見ればロコンの顔もうっすらと赤くなっている。
僕だってその言葉の意味くらいはわかっている。けれど、どう切り出せばいいのかとか…そんなことは全くわからなかった。
ロコンの呟きから沈黙が流れる。
何て答えればいいんだろう?
沈黙が長くなれば長くなるほど話しずらくなるのだけは確かだ。僕は焦って、何も考えずに何かを口走った。
自分が何を言ったのかもわからない。……まぁ要するにそのくらいテンパっていたってこと。
そんな僕の言葉に対して、ロコンはクスクスとくすぐったそうに笑った。
何かおかしなことを言ったのだろうか。いや、きっと言ったのだろう。…すごく気になる。けれど今更そんなことは聞けなかった。
「うん、いいよ」
僕の言葉に対する答えだろうか。ロコンはそう言いながら僕に体を寄せてきた。真横には体を密着させてロコンが伏せている。
ロコンが炎タイプだからなのか、ロコン自身がそうなのか、それとも自分がそうなのか、ロコンと触れた部分はとても熱かった。火照っているような、そんな感じ。
僕はドキドキしながらゆっくりと横を向いた。
ロコンはサメハダ岩の外に広がる海を、もしくはそのむこうを見ていた。月明かりに照らされたロコンの顔は妙に艶やかに見えて、さらに僕をドキドキさせた。
いつもは可愛い顔がそんな風に見えるんだから雰囲気っていうのはすごいなぁと、少し場違いなことを考えた。
ロコンはさっきからずっと海を、もしくはそのむこうを見ている。けれど、ロコンの丸い瞳には海はうつってはいなかった。いや、うつってはいるけれど、それ以上のなにかがそこにはあった。
だから僕はこう訪ねる。
「何を見てるの?」
そして彼女はこう返す。
「私たちの未来を」
彼女は結構ロマンチストだ。だからなのか、目に見えるそれ以上のものがそこに見えているみたいだった。
僕はただ尋ねる。
「どんな未来?」
彼女はただ答える。
「この海のようにどこまでも広がっている。ずっとずっと先まで。ここからは見えない地平線の向こうまで」
僕は彼女と同じように海を眺めた。
海は本当にどこまでも広がっている。あの地平線も向こうにもここからは見えないだけで海は続いている。そして、いつかは陸がくる。……永遠の海なんてないんだ。そんなことは誰でも知っているのに、それが少し、いやとても悲しかった。
「海の先が永遠だったらいいのにね」
「……ううん。それじゃあ、ダメだと思う」
彼女は首を横に振って、それを否定した。
「どうして?」
「だって、それだと美しくないじゃない。先があるからこそ、有限だからこそ、美しいんじゃないかな?」
……正直僕にはよくわからない。
「まぁ、とりあえずは今を精一杯楽しみましょうってことよ」
彼女は笑ってそう締めくくった。彼女の言葉が少し気になったけれど、彼女な笑顔を見たらそんなことはどうでもよくなってしまった。
僕たちはどちらからともなくキスをした。今度は緊張していない。何故だろうか、とても落ち着いた気持ちだ。
小さく口を開けて、恐る恐る舌を出してみた。彼女はどう思うだろう。引かれないかな?
「んっ……」
彼女も同じように舌を出してきた。お互いの舌が触れ合う。僕の体が少しだけビクンと跳ねた。
彼女の舌は柔らかくて、暖かくて、熱い。チョコレートのようにお互いの舌が溶けてしまうんじゃないかと思った。
飲み込めない唾液が彼女の唾液と混ざって一つになった。もうどちらがどちらかもわからない。
キスをしたときと同じようにどちらからともなく口を離した。僕と彼女を繋ぐ細い細い糸はキラキラと輝いていて、やがて切れた。
彼女は照れたように笑った。僕も釣られて笑う。きっと彼女と同じように笑っているはずだ。
僕はまた沈黙が訪れる前に行動を起こした。ゆっくりと彼女を仰向けにさせる。お腹にいくつかの膨らみが見える。後ろ足の間には少しピンク色を含んだ割れ目があった。
仰向けは四つ足のポケモンにとっては服従のポーズだ。心を許した者にしか見せることはない。彼女は恥ずかしそうにはしても、嫌がる素振りは見せなかった。
彼女のそんな姿を見て、僕は今になって緊張してきた。心臓が爆発してしまいそうなほど高鳴っている。大した運動もしていないのに呼吸が乱れる。
けれどここで止めるわけにはいかないのだ。♂的にもそれは絶対にダメ。カッコ悪すぎる。かといってなかなか前へは進めない。
「イーブイ、緊張してるの?」
「ぇ!?い、いやそんなことはないよ。そんなことはない」
半分自分に言い聞かせるようにそう言った。えぇい、もう進むしかないんだ。上手く出来るかはわからないけれど、やるだけやってやる。
僕はわけのわからない意気込みとともに、前足で彼女の胸に触れた。
「っ!……ふぅ」
彼女の少し熱っぽい吐息がやけに艶やかに感じる。もう僕の中では緊張よりも興奮の方がはるかに上をいっていた。
ゆっくり、出来るだけ優しくその膨らみを揉む。……とても柔らかい。どこか安心するような心地よさだった。
そんな中にふと固さを感じた。なんだろうか。前足を離してみると、ピンク色の突起が目に入った。固さの正体はきっとこれだろう。
「乳首、固くなってるよ」
僕は意地悪くそう言ってやった。
予想通りに彼女は恥ずかしがって言い返してくる。
「イーブイの触り方がいやらしいからよ」
「え…そ、そう……?」
そうなのだろうか……?いや、でも僕はこんなことをするのは初めてで、きっと下手だろう。だから、触り方がいやらしいとか……そういうのはないと思う。つまりは逆に意地悪をされたってことだ。
なんだか悔しい。
僕の思考がそのまま表情に出ていたのか、彼女は僕を見ていつものようにクスクスと笑った。
「嘘よ。私は…イーブイに触られただけで感じちゃったから」
彼女は恥ずかしそうにそう言った。その言葉と表情に僕はドキッとした。そして同時にこう思った。
ずるいなぁ……。そんなこと言われたらもう言い返せないじゃないか。
だから僕は言い返すかわりに彼女の乳首を舐めた。
「ふぁっ!……んん」
僕は休む間もなく乳首を舐め責める。彼女の息はどんどん荒くなっていった。
「やぁ…っ!……ダメっ……!」
舐めるだけでは飽きたらず、乳首を吸い上げてみた。すると彼女は今まで以上に反応して、体をビクンと震わせた。
「あっ、んん……!ひゃぁ……」
彼女の乳首からは何も出てはこないけれど、変わりに口からは喘ぎ声が溢れ出してきた。そして、彼女の秘所からは愛液が……。
僕は一度口を離して、秘所の所へ顔を近付ける。
「やだぁ…恥ずかしいよ。そんなに見ないで……」
見ないで、と言われれば見たくなる。だから僕は彼女の秘所をじっくりと観察した。
ぷっくらと膨らんだ秘所はさっきよりもうっすらと赤くなってきている。そして割れ目からは透明の液体が流れ出ていた。
僕はそれに誘われるかのように彼女の秘所に口をつける。
「ん……」
彼女はそれに敏感に反応する。僕が愛液を舐めとると、彼女の後ろ足がビクンと震えた。彼女の液はとても甘くて、なんだかよくわからないような味だった。とりあえずこれは彼女が感じてくれている証拠なのだ、それが嬉しくて僕はさらに秘所を舐め責めた。
「あんっ……そんなに…舐めちゃ、ぁ!!」
彼女は止めてほしそうな言葉を口にするけれど、その言葉ほどの意味はこもってはいないだろう。ただの照れ隠しみたいなものだ。だから僕は構わずに舐め続ける。
彼女の可愛い照れ隠しも聞きたいしね。
彼女の息はどんどん荒く、声も大きくなってくる。愛液はとめどなく流れてきて全部舐めとるのも難しいくらいだ。現に下に敷かれてある藁はだいぶ愛液で濡れてしまっていた。
そろそろイキそうなのかな?
彼女に尋ねると否定されそうなので僕は何も言わずに彼女を優しく絶頂へと導いてあげることにした。
「ひゃぁっ!んっ……いいよ、イーブイィ……すご、い!!」
彼女の秘所の中に舌を差し込んだ途端に彼女の体が一際大きく震えた。いや、どちらかというと跳ねた、の方が正しいかもしれない。
「ん……はぁ…はぁ……」
とりあえず、彼女は絶頂に達したようだ。ボーッとした目でどこかを見ている。まだ小刻みに震える体に僕は覆い被さる。
「気持ちよかった…かな?」
彼女はニッコリと笑って頷いた。
「イーブイの舐め方、優しい感じがする。だからすごく感じちゃうの」
「もっと激しい方が感じるんじゃないの?」
彼女は首を横に振って否定した。
「イーブイだから、感じちゃうの」
「……」
僕は何て返したらいいか少し困った。これ以上僕が何か言ってしまえば彼女の好意をダメにしてしまうかもしれない。
「あっ……んっ…んん」
だから僕は彼女にキスをした。誤魔化すわけじゃないけれどそのくらいしか僕には出来なかったから。
僕たちは抱き合って舌を絡め合う。お互いを確認しあうようにゆっくりと……。
やがて僕たちは口を離して見つめ合う。やっぱり僕は彼女の瞳に吸い込まれる。そんな特殊な何かが彼女にはあるのだろうか。
そして、僕は無意識のうちに口を開いていた。
「もう我慢出来ないんだけど……いいかな?」
……情けない。自分でもそう思う。けれども僕のモノは既に大きくなっていて引っ込む気配は全くなかった。
「うん……イーブイの、ちょうだい」
彼女は顔を赤くしてそう言った。
あぁ……可愛すぎる!
頭がグラグラと揺れ、収まりが効かなくなる。つまり理性が吹き飛んでしまった。
って言っても乱暴にはしないけれど。
「……挿れるよ?」
自分のモノを彼女の秘所まで持って行く。ちなみに今の体位は彼女が四つ足で立って僕がその上に乗るというザ・ケモノスタイルだ。彼女の顔が見れないのが残念だけれどこれが一番やりやすい。
「いいよ……」
彼女の緊張した声が返ってきた。緊張しているのは彼女だけじゃない。僕もだ。彼女も初めてで僕も初めて……はたして上手くいくのだろうか。
ゆっくりと彼女の秘所に自分のモノを挿れていく。彼女の秘所はさっきから十分に濡れているので抵抗はなかった。むしろ中に引き寄せられるかのようだった。
「んっ…!」
半分くらい埋まったところで彼女が声を出した。
「大丈夫?」
「うん、思ったよりも痛くない」
思ったよりも痛くない……?
ってことはつまり、僕は彼女の処女膜を破ったのだろう。全然気がつかなかった。今の状態からは見えないけれどきっと血が出ているのだろう。
僕はゆっくりと自分のモノを根元まで挿れた。彼女の中はとても暖かくて、優しく包まれているような感じがした。そのくせ、壁はぎゅうぎゅうと締め付けてくる。
「入った……の?」
彼女が細い声で尋ねてくる。
僕はうん、と返した。
「じゃあ、動くよ」
僕はそう断ってから、ゆっくりと腰を動かし始めた。
うぅ……想像していたのよりも全然すごい。もうすごいっていうしかないくらいにすごかった。なかなか言葉では言い表せない。
「んぁっ!あっ!……ひゃ!」
「はぁ…はぁ…くぅ!!」
下半身が溶けてしまいそうだ。それでも僕はしっかりと腰を動かす。
全身に甘い快感が広がる。モノは自分の体ではないかのように熱く、気持ちよかった。
一度抜き差しする度に頭の中が真っ白になってしまう。考えが上手くまとまらない。けれど、これだけは言える。
「ロコン……愛してるよ!」
「! うん……私も、イーブイのこと愛してるよ!」
腰が震える。足も限界に近いし、なにより絶頂がもう近づいてきている。
情けないなぁ。そう思いながらも止めることは出来ない。
「これからは……もうどこにもいかない…からっ!ずっと……ずっと…一緒にいよう!」
僕の精一杯の気持ちを伝える。恥ずかしくなんてない。ただ本当に思ったことを言っているだけなのだから。
「うんっ!約束……だよ。もう…勝手に消えたり……しないでね!」
「約束するっ!もう…消えたりなんか……しないから!」
消えたりなんかするものか。こんなに可愛い彼女を残してもう消えたりなんか絶対にしない。ずっとずっと……一緒にいるんだ。
……もう、限界かもしれない。
僕は言った。
「ごめんっ!もう…イキそうだ!」
「私も……もうイッちゃいそう!」
途端に体がビクンと跳ねた。同時に彼女の体も同じように跳ねる。
僕は自らの性を、思いを彼女の中に吐き出した。
僕たちはまた、じっと海を眺めている。海は地平線の彼方へとただ続いている。
「私、イーブイに出会えてホントに良かったわ。もう私は臆病なロコンじゃない。全部イーブイのおかげよ」
彼女は笑ってそう言った。
僕も同じように笑って言う。
「僕も、ロコンに会えてホントに良かったよ。あの時ロコンに出会えていなかったら今頃どうなっていたか……。それに、色々な体験も出来たしね。全部ロコンのおかげだよ」
僕たちは二匹で笑いあった。どちらもお互いに好きで、出会えたことに感謝している。それってつまり最高ってことなんじゃないかな?少なくとも僕は最高だと思っている。きっと彼女も。
僕たちはお互いを確かめあうようにキスをした。
僕は彼女を連れて、海を渡っていく。未来へと向かって渡っていく。そのずっと先は海の終わりがあるけれど、そこまではとてもとても長くて、とてもとても楽しいのだから問題は全くない。
まぁ、とりあえず今は二匹でいられる時間を大切にしようと思う。
サメハダ岩の入り口の近くで、ペラップは一匹で海を眺めていた。
ロコンがいつまでたっても帰ってこないので、心配になって探しにきたのだ。皆の前では親方さまに言われて仕方なく探しに行った風になっているけれど本当はペラップが一番心配していたことはギルドの弟子たちも薄々と気付き始めている。
ペラップはやれやれとため息をついた。どういうわけかは知らないけれど、いなくなったと言われていたイーブイが戻ってきたみたいだ。
盗み聞き、と言うわけではないがペラップはしばらくの間サメハダ岩の入り口で二匹の会話を聞いていた。もちろん聞こえてくる声で二匹が何をしていたのかも容易に察しがついた。
けれどペラップは何も言わない。それに濡れ場に入っていくほどペラップは空気が読めないわけでもないし、そんな所に入っていく勇気も無かった。
とりあえず今夜は二匹だけにしてあげよう。そして明日散々文句を言ってやるのだ。あの二匹のムスッとした顔がまた見れると思うと、ペラップは無意識内に顔をほころばしていた。
その他にも色々考えていた。心配させた罰に夕飯を抜きにしてやろうかとか、ディグダの代わりに見張り番をさせてやろうかとか、わざと難しい依頼をやらせてみようかとか……。
けれど、最後には一つの案が思い浮かんで終わった。
二匹に卒業試験を受けさせてここで暮らせるようにしてやろう。そしたらもう自分たちに構うことなく二匹だけでいられる。
我ながら良い案だ。二匹とも感謝するんだよ。
ペラップは心の中だけでそう言った。
そろそろ帰ろう。そして、親方さまにさっき思いついた案を話してみよう。親方さまのことだきっとすぐにOKを出してくださるだろう。
「まったく、手間のかかる弟子たちだよ」
ペラップはそう言い残すとギルドへ向かって飛び立った。
〜おわり〜